テラでDJやってたけど感染したのでオペレーターになります。   作:ヘルメットのお兄さん

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洞窟の遺物と審問官と

 あれから数時間、洞窟の中にいるオルフェは奥へと進んでいた。

 

「しくじった……目が見えるからって浮かれ過ぎた。まさか怪物達が潜んでるなんてな」

 

 オルフェの視界に映るのは怪物たちが何かに群がっている様子だった、オルフェが近づくと怪物はこちらに近づいて襲って来る。

 

「うげっ、マジかよ!」

 

 四肢の生えた魚の様な怪物がこちらに飛び掛かるとオルフェは反射的に腕を出し思わず怪物を殴りこんだ、するとまるで水風船をぶつけてしまったかのように恐魚は破裂し動かなくなってしまった。

 

「はっ……? うわっ……!」

 

 幾らなんでも脆すぎる、そして今の一撃で自分の体の変化を今更ながら自覚する。今自分はアーツが使えない代わりに異常な程力が張っている事、そして微かではあるが自分の頭の中で声がすることを。

 オルフェは思考の海に溺れそうになる所を目の前に迫った怪物に引き戻され、一先ず目の前の脅威を追い払う事にした。

 

「取り敢えず……どいてもらおうか!」

 

 様々な冒涜的な姿をした怪物を、砕く、蹴り飛ばす、殴り抜ける。アーツは使えないから肉弾戦で、しかし今までの戦い方よりも楽な戦闘だった。

 そして僅か数分の後、一人になったオルフェは怪物が群がっていた箇所を確認する。

 

「うえっ……気分悪い……」

 

 そこには恐らく人であったであろうものと、大事そうに抱えていた(ヒトらしきモノの形から推測した結果)2mはあろう非常に重い箱があった、オルフェは悪いと思いつつも箱を取り中を見る。

 

「中には何が……手紙? じゃないな、メモか……後は、手袋? これだけ?」

 

 オルフェは違和感を覚えた、箱の中身に対し重量が釣り合わない、というか箱の底が浅すぎる。よく見ると底に隙間がありそこを剥がすと中に楽器? が入っていた。

 

「ハープ……にしては弦が少ないな、いや待て、中にまだ何か……矢か、これ? って事は……形が変だけど弓?」

 

 ハープだと思っていた弓を改めてみる、全長は凡そ1.9mと言ったところか。弦は全部で10本、上手くやれば纏めて引き絞る事もできそうだ。試しに一本引いてみるがかなり硬い、一本なら問題なくで引けるが10本となるとかなり力を入れないといけなさそうだった。

 

「メモ……読んでみるか」

 

 メモを読む、そこには手袋と弓について書かれていた。

 

『対攻城用戦術弓(仮)について。

……対攻城用戦術弓(仮)は防衛戦等の大きく移動を行わない戦闘を想定した個人で運用する兵器である。専用の機械が必要な上、使用時の要求筋力が高くアビサルハンターでも限られた者しか扱えず開発中止となった』

 

 裏を見るとまだメモが残っていたらしく書きなぐったような字で書かれていた。

 

奴らにこれ以上知恵を奪われるな

 

「……貰っていいかな、墓でも建ててあげたいけど流石に無理だな……」

 

 弓を背負うとオルフェは洞窟を進み始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スカジは困惑していた、サルヴィエントで出会った住民はスカジに対し皆敵対的だった。唯一友好的な少女アニタに会うことが出来たと思ったら今度は妙に口うるさく喚く機械音声が聞こえてきたのだ。

 

『────て──―私は──────オルフェ様──』

 

「オルフェ?」

 

「どうしたんですか? 歌い手さん」

 

「声が聞こえたのだけれど、少し着いてきてもらえるかしら」

 

「え? う、歌い手さん?」

 

 言うや否やスカジは歩き始めてしまい、アニタは慌てて彼女を追いかけた。

 声のする方向に近づくと二人の男が何か叫んでいるヘッドホンを不思議そうに触っていた。

 

「うるさい、うるさい」

 

「鉄骨、黙らせろ」

 

『やめてください! 私はロドスへ連絡を取ってオルフェ様の救援要請しなければならないんです!』

 

「ちょっといいかしら」

 

 スカジはそのヘッドホンに見覚えがあった、先日から休暇だとロドスから離れていたオルフェの着けていたヘッドホンだ。スカジが近づくと男たちはヘッドホンを隠してしまった。

 

「だれ、だれ」

 

「よそ者か、お前にこれは渡さないぞ」

 

「それは貴方たちのものじゃないの、返してもらうわ」

 

 スカジがヘッドホンを指すと男たちは警戒を強めてしまった。

 

「歌い手さん! ……はぁ、はぁ……あれ、鉄骨にランタン、どうしたの?」

 

「木枠、お前よそ者と一緒に居てどうする気だ」

 

「ルール、ルール」

 

「大丈夫だよ、別にルールを破るつもりはないから……それよりその喋る……やつ、歌い手さんのものらしいけど」

 

「……よそ者、俺はいらないからお前にやる。だが、何か企んでいるなら容赦はしない」

 

「かえれ、かえれ」

 

 ランタンと呼ばれた男はヘッドホンをスカジに投げ渡す、スカジが受け取ったことを確認すると二人はこの場から去ってしまった。

 

「歌い手さん……二人は警戒しやすいだけなのれす。悪い人じゃないので……」

 

「……そうね、それより……貴方、確かオルフェのヘッドホンよね」

 

『私を離し……? その声はスカジ様ですね! 助かりました!』

 

「どうして貴方がここに? オルフェはどうしたの?」

 

『そうです! スカジ様、オルフェ様が消えてしまったんです!』

 

「何ですって?」

 

『オルフェ様は1週間前、サルヴィエントにやってきました。理由は里帰りの延長です』

 

「里帰り? 彼の生まれってここだったの?」

 

『いえ、こことは別の生まれでしたが昔何度か訪れたことがあるようで……そしてオルフェ様は軽くサルヴィエントを回ると、私を置いて教会に行きました。嫌な音がすると……それから戻ってきてません』

 

「教会……」

 

 スカジはこの街で唯一ある教会に目を運んだ、今の目標はスペクターの奪還とグレイディーアの目的の確認だが、オルフェが教会に向かった事と関係があるのかもしれない。

 

「歌い手さん、教会に行くんですか?」

 

「もしかしたら、友人がいるかもしれないの」

 

「友人……もしかして、すごく大きな人の事ですか?」

 

「! 、ええ、知っているの?」

 

「はい、そこの……機械の人が言ってた通りこの前大きな人が来たのれす。少し前教会に向かっている姿を見たんですが、それから戻ってきたのは見てないです」

 

 その言葉にスカジは嫌な予感がした、教会には何かがある……オルフェは先にそれに気づけたのだろうか。

 

「オルフェのヘッドホン、私は今から教会に向かうわ。貴方も持っていった方が良いかしら」

 

『お願いします!』

 

 ふと、スカジの目に奇妙な光景が現れた。

 離れたところで町中に散らばっていた人々が集まり始めたのだ、彼らは次々と同じ数字を呟きながら一つの缶を取り囲み、一人、また一人と缶の中から何かを取り出すと、黙って去っていった。

 

「あれは?」

 

「あっ! もう百だったんだ。数字の事を忘れていました」

 

「数字?」

 

「大人たちは潮が百回満ち引きしたらああやって一箇所に集まって一つずつ貝殻を取るんですよ」

 

 アニタは続けて話す、ほとんどは白い貝殻だが一つだけ赤い貝が入っていて……それを取ったものは夜海岸に行くと。

 

「すると、次の日には海岸一杯に食べ物があるんです!」

 

「海岸に行った人は……どうなるの?」

 

「海の中で暮らすんですって。そういうルールだって聞きました」

 

『……そんな事を信じているんですか?』

 

「ええと……だったら、その人は何処へ行くって言うんですか?」

 

 スカジとsound-Mが黙っていると突然ガラスか何かが割れたような音がした、それと同じくして、近くには細剣と拳銃らしきものを持った女性が立っていた。

 

「あの恰好は……審問官だ! 滅多にこないのにどうして……」

 

 アニタが困惑しているとスカジの視線にアニタは気づき慌てて解説する。

 

「えっと……以前審問官が来たのは何年も前で……私が小さかった頃なんです。街がめちゃくちゃな状態でたくさんの人が病気で倒れてました。そんな中、審問官が何人かを連れて行って、その人たちはそれっきり戻ってきませんでした……あ、えっと、ともかく、あれは審問官です」

 

「……そう」

 

「……歌い手さん、彼女を怒らせちゃいけませんよ。なんだか機嫌が良くないみたいですし……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行き止まりかよ、この洞窟……じゃあ可能性は目覚めた時の湖だけか……一か八か泳いで外に出れば……海岸にでも出れるか?」

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