10連を引いたらすり抜けしまくって無事に天井いきました……。
マヤとエアグルーヴの花嫁が当たって揃った時は自分のウマ娘だけピックアップ先間違えてない?と本気で思った。
「急にごめん、ポニーちゃん。いるかな?」
帰ってきたミホノブルボンに頬をグニグニと伸ばされた次の日、日課の掃除をしていると控えめにドアがノックされてフジキセキの声が聞こえてくる。
「はーい!いるよー!」
掃除道具を片付けてから箒を使ってドアを開け、フジキセキを部屋へと招き入れて、お茶を用意する。
「フジキセキさんがここに来るってことは、またお手伝い?」
「いや、今日は別件だよ。ポニーちゃんの押し花が完成したから報告をね。」
「ほんと!?」
「うん、本当だよ。時間があるなら今から栞にしようと思うんだけど、どうかな?」
「行く!絶対に行くからちょっと待ってて!」
汚れ防止のエプロンを外して、掃除用の服を脱ぎ捨てる。すっぽんぽんのまま2人が作ってくれたオレ用の引き出しを開けて中に入っているニシノフラワー製の服を取り出す。
「これいいでしょー?フラワーが作ってくれたんだ!」
「うん、可愛いね。でも全裸は風邪をひいちゃうかもしれないから……ね?」
ニシノフラワーが作ってくれた服をフジキセキに見せて自慢するが、褒めながらもやんわりと注意された。む、確かに風邪をひいたら2人を心配させてしまうかもしれない。
この身体が風邪をひくのかは分かんないけど念のためだ。いそいそと服を着替えて猫ちゃんカバンを首にかける。
「1人で準備出来た!褒めて!」
「偉いよ、ポニーちゃん。それじゃあ行こうか。」
たまに無意識で出てきてしまう胸を張って褒めてアピールをフジキセキにしてしまうが、すぐに褒めながら頭を撫でてきて、その後抱き上げられた。
むふー、頭撫で撫では最高だよ!気分は良くなるし、人によって撫でかたが違うのでそこも楽しめる要素だ。
ちなみにオレはニシノフラワーの撫でかたが1番好きだ。あの優しい撫でかたはふにゃふにゃになる。2番目はもちろんミホノブルボン。機械的な撫でかたなのにしっかりと優しさを感じる不思議な感じだ。3番目は意外なことにミホノブルボンのトレーナーだ。紹介された時にもうあんなことはするなよと頭を撫でられた時に癖になった。あのグシャッとしたオレに配慮がない撫でかたは2人にはない新鮮な感じだった。……後でお礼として抱きつけば良いかな?
トレーナーはあの時慌てながらも喜んでたし……と考えながら運ばれているといつの間にかフジキセキの部屋に着いていたみたいだ。机の上に下ろしてもらうと、目の前には乾燥した花と栞を作るのに必要になると思う道具が置かれていた。
「それじゃあ、一緒にやっていこうか。」
「うん!よろしくお願いします!」
「よろしくね。まずはこのフィルムに花を閉じ込めてそれで──」
フジキセキの説明を聞きながら栞を作っていく。難しいと思っていたが、結構簡単で思っていたよりも早く終わってしまった。
「思ったより簡単だった。」
「ふふっ、私も調べてみたらこれだけ?って思っちゃったよ。」
どうやらフジキセキもオレと同じ思いだったみたい。取り敢えず2人の分は作れたので大切に猫ちゃんカバンの中にしまっておく。
『すみません、フジキセキさん。居ますか?ちょっと相談したいことが……。』
「おっと、ポニーちゃんに呼ばれたみたいだ。少し席を外すね?」
「分かった!オレのことは気にしなくていいからゆっくり話してきて!」
フジキセキが玄関に向かったのを確認してからもう一つ栞を作り始める。フジキセキを訪ねてきた人は何か相談をしたいみたいなので、一つぐらいなら作れる時間は充分あるね。…………よし、出来た。
「お待たせ。待たせたかな?」
「全然!栞は作れたし、オレは帰るね?今日はありがとう!」
「あ、ポニーちゃんはまだ時間に余裕があるかな?用事があるのならそれでいいんだけど……。」
「あるけど……、どうかしたの?」
「良ければなんだけど、またマジックを見てくれないかな?週末のイベントでちょっとお披露目することになったんだけど、1人で練習するよりか誰かに見られているほうが練習になるかなって思ってね。」
「マジック!見たい!」
立ち上がりかけていた体勢をすぐにやめて座り直し、マジックを見る体勢になる。そんなオレをみてフジキセキは嬉しそうにマジックの道具を取り出した。
「ありがとう。可愛い観客がいるなら練習にも身が入るね。それじゃあまずはこれをやっていこうか。手のひらには何も持っていないけど、手のひらを合わせてから離すと……あら不思議!ステッキが──」
「今日はありがとうね。お陰で自信がついたよ。」
「オレもありがとう!イベント頑張ってね?」
他の寮生が帰ってくる時間が近付いできたので自然とお開きの流れになる。あ、そうだ。これを渡さないと。
「はい!これお礼!」
「これって……。マジックは私のほうからお願いしたんだけどね……。」
「ならオレを受け入れてくれたお礼!」
オレが作った栞をフジキセキに渡す。2人とは中にある花が違うので、作るのを見ていたフジキセキならこの栞は別のものだと気付くはず。
フジキセキはマジックのお礼だと思っているようだけど、これはオレを受け入れてくれたお礼だ。幾らニシノフラワーとミホノブルボンの2人が優等生でも寮長として得体の知れないオレを受け入れるなんて相当悩んだと思う。
フジキセキが受け入れてくれたお陰でオレは今の生活が出来ている。だからいつかお礼をしたいとはずっと思っていた。
「ありがとう。大切に使わせてもらうね?」
フジキセキが栞を見つめた後で満面の笑みをオレに向けてくる。おぉう、すごい綺麗だ。女性でも惚れてしまう人が出てきそうな威力がありそう。
「じゃあ今度こそ帰るね?バイバイ!」
手を振りながらフジキセキと別れる。自室に向かいながらフジキセキの笑顔を思い出して思わずニコニコしてしまう。
(2人も栞をあげた時にあんな顔してくれたらいいな!)
前とは違って今回は2人が喜んでいる姿を明確にイメージ出来る。小声で鼻歌を歌いながらスキップして帰っていると、曲がり角のところで何故か強烈な既視感を感じた。
(そうだった、こんな感じで人にぶつかったんだから注意しないと。)
スキップをやめてゆっくりと歩く。曲がり角を覗き込み、先に誰もいないことを確認してから息を吐く。
その後も曲がり角で同じような確認をしながら進んでいく。こうしているとなんだか潜入しているみたいだ。今度ダンボールでも被ってみようかな?
ダンボールを被って歩く姿を想像してクスクスと1人で笑う。部屋に戻ったらダンボールがないか探してみよっと。
そう考えていると急に近くのドアが開いた。突然の事態にビックリしたが、なんとか人形のフリが間に合った。が、直後に顔が青褪めてしまう。
「ふぅン、また会ったねぇ。」
(な、なんでタキオンが……。)
アグネスタキオンが人形のフリをするオレを持ち上げてニンマリと笑う。大丈夫、今のオレはぱかプチだからこのまま黙っていればいいんだ。
「反応がないねぇ。もしかしてただのぱかプチを誰かが置いていったのかな?」
「おーい、反応しておくれよぉ。うーん、くすぐってもダメかぁ。」
アグネスタキオンがオレの手をニギニギしたり腋をくすぐってくるけど力を抜いている状態なら反応することはない。だから大丈夫。
「どうやらただのぱかプチのようだね。同じ姿だから前に見たものと同じ個体だと思ったのだがねぇ。」
(よし、誤魔化せた。後はタキオンが何処かに行ってから逃げれば──。)
「仕方ない。仕方ないから……解体しようか。」
(…………え?)
「バラバラにして、それから……。」
アグネスタキオンが1人で話しているが聞こえなくなる。バラバラ?それってもう2人に会えなくなるってこと?
「うぅ、嫌だ。嫌だよ……。」
「おや、やっぱりあの時の君じゃないか。安心したまえ、バラバラは冗「バラバラ……ひっく……。」わーー!!!冗談!!冗談だよ!!だから泣かないでおくれ!フラワー君に見られたらどうなるか……!!えっと確か……そうだ!ほら、高い高ーいだよ!お願いだから泣き止んでおくれぇ!」
「落ち着いたかな?いやぁ、疲れたねぇ……。」
泣く直前までいったオレだが、アグネスタキオンの高い高いやいないいないバァ、後は子守唄でなんとか涙が引っ込んだ。この身体になってから泣きそうになればそのまま一直線で涙が出てくるんだ。許してくれ。
現在はアグネスタキオンの部屋で膝の上に乗って頭を撫でてもらっている。アグネスタキオンの撫でかたは意外と上手で優しい。オレ的にはガサツでクシャッとした撫でかただと思っていたから驚いた。
「それでタキオン。オレに何か用なの?解体以外で。」
「心配しなくても何もしないさ。今回はちょっとフラワー君に頼まれた物が完成してね。これを食べてみておくれ。」
アグネスタキオンが箱を取り出して、中に入っていたオレンジ色の綿をオレに手渡してくる。試しに匂いを嗅いでみるが特に変な匂いはしない。
「本当に大丈夫なの?食べたら身体が光るとかない?」
「大丈夫さ。もし私を信用出来ないなら、これを頼んだフラワー君を信用するといい。」
「なら食べる!」
持っていた綿を口に頬張る。いつものようにエネルギー変換するために咀嚼すると、驚くことが起きた。
「ふぁ〜、何これ!何これ!!?」
「ふむ、どうやら成功のようだね。ミホ君が今食べた綿の味はにんじん味さ。いやぁ、フラワー君から綿に味をつけてくれとお願いされた時はどうなるかと思ったが成功してよかったよ。」
アグネスタキオンの言葉を聞きながら必死に咀嚼する。この身体になってから諦めた食材の味がするのだ。精一杯味わうしかない。
「あ……。無くなっちゃった。」
「心配しなくてもお代わりはまだあるさ。たんと味わうといい。」
「ほんと!?タキオンありがとう!」
「お礼ならフラワー君に言うといい。彼女のお陰で私はこの研究を始めたからねぇ。」
差し出された箱に入っている綿を手当たり次第に口に入れていくと頭に何かが乗る感触がする。顔を上に上げて見るとアグネスタキオンが微笑みながらオレの頭を撫でていたが、オレの顔を見るなりギョッとした顔で手を引っ込めた。
「もしかして体調が悪いのかい!?いや、今回は余計な物を何も入れてない筈だ。だが初めての研究だったし……。」
慌てて考察をしながら取り出したハンカチでオレの目元を拭いてくるアグネスタキオンを見ながら、もう片方の目元を触って見ると濡れていた。どうやらオレは知らぬ間に泣いていたみたいだ。
「ねぇ、タキオン。」
「わ、私は本当に何もしていないよ!信じておくれよぉ!」
「うん、ありがとう。とっても嬉しい。」
涙を拭ってニッコリと笑うと、わたわたしていたアグネスタキオンも落ち着いたようだ。
「構わないさ。また困ることがあれば私を訪ねるといい。その時に暇なら手を貸してあげようじゃないか。」
「さて、私の用も済んだことだし寝ることにするよ。ミホ君は自室まで自分で帰れるだろう?」
ここ最近はこれの研究続きでとっても眠いんだよ。と、あくびをしながらアグネスタキオンはベッドに横になる。
そういえば目元に隈が出来ていたっけ。ってことはこれは早速お礼が出来るのでは?
「寝るならオレが枕になるよ!綿のお礼!」
リアルモードになってアグネスタキオンのベッドに侵入する。枕を退けて代わりにオレの膝の上にアグネスタキオンの頭を乗せる。
「枕を返しておくれよ〜。………おぉ、こんな感触は初めてだねぇ……。」
目を閉じながら手を動かして枕を探しているアグネスタキオンだが、オレの膝に頭が置かれると探すのをやめてオレの太ももをもちもちと揉み始める。少しくすぐったいが、好きに揉ませているとだんだんと揉む頻度が少なくなってきて、やがて寝息が聞こえ始める。
「おやすみ、オレのためにありがとうね?」
「アグネスデジタル!ただいま帰りまし………た?」
アグネスタキオンの頭を撫でていると、玄関のドアが開いてピンク髪のウマ娘が元気に入ってきた。片手には紙袋が握られていて、中にはウマ娘の写真みたいな物が入っている。
そういえば全てのウマ娘のファンなんだっけとアグネスタキオンの頭を撫でながらジッとアグネスデジタルを見続けているが、全く動く気配がない。石像みたいに硬直し、大きく見開かれた瞳にはオレとアグネスタキオンの姿が写っている。
「…………ふぅ。」
「あ、倒れた。」
自分の中で答えを得たのか満足そうな顔でアグネスデジタルは倒れた。かと思えばその状態で動き出し、静かに部屋から出ていった。
え、何今の動き。どうやったか教えてほしい、オレもやってみたい。でも今動くとアグネスタキオンが起きそうだし……。
……うん、そうだな。次見た時に教えて貰おう!
オリ主……この後暫くしてから部屋に帰った。2人に栞を渡して喜ばれる。押し花にたんぽぽの花も使おうと考えていたことがあったが、目星をつけたところのたんぽぽが人気がなくなった時に回収しに行くと毎回無くなっていて諦めた。
ニシノフラワーに大興奮で綿のことを伝えてありがとうを言った。
味を感じれたことが本気で嬉しい。タキオンからもらった綿を大切に食べている。嬉しさのあまりにタキオンのことを話しまくって、うっかりタキオンが冗談で言ったバラバラ解体発言もニシノフラワーに言ってしまった。
ニシノフラワー……貰った栞はとても嬉しいので大切に使っていく。
過去にオリ主に綿ってどんな味がするんですか?と質問すると無味!と笑顔で言われた。それからなんとか味を知ってもらいたいと調味料や肉汁などを綿に染み込ませて食べさせてみるが全部オリ主の身体は受け入れてくれなくて吐かれてしまった。
ダメ元でタキオンに頼ってみると大成功。明日お礼を言いに行こうとニコニコしているところでバラバラ解体発言を聞いてしまった。
ミホノブルボン……貰った栞は大切に使っていく。オリ主から貰った録音機はオリ主と2人きりの時に起動してもらっている。
温かい気持ちになっていたところでバラバラ解体発言を聞いてしまった。
フジキセキ……本を読んでいる時などに貰った栞をみて微笑む。それを見た一部のウマ娘たちの間で変な噂が流れている。
アグネスタキオン……冗談を言ったら本気で泣かれかけてすっごい焦った。綿を食べて泣くオリ主に少しだけ不思議な気持ちになった。
おや、フラワー君。あれからミホ君の様子はどうかな?喜んでいる?それは良かったよ。………ところでフラワー君。なんでそんなに耳を絞っているんだい?
また近くにいたマンハッタンカフェ……フラワーさん、またこんな日があるかもと少し奮発して良い豆を買ったんです。今から淹れるので少しだけ連れていくのを待ってくれませんか?お願いします。
アグネスデジタル……気絶はしたが、本能がこの空間の邪魔をしてはいけないと動き出し気絶したまま保健室へ向かった。
見る人が見ればあの時のデジたんは目に一筋の光が入ったと思えば身体中から虹が出たように見えたらしい。
オリ主豆知識……どのモードになってもオリ主は綿しか食べれません。でも味覚はあります。しかし食べ物を食べたら味を感じる前に吐きます。それから綿の判定も結構シビアで肉汁が染み込んだとかでも綿の形をした何かになり、オリ主は吐きます。
タキオン便利……。物を作ったり研究者のキャラがいるとかなり書きやすい。特にゴルシは最強格。何に使ってもまぁ、ゴルシだしで通るの本気で凄いと思ってます。
ところで8月9日ってハグの日らしいですねぇ。とっくの昔に過ぎてしまったけどこのことを聞いてつよつよセイちゃん(夢の姿)がトレーナーを挑発して押し倒されてこれからって時に寝ていたセイちゃん(現実の姿)をオリ主が目覚ましで起こして、
Q、つよつよセイちゃんはどこ?
A、そんなものここには無いよ。
で、終わる番外編を思いついたんですが、文字数とつよつよセイちゃんのセリフが全く思いつかなかったので諦めました。誰か書いて(他力本願)