夏イベントの配布?サポートカードをやっと集め終わったので投稿。
「勝負だ!ブルボン!」
「戦闘モードに移行。いつでもいいですよ。」
自室でミホノブルボンと正座をしながら向かい合う。勝負ということでミホノブルボンの顔は真剣そのもの。ふっ、そうこなくちゃね!
「いくよ!に〜らめっこしっましょ!笑うと負けよ?あっぷっぷ!」
言い終わると同時に息を吸い込んで頬を思いっきり膨らせる。その状態でミホノブルボンを見てみるが全く動じず無表情のままだ。
ならばと両手で頬を挟んで潰してみる。含んでいた空気が間抜けな音と共に口から漏れ、その音にオレがクスッと笑いそうになる。
(流石のブルボンでもこれなら笑う……無表情!?)
勝ちを確信出来るレベルだと思ったのに全然動じていない。い、いや、まだ手はある。にらめっこが得意というミホノブルボンに勝つために特に必要のない睡眠時間を削ってまで色々考えたんだ。今まではウォーミングアップ。つまりここからが本番だ!
「あ、フジキセキさん。どうかされましたか?」
「いや、少しお願いがあって来たんだけどね?ポニーちゃんたちは何をしているんだい?」
「にらめっこみたいですよ?ブルボンさんが得意っていうのをミホさんが知って……って感じです。」
「成程。それでフラワーは何をしているのかな?」
「これですか?ミホさんの服を作っています。どうですか?」
「良く出来ているね。素晴らしいよ。」
「そうですか。えへへ……。」
潰していた頬を今度は伸ばす。それでダメなら目元を指で引っ張る。それでダメならと考えていたものを全て試してみるがミホノブルボンはピクリとも反応しない。
「ふぅ、ふぅ、まさかここまでなんて思ってなかった。だけどこれならどうだ!」
立ち上がってミホノブルボンにしがみ付く。これをくらえばたとえミホノブルボンでも笑うことだろう。にらめっこ界では禁忌とされる技を今ここで使う!
ミホノブルボンの横腹をくすぐる。ふふっ、卑怯だと言いたいなら言えばいいさ!勝てば官軍だよ!
くすぐりながら勝利宣言をするために笑っているであろうミホノブルボンの顔を見るがそこにあったのは全くの無表情だ。オレでも予想外の出来事に思わずくすぐりを止めてしまう。
(もしかしてブルボンって横腹のくすぐりは効かないタイプ?な、なら腋をくすぐれば……。)
ただここからだとミホノブルボンの腋には届かない。どうしたものかと考えているとオレの次の狙いに気付いたのかミホノブルボンがオレを掴んで自身の腋へと近付ける。
まさかと思い恐る恐るくすぐってみると案の定、反応はない。
(こっちも効かない……だと?いや、落ち着くんだ、オレ。まだ出来ることはあるはず!)
思いついていた技は全て使ってしまったがまだやれることはあるはず。あ、そうだ。足の裏とかどうだろう?あそこなら誰でも効くでしょ。
そうと決まればとミホノブルボンの手をテシテシ叩いて降ろしてアピールをするが床には降ろされずに膝の上に仰向けで寝かされる。オレの両腕もバンザイポーズでミホノブルボンの片手に掴まれており、不思議に思ってミホノブルボンを見てみると残った片手をワキワキさせながらオレを見下ろしているミホノブルボンがいた。
「あ、あの……ブルボン?」
「万策尽きたと判断しました。反撃を開始します。」
「え?ちょっと待って!まだ一つ!まだ一つあるっキャハハハハハ!!!待って!ブルボン!降参!降参しますぅ!」
ミホノブルボンが残った片手でオレをくすぐる。くすぐったくて笑いながら降参するがミホノブルボンは止まらない。なら逃げるしかないのだが両腕を拘束されているため逃げられない。甘んじてミホノブルボンのくすぐりを受け続けるしかなかった。
「ひゅー、ひゅー、も、もうブルボンとにらめっこはしない……。いや、やっぱり悔しいからやる。」
あの後、笑いに笑わされ、笑い疲れてきたぐらいでやっと解放された。エネルギーがある限り疲れないはずなのに気持ちの疲れと体力の疲れは別みたいだ。多分数ヶ月分ぐらい笑ったと思う。くすぐりからなんとか逃げようと身を捩ったりしたため衣服が乱れているが直す余裕もない。こ、これが敗北者の定めか……!
「おや、フジキセキさん。来ていたのですか。」
「お邪魔しているよ。勝利おめでとう。」
「ありがとうございます。」
ミホノブルボンの膝の上で息を整えていると部屋の入り口辺りにフジキセキがいることに気付いた。口振り的にオレとミホノブルボンの勝負を見ていたのだろう。
「そういえばフジキセキさんはお願いがあるって言ってましたけど、どんな用事なんですか?」
「あ、そうだね。可愛い勝負を見ていたから忘れるところだったよ。」
「むむっ、なら今度はフジキセキさんがオレと勝負だ!」
「おや、勇ましいポニーちゃんだね。ほら、このお花をあげるよ。」
「え?いいの?わーい!フラワー!ブルボン!お花をもらった!!」
「よかったですね。ですがお礼はしっかり言いましょう。」
「うん!ありがとう!!」
フジキセキに勝負を挑んだことを忘れて花をもらった嬉しさからミホノブルボンに飛びつく。そのまま頭を撫でてもらっているとニシノフラワーからお礼を言っていないと言われたのでフジキセキに笑顔でお礼を言う。そんなオレの姿にフジキセキは少し苦笑いをしている。
「ちょっとこの子のことが心配になってきたよ。外で目を離しちゃダメだよ?」
「私も心配になってきました。外だと手を繋いだ方がいいかもしれませんね。」
後ろで2人が話しているがそんなことよりこの花はどこに飾ろうか?花瓶ってあったっけ?それとも押し花の栞を作ってニシノフラワーたちにプレゼントするのもいいかもしれない。
「おっと、また話が脱線するところだった。このままだとまた脱線しそうだし先にお願いを言っておくね?明日、ミホちゃんを借りてもいいかな?」
「ミホさんを?何かあったのですか?」
「ちょっと明日に備品が色々と届く予定でね?それだけだったら私だけでもどうにかなるんだけど他にも予定が重なっちゃって……。トレーナーさんに無茶はしないって約束したばっかりだから誰かの手を借りたいと思ったんだけどその時間帯はみんなトレーニングをしているから頼みづらくてね。」
「それでミホさんというわけですか。」
「お願い出来ないかな?でも強制はしないよ。嫌なら嫌って言ってくれた方がいいかな。」
そう言ってフジキセキがオレのことを見つめてくる。途中から話を聞いていたけど要するに荷物運びを手伝って欲しいっていうことだよね。ならオレの答えはもちろん。
「いいよ!手伝う!お花貰ったからね!」
「そういう意味で渡した訳じゃないんだけど…‥。「でも手伝う!」……ふふっ、ありがとう。それじゃあ明日荷物が届いたら迎えに行くね?」
「うん!任せろ!」
胸を張るオレを一撫ですると明日はお願いするねと言いながらフジキセキは部屋から出ていった。
「いるかい?ポニーちゃん。」
「いるよー!鍵は開いているから入って来てー!」
翌日、やることが終わったのでいつも通りにウマ娘たちのトレーニングを窓から眺めていると、部屋の扉がノックされてフジキセキの声が聴こえてくる。
モードチェンジをしないとオレではドアを開くことは出来ないので、フジキセキには前もって返事があれば入って来てもらうようにしている。
「今日はよろしく頼むね?」
「ドーンと任せて!」
部屋に入って来てオレを持ち上げて再度お願いするフジキセキに昨日と同じように胸を張って返事をする。
そんなオレを見てフジキセキは微笑みながら頼りになるねと言ってオレを胸に抱いて移動を始めた。
「全然ウマ娘がいないね?」
「この時間帯はみんなトレーニングだからね。トレーナーがいない子でもまだ学園の方にいるからいつもこんな感じだよ。」
念の為、力を抜いてぬいぐるみ状態でフジキセキに抱かれて歩いているが、本当にウマ娘がいなくてシーンとしている。
ニシノフラワーたちと歩いていた時の賑やかさが一転して静まり返っており、なんだか不気味さすら感じる。
「ポニーちゃんは私たちとは見える景色が違うから感じかたも違うのかもしれないね。よし、着いたよ。」
フジキセキの案内で辿り着いた場所には沢山のダンボールが積まれていた。ぱかプチ視線ではまるで山のように巨大で、確かに誰かの手を借りた方がいいと思える量だ。
「ポニーちゃんは備品の仕分けをして貰えないかな?寮宛の備品はここで、他のポニーちゃんたち宛に届いた荷物はここ。食材などはここに置いて欲しいな。」
「はーい!」
置く場所を指定してもらったのでダンボールに近付き、貼り付けてあるラベルを確認してそれぞれの場所に振り分けていく。中には少し重い荷物もあるが、その時はエネルギーを使ってウマ娘並みの力にすれば問題無しだ。
「フジキセキさーん!個人宛の食材ってどっち〜?」
「それはポニーちゃん宛のところで大丈夫だよ。」
時々置く場所が分からないものが出てくるので別作業をやっているフジキセキに確認を取りながら進めていく。
滞りなく作業は進み、作業開始から1時間くらいで荷物の仕分けが終わった。
「終わったよ!」
「ありがとう。それじゃあ今度は運んでいこうか。私の後ろからついて来て欲しいな。」
仕分け終わった荷物を持ち上げてフジキセキが歩いていくのでオレも荷物を持ってついていく。最初は持つ荷物が一つだけだったが、フジキセキが2つ持っているのを見て真似しようとしたが、止められた。
力はあるから大丈夫と言ったがポニーちゃんに極力危ない真似はさせないし、もしさせてしまうと2人に顔向けが出来ないとウインクされて言われてしまえば何も言えない。だけどなんか悔しいので頭を撫でてもらった。
どんどんと荷物を運んでいき、山のように見えたダンボールはあっという間に減っていき、仕分けた時よりも速い時間でその姿を消した。
「ふぅ、終わったね。いつもよりかなり速い時間で終わったよ。ありがとうね。」
「これくらいならお茶の子さいさいだよ!」
フジキセキの自室で頭を撫でてもらいながらドヤ顔をお見舞いする。フンスフンスしながらフジキセキを見てみると嬉しそうな顔をしている。
「ポニーちゃんのお陰で次の予定まで時間が空いたよ。このままお礼を言ってさよならというのも味気ないし、何か私に出来ることはないかな?」
「ならマジックを見たい!まだ見てないやつ!!」
「まだ見てないやつ……か。ちょっと待っててね?」
フジキセキが棚を開けて少し悩む仕草をする。その後ろ姿を見ていると紙コップを持ってオレの方に戻ってきた。
「さて、ここにあるのは3つの紙コップ。この紙コップに急に現れたビー玉を一つ入れます。」
オレに紙コップの中身を見せた後に何処からともなくビー玉を取り出して逆さまに置いた紙コップの一つに入れる。そして紙コップを振って中にビー玉があることをアピールする。
ビー玉が何もないはずの手の中から現れたことに既に興奮しているが尻尾を振るだけで我慢してビー玉が入った紙コップを見つめる。
オレが紙コップを注視しているのを確認したのかフジキセキがゆっくりと紙コップをシャッフルしていく。その動きはどんどん速く、複雑になってくるが、エネルギーを使って動体視力を上げることで見失うことなくビー玉入りの紙コップを追いかける。
音でも分かると思っていたが、特殊な動かし方をしているのか最初からビー玉が転がる音が聞こえてこない。
「さぁ、お好きな紙コップをどうぞ?」
やがてシャッフルが終わり、フジキセキが手を広げてオレに選択を委ねる。
「ふっふっふ、オレを舐めちゃいけないよ!正解はこれだぁ!……あれぇ!?無い!!なんでぇ!?」
ドヤ顔でビー玉があるはずの紙コップを持ち上げたがそこにはハズレと書かれた紙が入っていただけだった。フジキセキを見つめると頷いてきたので残りの2つも持ち上げてみたがどっちにも入っていなかった。
「え?ビー玉は何処にいったの!?」
「ふふっ、ビー玉はね、ここにあるよ。」
フジキセキが微笑みながらオレの頭上に手を伸ばし、何かを掴む仕草をした後に手を引っ込めると、そこには紙コップに入っていたはずのビー玉があった。
「フォーーー!!!」
「ここまで喜んでくれるとやり甲斐があるね。さらにこのビー玉に力を込めると……。」
フジキセキがビー玉を手で隠して力を込める仕草をする。緊張しながらそれを見つめていると、力を込め終わったのか手を退ける。するとそこにあったのはビー玉ではなく、何かの卵だった。
「卵になっちゃった!」
「まだまだ、この卵にハンカチを被せて……3、2、1、それ!」
「鳩さんだぁ!!」
凄い、マジック本当に凄い。鳩なんていつ、どの瞬間に用意していたかなんて全く分からない。
「どうかな?少し手品も混ぜてみたけど驚いてくれたかな?」
「うん!!」
頭をブンブンと縦に振りながら肯定する。そこまで自分のマジックが喜んでくれると思わなかったのかフジキセキも満足そうだ。
「まだ少し時間があるし、他のマジックも見ていくかい?」
「是非!……って言いたいんだけどちょっとお願いがあるんだ。」
「お願い?私に出来ることなら言って欲しいな。」
「うん、フジキセキさんって押し花の作り方って分かるかな?フラワーたちに栞を作ってあげたいんだ。」
気恥ずかしさから少しモジモジしながらフジキセキに問いかけると、すぐに微笑んだ顔で頷いてくれた。
「なら綺麗な花で作らないとね。私も手伝うよ。」
「ありがとう!フジキセキさん!」
「これで良し、と。経過観察は私がやっておくから、完成したら教えにいくよ。」
「うん、このことなんだけどフラワーたちには……。」
「大丈夫、分かっているよ。」
口元に指を一本だけ添えてウインクするフジキセキに思わず笑顔になってしまう。これを渡したフラワーたちの反応を予想していると、鐘の音が聞こえてくる。
「おっと、押し花に夢中になり過ぎていたね……。早くポニーちゃんを部屋に帰さないと。」
「でも、フジキセキさんの予定ってもうすぐじゃなかったっけ?オレは1人で帰れるから大丈夫だよ!」
「まだポニーちゃんたちが帰ってくる時間では無いとはいえ、大丈夫かな?」
「大丈夫!大丈夫!部屋までの道のりは覚えているし、オレのお願いでこんな時間になったんだからフジキセキさんは予定を優先して!」
「それなら……、でも部屋近くまではちゃんと連れて行くよ。」
オレを抱えてフジキセキが歩き出す。ここから自室までは結構距離があるため、既に時間ギリギリなのか、その足は早歩きだ。やっぱり押し花を頼むタイミングを間違えたかな?と落ち込んでいると無言で頭を撫でられた。
「ここまでで大丈夫だよ!もう階段は無いし、後は通路を歩いていけばいいだけだから!」
「分かった。でも注意して帰るんだよ?」
「うん!バイバイ!」
手を振りながらフジキセキと別れる。割と本気で時間がギリギリなのか曲がり角で姿が見えなくなると、すぐに歩く音が聞こえてきた。
その事実に少し落ち込みそうになるが、落ち込まないために思考を切り替えてフラワーたちに押し花をあげたときにどんな反応をしてくれるか予想しながら帰ることにする。
(喜んでくれるかな?喜んでくれたらいいな!)
考えているうちに気持ちも楽しくなってきて、思わずスキップしてしまう。その考えに夢中になっていたせいか曲がり角から出てきた誰かの脚に気付かずぶつかってしまった。
「あう!」
ぶつかった衝撃で少し後ろにコロコロ転がる。しまった、油断した。ウマ娘がいないといっても完全にいないとは言われていない。物を取りに来たウマ娘だっているはずだ。
オレが動くところは完全に見られた。なら謝って他言しないようにお願いしないと……。
「あ、あの!ごめんな──」
口に出そうとした言葉は止まる。思考が謝るから逃げるに移るのを感じた。だって目の前にいるウマ娘は……。
「これはこれは……なんとも不思議なものを見つけてしまったねぇ……。」
見つかりたく無いランキング、堂々一位のアグネスタキオンだったからだ。
………ど、どうしよう。
オリ主……やっちゃったぜ!曲がり角は特に危険と学んだ。1週間後には忘れる。ちなみに服はニシノフラワーが作った学園服を着ている。
ニシノフラワー……徐々にママ味が上がってきている。これ以上、上がるとセイちゃんが危ない。
なんだかミホさんに危険が迫っている気がする……。
ミホノブルボン……にらめっこでは負けない。くすぐられて笑うミホさんに何かを感じかけた。が、忘れた。
フジキセキ……予定にはギリギリ間に合ったがトレーナーに心配顔をされた。あそこまでマジックに喜んでもらえると凄く嬉しい。またマジックをお披露目しようかな?
自分で言っておいてポニーちゃんから目を離してしまった。
アグネスタキオン……おやおやおやおやおやおや。
一般通過デジたん……何やら寮からウマ娘ちゃんの緊急警報を察知しました!!急行します!!