チートな幌筵泊地が異世界に転移した結果……   作:提督兼指揮官兼トレーナー

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「決着をつけよう、命懸けの」

(鳳翔航空隊隊長の言葉)


というわけで、以前から色々あった、鳳翔航空隊隊長との空中戦が始まります。

果たして多元はどうやって戦うのか……










第41話 決闘

 

1641年 5月某日

 

 

 

 

<<XF-3C、離陸準備完了>>

 

<<随伴機、離陸準備完了>>

 

<<こちら管制塔、離陸を許可する>>

 

<<XF-3C了解!、XF11エンジン、出力良好、異常なし、離陸する!>>

 

 

轟音をあげるエンジン。量産先行機らしく、X-2のような見た目で塗装された機体は、滑走路を加速しながら進んでいく。

 

 

<<XF-3C、離陸成功!>>

 

 

うおおおおぉ!、との歓声が管制塔に詰めかけていた転生者達から上がる。

 

 

戦後のT-1以来かもしれない、射出座席、エンジン含めた完全自国開発機の初飛行は転生者一同の悲願だった。

 

 

まだ初飛行の段階だが、随伴機のF-15Ⅲに見守られながら、飛行するXF-3Cのコックピットの中には、開発責任者たる多元がその操縦桿を握っていた。

 

 

<<初飛行だが、脚を引き込むか?>>

 

<<やっちゃいましょう!>>

 

 

よし……、多元は早速行動に移す。

 

 

<<ランディングギア、引き込み>>

 

 

ランディングギアが引き込まれ、XF-3Cはその滑らかな機体下部の中に脚をしまい込む。

 

 

<<本当に操縦しやすい、まるで慣れ親しんだ自転車に乗るような感覚だ>>

 

 

AIのディープラーニングによって支援される飛行は、まだジェットに乗って日の浅い多元でも扱いやすいものだ。

 

 

 

「先輩!、どうでした?」

 

「腰堀……、これだよ!!、俺たちが作りたかったものは!!」

 

 

着陸した後、多元が語るその言葉に、開発者全員が明るくなった。

 

 

「やりましたね!!」

 

「ああ、これからぶっ通しで試験だ!!、新型ミサイルも準備しろ!」

 

「了解!」

 

 

 

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<<こちらXF-3C、超音速巡航を実施する>>

 

<<こちら管制塔、了解した、超音速巡航を実施せよ>>

 

 

初飛行した次の日には超音速巡航を実施。国産機として初のM1.2における超音速巡航に成功した。

 

 

同日、設計最高速度であるM2.5に到達。エンジンについてはXF11からF11エンジンへと変更。和名を噴式火星発動機と命名した。

 

 

さらにその翌日……

 

 

<<戦闘機動試験を開始する>>

 

<<了解した、F-58との戦闘機動試験を開始する>>

 

 

固定武装のレーザーを使った戦闘機動試験を実施。二機のF-58を終始圧倒し続けた。

 

 

3日後には各種空対空ミサイルの発射試験を実施。

 

新兵装の試験も同時に完了した。

 

 

翌日には対艦ミサイルの発射試験を実施。

 

同日、ステルス塗料への塗り替え完了。

 

 

 

新型機は着実に、そして順調に実戦配備へと歩みを進めていた。

 

 

 

 

 

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数日後、幌筵泊地上空

 

 

<<提督、すっかり操縦桿握ってるのが様になって来たな>>

 

<<そうか?、あまりそうは見えんのだが……>>

 

<<いや、様になってるさ>>

 

<<だとしても空戦技術はまだまだだがな>>

 

<<その機体があれば、少なくとも並のパイロットなら圧倒できるさ>>

 

 

並ね……、多元の頭の中にはある妖精が居た。

 

鳳翔航空隊隊長。

 

彼に勝つことが鳳翔航空隊が鳳翔と多元の結婚を認める条件らしい。

 

 

<<並のパイロットってのはどこまでなんだ?>>

 

<<俺以下のやつさ>>

 

 

あっさり答えた随伴機……、カウントがそう語る。

 

 

<<……なら、俺はお前に勝てるな>>

 

 

突然入った無線。次の瞬間……!

 

ビーッ!、ビーッ!

 

 

<<ミサイル接近!、ブレイク!>>

 

 

チャフを撒き素早く回避する多元。

 

 

<<こちら管制塔、発射した機体はF-35B!>>

 

<<マジかよ……、しかも実弾じゃねぇか!、一体どこの機体だ!>>

 

<<なるほど……、頃合か>>

 

 

発射した機体を知って落ち着く多元と、慌てるカウント

 

 

<<提督!、大丈夫か!?>>

 

<<心配するな、カウント、お前は戻れ!>>

 

<<おい待て、一体何が…>>

 

<<いいから戻れ!、命令だ!>>

 

 

渋々と言ったところか、F-15が離れる。

 

 

<<隊長、やるんだな?、今ここで!>>

 

<<………>>

 

 

レーダーに映る表示には敵機として鳳翔航空隊で以前使われていたF-35を示している。

 

 

<<……、無言か、良いだろう>>

 

 

マスターアーム解除。レーダーで捉えた機体をロックする。

 

 

<<蒼燕……、Fox1!>>

 

 

決闘の開始に当たって機体名である蒼燕の名を呼び、初弾にあたって、この機体に搭載する際にさらに改良したAAM-7改を発射する。

 

 

ビーッ!、ビーッ!

 

 

「こっちもロックされたか!、AIM-120……、その程度ならチャフとステルス性、機動力で躱してみせる!」

 

 

本来は試験飛行中に補足できなくなることを危惧して取り付けられるステルスブロッカーだが、機体上から操作することで外すことが出来るようにしてある。

 

直ぐにレーダー反射面積が下がり、AMRAAMでのロックが難しくなる。

 

 

「ぐっ……、くぅ……」

 

 

どうやらチャフも使わずに躱すことが出来そうだが、激しい機動は体への負担も大きい。

 

 

(視界が……、暗くなる……!)

 

 

急機動によるブラックアウトに耐えつつも、なんとか回避する多元。

 

幌筵泊地上空で、この世界初の現代機、しかもステルス機による空戦が始まった。

 

 

 

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ビーッ!、ビーッ!

 

 

「ロックされた……、AAM-7改なら半端な回避ではダメだな」

 

 

チャフを放出し、ギリギリまで引き付けて躱す。

 

 

「コイツは鈍重だ、それにあっちの方が機動力は高い。ステルス性は……、虫にしか見えねぇ。迂闊に近づく訳にもいかないが、長距離ならアレ(AAM-7改)に狙われる。となればこの距離だ」

 

 

F135エンジンの推力を上げて、接近。距離を25kmまで詰める。

 

途中複数回空対空ミサイルが飛んできたが、難なく躱していく。

 

 

「ガンでは射程外だが、こいつなら射程圏内だ」

 

 

距離を詰めたところで、反撃に出る。選択したのはAAM-5。短距離空対空ミサイルだ。

 

蒼燕は高度有利を取ったようだ。

 

 

「Fox2」

 

 

ウェポンベイが開き、ミサイルが飛ぶ。

 

 

ステルス機が如何にレーダー反射面積が小さいとはいえ、赤外線誘導には敵わない。

 

 

「フレアを撒いて回避……、手本通りだな」

 

 

残存兵器は、翼端下部のAIM-9X2発と、AAM-5が2発。

 

格上のステルス機相手に確実に命中させるために、ここまで2発ずつの使用、いずれも回避されている。

 

向こうの格闘戦の技量を考えればこの後距離を取られる可能性があるし、そうなればまた長距離ミサイルによるアウトレンジ攻撃に晒されることとなる。

 

 

 

 

普通の戦い方なら……、との条件付きだが。

 

 

 

 

<<………、提督。格闘戦……ドッグファイトだ。アンタの実力を確かめさせてもらう。お艦を嫁にしたいのなら、この俺を倒してみろ!>>

 

 

近距離空対空ミサイルと機関砲によるドッグファイトを宣言する隊長。

 

 

<<望むところだ!、この機体と俺を舐めるなよ!>>

 

 

両者スロットルを押し込み、加速。

どちらが言うまでもなく、空戦の合図はすれ違ってから。

 

 

まるで西部劇か何かのように、決められた内容にしたがって、高速で距離を縮めていく。

 

 

お互いがお互いの機体を視認した刹那……。

 

 

ステルス機同士が最大推力ですれ違う。

 

 

 

 

戦いは第二ラウンドに持ち込まれた………

 

 

 

 

 

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一方、地上では………

 

 

「一体何をしてるんですか!!」

 

「……」

 

「答えなさい!、隊長さんはなんのためにF-35を持ち出したんですか!?」

 

「隊長は、俺たちのために闘ってるんです」

 

 

副隊長が答えると、周りの妖精たちも次々に答え出す。

 

 

「お艦を提督に渡したくないんです!」

 

「良い奴だけど!、暴走したし、お艦に大変な目に遭わせたし!、何よりお艦が俺たちの元から離れちゃう気がして……」

 

「でも隊長が<お艦の相手はお艦が決めるべきで、俺たちが口出せる事じゃない>からって言ってて……」

 

「だから……、だから俺たちを代表して、隊長が提督に覚悟があるのかか知ろうとして……」

 

「………、それで試験中の提督をF-35Bで襲撃したと?」

 

 

鳳翔は何が起きたのかを知っていた。

 

管制塔が、突然始まった空戦で、周辺空域に規制を行おうと、ドタバタしているのだ。

 

管制塔での混乱した様子は、航空機を主に扱う幌筵泊地の空母艦娘には直ぐに伝わる。

 

 

「はい……」

 

「提督は知っててやっているんですね?、半年ほど前のあの時隊長が提督の元を訪れたのにはそういうわけがあったと…」

 

「隊長は、F-35Bか、F-14かF/A18Eしか乗れないから、その中で一番新しいF-35Bに乗って戦うって言ってて。でも、でも……、でもまさか<実弾>使うなんて知らなかった!」

 

 

どうやら実弾まで使うのはさすがの妖精達でも想定外だったらしい。

 

 

「どっちかが死んだらどうするつもりですか!、直ぐに止めさせますよ!」

 

「でも!」

 

「でもじゃありません!、行きますよ!」

 

 

ものすごい勢いで管制塔に向かう鳳翔。

 

 

 

一方、管制塔に詰めかけていた転生者達もまた、突然始まった空戦に右往左往していた。

 

 

「おい待て!、試作一号機がなんでガチの空中戦やってんだよ!!」

 

「試験ペース的にはいけるが不味いだろ!、というか敵機は何処のどいつだ!?」

 

「つーか、提督はパイロットになってから日が浅すぎるだろ!、被弾して死んだらどうする気だ!」

 

「ダメだ!、両方とも無線切ってやがる!」

 

「早く下ろせ!」

 

「降ろすつったって、どうすんだよ!、ドローン捕まえんのとは訳が違うんだぞ!」

 

「とにかく呼びかけろ」

 

 

 

 

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「目標ロック。Fox2!」

 

 

機体性能は、やはり世代の差がある両機。蒼燕は瞬く間にF-35を補足し、それを受けて多元が、第6世代機向け短距離空対空ミサイルAAM-8を発射。

 

 

「くっ……、なんてしつこいミサイルだ!」

 

 

フレアを撒きながら必死に回避する隊長。

 

対妨害性に優れたAAM-8は、フレアでも容易に引き剥がせない。

 

それでもフレアを掻い潜りながら、迫りつつあるAAM-8をなんとか回避することに成功した。

 

 

「ぬっ……うぉっ!?」

 

 

外れたとはいえ、後ろで爆発した轟音と振動はコックピットの中まで伝わってくる。

 

接近しているとはいえ、両者の距離は人基準で言えば十分離れており、隊長は機体各部に取り付けられたセンサー類を駆使して探知する。

 

 

「……何とか捉えた。まずはこれだ!」

 

 

隊長がスイッチを押すと、翼端のAIM-9Xが発射され、蒼燕を狙う。

 

 

「フレアを吐く!!」

 

 

多元はフレアを撒き、AIM-9Xを回避する。

 

 

「掛かったな提督!、喰らえ!」

 

 

AIM-9Xを回避するために、フレアを撒いた多元操る蒼燕は、F-35Bを追うことが出来なかった。

 

その隙を突いた隊長は、残る2発のうち、1発のAAM-5を発射。

 

当然多元は回避に動く。

 

 

が、普通なら回避可能なはずのミサイルが次第に近づいてくる様子を見て、何かを察した多元。

 

 

 

「くそっ……、チャフとフレアを吐いてるのに躱せない!!、まさか母機誘導!?」

 

 

AAM-5は途中まで指令誘導を受けて誘導されるミサイルだ。それを切り替えずに狙うということは確殺を狙うということだ。

 

 

「くっ……」

 

 

なんとか回避するために、スロットルを押し込むが、マッハで迫るミサイルは離れることなく付いてくる

 

 

<<諦めろ提督。アンタにお艦は渡さない!>>

 

 

全ての周波数で聞こえるように宣言する隊長。

 

 

と、その時、無線機から声が聞こえてくる。

 

 

<<2人とも止めてください!>>

 

 

鳳翔の声だ。

 

 

<<提督、やめてください!!、せっかく作った機体をふいにする気ですか!!>>

 

<<おい!、鳳翔航空隊隊長!、てめぇ戻ったら軍法会議だぞ!>>

 

 

転生者の声も聞こえてくる。

 

 

だが、隊長は聞いていない。

 

多元はそもそも聞いてる余裕が無い。

 

 

 

<<お願いですから……、私のために争うのはやめてください……>>

 

 

鳳翔の悲痛な声が聞こえてくる。

 

 

ミサイルがみるみるうちに迫ってくる中で、多元にとって、その瞬間はまるでスローモーションのように思えた。

 

確実に迫り来る死への予感。

 

敗北、今までつぎ込んできたものの喪失。

 

 

 

 

ここに至るまでの全てが頭の中を巡っていった……。

 

 

脱出すれば、少なくとも助かる。

 

 

 

だが………

 

 

 

 

<<ここでやられてたまるか!!>>

 

 

高機動リミッターを解除し、同時に操縦桿を捻り、ペダルを踏む。

 

 

「うぉぉぉ!」

 

 

機体が大きく回転しながら飛行機では有り得ないような挙動をとる。

 

機体は回りながらも、機首がミサイルと正対した。

 

 

「これが……、新世代の……、俺たちのF-3だ!」

 

 

両翼の付け根に搭載された航空機用レーザーが放たれる。

 

機首のレーダーによってミサイルは正確に補足され、そのシーカー部、受信部に寸分違わず命中した。

 

 

 

 

 

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地上にて

 

 

 

「蒼燕、ミサイル撃墜!」

 

「………」

 

「………」

 

「………、どうやら、上手くいったみたいだな」

 

「ミサイルを躱すだけの時代がまもなく終わりますね」

 

「ホント…、なんつーあぶねぇことするんだあの人は」

 

 

管制塔の転生者達は、ミサイルを撃墜した瞬間、沈黙し、ついで自分たちの開発した技術は間違っていなかったと確信した。

 

かつて、FBWが開発された時、パイロットの腕だけに頼る曲芸じみた変態機動が簡単に可能となり、驚かれたのは記憶に新しい。

 

その驚きよ再び、との号令の元、転生者達は、レーダーの解析能力の向上、高い空中機動性と、加速性、レーザーの持つ火力を手にしたことで、空対空ミサイルへの新たなる手段を編み出した。

 

 

レーザーによる迎撃である。

 

 

実際に出来るかどうかは最新鋭装備を持ってしても厳しかったのだが、多元の驚異的な成長速度と、航空機用に開発された新型レーザーの持つ性能は空対空ミサイルの迎撃をも可能にした。

 

 

 

 

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「クソっ!、撃墜しただと!?」

 

 

隊長は相当驚いた。

 

まさか回避では無く、撃墜というオプションを取られ、しかも成功してしまったのだから。

 

 

「もう一発!」

 

 

迎撃したとはいえ、相手は失速機動をとっている。次は必ず……

 

 

ビーッ!、ビーッ!

 

 

「クソっ!、回避だ!」

 

 

だが、再度の攻撃を許さない多元は、機体の立て直しとともに、AAM-8を発射。指令誘導の欠点である母機の誘導を断ち切ることにした。

 

 

殺られる前に殺る。

 

 

これはどんな世界でも共通だった。

 

 

「誘導切り替え!」

 

 

隊長はAAM-5を指令誘導から赤外線誘導に切り替えると共に即座に回避運動に入る。

 

 

「フレア放出!」

 

 

再びフレアをばら撒くF-35B。

 

AAM-8を躱すため、先程よりも多く。かつより引き付けて回避した。

 

 

 

だが……

 

 

 

「クソっ、なんでだ!、なんでこっちに来るんだ!」

 

 

確実に躱せたはずの距離で躱せない。

 

 

「フレア放出!」

 

 

再びフレアを撒き、なんとか回避しようとする。

 

と、ここで至近でバラ撒いたフレアにAAM-8が反応。近接信管が作動して金属片をばら撒く。

 

 

「ぬおっ……」

 

 

ミサイルを躱したはずだが、HUDには損傷を示す表示が出ている。

 

 

「近づいたところで喰らったか……」

 

 

ビーッ!、ビーッ!

 

 

落ち着いて分析していたところに再度響くアラート音。

 

 

<<隊長、終わりだ>>

 

<<ああ、アンタが撃てばな>>

 

 

多元もミサイルを回避していたはずだが、後ろをとったということは、やはり練度云々の前に、ミサイルと機体の性能の差がはっきり生まれている。

 

一応逃げてはいるが、ピッタリ付けられていて逃げられない。

 

 

多元<<俺に撃たせる気か>>

 

隊長<<銃を向けても撃たない。そんな覚悟でお艦を護れるのか?>>

 

多元<<上官として、部下を撃ち殺す訳にはいかない!>>

 

鳳翔<<提督!、隊長!、戻ってきてください!>>

 

隊長<<撃てよ提督!、なぜ撃たない!>>

 

多元<<鳳翔さんを悲しませたくない!>>

 

鳳翔<<隊長!>>

 

隊長<<撃墜しろ提督!、俺を撃墜して!、俺に勝って!、アンタがお艦の旦那に相応しいことを示せ!!>>

 

 

そう言うと、隊長は急機動で多元のロックを外して、多元を逆に撃墜しようとする。

 

 

「くっ……、うっ、うぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

 

覚悟を決めた多元は、蒼燕の持つ機動性を活かして、後ろを取ろうとする隊長機にクルビット機動を取って射撃機会を得る。

 

 

「鳳翔さんは…………俺が守る!!」

 

 

両翼付け根のレーザーが、エンジンを狙い撃つ。

 

 

エンジンを撃たれたF-35は高度を落としながら異界の海に落ちていく。

 

 

「……………」

 

 

その空には紺色の特殊ステルス迷彩を施されたステルス機、F-3C蒼燕が無言の多元を乗せて飛んでいた。

 

 

 

 

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<<こちら蒼燕、着陸する>>

 

<<こちら管制塔。了解した。着陸を許可する>>

 

 

陸上機らしい華奢な脚が機体から出てくる。

 

 

<<蒼燕、着陸する>>

 

 

管制塔に1番近い第1滑走路に着陸した蒼燕は、そのまま誘導路から格納庫に向かう。

 

 

「……、隊長……」

 

 

確かに撃墜した。自分の手で。

 

 

(<<撃墜しろ提督!、俺を撃墜して!、俺に勝って!、アンタがお艦の旦那に相応しいことを示せ!!>>)

 

 

高度はそれなりにあった。コックピットは潰してないはず。

 

 

かつて自分の父親を殺した時、自分を殺しに来たイギリス鎮守府の元提督を殺した時には感じなかった人を撃つ感覚………。

 

 

その感覚を実感しながら、ふと顔を上げると、転生者と鳳翔がやってきた。

 

 

 

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「提督!、無事で何よりです!」

 

「ああ……機体もこの通り。無傷だ」

 

「無茶苦茶な空戦機動をやったのでもしかしたら何かある気もしますんで、直ぐに確認しますね!」

 

「ああ、頼む……」

 

 

牽引車を持ってきて早速持っていく転生者。

 

 

「鳳翔さん……」

 

 

一方で、鳳翔航空隊の他の妖精達と共に歩いてくる鳳翔。

 

多元はなんと言えばいいのか分からなかった。

 

 

「鳳翔さん……、俺……」

 

「よく生きて帰ってきました……」

 

 

多元の頬に手を当て、無事を確かめる鳳翔。

 

その温もりを感じて。自然に涙が出てくる。

 

 

「でも……、隊長が……」

 

「隊長さんなら、今頃オスプレイの中ですよ」

 

 

救難機として活用されるオスプレイの単語を聞いた途端。多元の緊張の糸が緩んだ。

 

 

「そうか……、隊長……、脱出したんですね……」

 

「はい、それはそうと……、後で全員私の部屋に来てください」

 

 

柔らかな表情が一転して緊張感のあるものに切り替わった途端。お説教の気配を感じた。

 

が、多元はそれでもいいと思った。

 

 

(俺と隊長の一件がお説教で済むなら安いもんだ)

 

 

F-35については、回収船も出さなければならない。

 

F-3が最新鋭とはいえ、F-35も高度なデータリンク装備や、ステルス性を持つ機体なのだから。

 

 

 

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その夜、鳳翔航空隊詰所

 

 

膝詰めで説教を受けていた鳳翔航空隊と多元がようやく解放された。

 

 

「提督。これを受け取ってくれ」

 

 

隊長が渡したのはあるバッチ。

 

 

「これって……」

 

「鳳翔航空隊、戦闘機部隊の紀章だ。これでアンタは俺たちの提督。そしてお艦の旦那であると同時に、俺たちの仲間だ」

 

 

多元が周りを見渡す。

 

周りに座っていた妖精達は皆頷き、新たなる仲間、自らの主人たる鳳翔の旦那を温かく迎える。

 

 

「お前ら、わかっているとは思うが、お艦の旦那である提督にはもう文句は付けられねぇぞ!、なんせ、提督は空戦でこの俺に勝ったからな!」

 

「もちろんでさぁ!」

 

「さて、それはそれとして、提督に頼みがある」

 

「なんだ?」

 

「今の鳳翔航空隊は全部で20機程度だが、今後30機程度に増えるって話だ。だが、F-14もF/A18Eももう増備する話は無いんだろ?」

 

「ああ、同盟国向けにF/A18Eは続けるが、鳳翔航空隊の仕様とは違うからな」

 

 

具体的に言えば、輝龍艦載機として載せたF/A18Eが幌筵泊地向けに生産した最後の機体となる

 

 

「鳳翔航空隊向けにF-58を載せるって話は聞いている。だが、それも輝龍からの転属ってことになるから、まだ一機足りないんだろ?」

 

「そうだな」

 

「俺のF/A18Eを転属予定の妖精に渡して、代わりに俺専用機を作ってくれねぇか?」

 

「隊長、そりゃあズルいですって!」

 

 

鳳翔航空隊の妖精達が口々に文句を言う。

 

だが、その言葉を無視して多元は隊長に問う。

 

 

「どんな機体がいい?」

 

「ステルス性だ、先ずはそれ。これからの時代には必須だ。最低でもJ-20位は欲しい、後はマルチロール性だ。対艦ミサイル4発は積めないと困る。そしてデータリンク能力だ。今日はキツく怒られちまったが、俺はこれから鳳翔航空隊隊長として、作戦時の鳳翔航空隊全体指揮を任される。お艦は艦の指揮も関わってくるからな。航空隊の前線指揮は俺がやる。そのためには航空隊全機とのデータリンクをする必要がある。そうなると空中待機の時間が長引くから、航続距離も用意してくれ、F-58は航続距離だとF-35よりちょっと長い程度だろ?、それじゃキツイ。そして格闘戦能力だ。自分で選んだものとはいえ、F-35でアンタに負けちまったからな。そもそもあれはリミッターで7.5Gだからな。後は推力。パワーが無ければ困る。十分な推力を持たせた上で双発にしてくれ」

 

 

ステルス性はJ-20

兵装搭載量はF-35以上

高い格闘戦能力を持たせ

データリンク能力も持つ。

そして双発機……

 

 

「F-58じゃだめなのか?」

 

「あれは結局高機動版F-35に過ぎない。それに、ロデニウス連邦共和国に向けて配備することも視野に入れてるから今の先行機以降は量産前提に性能ダウンさせているんだろ?、もっと凄い機体をお願いしたい」

 

「隊長~、俺たちにも回るようにしてくださいよ~」

 

「お前らはそのうちF-3が回ってくるだろ」

 

「えぇ……」

 

 

まぁ、主人公機みたいなのが欲しいってところなのだろう。

 

それならいい物がある。

 

 

「わかった、引き出物代わりにでも作ってやるよ」

 

「頼む」

 

 

勝ったとはいえ、隊長に対して何かしてやりたいと思っていた多元は、その願いを承諾。早速作ることにした。

 

 

 

 

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幌筵泊地、戦闘機開発本部、書類庫

 

 

「確かここに……、あった!」

 

 

幌筵泊地は転生者によってバフのかかりまくった最強とも評される泊地だが、その各人の知識を蓄えておくために用意されたのが、各兵器開発本部にある書類庫だ。

 

ここでは、兵器の基本構造から必要資材、通常の派生型からペーパープランにすら載っていない幻のものまで、必要な情報全てを集約している。

 

紙と電子データ両方で揃えられているこの場所で多元が探していたのは幻の艦載機達を載せた書類。

 

 

「兵装搭載量はF-35越えで……ってそれもう機体が決まってるんよ……」

 

 

現時点(執筆時)で8t以上の兵装搭載量を持つ戦闘機はおおよそ以下の通り。

 

・F/A18E

・F-2

・F-35

・タイフーン

・ラファール

・F-111

・Su-35

・Su-34

・J-20

・F-15E

 

 

この中から、艦載機型、もしくはその計画があった機体は以下の通り

 

 

・F-2(厳密には原型機のF-16)

・F/A18E

・F-35C

・ラファール

・F-111B

・Su-35(厳密にはSu-33)

・F-15E(正確にはF-15N)

・J-20(詳細不明)

 

 

とはいえ、開発するのは多元であるから、別に艦載機型があろうが無かろうが関係ない。

 

書類を自室のパソコンにデータで飛ばして早速作業に取り掛かった。

 

 

 

 

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次の日……

 

 

 

「おはよう、隊長」

 

「おはよう提督。その書類は?」

 

「要望された機体、案が出来たから持ってきたぞ」

 

「どれくらいある?」

 

「ざっと12個」

 

「早くね?」

 

「兵装搭載量から絞ればざっとこんなもんよ」

 

「つまりそれ以外を考えると絞られるってことか?」

 

「ああ、これを見てくれ」

 

 

 

第1案 F/A18SG サイレントホーネット

(機体にステルス性を付与したスパホ)

 

第2案 F-2SC アカギ・ゼロ

(艦載機型に改造した上でステルス性付与)

 

第3案 F-35改 ツイン・ライトニング

(双発にした上で、空力形状の見直し)

 

第4案 ラファール・Type-Stealth

(ステルス性の付与)

 

第5案 タイフーン・blockXX

(ステルス性の向上)

 

第6案 F-111・スタンドオフ・ファイター

(遠距離での撃ち合いを想定)

 

第7案 Su-35++

(ステルス性の付与)

 

第8案 Su-34++

(ステルス性の付与、格闘性能の向上)

 

第9案 FC-20J

(推力偏向ノズルの搭載)

 

第10案 F-15NEXS

(SE、EX、N、その他もろもろの合体案)

 

第11案 F-58再生産

(先行機と同じもの)

 

第12案 F-3C艦載機型

(設計上は可能)

 

 

「とりあえず、F-111とSu-34は下ろすか」

 

「まぁ言うと思った」

 

「となると残り10案か」

 

「残る10案の中で好きなのを選べ」

 

「どれ作るにしても原型機からの改造になるのか?」

 

「まさか、基本設計からやり直すさ」

 

「そうか……、だったら俺はこれだな」

 

 

そう言って隊長が選んだのはまさかのF-15NEXS

 

 

「いいのか?、他の案もあるのに……」

 

「いや……、俺はF-15に乗りたかったんだよ」

 

 

そう言うと隊長はおもむろにタバコを取り出した。

 

 

「ふぅー………」

 

 

何かを思い出すように、遠くを見る。

 

 

「アンタらが幌筵泊地に来た頃、真っ先に開発したのがF-15だ。俺はあれを見て心底驚いたもんさ。あんな機体がこの世に存在するのかって」

 

 

それは多元達が初めて幌筵泊地にやってきた時のこと。基地航空隊の抜本的強化のために、滑走路の舗装と、F-15J改イーグルの投入を行ったのだ。

 

 

そして、その機体はすぐに実戦に投入される。

 

 

北方からやってきた深海棲艦の爆撃機に対応するために、スクランブル。レーダーによって補足された敵機をいとも容易く撃ち落とす様子は、幌筵泊地全体に漂っていた提督麾下の転生者(当時は多元除き妖精体)への不信感を完全に一掃したのだ。

 

 

(詳しくは「現代技術者の無双伝説~技術系提督とその仲間の妖精達が鎮守府に着任しました。これより幌筵泊地は最大強化されます~」の最初の方ををご覧下さい)

 

「あれに乗りたいと何度思ったことか。いや、誤解はしないで欲しい。F-35もF/A18EもF-14もいい機体だ。それは間違いない。だが、俺にとってあの時、あの機体から受けた衝撃は忘れられないものなんだ」

 

 

多元はその言葉に黙って耳を傾けた。

 

 

「………、ステルス性を意識する以上、機体形状の変更はあるぞ?」

 

「構わない。あの一空(第1航空団)のF-15に感じた衝撃は大きかった。それをもう一度味わいたいんだ」

 

「わかった。F-15イーグルⅢを超えるイーグルを約束しよう」

 

「ありがとう」

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

それから数日。

 

 

「ふぅ……出来た……」

 

 

設計図が完成し、一息つく多元。

 

 

F-15NEXSの特徴は以下の通り。

 

・DSIの採用

・ステルス性を意識した形状への最適化

・ウェポンベイの設置

・ステルス素材、塗料の採用

・着艦フックの採用

・着陸脚の強化

・折りたたみ機構の搭載

・レーダーをF-3Cで使用されているものに変更

・エンジンを機体サイズの問題からF-3Cでは採用出来なかった新エンジン「噴式栄41型」を採用。超音速時の燃費などを改善

・対応可能なミサイルの増加

・ステルスミサイルポッドへの対応

・推力偏向ノズルの設置

・FBWの採用。電気と油圧の二重系統にすることで冗長性を持たせる

・機体素材に炭素繊維や、各種新素材を採用、軽量化を行う

・格納式照射装置を搭載。爆撃時のステルス性の確保を行った

・機関砲をM61からイコライザーに変更、弾数は増加させた

・コックピットのキャノピーに対するステルス性の強化

・パイロットが意識を失った際に、自動的に戦域を離脱するシステムを搭載

・通信、データリンク能力の強化

・低空飛行を想定し、かつ視認性を向上させるために強化アクリルを用いた一体成型キャノピーとした上で前述のステルス性を確保した

 

 

等々、細かい所を上げればキリがないレベルまで改造されたF-15は、<機首周り以外は何も残ってない>レベルの改造で、再設計されていることからも、事実上の新型機だった。

 

尚、多元からの評価は「速度性能と航続距離と兵装搭載量にステを振りすぎたF-3C」

 

 

「隊長、設計図出来たぞ」

 

「ありがとう。しかしまぁ……、すごい改造だな」

 

「何、お手の物さ」

 

「何がお手の物だ、顔にクマが出来てるぞ?、お艦の元にも行かずに設計してたんだろ?」

 

「バレたか……」

 

「無茶をし過ぎなんだよアンタは、お艦が1番心配してるのがそこだ。俺たち鳳翔航空隊のモットーは<お艦の為だとしても無茶はしない>だ、アンタも守れよ?」

 

「ああ、鳳翔航空隊の一員として守らせてもらう」

 

「それと……、もう1つ。こいつに名前を付けたい」

 

「名前か、どんな名前にしたいんだ?」

 

「撃震か、月虹だな」

 

「戦術機じゃねぇか」

 

「響きはカッコイイだろ?、それに不知火も陽炎も居るからな」

 

「そりゃそうだが……」

 

「で、どっちかにしたい」

 

「元ネタ考えれば月虹が近いな」

 

「でも撃震も捨て難いだろ?」

 

「それはそう」

 

「やっぱり撃震だな」

 

「わかった」

 

 

 

こうして出来上がった機体が以下の通り

 

 

名称:F-15 NEXS「撃震」

乗員: 1名

全長:19.4 m

全高:5.4m(垂直尾翼が斜めになった為、若干低下している

翼幅:13.1 m

翼面積:56.5 m^2

兵装搭載量:最大15t

エンジン:幌筵泊地製「噴式栄41型」

最高速度:M2.8

巡航速度:M1.8

航続距離:5200km

戦闘航続距離:2200km

実用上昇限度:21000m

固定武装:25ミリガトリング砲×2

ステルス性:J-20以上、正面のみF-35と同等

格闘性能:F-3には劣る(機体規模、重量上の理由)

追加武装:F-3に搭載可能ならほとんど積めるものの、ステルス性を維持するためには対艦ミサイルの複数搭載は難しい

 

 

塗装はダークブルーを基調とした洋上迷彩を施しており、まぁ、だいぶやべぇ。

 

 

噴式栄41型

最大出力250kNを誇る大型複合サイクルエンジン。低速時にはターボファンを、高速時にターボジェットを使用するこのエンジンの試作型は規定出力を満たすために大型化し、F-3には積めなかった。しかし、元が大きいF-15には積むことが可能で、これを改良したのが当エンジンである

 

 

 

機体完成後、すぐに隊長へとお披露目された機体を見て、隊長は歓喜の声を上げた。

 

 

「ありがとう提督。いい機体が出来上がった」

 

「乗ってみろ」

 

「ああ、早速そうさせてもらう」

 

 

機体に乗り込み、起動させる。

 

 

「随伴機は俺がやろう」

 

「着艦訓練はやってるか?、お艦は乗艦して待っている」

 

 

その一言で全てを察した。

 

 

「なるほどな、安心しろ、あの戦いの後にオーバーホールついでに改造しておいた。元々訓練自体もやってある」

 

「さすがは空母機動部隊の幹部候補生だ。なら俺の随伴機を頼む」

 

「わかった」

 

「忘れ物すんなよ?」

 

「ああ、胸ポケットに入れてある」

 

「よし、行こう」

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

<<こちら撃震、離陸を許可されたし>>

 

<<こちら管制塔、離陸を許可する>>

 

<<こちら蒼燕、離陸を許可されたし>>

 

<<こちら管制塔、離陸を許可する>>

 

 

2機の戦闘機が、エンジンの出力を上げて離陸する。

 

 

<<離陸完了、提督、俺の後ろについてくれ>>

 

<<わかった>>

 

 

離陸を終えた2機は、編隊を組んで沖合で訓練中の鳳翔に向けて飛行する。

 

 

<<すごいな、燃費がいい>>

 

<<燃費のいいターボファンを搭載することができたからな、超音速時にはターボジェットに切り替わる>>

 

<<アンタのソレには積んで無いのか?>>

 

<<ステルス性維持のためにはデカすぎるのは良くないからな、開発しておいて積まなかったんだ>>

 

<<そうか……、それはそうと、この間の空戦を見ての感想だが、まだまだ荒削りなところは多い>>

 

<<やっぱりか>>

 

 

それは多元も知っていた。やはり準備期間の都合もあって、機体性能に頼り切りな部分は多かった。パイロットの腕は一世代分の技術差を埋めるといわれるのだから、勝てたのは奇跡としか言えない。

 

 

<<だが、そんなアンタでも、俺に勝てたんだ。それはアンタらの機体が優れていたということの証明にほかならない。いい機体を生み出したよ>>

 

 

用兵側からの兵器評価は、開発者の中では重要視されるものの一つだ。ましてや、実際に戦った者の評価は万金に値するものだ。

 

 

<<ありがとう、他のメンバーにも伝えておく>>

 

<<そうしてくれ、さぁ、見えてきたぞ>>

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

空母「鳳翔」にて

 

 

「お艦、上空の戦闘機から通信です」

 

「先程捉えた戦闘機ですか?」

 

「はい、どうやら隊長からみたいです」

 

「受けますよ」

 

 

通信妖精から無線を受け取る。

 

 

<<こちら鳳翔です>>

 

<<お艦、今から提督を連れて降りるわ>>

 

<<となると、後ろの機体は提督ですか?>>

 

<<そう、提督も着艦できるからさ、甲板空けといて>>

 

<<わかりました、せっかくの新型機壊さないでくださいね?>>

 

<<もちろんでっさ>>

 

 

無線機を置き、指示を出す。

 

 

「飛行甲板を空けてください。隊長さんと提督が降りてきます」

 

「お、急げ急げ!、お艦の王子様が降りてくるぞ!」

 

「お艦、これを!」

 

 

突然白無垢を渡した妖精。

 

 

「紅白幕もってこい!」

 

「酒あるか!」

 

「清酒があるぞ!」

 

「漆塗りの杯は?」

 

「さっきヘリで持ってきた!」

 

「カメラマンは?」

 

「そろそろ青葉が来る!」

 

 

多元達の着艦前にオスプレイが飛来し、青葉が降りてくる。

 

 

「鳳翔さん。ご結婚おめでとうございます」

 

「えっ!?、えっ!?、ちょっと青葉さん????」

 

「早く着替えてくださいね!」

 

 

それでは!、と言うと降りてくるF-15NEXSとF-3Cを撮りに甲板に向かう。

 

 

「お艦、早く着替えてくださいよ」

 

「そうでっせ、提督が降りてきますから」

 

 

困惑する鳳翔をなんとか着替えさせる妖精達であった。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

<<おい隊長、甲板が賑やかになってるぞ?>>

 

<<知らんよ、それより降りるぞ?>>

 

<<先はどっちだ?>>

 

<<俺からだ。隊長直々に着艦の手順を教えてやる>>

 

<<では、しっかり勉強させてもらう>>

 

 

やり取りが終わると、ギアを出して着艦体制に入る。

 

 

<<着艦フック、並びにランディングギア確認。着艦する>>

 

 

着艦フックを掴む瞬間、スロットルを最大にして万が一に備える。

 

バウンドもない完璧な着艦だ。

 

 

<<次、提督の番だ。しっかり降りてこい>>

 

<<任せろ>>

 

 

強化されたランディングギアと着艦フックを下ろす。

 

F-35Cのように、コントロールスティックのみを動かすだけで着艦体制に入ることができる。

 

 

 

バウンドはほとんど無かった。

 

 

 

「お見事、しっかり練習していたようだな」

 

「まぁ、機械も優秀だからな」

 

「おう、それよりあっち見てみろ」

 

 

多元が振り返ると、そこには白無垢を着た鳳翔が居た。

 

 

「鳳翔さん……」

 

「て、提督……、へ、変じゃ無いですよね??」

 

「いえいえ、似合ってますよ」

 

 

あ、そうだ。と多元はパイロットスーツの中に用意しておいたある箱を取り出した。

 

 

「鳳翔さん、待たせてすみません。こちら、お渡しさせていただきます」

 

 

片膝を付き、小箱を開くと、そこには光り輝く指輪が置かれていた。

 

 

「これって……」

 

「材料の調達から加工まで、幌筵泊地でやらせていただきました、世界に一つしかない結婚指輪です」

 

 

プラチナのリングに、3つのダイヤモンド……

 

中央の大きめのダイヤモンド……3ctのダイヤモンドに、左右には1ctのブルーダイヤモンドと、レッドダイヤモンドがあしらわれたもので、<作者>試算によると、中央のダイヤモンドだけで300万、左右の希少性の高いダイヤモンドも合わせると、その希少性からもざっと生産して1億円は下らない……

 

 

(多元お前どうやってそれ手に入れたんだ???)

 

 

しかも、天然物なのだから恐ろしい。

 

 

 

愛が深すぎるよこの人……

 

尚、ペアリングは0.5ctのブルーダイヤモンドによって作られています。

 

 

やっぱりコイツ頭おかしい

 

 

「白無垢に指輪を渡すのは少々ミスマッチではありますが、はめさて頂きます」

 

 

鳳翔の指に結婚指輪が通される。

 

 

<<えー、マイクチェックマイクチェック、仲人は私、鳳翔航空隊隊長が務めさせていただきます>>

 

「お前もいい加減名前を持てよ」

 

 

妖精にとって名前を持つことは大事なことだ。

 

名前を持つことで、他の雑多な妖精とは違うと明確に表すことが出来、練度の高さを示すことにも繋がる。

 

 

<<今度襲名式やらせてもらうこととして、まずは新郎新婦の写真撮影といきます。まずはパイロットスーツと白無垢で>>

 

「ダメだろ」

 

<<んなことあるか!>>

 

 

押されるままに写真撮影、その後着替えてもう1枚、三三九度や、集合写真なども含めて、甲板上は華やかだった。

 

 

 

 

「提督……、ありがとうございます。私、とっても幸せですよ」

 

 

 

 

 







(キスシーンは作者が苦手なのと、尚も妖精達が抗議したので流れました)


ベッド・インから結婚まで長すぎるんよこの夫婦(作者の都合)



~指輪制作裏話~


「腰堀、指輪って幾らくらいなんだ?」

「大体給料3ヶ月分って言われてますね」

「お前建御名方に指輪渡したんだろ?、どうやったんだ?」

「クイラ王国のダイヤモンド鉱山から掘り当てました」

「自力で?」

「ええ、給料3ヶ月分なんてケチらずに持てる人脈と使えるだけの金使ってブルーダイヤモンド用意しました」

「よし、俺もそれやるか」



後日……


「いや、やりすぎですって先輩……」
(腰堀の場合は結婚指輪のみブルーダイヤモンド、ペアリングは普通のダイヤモンド)



ダイヤモンド……、ダイヤモンドねぇ……


俺もサトノダイヤモンド(ウマ娘)のブライダル衣装見たいよぉぉぉ!


あ、大和さんごめんなさいうわなにをするやめくぁwせdrftgyふじこlp



次回で幌筵泊地のゴタゴタは終わる見込みです。



グ帝戦の前に雑多を終わらせたいと思います。

後書きがやけに長くなりました。

ではこの辺で




(恐らく)襲いかかって来るであろう愚帝本土攻撃艦隊をどうやって調理しましょうか?

  • 単艦無双(ヤ○トかな?<すっとぼけ>)
  • 特生自衛隊(特殊兵器多数)出動
  • 航空殲滅(ソ連を超えた!?)
  • 普通に艦隊決戦(まだ常識の範囲)
  • 全部♡‪(愚帝君号泣不可避)
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