チートな幌筵泊地が異世界に転移した結果…… 作:提督兼指揮官兼トレーナー
「人間らしさを取り戻したのはいいんだが、イチャイチャしすぎんな、俺らのお艦だぞ!」
(あんまりにもイチャつきが激しい2人をみた鳳翔航空隊妖精一同)
というわけで、前半の報告書が終わったら、色々あります。最後にお知らせがあるので、是非ご覧ください。
[多元実の家庭内環境に関わる調査書]
多元実は生まれが名家の分家ではあるものの、実の所、多元の父親は本家の実の息子であった。
ただ、両親に中々子供が産まれなかったため、別の分家から養子を呼んで養育していたのが、現在の本家当主となる。
しかし、養子として呼んだ直後、多元実の父親が産まれたことで、一時的にお家騒動になりかねない事態となった。
この時、判断の決めてとなったのが、両者の性格だ。
現在の当主は温厚にして、堅実、根回しが上手い。
一方の父親は、粗暴にして、支配的で、野心が強い。
かつてのGHQの戦後改革で根回しの重要性を理解していた本家はバブル崩壊後の経済不況を乗り越えるためにも、血ではなく実力で判断。実の息子を分家に送ることとした。
これが、父親のコンプレックスとなる。
多元の父親は見合い結婚であり、翌年に多元が産まれてからしばらくはおとなしかったものの、あることがきっかけで野心を露わにする。
当主に子供が出来なかったのだ。
ここに来て、分家に追いやられた恨みを晴らすべく、自らの息子を当主にしようと教育を開始した。
幼稚園、小学校をそれぞれ有名私立に入らせ、知識、体力、作法を一流にしたて、妻には文化的な面での教育を指示した。
もちろん、母親は、厳しすぎる教育に懸念を示していたものの、家同士の関係から受け入れることとなり、多元に対してピアノ、生け花、茶道などを教える。
一方、厳しすぎる教育で息の詰まる生活をしていた多元のために、教育と称して外出させていた。
これが小学校までの話である。
順当に行けば私立中学にそのままエスカレーター方式で上がれていたが、父親は本家に向かわせるために、よりエリートを作るために中学受験をさせた。
しかし、多元は不合格となり、怒った父親は竹刀で多元を叩いた。
ここで、母親が、当主に事情を説明。当主は父親に対して公立中学校に入れるよう勧告し、母親からの話とは知らぬ父親はしぶしぶ多元の公立中学校入学を認める。
だが、ここで厄介なことが持ち上がる。
多元は、完璧なイケメンという訳ではなかったが、顔は整っており、成績もよく、スポーツも万能、礼儀などもきちんとしており、何より家が分家とはいえ有力者の子供となれば、モテにモテる。
無論、厄介な追っかけには辟易していた多元ではあったが、多感な中学生、そろそろ恋に落ちることもある。
初恋は、女子テニス部の年上である部長だった。
垢抜けた存在だった多元は上下問わず人気者で、学年のマドンナ的存在の彼女もそんな人の1人だった。
多元は家が家なので、テニスも上手く、放課後の部活で何度か一緒に打つ中で距離を縮めていたのだ。
アニメにあったような甘酸っぱい恋は、突如終わりを告げる。
父親が介入したのだ。
権力を傘に横暴な振る舞いをする人間ほど恐ろしい存在は居ない。
夜道を暴漢に襲わせ、酷い目に遭わせた挙句、両親に圧力をかけて交際を無理やり辞めさせたのだ。
一夜にしてボロボロになり、逃げるようにして去っていった元カノを見て、ただならぬ気配を察した多元が下駄箱で発見したのが、[ごめん、もう君には会えない]の文言だった。
ショックを受けて家に帰った多元に対して、父親の物言いは、邪魔者を消してやったという自分勝手な内容だった。
反抗する多元に今度は木刀で殴る父親。
幸い、母親の介入で事なきを得た多元だが、この事件以降、自己防衛と親の教育の結果からか一部の感情……特に恋愛感情を失うことになる。
高校は、地域有数の進学校である公立高校に進学。
ここで後の部下である腰堀と会うことになる。
高校時代も中学時代とさして変わらぬ生活だったが、締めつけの強い父親は、中学の頃から継続してアニメやゲームを禁止し、自由恋愛は無論禁止、性欲処理のために、本家御用達の店から女を引っ張ってきて、月数回、多いときで週一のペースで相手をさせた。
しかし、これでもまだ、多元には母親という心強い味方がいた事から、父親に面と向かって殴り返すことはまだ無かった。
しかし、高校生になり、母親が交通事故で亡くなると、暴行の酷い父親に反抗すべく、ついに殴り返し始めた。
両者武道の心得はあったが、常日頃から木刀を持ち歩く父親に対して、多元は灰皿を投げつけるなど、徹底的に抗戦。
家に来ていた家政婦が「地獄のようだった」と語る暗黒期である。
この時の多元を知る腰堀はこう語る。
「先輩に化粧の無い日は無かった」
如何に激しい喧嘩をしていようと、名家の人間たるもの、顔や腕に傷を見せてはならないとして、家政婦が化粧を施して傷を隠していたのだ。
とはいえ、完全に隠し切ることは出来ないこともあり、学校側も対応を試みたが、相手が相手なので放棄せざるを得なかった。
そして、進学にあたって多元は親元を離れることを決意。
家のある東京から離れた国立大学に行くことを決意したが、関東圏でなければ認めないという父親の判断によって防衛大学校に変更、入学後は優秀な成績を収めていたものの、攻撃的な性格から、演習などで問題が起こることもあった。
また、もとより優秀な肉体と頭脳を持つ多元は各方面から引っ張りだこだったが、ここで多元が選んだのは海上自衛隊。
理由は洋上勤務主体の海上自衛隊なら、あの父親から離れられるということだった。
もとより、海上自衛隊では人手不足もあって、この決定はすんなり通り、江田島の幹部学校にて訓練を受けることとなる。
だが、そんな中、再び父親の影が忍び寄る。
きっかけは、過労で倒れたあとの職場だった。
洋上勤務から外され、関東圏の陸上勤務となったのだ。
この決定には当然家の力を傘にきた父親の横暴であり、帰省した際に、激しい口論になった。
そして、ここで多元の理性の紐が切れる。
[貴様の母親も、家を継ぐ邪魔ばかりしていた。お前が家を継ぐための障害になるものは全て排除する。全てだ、そして、何が邪魔かは俺が決める]
[親父……、てめぇ、まさか母さんを!]
[自分の責任と感じれば素直になると思ってな]
運転手は父親から金を受け取り母親を撥ねたのだ。
[お前なんか人間じゃねぇ!]
[父親に逆らう気か!]
再び家庭内で起きた戦争。しかし、もう父親の前にいた多元は今までの彼ではなかった。
一瞬にして間合いをつめ、ジャブを決めて右肩を掴んで破壊。
2階から突き落としたのだ。
[お前……、タダじゃ済まされないぞ……]
まだ息のあった父親の顔面目掛け、家にあった相当重い壺を叩きつけた時、たまたま見ていた叔父に見つかった。
[叔父さん……、自首します……、それか死にます]
[待つんだ実君、君はまだ若い。君の置かれた事情も理解している。ここは私に預けてくれ]
たとえ分家でも殺人事件が起きたとなれば家にとって問題となるということ、家が違うとはいえ、虐待、殺人を止められなかったことについて後悔のあった叔父は、自殺か自首を選ぶ多元を説得。とりあえず自衛隊を退官させて、家の息のかかった精神科病院を内密に受けさせると共に、父親の死を偽装。このことを秘匿させた上で、彼に対して自由に生きるようにと伝えた。
彼は叔父の助けを借りて国立大学の工学部の航空宇宙工学科に進学。ここで腰堀と再開して重工メーカーに入社したのである。
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報告書を読んだ閣僚達は黙ったまま喋らなかった
「…………」
「…………」
「以上、報告書です。出典は精神科医に提出された資料を元に制作されているので間違いは無いと思います」
平河の言葉の後にようやく口を開く閣僚
「こんな男に我々は重責を与えていたのか……」
厚生労働大臣のつぶやきにディーニツが素早く反応する。
「我々の任官が問題だったとは思いません。彼の実力は普通に仕事をする上では極めて有能です。それに、ここで彼を辞めさせる方が問題だと思います」
「それは我々転生者としても同じです。ここで彼から仕事を奪うことは、結局は彼にとって宜しくないことになります」
「しかし……」
歯切れの悪い厚生労働省大臣に、平河が畳み掛ける。
「提督の精神の安定に寄与していたのは間違いなく軍事分野、そして、もとより学ぼうとしていた工学分野、早い話が航空宇宙分野です。そこに力を注ぐことは彼の精神安定の上で非常に有意義なことと言えます。何より……」
「何より?」
「提督の心の支えとなる存在が新たに誕生したことは、今後の活動の上で無駄では無いでしょう」
「それで彼女と同じ時期に停職処分を言い渡すよう進言したのか?」
「はい」
「しかしそれでは……」
「厚生大臣」
カナタ大統領が尚も難色を示す厚生大臣を諭す。
「私たちは物乞いをしている訳でも、完璧超人を求めているわけでもありません。一国民の今後を我々が勝手に考えているのです。如何に彼が軍人とはいえ、軍人である前に国民なのです。そして、ここで安易に彼をクビにする必要は無いと思いますが?」
「しかし、万が一政権へのダメージとなったら……」
厚生大臣が心配しているのは、万が一情報が漏れた際に起こる政権へのダメージだった。
「政権へのダメージはいくらでも取り返せます、しかし、自らの保身のためにトカゲの尻尾切りのような形で如何に落ち度があろうと、ここで多元相談役を切り捨て、つかの間の安心を得たところで、魔帝に勝てますか?」
現状、現代兵器を使った戦術に精通しているのは多元しかいないのだ。
「厚生大臣。あなたの言いたいことは理解できます。しかし、国家が守るべきは政権の安泰ではなく、10年、100年先の国家の安全を守ることなのです。そのために多元相談役の存在は不可欠なのだと私は判断しました」
ここまで言われればさしもの厚生大臣も納得せざるを得ない。
「今回の件、第1級の国家機密として、扱いには厳重に注意すること、封印期間は魔帝戦集結までとします」
ここにカナタ大統領の決定によって、ここまでの内容を機密化することを決定。魔帝戦まで然るべき手段をとることとなった。
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一方、鳳翔と多元は
「テレビ観ますか?」
「いいですね」
肩をくっつけて仲良く並んでテレビを見ていた。
ちょうどテレビでは、テニスの試合が放送されていた。
「鳳翔さん。テニスはお好きですか?」
「やってみたいとは思うんですが、手ほどきしてくださりますか?」
「もちろん」
「じゃあこの後、行きましょうか?」
「はい!」
密着しながら話す両名。
うーんこの……、なんとまぁ仲良くやってるのはいいんだが、マジでイチャつきがすんごい。
前の夜2桁に及ぶ夜戦(意味深)やってたってマ?
「あっ、ニュースやってる」
チャンネルをいじっていた多元が発見したのはロデニウス連邦共和国の軍事に関するニュース。
「ロデニウス連邦共和国政府は、軍備拡張のため、本日、空母4隻と戦艦6隻の進水を公開しました」
映像が切り替わり、ロデニウス級航空母艦4隻の船体が進水する。
「フォッケン、クワァントー、テンシェー……、後は対潜哨戒向けの小型空母か、それにゼルゲート計画も進んでいたのか」
「ゼルゲート計画……、ゼルゲート議員が提唱していたアレのことですね?」
ゼルゲート計画とは、軍人系貴族のゼルゲート貴族院議員からの提案によって計画された戦艦整備計画。
多種多様な戦場に対応するために、様々なタイプの戦艦の建造に向かったのだ。
「進水したのは1番艦から6番艦までか……、ホント建造速度早いよなぁ、平河くんは素で時間断層でも持ってるのか?」
進水したのは次のタイプ
指揮統制型
1番艦「ゼルゲート」(ほぼゼルグート)
全長 400m
最大幅 150m
全高 60m
速力 30ノット
機関 核融合炉
武装 490mm四連装砲×5門、57mm速射砲×4基、短魚雷発射機×2基、CIWS×2基、VLS 64セル×2
艦載機 無し(但し艦後方にヘリポート有り)
見た目 ゼルグート級みたいだが、水上艦艇にするにあたって変更点有り、ゲルバデス級なんかも参考にされている
特徴 指揮能力、単純な砲戦火力以外はかなり低いが防御は硬い
レーダー類等 汎用護衛艦並
2番艦「ドルメーズⅢ世」(ほぼゼルグート)
砲撃型
3番艦「播磨」(近代化改修した通常戦艦)
全長 330m
最大幅 45m
高さ 70m
速力 33ノット
機関 核融合炉
武装 51cm3連装砲×4基、76mm速射砲×10基、30mm機関砲×8基、複合CIWS×6基、VLS 200セル、魚雷発射管×2基
艦載機 ティルトローター機2機、UAV4機
見た目 近代化改修された二次大戦の戦艦に近い
特徴 奇を衒ってない分バランスが良く、優秀。だが、その見た目故にステルス性は他に劣る。
4番艦「摂津」(近代化改修した戦艦)
潜水戦艦型
5番艦「ツェマヴァルト」(ズムウォルト拡大型、精密射撃型、潜水戦艦)
全長 270m
最大幅 40m
全高 20m
機関 核融合炉
速力 水上33ノット、水中30ノット
武装 艦首魚雷発射管×6門、収納型38cm単装レールガン×2門、VLS 96セル、格納型SeaRAM×2基、後部魚雷発射管×4門
艦載機 UAV×6機
見た目 ズムウォルト級を大型化し潜水可能にしたゲテモノ
レーダー類 潜水艦と駆逐艦のものを併設
特徴 潜水することでレーダーをかいくぐろうという考えの元建造された究極のステルス、一方、戦艦のくせに直接撃ち合うのは苦手、でも潜るだけあってそれなりに硬い
6番艦「ミッシェリー・モンスーア」
「提督、そういえば、私のところの隊長さんが来てるんですよ、会って貰えますか?」
「えっ?、いいけど」
「下のエントランスにいるので、そちらで会ってください」
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「よう!、提督!、顔色は大分戻ったみたいだな」
「苦労をかけたな、それよりお前は訓練をしてなくていいのか?」
「ん?、どっかの誰かさんの命令に虚偽報告したせいで小隊仲良く停職処分中だからな」
「すまない……」
「いや、まあいいさ、俺が決めたことだ」
「そうか……、それより話って何だ?」
「まぁ、立ち話もなんだし、座ろう」
ホテルのエントランスの椅子に座る多元と隊長。
「提督、単刀直入に言おう。お前にお艦を任せたくない」
「はっ?」
「わかるだろ、俺たち下の人間が、今回の件でどれだけ振り回されたか、司令代行はお艦の存在が不可欠だと言ってはいるが、俺やお艦の航空隊の面々はそう簡単には同意できない」
それは、長らく鳳翔の元で仕えていた鳳翔航空隊の隊長故に言える内容だった。
自分たちにとって大切なお艦だからこそ、その相手の見極めには慎重だった。
無論、お艦には内緒である。
「お前たちの言い分はわかった、だが、俺にどうしろと言うんだ?」
「俺たちはお艦の気持ちに逆らうつもりは無い。だが、俺たちはお艦のそばにいる存在として、提督が相応しいのか見極めたい。提督としての技量はこの際置いておくとして、多元実という1人の男としての覚悟を見たい。
そこでだ……
提督、空を飛んでみるか?」
はい、というわけで、数話ほど主人公の内面に迫る話題でしたが、ここで一旦本編を中断して、次回は夏休み企画ということで、本作以外の自分の作品から人(?)を呼んでこようと思います。
というわけで夏休み企画をお楽しみに!
(恐らく)襲いかかって来るであろう愚帝本土攻撃艦隊をどうやって調理しましょうか?
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単艦無双(ヤ○トかな?<すっとぼけ>)
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特生自衛隊(特殊兵器多数)出動
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航空殲滅(ソ連を超えた!?)
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普通に艦隊決戦(まだ常識の範囲)
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全部♡(愚帝君号泣不可避)