テラでDJやってたけど感染したのでオペレーターになります。 作:ヘルメットのお兄さん
「あ、そうだ……ソーンズに今の状況について伝えた方がいいかな」
エリジウムが思い出した事を話すとオルフェが手をあげる。
「じゃあ俺が行くよ、正直火山噴火論とか話されてもわかんないし」
「あら、知っているじゃないですの?」
「え、マジであるのそれ?ごめん適当に言った」
『いつでも連絡できるようにはしておいてほしい』
「うん、わかったドクター。通信機はフリーにしておくよ」
という会話の後、皆と別れたオルフェはビーチに戻ってきていた。
「うーん……とはいえどこにいるんだろう、ソーンズってば通信切りっぱなしだから繋がらないし」
ふと、オルフェの鼻に肉の焼ける香ばしい香りが漂う。
「バーベキューでもやってるのかな、そう言えばまだお昼食べてなかったな……」
……
匂いの場所へ向かうとイフリータとカッターが屋台をやっていた。
「次のお客さんが来るまで少し余裕ができたね、今のうちに炭を足しておくね」
「おう! それじゃあオレサマは……ってうわっ!?」
「二人とも、バーベキューを売ってるの?」
オルフェが屋台の前に立つとイフリータが驚いて飛びずさった。
「誰だよオマ……いや待った! お前は覚えてるぞ! いつもロドスで音楽かけてる奴だろ!? デッケーから覚えてるぜ!」
「イフリータ、その人はN.Nさんだよ。N.Nさんも食べていく?」
「オルフェでいいよ、肉は貰っておこうかな……じゃなくて、二人ともソーンズを見ていない? 髪の毛がつんつんしたウニ君なんだけど」
二人はその人相に心当たりが無く首を振っていた。
「私は見ていないよ、待ち合わせはしていないの?」
「オレサマも見ていないぜ」
「そうかー……待ち合わせは俺じゃなくてもう一人がしてたんだけど、来れなくなったから伝えたかったんだよな……もう少し歩いて探す……うん?」
肉を貰い食べながらこの先を考えているとふとこの場には似つかわしくない黒服たちの足音が聞こえた、そしてそれから逃げるドクターとセイロン。
「おっと大変な事になってる。ごめんちょっと行ってくる!」
「? よくわかんねぇけど、行ってこい!」
「良かったら皆にもここを薦めておいてね」
ドクター達が黒服たちに追いつかれそうになった時、横からオルフェの飛び蹴りによって阻止された。
「ドクター、大丈夫?」
『大丈夫だ、手荒な真似はしないでおいてくれ』
「わかったドクター、いつでもやれる……あっ」
オルフェは腰に手を回すがその手は空を切った。
「しまった、今日はハンマーは置いてきたんだった!」
『ええ!?』
「お前も奴の仲間か!」
「いや待て、あいつの姿見たことがあるぞ。あれは確かDJの「禁句!!!」ぐはぁっ!?」
黒服の男達がオルフェについて知っていたようなので気づく前に腹部を蹴り飛ばし気絶させた。
「こいつ強いぞ! それにデカいくせに速ぇ!」
「こうなりゃネットラジオで覚えた徒手空拳を見せてやる、ドクターとセイロンには近づけさせねぇぞ!」
黒服の一人が棒を振りかざし殴りかかるがオルフェはリーチの差で足払いを先んじて仕掛けるとそのまま宙に浮いた相手を踏み潰した。
「
「ぐへぇぁ!」
「ええと……何て名前にしよう、そうだ、この音楽拳法に勝てる奴だけかかってこい!」
「一人で行くな! 全員で囲え! お嬢様の前にこいつをどうにかしろ!」
「よしそうだ、俺の方に来い!」
素早くオルフェがサインを送るとドクターとセイロンはその場から離れる。
複数の男がオルフェに襲い掛かるがオルフェは一人の蹴りを半身ずらすことで避け、そのまま背後から腰を掴むと逆さにされ叩き落される。
「
「拳法じゃ……ねぇだろ……それ……」
『その技名自分でつけたのか?』
「ちゃんとした拳法とか知らないし……」
その後もどちらかと言うとプロレス寄りなオルフェの格闘が続き最後の男がサバ折りで倒された後、セイロンとドクターから何があったのかを聞いた。
オルフェがソーンズを探しに出た少し後、ホテルの一室でドクター達はエイヤフィヤトラの見解を聞いていた。
《……以上が、頂いた情報から私が導き出した結論です》
「流石エイヤフィヤトラちゃん。通信機越しで40分も話すなんて……ドクターは理解できた?」
『結論だけは理解できた』
「本当? 流石ドクターだね」
「やっぱり僕がこっちにいる必要ないんじゃなかったの? 僕もさっぱりわかんないんだけど」
エリジウムが降参といった感じに両手をあげる。
「さすがエイヤフィヤトラですわね、わたくしですら学生に戻った気分になりましたわ」
「そういうことでしたの。流石専門家ですわね。あのデータをこのように読み解くなんて。ここでこんな素晴らしい知識が得られるなんて、全てノートに記しておくべきでしたわ!」
二人がエイヤフィヤトラとの考察に華を咲かせているのを見てエリジウムは
「(あー……オルフェが僕の任務を手伝ってくれたからこっちに来れたけど、任務しながらブラザーにAUSのサインでも頼んでおいた方が厄介ごとも無かったのかなぁ……)」
あり得たかもしれない想像をしているとセイロン達が方針を固めたようだった。
「それではいち早くこの情報をシティーホールに持っていきましょう。手遅れにならないうちに……」
「まさかシエスタの行政はこの時期にこれだけ大きなイベントを開いておいて、天災に対する備えが全くないとでも言うつもりですの?」
「備えどころか、天災が起きる可能性がある事すら市民は知らない筈ですわ、私のお父様は三か月前に新開発区画に出張に行かれましたから、あと数日は火山に帰ってきません。シエスタの事はお父様の秘書であるクローニンさんに一任されていますわ」
「ドクター、僕は気になるから火山に入って、エイヤフィヤトラの言う火山活動の原因ってのを確かめようと思うんだ、セイロンさんの方はドクターに任せていいかな?」
『火山に? 危険じゃないのか?』
「天災トランスポーターの仕事は、もともと危険なものなんだ、僕だって素人じゃないんだから安心して。通信を受信するのはホテルじゃないと難しいと思うけど、こっちはいつでも連絡を取れるようにしておくから」
「その事なら僕がなんとかするよ、通信は僕の得意分野だからね」
「それじゃあお願いしていい?」
「わたくしも同行しますわ」
火山に行こうとするプロヴァンスにスカイフレアは同行を申し出る。
「ええっ?」
「何か異存でもあるの? 貴方が重要な研究データを破壊してしまわないか、心配していますの」
「異存なんてない……そう言えばアーミヤにはこの件、言っておく必要はある?」
「必要ありませんわ、大したことではありませんし、ドクターが知っていればそれでいいでしょう」
「では決まりね。ドクター、資料を用意してくださいますか? 午後2時にシティホールへ向かいましょう」
「なるほど、それでクローニンって人に会ったのは良いけど全く信じてもらえず俺達がセイロンちゃんをたぶらかしたと思われてるのね」
「たぶらか……まぁ、そうですわ」
「というかドクター、その話を聞いている限り俺にはそのクローニンってのが明らかに怪しいんだけど。絶対なんかやってるじゃん」
『裏があるのは確かだろう』
「……」
セイロンは無言でいるがオルフェもドクターも何も言わなかった。
「ドクター、そしてそこのお嬢さんも無事なようで何よりだ……おっと、オルフェ殿も来ていたか」
「へラグさん、そっちこそ来てたんですか?」
「ご助力感謝いたしますわ。えっと……へラグさん?」
「ああ、ドクターと同じロドスに所属している。それとドクター、時間がない所すまんが、貴殿に伝えておかなければならない事がある」
「あー、へラグさん? とりあえずホテルに戻りません? 流石に座りたいよ」
「む……そうだな」
そしてホテルに戻った一行は、そこでへラグからの話を聞いた。
「つまり……そのシュヴァルツっていうセイロンのボディーガードが昔有名だった殺し屋って事?」
「そうだ、殺し屋として名が知れ渡ることは恥ずべきことであるとはいえ、彼女の噂はあまりにも有名だ」
「それ、多分セイロンちゃんは知らないよな」
オルフェの言葉にドクターは水を取りにいったセイロンが出た扉を見る、すると扉からコップの割れる音がした。
『セイロン!?』
「セイロン殿、隠れて聞き耳を立てなくともよい」
「わ、わたくしは、ただお水を皆様に……」
『……N.N、気づいていたな?』
「いやまあ、ずっと黙ってても多分どこかで気づくだろうし……隠してもしょうがなくない?」
「へラグおじ様、その傭兵は、いつから活動を始め、そしていつ姿を消したのでしょうか?」
「彼女の噂流れ始めたのは私が退役する前になるな。そしてその噂が途切れたのは凡そ一年前だ、例の一家の事件と共にな」
「…………六年前まで、シュヴァルツはヴィクトリアでわたくしの世話をしてくれていましたわ。ですがある日、突然お父様からの命令だ問言っていなくなってしまいましたの。その後は、毎年クリスマスに迎えに来てくれた時に顔を合わせるだけになって……ですが先程の彼女は、たまたま少し機嫌が悪かっただけですのよ。それにきっと誰かの命令に従っているだけ。何人も殺めた殺し屋だなんて……そんなこと、あるわけ……。しかも、貴方の言葉が本当なら、クローニンさんの後ろでお父様が糸を引いていると!?」
「セイロンちゃん」
オルフェがへラグに詰め寄っているセイロンの前に立つとセイロンは一歩後ずさった。
「す、すみません……ですが、そんなこと、信じられませんわ……」
「君が信じるか否かはどちらでも良い。ただ、彼女の身体に刻まれたウルサス式の武器による傷跡を私は見間違えはしない。あの部隊が……雪深くに葬られたのは間違いない」
「ドクター、その火山の発表を政府側が隠蔽してるんだとしたら……こりゃ無理に関わるべき話じゃないかもしれないぞ」
オルフェの言葉にへラグは頷き、セイロンへ向き直る。
「セイロン殿も、事実と向き合うべきだろう」
「わたくしは……少し……時間を頂きたく思います。その……冷静になるまで……」
そのまま部屋を出て行ったセイロンを見送るとオルフェとへラグはドクターを見る。
「さてドクター、貴殿の出番だ」
『はい?』
「はいって、あのまま放っておく気じゃないでしょ?」
「ああ、今の彼女には理解者が必要だ」
「ほらドクター行った行った!」
そのままドクターを送り出すとオルフェはへラグと話す。
「はぁー……ただの休暇だと思ってたのになぁ」
「しかし、そこまで悪い事だと思っていないだろう」
「あ、わかります? 年の功ってやつですかね」
「年の功か、年で思い出したがふと時々、オルフェ殿は年齢を偽っているのではないかと思う時があるな」
「へ?」
「悪い意味ではない。以前も貴殿はロドスの子供たちに音楽を聞かせていたが、その中の一つに毛色が違う曲があったな」
「え、まぁはい」
「子供たちにはあまり受けなかったようだが、私はその曲をどこか懐かしく思えたのだ。私がまだ軍人だった頃聞いた音楽を思い出した」
「うーん……考えても無かったですけど、そんなに懐かしさがありましたかね。一応あれロドスに来てから創った曲なんですけど」
「ああ、手法の一つがウルサスの古い曲によく似ていた。音楽家である貴殿にそれを言うのは失礼にあたるかもしれないが」
「いいですよ、芸術ってのは先人が生み出した技術を追い求め、それを超える事だと思ってるので」
オルフェがそう答えると、扉からセイロンとドクターが戻ってきた。
「おかえりー」
「どうやら、心の整理はついたようだな」
「はい、お二人とも、わたくしの話をきいてくださるかしら。どんな状況であれ、シエスタの市民が危険に晒されるのだけは避けなければなりません。わたくしにとってはそれが最優先事項です。ギャリソン遊園地の付近には、シエスタ市で最大の放送タワーがありますの。シエスタの放送システムは全てあそこで管理されておりますわ」
「放送タワー?」
「ええ、しかしあの一帯はクローニンさんの管轄区域でもあります。彼もよく市内全域へ向けた放送を行っていますわ。ですがライブの開始間際で人が集まってきたタイミングであれば、クローニンさんの部下たちも仕事で忙殺されているはずです」
「その時に放送局をジャックして、シエスタ全体に火山の警告をしようって訳だね」
「ええ、ですからなんとか皆様のお力添えを頂ければと思いますの」
直前までワンピース読んでたせいで技名がこんなになってしまいました
追記:三話、六話の若干の矛盾点を修正しました、多分違和感は解消されてる……筈です。