ぱかプチ!!   作:フドル

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今回は早めに執筆出来たと思って前の投稿日を見たら10日経っててひっくり返りそうになった。


お迎え待ち。

「………。」

 

「………。」

 

  気まずい、非常に気まずい。アグネスタキオンに彼女の研究室に連れてこられて約束通りに食べたことがない綿をもらって喜んで食べていたのだが、アグネスタキオンが少し用事で席を外すから大人しく待っておいてくれと言われたので笑顔で了承した。

 共用スペースだからここから先の物に触ってはいけないと言われたが、綿の美味しさに夢中だったので頷くだけだったけどアグネスタキオンには伝わったはずだ。

 彼女が部屋を出て行ってからも綿の味を楽しみながら食べていると、部屋に誰かが入ってきた。だいぶ早かったけどオレはアグネスタキオンが帰ってきたのだと思って、お帰りと言おうとしてドアに視線を向けると硬直した。

 そこにいたのは漆黒といえるサラサラの髪のウマ娘。マンハッタンカフェだった。ここでオレは彼女がアグネスタキオンと部屋をシェアしていたことを思い出した。

 幸運にも気付かれるより速く驚きで硬直出来ていたのでそのまま人形のふりをしていたのだが、マンハッタンカフェはオレを見つけると一気に怪訝な顔になった。

 もう、何というか……。顔がまたタキオンさんが何かしたんですねと言わなくても伝わってくる表情だった。部屋に入ってきてからもオレから一定の距離をキープしながら視線は一切離さない。まるで危険物を見つけてしまった反応だ。

 まぁ綿が大量に入った缶を大切に抱えて片手に綿を持ったまま笑顔で硬直しているぱかプチなんてどこ探しても見つかるはずないのでその対応は間違えてない……と思う。

 コーヒーを入れたマグカップを持ってオレと対面する位置に座ったマンハッタンカフェと見つめ合っているのが今の現状です。

 

「分かりますか?……知らない?……ではタキオンさんが……いえ、そうですね……そういえば……。」

 

 オレを見つめながらもブツブツと独り言を呟き続けるマンハッタンカフェ。前世情報で彼女は今お友だちと話しているのは知っているのだが、オレから目を離さないで話しているのが怖い。アグネスタキオン早く帰ってきて!

 そんなオレの願いが届いたのか、部屋のドアが開いてアグネスタキオンが帰ってきた。

 

「今戻ったよ。キチンと留守番……おや?今日は早いじゃないか、カフェ。」

 

「えぇ、予定がなくなってしまったので。それよりタキオンさん、これは何ですか?」

 

 マンハッタンカフェが言った『これ』のことがオレを指しているのを視線で把握したアグネスタキオンがニンマリと口元を歪める。

 

「カフェはこのぱかプチを見て何か感じたかい?例えば変なものが見えた〜とか。触ってもいいから意見が欲しいねぇ。」

 

「……嫌です。わざわざ触ることを勧めてくる時点で怪しいです。」

 

「そんなことないさ、触ってもフワッフワでモチモチな感触を感じるだけさ。もしアヤベ君が触ればきっと離さなくなるほどの触り心地だねぇ。」

 

 明らかに嫌そうな顔で拒否するマンハッタンカフェだけど、アグネスタキオンが言うアドマイヤべガが夢中になる触り心地というのが気になるのか、チラチラとオレの方を見てくる。

 ふふん、オレの身体を触りたいのは分かっているんだぞと胸を張りたいところだが、今は人形のふりをしているので自重する。

 

「……今回だけですよ?」

 

「もちろんさ!あ、その缶は別物だから机の上に置いてから頼むよ。」

 

 アグネスタキオンの言う通りにオレから缶を取り上げて机の上に持っていく。思わず手が伸びそうになるが、アグネスタキオンがマンハッタンカフェに気付かれないようにウインクしてきたので耐える。

 缶を置いたマンハッタンカフェが恐る恐るといった感じでオレの頬を指でつついてくる。数回つついたと思えば今度は両頬を摘んでモミモミしてくる。

 これは夢中になっているな?アグネスタキオンからだとマンハッタンカフェの後ろ姿しか見えていないので反応を楽しみに待っているようだけど、オレは正面にいるのでマンハッタンカフェのキラキラした表情がよく見える。

 それから腕や脚などを握ったり揉んだりしていたが、最終的にはオレを抱き上げてギュッと抱きしめて頬擦りしてきた。

 

「タキオンさん、このぱかプチは良いものですね。触っていて飽きません。」

 

「私も一度枕で使ってみたけどすぐに寝てしまったよ。」

 

「枕……なるほど、アリ……ですね。」

 

「まぁ、そんなことは今はいいさ。カフェ、改めて聞くが君はこのぱかプチを見て何か感じたかい?お友だちの反応は?」

 

「………?いえ、特に何も。お友だちもこれといった反応はしていません。」

 

 アグネスタキオンの質問にマンハッタンカフェは眉を少しだけ顰めてオレを見つめてくるが、首を振って結果を報告する。それにしてもマンハッタンカフェのお友だちが見えないな。彼女の言い方的にここにいるのは確定なんだけど、オレの視界の中に映る様子はない。オレも実質幽霊みたいなもんだから見えると思ったんだけど……謎だ。

 

「ふぅン?カフェも分からないとなるといよいよ謎だねぇ。」

 

「……このぱかプチはタキオンさんが作ったものではないのですか?」

 

 マンハッタンカフェはオレをアグネスタキオンが作ったものだと思っていたみたいだ。得体の知れない物を見るような顔でオレを離そうとしたが、オレの感触をもっと味わっていたいのか抱きしめはしないが持ったままでいるようだ。

 

「このぱかプチはフラワー君が私に預けた物でね?他のぱかプチと触り心地が全然違うから気になって少し調べてみたのさ。まぁ、他のぱかプチと材質は変わらなかったがね。そこで別方面の視点で見れるカフェにも聞いてみたのさ。」

 

「それならフラワーさんに直接聞けばよかったのでは?」

 

「それは愚策さ。フラワー君はこのぱかプチを大切にしているみたいでね。馬鹿正直にいろいろ調べて分からなかったから教えてくださいなんて言った日にはその日1日はずっとお説教さ。」

 

「やったことを隠して聞けばどうですか?」

 

「それも考えたのだがフラワー君は何故かこのぱかプチが何をされたかを時間がかかるが分かるみたいでね。お説教の日が1日ズレるだけさ。」

 

 アグネスタキオンはどうやらオレが動けることをマンハッタンカフェに隠すつもりっぽい。つらつらとこれ以上自分がぱかプチをいじることは出来ない理由を話しながらマンハッタンカフェが感じた疑問を有耶無耶にしようとしている。

 オレのことをどう見えるのかをマンハッタンカフェに聞かなければそんな手間は必要なかったと思うのだが、自分の知識欲には逆らえなかったみたい。

 

「私が知りたいことは知れたからねぇ。カフェ、そろそろぱかプチを返してもらえないかい?フラワー君からの預かり物だから何かあったらいけない。」

 

「嫌です。」

 

「……?すまない、もう一度言ってもらえるかな?」

 

「だから嫌です。フラワーさんの預かり物ならタキオンさんより私が持っていた方が安全です。」

 

「ふぅン?そう言われてしまうと何も言えないねぇ。」

 

 オレを庇うようにしっかりと抱きしめてマンハッタンカフェが返却を拒否する。一見するとマンハッタンカフェが預かり物のぱかプチを汚さないように預かろうとしているように見えるが、オレからするとオレを抱えている指がふにふにと身体を揉み続けているので多分もっと触っていたいだけだと思う。オレの身体は罪深いな!

 

「カフェが私の新しい実験に付き合ってくれるなら考えなくもないがね……。」

 

「むしろ今までタキオンさんの実験に無償で付き合わされた私に何か言うことはないんですか?」

 

「……いいだろう、ならそのぱかプチはカフェに任せるよ。ただし、この部屋からは出さないでおくれよ?」

 

「分かっています。」

 

 2人の中で条約が決まったようだ。アグネスタキオンが自分のスペースに移動し、マンハッタンカフェが少しだけ嬉しそうな顔をした後でオレを抱えたまま、机に置いていたコーヒーを持って飲み始めた。頼むからコーヒーは溢さないでね?かかってしまったらオレには大ダメージなんだ。

 

 

 

 

 

 あれから数十分、2人は自由に行動していた。アグネスタキオンは色々道具をだして何かをしているし、マンハッタンカフェは片手で本を読みながらもう片方の手でオレを揉んでいる。

 最初の数分で飽きてくると思っていたのに、予想に反して揉まれている。マンハッタンカフェでこれだったらふわふわ大好きなアドマイヤベガに触られたら一体どうなってしまうんだろうか?

 監禁の文字がよぎってビクビクしていると、マンハッタンカフェがオレを離す。そしてコーヒーを一飲みすると、またオレを掴んで揉み始める。さっきからずっとこれだ。

 それで怖いのがマンハッタンカフェは片手でオレの胴体を揉んでいるはずなのに、何故か頭にも手が置かれて撫でられている感触がするのだ。しかも妙にその部分が冷たい。

 これってマンハッタンカフェのお友だちだよね?憑依してきたりしないよね?身体が恐怖でプルプル震え出しそうになるのを必死に堪えていると、アグネスタキオンがこちらをチラッと見たのが見えた。

 彼女なりにオレを気にかけてくれているのは分かるのだけど、正直に言えば適当な理由をつけて回収してほしい。マンハッタンカフェの触りかたは文句なしなんだけどお友だちが怖い。それに全く動かないのが久しぶりすぎてしんどい。いっそ話しながら動いてしまいたい。それからアグネスタキオンの実験に参加したい。

 でもアグネスタキオンはオレのことをただの預かり物人形としてマンハッタンカフェに紹介したからなぁ。もしオレが勝手に動けばアグネスタキオンは動くことを知らなかったふりをしながらフォローに回らないとダメだと思うし、預かってもらっている身とすればそこまで迷惑はかけることはできないし、したくない。

 

「ふむ、そろそろフラワー君が帰ってくるころかな?フラワー君がいないか外を見てくるからぱかプチを返してもらうよ。」

 

「フラワーさんはこちらに来るのでは?」

 

「もし外でフラワー君と出会ったらすぐに返せるからねぇ。わざわざフラワー君がここに来る手間がなくなるから時間の短縮にもなる。」

 

「そういうことでしたら……。」

 

 渋々といった感じでマンハッタンカフェがアグネスタキオンにオレを手渡す。

 

「では少し外を見てくるよ。それから実験器具には触らないでおくれよ?」

 

「誰も触りませんよ。」

 

 アグネスタキオンがオレを抱きしめたまま廊下へ出て歩いていく。暫く歩き続け、人の気配がないところでオレの頭を撫で始めた。

 

「ここなら動いても大丈夫そうだよ。ミホ君。」

 

「ぶはぁ!ありがとう、タキオン!でもどうして?」

 

「窮屈そうな気配を感じていたからね、息抜きは出来たかい?」

 

 どうやらアグネスタキオンはオレを気遣ってここに連れてきてくれたらしい。大変感謝である。

 

「こんなに人形のふりをするなんて久しぶりでね?とっても疲れる。」

 

「ミホ君のことだからすぐに動くと思っていたんだがね。予想が外れたよ。」

 

「タキオンはオレのことをただのぱかプチとして紹介したからね!動いたら迷惑かけちゃう!」

 

 オレの言葉に少しだけアグネスタキオンの目が見開いた。でもそれは一瞬で、すぐに頬を緩める。

 

「私としたことが気を遣われていたとはね。気にしなくてもいい……といったところでミホ君は変なところで頑固だからね。」

 

「む!?オレは頑固じゃない!」

 

 思わず頬を膨らませて抗議するが、私が寝たい時に膝枕を強要してきたのはどこのぱかプチかな?と聞かれながら細い指で両頬を押されてプシューと溜めていた息が抜ける。

 

「私もカフェがコーヒー以外であんなに夢中になる姿は初めてなんだ。もう少しだけ頑張ってくれるかな?」

 

 オレと目を合わせながら部屋から出る時にポケットに入れていたであろう綿を渡してくるアグネスタキオン。それを受け取って口に含むと大好きなハンバーグの味がする。返事?そんなの決まっている。

 

「ガッテン承知!お任せあれ!」

 

「ふふっ、頼もしいねぇ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうやらもう少し時間がかかるようだ。だからカフェ、もう少しだけこの子を預かってくれるかい?」

 

「……いいんですか?」

 

「もちろんさ!私は実験で汚すかもしれないが、カフェならこの子を汚すことなんてないだろう?」

 

「そうですか……なら預からせてもらいます。」

 

 差し出されたオレをマンハッタンカフェが大事そうに受け取る。そこからはさっきと同じような感じなのだが、少しだけ違う。

 なんというか……マンハッタンカフェのオレの触りかたが違う。さっきまでならオレの身体の色々なところを揉んだりしていたのだが、今は頬や頭などの人が触られてもそこまで不快感がない場所を重点的に触ってくる。お腹もたまに触ってくるのだが、つついたりするだけでさっきみたいに揉んだりしてこない。急に扱いが変わったことでオレの頭に疑問符が出まくっているが、アグネスタキオンとオレが外に出た時に何かあったのだろうか?

 そんな感じでマイルドタッチをされ続けること数分、もしかしてマンハッタンカフェが一番オレを触っているのでは?と考え始めた時にドアが開いた。

 

「すみません、ニシノフラワーです。」

 

「おや、用事は済んだのかな?」

 

「はい!ミホさんを預かってくれてありがとうございます!」

 

「お礼ならカフェに言うといい。私はミホ君を預かっていただけで面倒を見てくれたのはカフェだからね。」

 

 ニシノフラワーの声が後ろから聞こえてきて嬉しくなる。今すぐにでも抱きついて今日あった出来事を話したくてウズウズするが、マンハッタンカフェがオレを見つめてくるので気合いで耐える。

 

「カフェさん、ミホさんのことありがとうございます!」

 

「いえ、大切にしているのですね。」

 

「はい、大切な家族です!」

 

 マンハッタンカフェからオレを受け取ったニシノフラワーが花開くような笑顔でオレを家族と言ってくれる。あ、ダメだ、今すぐにでも動きたい。

 マンハッタンカフェに気付かれないようにギュッとニシノフラワーを抱きしめる。

 

「それじゃあミホさんを受け取ったので今日は失礼しますね。」

 

「おや、もう帰るのかい?紅茶でもどうかと思ったのだがね。」

 

 ニシノフラワーが帰る旨を2人に告げると、アグネスタキオンが少し残念そうな顔をする。けれどニシノフラワーがチラッと我慢の限界で耳がピクピク動き始めているオレを見ると、アグネスタキオンが理解したような顔をする。

 

「確かに用事で疲れているなら帰って疲れをとったほうが良さそうだねぇ。引き止めてすまなかったよ。」

 

「いえ、紅茶はまた今度良ければいただかせてもらいますね。それでは、失礼します。」

 

 2人にペコリと頭を下げてニシノフラワーが退出する。廊下を歩き、しばらくすると落ち着かせるようにオレの頭を撫でる。

 

「帰ったら沢山お話を聞かせてくださいね。それまでは我慢、ですよ?」

 

 返答としてギュッとニシノフラワーを抱きしめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「タキオンさん。」

 

「どうしたのかな?カフェ。」

 

「次はキチンとあの子を紹介してくださいね?」

 

「そうだねぇ。………………んん?」




オリ主……この後沢山今日あった出来事を2人に話した。楽しい。本人的にはジッと出来ていると思っていたが、他から見ると割とバレバレだった。

ミホノブルボン……帰ってきてからオリ主に今日あったことを沢山話された。身体全体を使って身振り手振りで話すのでほっこりしながら見ていると、いきなりマスターに告白されたらどうする?と聞かれてフリーズする。

ニシノフラワー……用事を終わらせてオリ主を回収したら、なんだか凄く嬉しそうで良いことがあったのですねと嬉しくなった。オリ主がミホノブルボンにした質問を微笑んで流していたので、ニシノフラワーのトレーナーは告白じみた行為には走らなかったようだ。

アグネスタキオン……かなりオリ主のことを気にしていた。マンハッタンカフェに預けてからチラチラと様子を見ていたが、かなり窮屈そうに感じたので息抜きとして外へと連れ出した。対象の観察はお手のもの。
またオリ主の枕で寝たいなぁと思っている。

ところでカフェ、いつから気付いていたんだい?

マンハッタンカフェ……最初に見た時はタキオン製の怪しい物体にしか見えなかったが、フラワーのものだと分かって一安心。触った時にこんな感触のぱかプチがあるのかと静かに驚愕していた。
 癖になる触り心地でモミモミしていたが、タキオンに一度持っていかれた時にお友だちからあのぱかプチがタキオンと会話しているということを教えられた。そこでタキオンにされた質問の意味を理解した。戻ってきてからは意思を持って動いているのだからと自分があまり不快に思わない場所を触ることにした。次はキチンと紹介してほしいですね。

いつからだと思いますか?


2人のやり取りを偶然見てしまったデジたん→……良い(語彙力喪失)



オリ主豆知識……実は揉まれるのではなくてくすぐられていたらその内我慢できずに動き出していた。ちなみにオリ主のぱかプチにはオリ主の魂が入っているので幽霊などに憑依はされない模様。
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