テラでDJやってたけど感染したのでオペレーターになります。 作:ヘルメットのお兄さん
a.m.2:33 天気/曇天
ロドス本艦 廊下
「ふぅ…………いいでしょう! では、この報告書の提出を以て今回の外勤任務は完了となります」
「ええ」
バウンティハンタースカジ、彼女は現在ロドスに雇用されており数ある任務の内の一つを終わらせたところだったが
「って、待ってください……またですか!? これ、ほとんど真っ白ですよ!? ああもう……」
「そうだけど? 任務の報告でしょ。だから、そう書いたの」
「そ、それは……否定できませんけど……でも、もう少し詳しく書いてくれてもいいじゃないですか!?」
「詳しく……?」
首を傾げるスカジにロドスオペレーターは困り果てた顔をする。
「(どうしよう……この人、思ってた以上に厄介かも。あんまり話した事も無いのに、今回は私が担当になっちゃったし……チームリーダーがN.Nさんが取り次いでくれるから何とかなるって言ってたけど……そのN.Nさんは何故かいないし!)」
ロドスオペレーターが考えている間、スカジの感覚にあるものを察知した。
「(……潮の匂い?)」
「すー……はー……よ、よし。わかりました。ドクターにお目通しいただいた上で、任務の詳細について疑問点があれば、再度貴方に確認を……────」
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スカジは医務室へ走る、潮の匂いと共に聞こえてくる歌が消える前に。
聞こえる筈のない歌、彼女になじみ深い歌でもそれが普通は響くはずのない歌なのだ。もしかしたらあの男は知っているかもしれないがその男は今この船にはいない。
「スペクター!」
スカジは医務室のドアを開けた、しかし彼女を迎えたのは空のベッドだった。
「……これは、彼女の物みたいね」
床には金のネックレスが落ちており、彼女はこれを嫌って放り捨てたのかもしれない……しかし何かがおかしい。
少し頭が冷えたおかげかスカジは気づく、あれはスペクターの匂いではない。以前のスペクターに比べて、その匂いはあまりに濃く、あまりに冷酷だ。期待から冷静さを欠いたことを、スカジは自覚する。
「この辺りね。誰なの? 出てきなさい」
──アビサルだ。この匂いは、アビサルハンターのものだ。まさかまだ生き残りがいたなんて!
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結論から言おう、スペクターが連れ去られた。それもかつて死んだと思われていたスペクターの所属していた部隊の隊長、グレイディーアによって。
彼女の目の前で消えたグレイディーアは、イベリア語で唯一の手掛かりを残していった。
サルヴィエント。
スカジは真相を知るため、そこに向かう事にした。
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「ぐはぁ……」
道中スカジを襲って来たバウンティハンターを返り討ちにすると、スカジに声をかける人物がいた。
「スカジ。腕が鈍ったんじゃないか? 前までの君なら、あんな連中簡単に八つ裂きにできたと思うがね」
「私はそんな血生臭いことしないわ、ホセさん」
「どうだか。まあ、それなら君は変わったんだろうな。逃げるチャンスまで与えてやるとは」
情報屋、ホセ。
彼はスカジがバウンティハンターであった時から関わっていた知人だ。
「それで、わざわざ足を洗った君がここまで来たのは私を探すためかい? 何を求めてここへ来たのか、言ってみるといい」
「サルヴィエントに行きたいの」
「サルヴィエントに……? 君もか」
「まさか知らないなんて……君も?」
「四日前、楽器を背負った二メートルはあるだろう盲目の男が海の傍にある場所を探していたからサルヴィエントを教えたのさ。少し困りごとを解決してくれたからその礼としてね」
その男の特徴に当てはまる男をスカジは知っていた。しかし……
「オルフェが……? どうしてサルヴィエントへ?」
「さあね、彼が探していたから当てはまる場所を教えただけだが。宝探しが目的ではないようだったから警告もしておいた……それと、君の知り合いだったのか。目的は人探しか?」
「……人探しではあるけれど、彼ではないわ」
「そうか、だが探すなら地図は持ったか?」
そう言いながらホセは地図をスカジに渡す、スカジはそれを受け取ると
「役に立ちそうね、お礼に何をあげたらいいかしら?」
「お礼?」
「そういうものでしょ。情報には見返りが必要になる筈。貴方がくれた報酬の分は、あなたの欲しいもので返すわ」
「そうだな……あの時、君はファンの遺体を私の元へ連れ帰ってくれた。五体満足の状態でね。だから、これで貸し借りはなしだ」
「……ホセさん、本当にありがとう。もう行くわ。体に気を付けてね」
スカジは礼を言い、そのまま荒野を歩きだそうとすると
「待った! 死に急ぐつもりか!?」
「……何?」
「……なあ。君にこういうことを言う人、他にいないんじゃないか?」
「ええ、あまり」
「なら、誰かが君に行ってやらなきゃダメってことだな。では改めて問うが、君はバウンティハンターの服装のまま、イベリアの都市で堂々と歩きまわるつもりか?」
「本当に変わらないな、スカジ。どんなに語気を強めたところで、君からすれば大したことには聞こえないらしい。しかしな、その格好のままでは、国防軍に数十回は捕まるぞ! 連中を相手にしている時間なんてあるのか? 君の尋ね人はどれだけ待ってくれるんだい? イベリア人は三下のバウンティハンターほど楽な相手じゃないんだぞ」
「つまり……何か考えがあるのね」
「ああ、このハープを貸そう、まだ弾けるだろう。それと……こっちの服に着替えなさい」
「ハープに……変な服ね」
「君には馴染みが無くとも、イベリア人にとって馴染み深いものであればいいんだ」
「……」
「さぁ、今から君はさすらいの歌い手スカジだ。お行きなさい、歌い手よ。地図の通りに水路を行けば、そう何日もかかるまい。君なら出来るさ、エ-ギル人」
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──―???
苦しい──―
暗い────
────ここはどこだ?
────海の音?
「……ゲホッ!! う……お”え”え”ぇぇ……」
意識を取り戻すとすさまじい吐き気がした、口から零れるのは塩水と何かの破片。
「ここは……、どこだ……? ──―クソッ、sound-Mも無くしてる……」
体中が痛む、まるで内側から体をこねくり回されているかのような感覚。
「……洞窟? いや……なんだこれ、ここは……海の底なのか?」
周囲を
「海の底……何でこんな場所に……いや、海の怪物が来てもおかしくないのに何で誰もいない?」
理由は分からないが洞窟の外の怪物が何もしてこないのを感じた、謎が増えるだけだが幸いと思う事にし行動する事にした。
「暗いな……アーツで光らせることくらいは……
今、今更だが何故俺は
「目が……見える……ははっ、はははっ!?夢じゃないよな?」
変な笑いが漏れてきそうだったが兎も角明かりが欲しい、アーツユニットは無いが体の鉱石を使えば多少は……
「うん? ……アーツが出ない? ……はぁっ……!!」
気合いを入れたり、やり方を変えてみてもアーツが使える気配が無い、アーツを使おうとすると直前で栓がされるかのような感覚と共にアーツが不発してしまう。
「嘘だろ? アーツ楽器とかどうすりゃいいんだ……いや、今はいい。取り敢えず陸に戻りたいけど……外になんかいるし無理か」
唯一の出口らしき水の穴を覗き込むがうようよと冒涜的な怪物が泳いでいた、ふとその体を見てぞわりと背筋が凍る。待て、この口の中に残る食感は……
恐る恐る自分が吐いた位置を見る、そこにまき散らされた海水と何かの破片……その破片を見ると青く、生物的な肉片だった。
「うっ……」
再度沸き起こる吐き気と共にふらりと体が後ろに下がる、正気を失いそうだったが狂いきった現状にむしろ頭が冷えていくのを感じた。
「……俺は、喰ったのか。いや、喰わされたのか……?この目と体の痛みはそれか……おぇ……いや、生きてるなら何だっていい。ロドスに帰らないと……」