テラでDJやってたけど感染したのでオペレーターになります。   作:ヘルメットのお兄さん

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10章来ましたね、まだ9章半分しかやってないんで急ピッチです。


特別強化特訓です

『中央ジャーナル、今月の試合スケジュール決定! 注目の対戦カードは期待の新星マリア・二アールVS……』

 

「やっぱり期待されているみたいだね、もしかしたら実力以上に」

 

 昨日のやり取りから一日後、オルフェはゾフィアから渡された地図を頼りにSound-Mによる案内で移動していた。

 

『オルフェ様、武器のメンテナンスは終了しておりますか?』

 

「勿論、楽器も武器も同じくらい丁寧に扱わないとね」

 

 オルフェは背中に担いだ大槌から響く重低音を感じながら目的地に到着する。

 すると聞こえてくる金属の弾かれる音から既に稽古が始まっている事に気づいた。

 

「ごめん! 遅れたかな?」

 

「いいえ、時間通り。ただこっちが早かったから先にやっていただけよ」

 

 オルフェがマリアを聴くと既に息が上がっており剣を下に下ろしていた。

 

「お、おはよう……オルフェおじさん……」

 

「おはよう、随分息が上がってるけど大丈夫なの?」

 

「だ、大丈夫……」

 

 元気よく答えようとするマリアだったがその声はお世辞にも元気とは言えなかった。

 

「まだ30分しか動いていないのに一度も反撃できなかったわね」

 

「だって片手で相手するって言っても、ゾフィア姉さんの剣は元々片手用じゃない!」

 

「全力だともう片方の手も使う事になるわよ? ……それじゃあ次は彼とやってもらうわ、早速だけど行ける?」

 

「いつでもいいよ、マリアちゃんは息整えてからね」

 

 オルフェは大槌を緩く構えると深呼吸したマリアもそれに合わせ剣と盾を構える。

 

「う……」

 

 マリアは改めてオルフェという人物の厄介さについて認識した、自身の身長は165cmと決して高いとは言えず、また先程まで剣の稽古に付き合ってくれたゾフィアも身長は同じ。その為早い段階で対格差のある相手と戦うという経験が出来るのは運がいいとゾフィアは言っていたが……

 

「(ちょっと……大きすぎない?)」

 

 後から知ったがオルフェの身長は211cmだと聞いた、普通そんな相手と戦う機会など無いだろう……

 

「いつでも来ていいよ、どう来るか見たいからね」

 

「……ッ!」

 

 オルフェの言葉に鋭い突きで返事するマリアだったがオルフェは体を捻るだけでそれを躱した。

 

「よっ!」

 

「うわっ!?」

 

 お返しと言わんばかりに繰り出された前蹴りは自身の繰り出した突きに匹敵しかねないリーチで思わずのけぞってしまう。そのままオルフェは大槌を使わず蹴りを主体とした攻めを仕掛けてくる。

 

「目を閉じない!! しっかり立って構えを崩さないで!」

 

 外からゾフィアの声が飛んでくるが今のマリアでは目を全力で見開くだけで精一杯だった。

 

「はい一本」

 

「うわっ……!? ……痛っ……!」

 

 盾越しに強く蹴られぐらりと揺れた態勢にオルフェはすかさず足先をマリアの膝裏に引っかけ、膝カックンの要領で転ばせた。

 

「うぅ……オルフェおじさんそんなに強かったの?」

 

「嫌でも戦ってれば自然と強くなるよ、それと俺と同じ土俵に立とうとするのは良くなかったね」

 

 同じ土俵というのが目をつぶってしまっていた事だと気づくと思わず声が詰まってしまう。

 

「ゾフィア、騎士競技ってハンマー使いもいるの?」

 

「そうね……騎士は別に必ず剣を使う訳ではないし、槍や槌だって当然いるわ。それよりマリア、次は私。続けるわよ」

 

「わ、わかった。でもあと30秒だけ待って……足が震えちゃって────」

 

「この程度で音を上げるなら、騎士競技なんか諦めた方が良いわ」

 

「うぅ……! わかった、やるよ!」

 

 そしてその日は最後まで二人に人たちも浴びせれずマリアは眠りについたのだった。

 翌日────

 

「はぁ……はぁ……ど、どう?」

 

「フラフラだねぇ、昨日の疲労も取れてなさそうだね」

 

「睡眠と食事以外の時間は……基本的に……ずっと動きっぱなしなんだもん。二人は……疲れてないの?」

 

「ライブってね? 会場によっては五時間六時間は平気で立ちっぱなしで喉枯らしながらやるんだよ、つまり俺は慣れてる」

 

「い、意外な音楽話が……」

 

「……マリア、団体混戦って知ってるかしら?」

 

 そしてゾフィアの説明曰く、騎士競技の中で最も注目される試合で、巨大な競技場で数十人が三人になるまで一斉に試合を行い、歴史上最も長い試合は一昼夜通して行われたそう。

 

「丸一日か……水無し栄養なしじゃやってらんないよ、俺だったら」

 

「なんて言うか……利益の為に無残に変わり果てた競技ってところ。でも悲しい事に、観客が喜べばどんな結果になろうと関係ないのよ」

 

「あー……つまりマリアちゃんにはこれから……」

 

「そう、少なくとも丸一日は戦い続けても疲れないくらいの体力をつけてもらうわ!」

 

「ま……丸一日!?」

 

 そして一週間後。

 

「ふぅ……今日はここまでにしよう、少しは成長したわね」

 

「ふあ──っ!!!」

 

 ゴロンと寝転がったマリアにゾフィアはすぐに立つように言う。

 

「動いた後寝転がらないの。少し歩いて、晩御飯わ何食べようかとか考えてなさい」

 

「わ、わかったよ。……うぅー足がだるい……」

 

「まぁ、足運びにまだ無駄が多いからね」

 

「レースは……望み薄ね。有名騎士団の中にレースに特化した選手が居たら私達に勝ち目はないわ」

 

「レースねぇ、種目説明聞いた限り装備依存の所もありそうだし……」

 

「その装備を手に入れる資金なんて無いわよ、スポンサーもいないし……」

 

「スポンサーねぇ……装備代ってどれくらいかかるの?」

 

「あっ! そうだ!」

 

 突然大きな声をあげたマリアにオルフェとゾフィアは驚いてしまう。

 

「な、なによ?」

 

「前回ジュークボックスを修理した時、マーティンおじさんがレストランのクーポン券をくれたんだった。晩御飯はそこにしようよ!」

 

「君ねぇ……確かに晩御飯の事を考えろとは言ったけど──―」

 

「そんなに怒らないでよ。私はただゾフィア姉さんを労わってあげようと思っただけなのに……」

 

「別に怒ってないわ。で、いつ出かけるの?」

 

「オルフェおじさんもくるでしょ? 折角みんなで外食するんだから……せめてシャワー浴びて服を着替えようよ?」

 

「わかったわ……でも帰ってきたらまた続きをやるわよ、気を緩めない様に」

 

「あ、俺汗かいてないからここで待ってるね」

 

「うん!」

 

 シャワー室に向かったマリアを見送ったゾフィアは考え事をする。

 

「何か不安でもあるの?」

 

「ううん、ただ最初は、あの子に諦めさせようと思って組んだ訓練メニューだけど、ついていくのがやっとだと思っていたのにまだ諦めようとしないのは誰に似たのかなって」

 

「それだけ本気なんでしょ?」

 

「……そうね」

 

 ゾフィアはふと、使っていない方の手でそっと剣の柄を掴んだ。

 そして剣が鞘から抜かれる前に、激しい痛みが彼女の動きを中断させ、軽く舌打ちをした。

 

「えっ……ごめん俺なんかした?」

 

「……あ、違うのよ? ただちょっと……」

 

 そして三週間後。

 

「あの三人は一体いつになったら現れるんだ? 休憩時間くらいこのバーに顔を出したっていいだろうに。全く水臭いぜ。それとも何か? 「秘密の特訓」なんてのが今の若い連中の間でも流行ってるのか?」

 

「……そんなものがいつの時代に流行ったんじゃ?」

 

「俺が若い時だ」

 

「や、お二人さん」

 

 コーヴァルとフォーの前に以前会った時とは違う出で立ちのオルフェが現れると二人は驚いたような顔をする。

 

「オルフェお前、それがお前のスタイルか?」

 

「そう、強そう?」

 

「そうじゃの、若い頃じゃったらわからんが、今じゃ受けるのが精一杯そうじゃのう」

 

「昔を持ち出して今の自分を守るなよ」

 

「なんじゃと?」

 

「喧嘩はいいから、ほら案内するよ」

 

 二人を鎮めると三人は中庭を通り訓練場に向かう。

 

「しかし……ゾフィアの庭はこんなに大きかったかの?」

 

「雑草だらけだな、湖畔の森の何倍もありそうだ」

 

「シーっ、そろそろ着くよ」

 

 オルフェが身をかがめると剣の音が聞こえてくる。

 

「ほう……基礎訓練か。一か月経ってまだ基礎を叩きこまなきゃならん状態なのか。どうやら試合はそう簡単にはいかなそうだな」

 

「……コーヴァル、本当にボケとるのはお主の方じゃな」

 

「は?」

 

「確かに一か月間、基礎をやっていたのじゃろう。じゃがマリアは没落したとはいえ、あの二アール家の末娘じゃ……まだ二アールの旦那とマーガレットがおった頃、あの子が「基礎」を練習しなかったはずがあるまい?」

 

「まぁ……そりゃそうだが」

 

「何が得意分野じゃ、何が社会的地位じゃ、そんなものを追い求めるなんぞ、下らん奴らのする事じゃ────」

 

「真のカジミエーシュの騎士とは! 基礎に励み、一心に武芸を磨くべきなのじゃ!」

 

 フォーの声と共に剣の音は一度止む。

 

「はぁ……はぁ……」

 

「止まるな! 悪くない剣勢よ、続けて!」

 

「でも……ほんとにもう……」

 

「あっそう。ならベッドで三日寝込む覚悟をしなさい!」

 

「──―ッ!」

 

 ゾフィアの剣に対し高速の逆袈裟斬りを放ったマリアはゾフィアの剣を弾き飛ばした。

 

「(口笛)」

 

「やるぅ!」

 

「逆袈裟斬りか? その割にはとても速い……急所も突いてる。これが特訓の成果かい?」

 

 いつのまにかマーティンが三人の傍に居り、今の一撃の分析をしていた。

 

「あんた、いつの間に来たんだ?」

 

「ついさっきだよ。ハハッ、この光景……まだマーガレットが居た頃を思い出すね」

 

「……君、さっきのは……」

 

「えっ? あれ? なんか夢中で……私がどうかした……あれ? ゾフィア姉さんの剣は?」

 

「……君に飛ばされたわ」

 

「えぇっ? 私に!?」

 

「調子に乗らないの! ちょっとマリアが可哀想だなと思って、一瞬隙を見せてあげただけよ!」

 

「へぇ、ゾフィア姉さんにも優しい所があるんだね」

 

「チッ──」

 

「まぁまぁ、おめでとうマリアちゃん」

 

「あ、オルフェおじさん。じゃあ……?」

 

「……ええ、騎士競技への参加を認めてあげる」

 

「ほんとに?」

 

「ただし、サポートとして私が全行程に同行するわ。君は騎士競技に関して生半可な知識しかないんだから……試合スケジュール調整やポイントの取り方、情報の分析、私達にはまだまだたくさん──」

 

「そこら辺はおいおいでいいんじゃない? 取り敢えず区切りはついたけど、訓練はまだ終わった訳じゃないでしょ?」

 

「えっ」

 

「だってまだ俺に大槌使わせてないじゃん? 今日は休んでもいいだろうけど明日は俺も大槌使うからね?」

 

「……」

 

「あっ、ちょっとそんなとこで寝ちゃダメだって! マリア!」

 

「やすませてください……」

 

「あぁもう……オルフェ、悪いけれどマリアをベッドまで運んでちょうだい」

 

「了解、ああそうだ……コーヴァルさん、丁度いいしこの子の剣見てあげてくださいよ」

 

「おっと、そうだな。任せな、新品より綺麗にしてやるよ」

 

 試合が始まるまで、あと数日────




追加されたモジュールざっくり見たんですが精密射手の再配置時間減少地味に強そうなんですよね、あと我らが光のモジュールも。
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