最近買ったゲームをやっていたら投稿が遅くなっちゃう。
「ミホさん、行きましょうか。」
「うん、分かった!」
ミホノブルボンのトレーナーが危うく意識を飛ばしかけた件から数週間が経ち、少し暖かくなってきた頃。オレはミホノブルボンと一緒に出かけていた。
それにしてもミホノサンドをくらったトレーナーの第一声が"もう少し力を抜け"だったのは納得いかない。トレーナーはスタイルが良いウマ娘のことが好きな筈だ。前のレース場でスタイルの良いウマ娘とすれ違った時に目がいっていたことは確認済みなので間違いない。だからオレたちに抱きつかれたら嬉しいはずなのにそんな気配は一切なかった。
……もしかして照れ隠しだったとか?それならあのそっけなかった態度にも納得がいく。
「到着。マスターは何処でしょうか?」
「中じゃないの?」
トレーナーが喜ぶ抱きつきかたを探してそれを重点的にやっていこうと考えていると、目的地に着いたみたいでミホノブルボンが辺りを見渡している。
いつもなら予定時間前に来ているはずのトレーナーが見当たらないので先に中に入って待っているのではないかと思ったが、あのトレーナーがミホノブルボンを待たずに先に入っている可能性は性格的にまず無い。
「マスターが遅刻なんて珍しいねー。」
「何か急用が出来たのでしょうか?待機モードに移行します。」
来れなくなったのなら連絡をしてくると思うので、野暮用だろうと当たりをつけたミホノブルボンが他の人の邪魔にならないように建物の影に移動して待ち始めた。いつもなら遊んでもらえるチャンスだけど、今回は周りに人がいっぱいいるからオレも待機かな?
だけどただ待つだけなのは暇なので、ミホノブルボンの表情を真似する一人遊びを始めた。
「すまない、遅れてしまった。」
「問題ありません。マスター。待機モードを解除します。」
表情差分が少なすぎると気付いて10分で終了した表情真似っこ遊びとほぼ同時にトレーナーが待ち合わせ場所に来た。
「ミホもすまない。暇だっただろ?」
「問題ない!けどマスターが遅れるって何かあったの?」
「あぁ、ニシノフラワーのトレーナーから相談を持ち込まれてな。2人はニシノフラワーの好きな物は何か知っているか?」
詳しく話を聞くとどうもニシノフラワーのトレーナーはニシノフラワーと自分の間に距離感を感じていて、もっと仲良くなりたいと考えているらしい。
そこで同室のミホノブルボンのトレーナーならミホノブルボン経由でニシノフラワーのことを何か知っているかと相談しに来たみたい。
トレーナーは距離を詰めすぎるのも良くないと言ったが、今のままだとこちらに遠慮して本当のことを言ってくれないかもしれないと言われて納得したようだ。
んで、好きな物を渡してトレーナーの気持ちをニシノフラワーに話せば仲良くなれるのではないかという結果になったが、ニシノフラワーのトレーナーはニシノフラワーが何を好きなのかを知らないみたいなのだ。
だからトレーナーはオレたちなら知っているかと思って聞いてきたらしい。
「フラワーさんの好きな物……ですか。すぐに思いつくのは花でしょうか?」
「花……か。あいつに言ったらそのまま花束を渡しそうだな。ミホは何か知っているか?」
「オレ!!!!」
「動くぱかプチなんてミホ以外に見たことないぞ。アグネスタキオンに言えば何とかなるか?」
自信満々にオレ自身を指差してドヤ顔をすれば、トレーナーは動くぱかプチのことだと思っているみたいだ。
動くぱかプチではなくオレ自身だとふくれっ面をするが、訂正の言葉を出す前に頭を撫でられて、そんな言葉も何処かに飛んでしまった。
「2人ともありがとう。助かった。」
「マスターの助けになるのなら、またどうぞ。」
「マスター、もっと撫でて。」
ミホノブルボンを撫でるためにオレから手が離れたので頭をズイッとトレーナーの方に出して撫でてアピールをする。
「そろそろ間に合わなくなりそうだから行くぞ。」
「了解しました。」
ミホノブルボンを撫でていた手が再びオレの上に置かれて満足していると、2人はチケットを購入してから建物の中に移動して目的の部屋に入ってチケットに書かれた番号の椅子に座る。
この部屋には他にも沢山の人がいてざわざわしていたけど部屋が暗くなると少しずつ音が小さくなって、静かになった。
それを見計らったかのように部屋の前方にあるスクリーンにデフォルメされた動物たちの映像が映りこんだ。
「ブルボンがこの映画を見たいと言った時は珍しいこともあるもんだと思ったが、最初に言ったのはミホだな?」
トレーナーが小声で聞いてきたので首を縦に振ることで肯定する。ミホノブルボンから模擬レースの少し後で何かやりたいことなどはないですかと聞かれ、前々から気になっていた映画を見たいと言えば何故かトレーナーも来てくれることになったのだ。
トレーナーが言うには模擬レースのお礼と、これからのトレーニングも良ければ手伝って欲しいとのこと。ミホノブルボンと走るのは楽しいので即座に了承した。
この映画は過去にあったウマ娘のレースを動物たちで置き換えてやっているみたいで、レース場をゾウとキリンが競い合うかのように芝を引きちぎりながら走っている。映画ということで多少はっちゃけているみたいで、亀が飛んだり、パンダが転がったりしているが、あちこちから小さな笑い声が聞こえてくることから周りの受けは良いみたいだ。
なんだかこの映画を見ていると頭がバグりそうになるけれど、ギャグとしてみればかなり面白い。
映画を更に楽しむために作ってもらったポップコーン味の綿を食べながら、トレーナーにもたれかかった。
「面白かった!!」
「それは良かったな。」
映画を見終わり、チケットを購入した人がもらえる動物を模したダンボールのキーホルダーを眺めながらトレーナーの車で移動する。
しばらく移動を続け、山に入るか入らないかぐらいのところにある施設でトレーナーが車を停めた。
「よし、荷物を置いたら2人とも着替えてこい。俺はその間に道具の準備をしておく。」
「了解しました。」
トレーナーの指示に従ってミホノブルボンと一緒に施設に入り、更衣室で服を着替える。トレーナーの話だとここは個人経営をしているトレーニング施設で、場所が場所なだけに人が滅多に来ない穴場らしい。主に人気になりすぎて毎日テレビやらカメラやらが来てトレーニングに集中出来なくなったウマ娘がここに来るみたい。
それ以外はほぼ来ないのに、施設の質は充実していて広さ的にトレセン学園とレース場の数が違うだけで出来ることは同じだ。更にプライバシーの管理も完璧で、ここなら周りを気にせずにトレーニングが出来ると知る人からの評判はかなり良い。
そんな施設を個人経営するなんて維持費とか諸々大丈夫なのかと考えてみたが、まぁ、大丈夫だから出来ているんだろうと考えるのをやめた。
そんなとこに来てどうするのかというと。トレーニングだ。
「来たな。2人とも坂路を走ってこい。」
身体をカラフルに輝かせながらトレーナーがオレたちに指示を出す。
何故身体を輝かせているかといえば、オレをミホノブルボンのトレーニングに付き合わせようとするとエネルギー充填するために綿が大量に必要になる。普通の綿よりオレは味付き綿が食べたい。味付き綿は現状アグネスタキオンしか作れないため、負担がかかる。なので対価としてトレーナーがアグネスタキオンの実験に付き合っているという経緯だ。
「マスター!終わったよ!」
「あぁ、お疲れ。ブルボンもな。」
言われた回数分を往復し、戻って早々トレーナーに抱きつこうとすれば頭を撫でられる。それを甘んじて受けていると、オレに追いついたミホノブルボンもトレーナーに撫でられていた。
前までなら戻ってすぐにもう一度行ってこいと言っていたみたいだが、オレがいる時にそれを言ってしまうとミホノブルボンのタックル染みた抱きつきが襲いかかるのでキチンと労わるようだ。
しばらく撫でられると坂路、戻ってきて撫でられて坂路を繰り返し、陽が沈みかけるとガチンコ模擬レースをして終了だ。
「どうだブルボン。何か掴めたか?あと離してくれ。」
「まだ何とも。しかし感覚は掴めてきました。嫌です。」
常に前を走るオレは良い練習相手になるらしく、ミホノブルボンの実力はどんどん上がってきている。トレーナーを前みたいにサンドしてレースの反省会をしているが、トレーナーの反応が前より薄い。
「何度も抱きつかれると流石に慣れる。」
「なるほど。それじゃあもっと抱きつくね。」
「は?ちょっと待てそれは──。」
少し物足りなさを感じていたが、トレーナーが慣れたのなら遠慮なく……。ぎゅーーーーーー!!!!!
「むむむむむ。」
「どうしたんですか?ミホさん。」
心置きなく本気でトレーナーに抱きつけるようになってから数日。トレーナーの相談内容を思い出してニシノフラワーを観察してみると、トレーニングから帰ってくると少し雰囲気が暗いことに気付いた。
話を知らなかった時はトレーニングの疲れなのかと思っていたけど話を聞いた後で見てみると、疲れというよりか上手くいかなかったみたいな顔に見える。
少し話すといつもと同じ顔に戻るので安心……出来るわけないでしょ!
これはミホノフラワー発進案件だ。ミホノブルボンのトレーナーの話だとニシノフラワーのトレーナーが悪い人じゃないのは分かっているし、ミホノブルボンのトレーナーから好きな物を聞いてそろそろ行動を始めると思っているのだが、オレは少しでも早くニシノフラワーに笑顔になって欲しいのだ。
しかしミホノブルボンの時のように運良く出会えるわけ無いし、またニシノフラワーに怒られるのも嫌だ。理由を話そうとしてもニシノフラワー本人に言えるわけがない。どうしたものかと考えていると、ニシノフラワーのカバンが目に入った。
……ほほーん?これならいけるかもしれない。という訳でミホノフラワー、発進します!!
『ミホさん、行ってきますね?……って今日は朝早くからフジキセキさんのところに行くって言ってましたね。』
真っ暗な暗闇の中にいると、ニシノフラワーの声が聞こえてくる。しばらくすると地面が揺れ、浮遊感を感じた。その後で継続的にゆらゆらと揺れるのでどうやら無事に運ばれているようだ。
『おはよー!フラワーちゃん!』
『おはようございます!』
揺らされ続けていると、周りからウマ娘たちの挨拶や話し声が聞こえてくる。どうやら学園内に入ったようだ。周りの挨拶の声を元気よく挨拶仕返しながらニシノフラワーが歩いていく。
『あ、トレーナーさん。おはようございます。』
『おはよう、フラワー。今日の体調はどうかな?』
『大丈夫です。』
ドアを開けて部屋に入る音がした後に、ニシノフラワーが挨拶をすると優しげな男性の声が聞こえてくる。この人がニシノフラワーのトレーナーのようだ。
そう考えていると暗闇の中に光が差す。ジーとチャックが開く音がしてニシノフラワーと目が合った……と同時に閉められた。
『ん?どうしたフラワー?』
『な、何でもないです。ちょっとお手洗いに行ってきますね?』
再び浮遊感を感じて運ばれるが、さっきよりか少し激しい揺れになっている。
それがだんだんと楽しくなってきて、はしゃぎたくなる気持ちを必死に抑えているとまた光が差して今度は引っ張り出された。
「ミホさん!何で私のカバンに入っていたんですか!?」
「こっそり侵入しました!今回のことはフジキセキさんも知っているから安心してね!」
「出来ません!」
これを思いついた日にフジキセキにはしっかりと連絡している。前に思いついたダンボールを被って寮を歩くというのを試してみたが、すごい楽しかった。
道中で一回アグネスデジタルにダンボールを上げられて見つかったが、静かにしてポーズをすれば頷いて元に戻してくれた。
「今から寮に戻ると授業に間に合わなくなっちゃいますし……トレーナーさんの部屋に置いて預かってもらうしかないですね。」
走ればまだ間に合いそうだがニシノフラワーにその考えはないみたいだ。てっきりカバンに入れたまま連れて行くと思ったが、トレーナー室に置いていくみたいだ。
ニシノフラワーを悩ませてしまったことを申し訳なく思うが、オレの頭だとカバンに侵入して連れて行ってもらうことまでしか思いつかなかったんだ。
「トレーナーさん。間違えてぱかプチを持って──」
仕方ないとニシノフラワーがオレをまたカバンにしまってトレーナー室に連れて行くと、さっきまでいたトレーナーが居なくなっている。部屋の中にはさっき入った時には無かったであろう紙が一枚置いてあって、そこには"会議に行ってきます"と書いてあった。
それを見たニシノフラワーは少し考える仕草をした後、紙を裏返してニシノフラワーが帰ってくるまでオレを預かっておいてほしいと書き始めた。
「本当はトレーナーさんにキチンと伝えたかったのですけど、仕方ないですね。ミホさん、トレーナーさんに迷惑をかけてはいけませんよ?」
「分かった!それとごめんね?迷惑をかけちゃって。」
「ミホさんが何を思って私のカバンに入ったのかはわかりませんが、理由は聞きません。」
そう言っているが頬が緩んでいるので、何かで遊んでいるうちに中に入ったとか思っていそうである。確かに入る途中で楽しくなって少し遊んでいたけどね!
「あ、もうこんな時間みたいですね。それじゃあ授業に行ってくるのでしっかりお留守番をお願いします。」
「うん、行ってらっしゃい!」
ニシノフラワーが部屋を出て行ってからしばらくジッとしていたが暇になってきたので辺りを見渡すと、大きめ水槽が目に入っている。
水槽の近くまで近寄ると、品種は分からないが中で数匹の魚が元気に泳いでいる。隣には餌が置いてあり、餌やり表と書かれた紙には今日の朝の分の丸がついていなかったので丁度いいと餌を持って水槽をよじ登る。
途中で脚を何度か滑らせたが無事に登りきり満足感とともに魚に餌をあげようとした時。足音が聞こえてくる。
登るのに夢中になっていて聞こえてなかったのか、足音が聞こえてくる場所がもうすぐそこで今ここでぱかプチのふりをしても水槽の上ということもあってかなり不自然だ。
(あわわわわわ、どうしよう、どうしよう。)
ミホノブルボンのふりをしようとも既に授業に出席しているし、水槽の上でモードチェンジなんて出来ない。飛び降りようとも水槽から床までは距離があるため恐怖心が沸いてくる。
そんな感じであたふたしていると、水槽の上ということもあって足を滑らせてしまい浮遊感を感じるとともに床が急速に迫ってくる。
「にょわぁぁぁぁぁあああ!!!!」
「どうした!?誰かいるのか!?」
思わず悲鳴染みた声を出してしまうと、聞こえていたのか慌てた様子で誰かが部屋に入ってくる。
床にペタンとぶつかり、人形ゆえにダメージが無かったことにホッとしながら立ち上がって固まる。そういえばこの場には知らない人がいるはずだと。
恐る恐るその人がいる方向を見て、再び固まる。その人の見た目が普通じゃ無かったからだ。いつもなら吹っ切れて自己紹介をするところなのだが、今回は別の言葉が出てきそうになる。相手もオレの姿を見て似たようなことを叫びそうだ。
「と、『ト』が喋ってるぅぅぅぅううう!!!!」
「ぱ、ぱかプチが動いてるぅぅぅううう!!!!」
オリ主……ミホノブルボンとのトレーニングがとにかく楽しい。トレーナーにくっつくのも好き。この度許可が出たので抱きつきのレベルをあげる。
ニシノフラワーを心配してカバンに侵入したが後先を全く考えていないため、帰った後でどうなるか分からない。
ミホノブルボン……オリ主の影響でトレーナーからよく頭を撫でられるようになった。トレーナーに抱きついた時に少し安心感を感じるため、オリ主がトレーナーによく抱きつきに行く気持ちが分かる。
ニシノフラワー……カバンを開けたらドヤ顔のオリ主が入っていて、かなり驚いた。この後授業に出るのだが、オリ主がジッと待っているのか心配でソワソワしている。
ミホノブルボンのトレーナー……鍛えられたウマ娘を見ているだけなのにオリ主にスタイルが良い娘が好きと勘違いされていることを知らない。最近頭を撫でるとオリ主が止まることに気付いた。しかしミホノサンドの時だけは止まらないので結局我慢する羽目に。オリ主の影響で耐性がかなり上がっており、よくある女性に抱きつかれた時に自分の腕が胸にあたっているシチュエーションなどは無反応で対応出来るようになった。
ニシノフラワーのトレーナー……安心してください。被り物ですよ。中身は優しげな男性イケメン。ニシノフラワーに渡す花束を持ってトレーナー室に戻る途中で部屋から悲鳴が聞こえてきて急いで戻ればぱかプチが動いていた。
『ト』の被り物……被れば些細なことから担当のトレーニングを思いついたり、齧られたり蹴られたりしてもすぐに元に戻るオーパーツ。亜種に『T』があるらしい。
アグネスタキオン……新しい味を作る時は手間だがそれ以外は簡単に量産できるようにしたため、ほぼ無償でモルモットが増えてご満悦。
幻覚を見たと思っているアグネスデジタル……タキオンさん、暇な時に綿をこの液体に入れてほしいって言ってましたけどまた実験でしょうか?
最近はブルボンさんのカップリングが開拓されすぎて少し寝不足ですし、そのせいでとうとうブルボンさんのぱかプチが動いている幻覚も見ちゃいました。流石にそろそろ休みましょうか……。
オリ主豆知識……どのモードでも泳げない。水に入ると少しの間は浮かんでいるが、その後で静かに沈んでいく。溺れていると勘違いしたミホノブルボンのトレーナーが慌ててプールに飛び込んだ経歴あり。
Twitterとかのウマ娘漫画を読んでいると、別にぱかプチが動いてても不思議じゃなくね?って思うようになってきた。