シフォンケーキに添い寝したい俺の気持ちが分かりますか!? 作:寿司職人志望
恋敵①
『けきーー!何してるのー!はやくこっちきなよー!』
俺の家のケーキ屋のステンドグラスから強い光が漏れているからだろうか
はたまた、俺の記憶が曖昧になっているせいなのか彼女の顔がはっきり見えることは無かった
少女は俺に向かって手招きをし、こっちこっちー!と呼ぶ
ショーケースの中からシフォンケーキを拝借していた俺は両手にシフォンケーキを持ち、ひとつは加えーーー
計3つのシフォンケーキを持ち駆ける
『おい!詩帆!詩帆!聞いてるのか!?』
俺を呼ぶ声と共に俺の意識は覚醒する
『ん?ぁ』
どうやら夢を見ていたらしい
そして今は退屈な古典の授業
俺はこのクソ教師に
渋々立ち上がり、教科書を持ち音読を始める
陽キャが『汚ねえいびきがきめえいびきに変わっただけじゃねえかw』とか言ってるが陰キャの俺には言い返す勇気もない
てか陽キャよ、おもんないぞ
(戟くん!頑張って)
俺の天使はバッグの中に居る
長かった1日が終わり、下校の時間だ
チャイムと共に俺は流れるように席を立ち100キロ近い巨体(人権は無い)を思わせないほどの機敏な動きで廊下を移動する
しかし!俺のバッグには護るべき人がいる
決して傷つけてはいけない
俺が高速移動をすると慣性の法則によりバッグの中で
考えただけでも恐ろしい
俺には言葉に出すことすら憚られる
よって俺は口ずけをしながら下校するのだ
なんてハレンチなと思ったかもしれない
だが!これは『愛』だ
そんな調子で、順調に廊下を爆走していた俺だが珍しく歩みを止められることになる
『ちょ、ちょっと
あんた帰るの早すぎ!』
校門にはかつての少女(まぁ今も少女だが)
息を切らしながら俺の事を見ている
『なんだ?賀當…?』
確か賀當と最後に話したのは小学校低学年の頃
まだ俺が今よりは幾分社交的だった頃の話だ
あの時は俺も今ほどは太っておらず、母親の遺伝子の影響かそれなりにかっこよかったと思う(自認)
まぁそんなのは過去の話だ
俺は太るべくして太ったのだ
『はぁ、はぁ、』
息を整え賀當が話し始める
『あんた、男子たちにバカにされてるの知ってるの?
今日だって…』
『別にいいんだ
あいつらになんと言われようとも』
『あんたねぇ?
そんなんだから彼女だってできないのよ!』
賀當が言ってやったぜみたいな顔で見てくるが正直何を言っているのかわからない
あぁ、そういえばこいつは知らなかったな…
『彼女ならいるぞ…?』
しばし2人の間に沈黙が流れる
『はァァァァ!?
どこの誰よ!?てか、なんで私に言わないの!?』
『いや別にお前に言う義理もないし…』
『幼なじみでしょうが!?そのくらい言ってくれてもいいんじゃないの!?』
『いや最後に話したの小学生の頃だし
そんなことで話しかけれないだろ』
『ぐぬぬぬ…
じゃ、じゃあ誰なのよ
その彼女ってやつは』
『…』
俺は暫し考える
果たしてシフォンケーキと言って正常な人間と判断されるだろうか
賀當家と詩帆家は、近所ということもあり俺たちが疎遠になったにも関わらず親たちの親交は厚い
シフォンケーキと付き合っているということが伝わって精神病院に連れていかれると言うことも有り得るかもしれない
よってここでのアンサーは…
『いや、さすがに教え…』
刹那、俺の脳裏に記憶が蘇る
それは夢の続き
今度は鮮明に思い出せる
『シフォンケーキだ』
『は?なんの話し?
好きなスイーツを聞いてるんじゃないの!』
『いや、俺が付き合っているのはシフォンケーキだ』
やはり暫し沈黙が流れる
一瞬冗談かと考えたようだが俺の真剣な顔を見てその線を疑うことはやめたようだ
『はァァァ!?
あんたばっかじゃないの!?』
『…』
『シフォンケーキと付き合うって何!?』
『…』
『わ、私がどんな思いで…
もう、知らない!!』
そう言って賀當は走って帰っていってしまった
同類だと思ったんだがな…
近日中に恋敵②を投稿します