テラでDJやってたけど感染したのでオペレーターになります。 作:ヘルメットのお兄さん
「火山の向こう側に、こんな洞窟があったなんて」
シエスタの火山洞窟、そこでセイロン、プロヴァンス、スカイフレア、エリジウムの4人は奥へと進んでいた。
「……って、なんで僕も!?」
「何を言っていますの、緊急時ドクターと通信できる人がいないと困るでしょう」
「それに君の方向感覚はきっと助けになるよ」
「……わかったよ、こう見えても助手の経験は豊富なんだ」
「それじゃあみんな準備はいいかい? きっとかなり長く歩くことになるよ。僕たちの目的地は、この洞窟の一番奥にある」
「そうですわ、そろそろ詳しく説明を頂いても。今回の噴火は阻止する方法は何ですの?」
「ええ、これはわたくしとプロヴァンスが火山内部の探索を行い、その後エイヤフィヤトラが導き出した結論なのですが──まずはこの場所に生息するオリジムシの生態から説明した方がいいですわね……いえ、あれはカザンオリジムシあるいはヨウガンオリジムシと呼んだ方が良いかもしれませんね」
「ああ、もしかしてそう言う呼び方をするってことはカザンでも食べて進化しているのかい?」
「話してる途中ですわよ……ええ、見た目はオリジムシとほとんど同じですが、火山を巣穴とし、この場所に分布する特別な黒曜石を食料に、火山内部に深く根を張っている存在ですわ」
「火山の核付近にこのオリジムシ達の巣穴があり、そこがまさに特殊な成分が混じった黒曜石が大量に分布する場所になっていますの」
「なるほど、クローニンの採掘隊はそのオリジムシについていって黒曜石を見つけていたんだね」
エリジウムの言葉にスカイフレアは頷いた。
「そういう事でしたのね……確かに、一部の地域では生物の特性を利用した資源採掘がおこなわれているという資料を目にしたことがありますわ」
「人々はいつだって生物の行動に規則性を見出そうとするからね」
「問題はこの火山が前に噴火してから相当時間が経っている事、そして黒曜石にも限りがあるという事ですわ。行き過ぎた採掘は人々に影響を与えただけではなく、オリジムシの生息環境まで変化させた。それでオリジムシ達は暴走し始めたの。火山内部の異常は、オリジムシたちが新たな食糧を確保するために住処を開拓して暴れまわった結果ですわ」
「……自然からの贈り物に畏敬の念を抱かなければ、自然は必ず人々に懲罰を与えるだろう」。人が欲をかいて生態系を壊すと、必ずしっぺ返しが来るって事だね」
「では、わたくしたちはこれから何をしますの? まさか無理矢理溶岩をせき止めるなんて言わないでしょう?」
「まさか。強いて言うなら「この場所の主を落ち着かせるって事かしらね」。急ぎますわよ。さらに奥まで」
奥に進むにつれ温度は上がっていき、全員に汗が滲んできた。
「ますます熱くなってきましたわ……」
「これは噂の主に近づいてるって事でいいんだよね?」
「みんな気を付けて!」
プロヴァンスが警告をすると奥から虫が叫ぶような音が聞こえた。
「この音はなに? なんだか……凶暴な何かが……」
「凶暴なのはもちろんですわ。この虫たちの知能では単体で住処を拡張することなど不可能よ。となれば必ず特別な女王オリジムシが存在するはず。それがこの場所の主ですわ」
「……じゃあこんなにたくさんのオリジムシの中からその女王とやらを見つけ出さないといけないの?」
「いや……多分あれだと思うよ」
エリジウムが指さした先は、かなり先ではあるが目を凝らすとオリジムシとしてはかなり巨大な、歩く火山と言ってもよい程のオリジムシがいた。
それに三人も気づいた時、周囲が赤く染まりだした。
「溶岩が……!」
「みんな気を付けて! 近づいてくるよ!」
プロヴァンスが警告すると巨大なオリジムシは叫び、地面を融解させながらこちらへ近づいてきた。
「よく見て! あれ全部オリジムシだよ、火山の噴火を起こすには十分な数だ!」
「もう議論の余地はありませんわ。あれが目標に間違いありませんもの。あれの暴走を食い止め、進行ルートを変えてやれば市民が避難するだけの時間を稼げるはずですわ!」
「ちょっと待って! 僕達四人だけでどうやってあの小型火山に対処するの!?」
「戦うんですわ! 他に方法があると思って?」
「あんなに巨大なのがこの場で爆発したら、火山もすぐに噴火しちゃうんじゃないの!?」
「だから少し痛めつけて、大人しく巣穴に帰らせればいいんですわ!」
「ええ……」
「とにかく一発痛い目みせますわよ!」
『皆ー! 誘導の指示に従って避難して!』
「ドクター!」
避難民の誘導中、オルフェはドクターの元へ移動していた
『N.N、大丈夫か?』
「問題ないよ、長ズボンだから石を見られる心配は無いし避難も順調だよ」
オルフェは額の汗を拭うと火山の方を見る。
「エリジウムから連絡は来た?」
『まだ来ていない、けど信じよう』
「そうだね……あ! そこの人、避難場所はそっちじゃないよ!!」
「気を付けて!」
「ハァッ!」
「フンッ!」
エリジウムがオリジムシを斬りつけ、スカイフレアとプロヴァンスが遠距離から撃ち抜くがオリジムシの様子は外見からはわからなかった。
「少しは弱っているの? あの様子からは全くそう見えませんけど!」
「うあっちち!! 地面がやられたみたいだ!」
「溶岩に気をつけなさい! あいつ……どれだけの黒曜石を呑み込んでいるの!?」
オリジムシが叫ぶとその体から溶岩をまき散らし始めた。
「ちょっと可哀想だけど、僕たちも手加減している場合じゃないよね! スカイフレア!」
「ええ、わかりましたわ! 力を温存している余裕なんてありませんわね!」
「エリジウム離れて!」
プロヴァンスの指示でオリジムシを抑えていたエリジウムが飛び退くとスカイフレアは本気のアーツを撃ち込んだ。
「では、これでどうかしら!?」
オリジムシが先程よりも大きく叫ぶと他の小さいオリジムシたちが怒り出した。
「他のオリジムシたちが怒ってる……! わたくしが押さえますので、攻撃はお任せしますわ!」
「僕も抑えるよ! 本命は二人でやっちゃって!」
「しっぽ!」
「溶岩の隙間に見える弱点っぽい所を狙えそうだけど、あの大きさだから効果があるかは……でもやるしかない!」
プロヴァンスが集中し、精密な一撃をオリジムシに与えると大きな叫び声をあげるとオリジムシたちは洞窟の奥に逃げて行った。
「うまくいきましたわ! 洞窟の奥に戻っていってる」
「やった! これで都市も市民もしばらくは安全だね!」
「もう……虫一匹を片付けるのにこんな苦労をするとは思いませんでしたわ! おかげでわたくしのスカートもボロボロに……」
「お疲れ様! ドクター達への連絡は僕がとっておくよ」
エリジウムが通信を行うため火山の先に外へ向かうと、それにプロヴァンス達も続いた。
「フフ……わたくしももう立っているのが、やっとですわ。ですが、待っている人たちがいますから、街に戻らないと……うっ!」
足元が揺らいだセイロンをプロヴァンスが支えるとセイロンに笑いかけた。
「気持ちはわかるけど、立っていられない程の時は仲間の手を借りないとだめだよ。大人の女性ならそれもできるようにならないとね?」
「か、感謝いたします」
「皆! ドクターに報告はしたよ! それでN.Nが車を持ってきてくれるみたいだからそれで戻ろう!」
「では、子気味良く凱旋と行きますわよ。すぐに戻れば、余った時間でまだ休暇を楽しめるかもしれませんわ」
「……でも……この場所は遅かれ早かれ……」
「しっぽ?」
「あ、今行くから!」
そして、次の日。
「ドクター、今回は私も言わせてもらいます。軽傷とはいえ、皆さんが負傷してしまった件、それを引率していたドクターにも責任があります! グムさんが怪我の処置をしてくれましたが、海に入れば多少なりとも傷口に染みる筈です。本当に、皆さんを連れて遊ぶのはいいですが、はしゃぎすぎるのは……」
『水着がとても似合っているね。アーミヤ』
「そ、そうですか? これサベージさんが選んでくれた水着なんです……実はドクターが気に入ってくれるか、ずっと気になって……」
「……ああっ! 話をすり替えないでください! ドクター!」
『確かに今回はやり過ぎた……』
「そうですよ、へラグさんにも言っておきます! ドクターの監督を任せたのに、諸々見て見ぬふりなんて……何の契約も結んでいない状況下では、ロドスは他の都市の内部事情には干渉すべきではありません。もし面倒ごとに巻き込まれてしまえば、ロドスの境遇が悪くなるばかりか、深みにハマって抜け出せなくなってしまうかもしれませんから」
『実は、もう既に……』
「はい、もう知ってますよ。ダメじゃないですか。こんな危険なことして! ──盛り上がったファン達と揉めるなんて! ドクターももう少し大人になってください。好きなグループを応援するのもいいですが、他のファン達とも仲良くしないと。しかも喧嘩になるなんてもっての外です!」
『……? いや、我々は……』
ドクターが否定しようとしたときアーミヤは人差し指を口に当てる。
「(シーッ!)……とにかくもういいです! 今回の件はここまでにします! はい! 次からは気を付けてくださいね?」
『わかった』
「はい! ……ところで先程オルフェさんとエリジウムさんがソーンズさんに鬼の形相で追いかけられていたんですけどどうしたんでしょう?」
『さあ?』
「いやーしかし何とかなって良かったね! みんなの力が無かったら火山は止められなかっただろうし!」
「そうだね、怪我人もほとんど出なかったし良かった良かった。後は俺達がソーンズにボコられた傷が治れば完璧だね」
「お前たちが待ち合わせの場所に数時間も現れず気づけばフェス会場でスクラッチしていたからだろう」
「いやあれはスクラッチじゃなくてトーン・プレイ……あ、なんでもないです」
「まあいい、それよりオルフェ、一つ聞きたい」
「うん?」
ソーンズはビーチで泳いでいる人たちを見るとさらにその奥を指した。
「
「海? 海なんていつも見慣れて……ああ、そういう事。聞こえてるけど別に、俺は何とも思わないよ。俺は別に海は怖くないし」
「そうか……お前はエーギル人としては異質な気がするな」
「今に始まったこと?」
「……そうだな、それともう一つ、AUSというバンドについて知っているか?」
「エリジウムの好きなバンドだねぇ、それと会ったこともある。ただ、そうだね……あんまり好きになれなかった」
「そうか」
「えー? ちょっとオルフェ、ファンの前で好きじゃないとかあんまり言うものじゃないと思うんだけど!」
「ああごめん、否定してるわけじゃないよ。個人的な好みだから」
「もう、あ、そろそろ日が暮れるしホテルに戻ろう。市長さんが美味しいご飯を用意してくれるって言ってたんだ」
「それはいいね、炎国の料理とかあるかな」
三人がホテルに戻る直前、ソーンズですら聞こえない声をオルフェは聞いた。
『……O……lfhe』
「……ハッ、誘うならもっと旋律を覚えてから出直したら?」
オルフェは鼻で笑うと先に行った二人についていった。