テラでDJやってたけど感染したのでオペレーターになります。   作:ヘルメットのお兄さん

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アークナイツ、アニメもイベントもやっててアツいですね。イベントもう終わるけど。次は危機契約ですね、友達の初心者には楽しいイベントだと伝えてます。


時間稼ぎを始めましょう

 十五名の騎士が同時に争う団体混戦、ポイントの変動が最も大きく今までの騎士競技では存在しなかった得点奪取の新ルールが観客に加えバーで観戦している彼らをも驚かせる。

 

「得点が奪われる……? 今までの団体混戦にそんな制度はなかったはずじゃ、それにそんなルールを試合直前に、後出しで追加するとはまともな運営じゃないのう!」

 

「どうやら協会の傍若無人ぶりを甘く見ていたようだ……これはいい兆しとは言えない」

 

「オルフェはまたあっちで応援か?」

 

「いや……私に連絡を残していったよ、なんでも外せない用事が出来たらしい」

 

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 オルフェは一人、商業連合会の本部に侵入していた。

 

「ぐっ……ダクトってなんでこうも狭いんだろうね……!」

 

『ダクトは本来人が通るように設計されておりません』

 

「バレない様にするにはこれが一番手っ取り早いんだよ……正面から入っても来る理由が無いし」

 

『確認の為再度質問いたしますが何故商業連合会へ侵入を?』

 

「あのモニークとか言った男、あいつはどういう訳か無冑盟の場所を俺に知らせた。理由は分からない、でも絶対何かがあるのはわかる。だから今一番怪しいここで調べ物をするんだよ」

 

『目的の更新完了しました』

 

 ダクトを辿る中、ふと下から話し声が聞こえて来た。

 

『──しかしチャルニー様、何故マリア・二アールをそこまで評価するのですか?』

 

「(マリア……?)」

 

『貴方は騎士競技をどのように見ていますか?』

 

『どのようにですか? ……そうですね、私は……はっきり言ってあまり好ましい目では見れません。かつての私は金や地位ではなく栄誉の為に戦っていた騎士に憧れていました。そういう意味で錆銅騎士は私は好きではありませんね』

 

『栄誉の為……そう、栄誉、栄光の為に戦う騎士。かつての栄光を取り戻すために若くして戦い続ける耀騎士の妹、彼女がもたらすものは大きいでしょう』

 

『申し訳ありませんが私の頭ではその言葉の真意に気づけません』

 

『栄光とはすばらしきものであり完璧無欠な存在。それは今も尚騎士各家の紋章にも刻まれている……残念ながら、カジミエーシュ人はそれを必要とはしていませんが』

 

 チャルニーと呼ばれた男が話していると扉がノックされる。

 

『失礼します、車の準備が整いました』

 

『おっと……では参りましょう、お嬢様への連絡は任せました』

 

『は、かしこまりました』

 

 そして人の気配が無くなるとオルフェはダクトの移動を開始する。

 

「あのチャルニーとか言う男、すっごい怪しい」

 

 ずるずるとダクトを彷徨うオルフェだったが、ある一つの部屋にたどりつく。

 

『……はぁ、疲れた』

 

「……! (あの少女だ)」

 

 銀色の髪をした少女は、その若さに見合わない辛そうな顔をしていた。

 

『まだ時間はあるか……三十分だけ、仮眠しようかな』

 

 少女は椅子にもたれかかるとそのまま寝息を立て始めた、そして五分もしない頃に

 

『プラチナお嬢様、少しよろしいでしょうか』

 

『う……何? 任務は今夜でしょ……?』

 

『いえ、新しい依頼の予定が来たので予め報告しておきます』

 

『何……、あんまり忙しいのは困るんだけど』

 

『もしもマリア・二アールが勝ち続けた場合、こちらの指示で競技場一帯を封鎖せよと』

 

『それだけ? ……なら今言う必要無かったでしょ……』

 

『連絡に不備があったら事なので』

 

『わかったわかった……めんどくさいなぁ……』

 

「……」

 

 オルフェはそれを聞き届けるとダクトを通り商業連合会から脱出するのだった。

 そしてホテルの一室。

 

「もしもしゾフィア? ああ、うん俺。団体混戦は……ああ、終わった? マリアは……へぇ、二位だったんだ。流石……え、要件? うん、ちょっと用事が出来て……それでしばらくそっちの応援に行けないかもしれないから皆にも伝えておいて欲しいんだ。それじゃ、ごめんね一方的で!」

 

 ガチャリ、と電話を切ると今度は別の番号にかける。

 

「もしもし、ああ俺だよ。うん、先月くらいにお前家の整理で没のライブ衣装発掘したって言ってただろ? あれ仮面で顔隠してなかったか? ────あ? ああ、ちょっと顔隠す用事が出来て……一週間以内に送る? ありがとう。住所は……」

 

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 数日後、その後のレースで二位を獲得したマリアは、成績とは裏腹に暗い顔をしていた。

 

「酷い顔色だ、嬢ちゃん。まだゾフィアと仲直りしてないのか?」

 

「……うん、おばさんは?」

 

「さっきまで入口をうろうろしてたんだがな。君のことを心配していたよ」

 

「そっか……あ、……オルフェおじさんは? おじさんも団体混戦からずっと姿が見えなくて……」

 

「ああそうじゃった……オルフェは用事が出来たらしくてのう、しばらく顔を出せないとゾフィアを介して連絡してきたわい」

 

「そうだったの? ……私にも連絡してくれたらよかったのに」

 

「ああ見えて彼も有名人らしいからね、引退後も仕事は多いのかもしれないよ」

 

 マーティンが言うとマリアはオルフェの事を思い出す、姉であるマーガレットの同僚だと言ったエーギルの大男。ゾフィアとは違った形でマリアをサポートしてくれたが彼自身の事はよくわからなかった、一度稽古の合間に実家にあった彼のレコードを聴いてみたがいい曲だな、という程度の感想だった。突然現れて戦い方を教え、突然いなくなった。それが昔読んだ困った人の前に現れる小人を思い出しふと笑みがこぼれた。

 

「……って小人じゃなくて巨人だよね」

 

「何の事じゃ?」

 

「あ、なんでもないよ」

 

 マリアが誤魔化すとバーの扉が開き新たな客が入って来たのを知らせた。

 

「おっと、新しいお客さ────ここはお前を歓迎しない。出ていってくれ」

 

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「──―現れないか……」

 

 ファイヤブレード競技場、そこでは現在マリア・二アールとブレイドヘルム騎士団の主将、”レフティ”タイタス・トポラの試合が行われていた。しかしオルフェはその試合を観戦していなかった。

 

「今日でもないか……クソ、重いんだよこの服……! なんで着れば軽いのに持ち運ぼうとしたらこうも重いんだよ!」

 

 背負った鞄の中身に悪態をつきながら競技場の外をうろついていると一瞬だが2人の無冑盟の姿が見える。

 

「……尻尾を出したか、いや競技場に向かってない? あの方向は……」

 

 オルフェは無冑盟の後をつけることにした。

 

「……ってつもりだったんだけどな……」

 

「お前、我々を付けていたな。何者だ?」

 

 オルフェが後を付けた先は下水道だった。そこで何かが起こる前にバレてしまい、喉元にナイフを突きつけられたオルフェは両手をあげていた。

 

「いやあ、ちょっと道に迷いまして……」

 

「下水道にまで迷うとはよっぽどの方向音痴なようだな」

 

「なんにもしないからそのナイフ降ろしてくれません?」

 

「我々を付けた時点で目的があるだろう、恨みはないが黙っててもらうぞ」

 

 ナイフが喉に触れ、そのまま貫こうとしたとき

 

「やあっ!!」

 

 二人の背後から剣が煌めき、無冑盟の一人を切り裂こうとしたが。

 

「ちっ、気づいたか」

 

「焔尾騎士の方だ、もう一人が来る前に先に始末しろ……?」

 

 無冑盟の2人は注意を外すべきではなかった、オルフェは2人の頭を掴むとそのまま腕力のみで持ち上げ

 

「フロアダンクシュ──ート!!!」

 

「「グハァッ!?」」

 

 彼らの装備を砕く勢いで地面に叩きつけた。オルフェは軽く腕を回すと焔尾騎士と呼ばれた少女に礼を言う。

 

「助かった、ありがとう」

 

「あたし何もしてないんだけど……貴方も感染者?」

 

「……うん? その声聞いたことがある、この前の団体混戦でマリアと戦ってた……」

 

 直後、オルフェが突然身を逸らすとすぐそばで砲撃が起きた、そして焔尾騎士の背後を向くと灰色の髪をした少女が火砲を構えていた。

 

「そこを動くな、動けばお前達無冑盟の……」

 

「カイちゃん、待って待って! もう大丈夫だから!」

 

「え?」

 

 灰髪の少女……グレイナティと名乗った少女は頭を下げていた。

 

「申し訳ありませんでした……」

 

「当たってないしいいよ、それより怪我してるみたいだけどなんでこんな下水道に?」

 

「無冑盟に襲われたの、いつもは大したこと無いんだけどちょっと数が多くてね」

 

「治療は……ああ、成程……」

 

 オルフェは話しながら気を失っている無冑盟の装備を漁る。クロスボウにナイフ、簡易的な拘束道具等暗殺に向いた装備だが片方が変わったものを持っていた。

 

「新聞の切り抜き……?」

 

 新聞を焔尾騎士……ソーナという名前らしい──―に渡すとソーナは怪訝な顔になる。

 

「これ、ユスティナの記事だ」

 

「ユスティナ?」

 

「今メジャーで注目されている独立騎士です、騎士称号も獲得寸前だとか」

 

「あれ、もう称号手に入れてたんだ。えっと遠牙騎士……か」

 

「こいつらがその記事を持ってるって事は次の標的候補かもしれないね」

 

「……彼女は確か感染者だったよね」

 

「ソーナ」

 

 グレイナティはソーナに無言でオルフェに目で指すとソーナも察した。

 

「……取り敢えず、こいつら(無冑盟)は私達が何とかするわ。貴方もここから出た方が良いわよ」

 

「そうするよ。君達も怪我はもっと清潔な場所で治すと良いよ」

 

 オルフェは二人と別れると競技場に戻る、そこの掲示板には既に試合が終わり。マリアの勝利で終わった旨が書かれていた。

 

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 小隊戦。

 二対二の騎士競技としては珍しいルール、マリアの次の試合内容だったが肝心な仲間がいなかった為ゾフィアの伝手で遠牙騎士を紹介した。

 

「マリア、怪我の調子はどう?」

 

「うん! だいぶ良くなったよ!」

 

「そう、タイタスとの怪我が治るか心配だったけどその言葉を信じるわ」

 

「……うん! ……オルフェおじさん、見に来てるかな」

 

「どうかしら……あれから連絡も繋がらないし何とも言えないわね……それにしても遠牙も遅いわ、時間にルーズな人ではあるけれど」

 

「別に間に合いさえすれば私は……」

 

「マリア様、マリア・二アール様。選手控え室で待機をお願いします。間もなく試合が始まります」

 

 二人の前に競技場スタッフが現れ試合が間もなく始まる事を知らせに来た。

 

「え、もうそんな時間? ……準備しなくっちゃ。先に言ってるね、ゾフィア姉さん」

 

「……ええ」

 

 マリアが控え室に向かったのとほぼ同時に、マーティンが険しい表情でゾフィアの元へ走ってきた。

 

「ゾフィア……? マリアは何処だ?」

 

「マーティンおじさん、どうしてここに?」

 

「あぁ実は────君達はもしかして遠牙騎士を待っているのか? それなら彼女は来ないぞ」

 

「どういうこと?」

 

「これを見ろ! 今日の競技新聞の一面だ!」

 

 マーティンが新聞をゾフィアに見せると彼女の顔色が悪くなる。

 

「えっ!? ……遠牙騎士が──失踪ですって!?」

 

「騎士ファンの乱闘に巻き込まれ、現在行方も生死も不明だそうだ。少なくとも表向きはそうなっている……」

 

「乱闘にって……百戦錬磨の騎士が失踪する様な乱闘なんて……待って、まさか」

 

「問題は、目の前に迫った試合をどうするか、だ」

 

「────マリアを棄権させなきゃ! ついてきて!」

 

 ゾフィアとマーティンはマリアの元へ、試合会場へ走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────もしもし、うん…………うん、わかった。リズ」

 

 それと同時刻、電話をしながら同じ新聞を読んでいる男が居た。

 

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 マリアは困惑していた。遠牙騎士が小隊戦の相方として来なかったこと? 相手の騎士が入場してきたと同時に静まり返った歓声に? 

 どちらも違う、マリアの思考を支配しているのは本来対戦相手だった筈のスノーウィヒール騎士団が居らず目の前にいる霧を纏い唸り声をあげる二人の騎士が相手だという事だった。

 

『それでは、試合開────』

 

 ────ビュンッ

 

「えっ────?」

 

 始──―という声が出る前にビッグマウスモーブが咄嗟に名付けた「凋零騎士」がマリアに向けて弓を射った。

 

「命中」

 

「ちょっ……! なんなの? いきなり──」

 

『ま、まだ開始合図の途中にも関わらず、戦いの火蓋が切って落とされました! 反則じゃないかって? もちろん問題ありません! 騎士が戦場に立ったその瞬間から戦いは始まっているのです! 二アールはこのいきなりの劣勢ムードを覆せるのでしょうか!? それとも、早々に降参し──(え? 本線では棄権を認めない? そんな無茶な……はぁ、仕方ない)この状況を覆す唯一のチャンスは、皆様の手に委ねられております! 哀れなマリアに賭けてください! ささやかな援助一つでも、彼女の勝利への踏み台となるかもしれませんよ!』

 

「この霧……アーツが妨害されて……傷が癒えない──痛っ!」

 

「ターゲットは……徐々に抵抗力を失っている。迅速に、殺せ。事故を装ってな」

 

「わかっている……」

 

 マリアは痛みを振り払い突破口を開こうと思考を巡らそうとする。

 しかし。

 

「(えっ?)」

 

『し、信じられません! 一体何が起こったのでしょうか……!? マリアの体が突然の爆発!! そして「腐敗騎士」が間髪入れずに追撃を入れてマリアを吹き飛ばした!』

 

「うぐっ────! ゴホッ、ケホッケホッ……血……? ど、どうして私のアーツが効かないの……?」

 

「マリア! 棄権するのよ、早く!! あっ──離して! マーティン!」

 

 鈍くなった聴覚の端で、マリアはゾフィアの声を拾った。

 しかしその言葉の意味を理解するには、マリアは血を流し過ぎた。

 僅かに残った思考力で凋零騎士の矢を避けるが足がもつれ転んでしまう。

 

「すぐに潰せ、頭を狙えば終わりだ」

 

「グオオ……つまらない試合だった」

 

「すぐにやれ!」

 

 腐敗騎士が、マリアの頭上に高々と戦鎚を掲げる。

 マリアは、それを見ている事しかできなかった。

 腕が痛みでままならず、何処に避けるか考える暇も与えてくれない。

 だがその痛みがマリアを苦しめる為に彼女の感覚を引き延ばす。

 

 

 

 そのまま

 

 

 死を迎える戦鎚が

 

 

 マリアの頭上に振り下ろされ

 

 

 

 

「グオオッ……!?」

 

 突然、腐敗騎士の体が土煙を立てて凋零騎士の傍まで吹き飛んだ。

 

『な、何が起きたのでしょうか! 私の目には何かが飛来し、腐敗騎士を吹き飛ばしたように見えました!!』

 

「何だ……?」

 

 凋零騎士が──―その仮面の下ではわからないが──―怪訝な仕草をすると土煙が晴れていった。

 そこに居たのは()()だった、金属の鎧は最小限しかついておらず、羽織るマントからは音声波形が絶えず表示されておりそこに実用性は皆無だった。

 目と口を隠すマスクを着けヘッドホンが顔を隠し手には音符がデザインされたかなり幅が広い剣を持っていた。

 

『ああ────土煙の中から現れたのは──謎の騎士!! まさか謎の騎士……『音響騎士』は突如腐敗騎士を吹き飛ばしマリア・二アールを守ったというのか──―っ!!? (おい! 今すぐあの代弁者の所に行って何がどうなってるのか聞いて来い!)』

 

 咄嗟に音響騎士と名付けられた乱入者は、マリアに触れると一つ大きな音がした。

 

「────あれ、アーツが使える……?」

 

 マリアは自身を治療しながら冷静になった頭で音響騎士を見る、意図的か大きく視線を誘導させるマントで体格を誤魔化している。しかし少なくとも190以上はあると思い、ふと今の今まで音信不通だった男を思い出した。

 

「……オルフェおじさん?」

 

 マリアが小声でつぶやくと音響騎士は一瞬硬直するが、マリアへ向けて飛んできた矢を認識するとすぐさま切り捨てた。

 

「………………誰だそれは」

 

 その声はボイスチェンジャーか何かで誰かわからなくなっていたがそれでもマリアはなんとなくわかっていた。

 しかし立ち上がろうとすると体に痛みが走る。

 

「治療に専念していろ」

 

 音響騎士は剣を片手で持つと凋零騎士と腐敗騎士へ向けた。

 

「さぁ──―時間稼ぎを始めよう」

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