マイティ・トール 〜ブリテン・フォーエバー〜   作:ぷに丸4620

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1400万605回目

『カマ―・タージ』

 

 

ネパールのカトマージにある何の変哲もない寺院。

いるのは格闘技の型の鍛錬をしている僧侶達。

 

それだけを見ればなんの少し変わった修行風景と言うだけなのだが、型を演じる僧侶達の手の先にはオレンジ色の光が灯り、幾何学的な模様を浮かび上がらせている。

 

また別の集団を見れば何やら輪が二つ繋がった指輪を左手指につけた者達がそれを前に掲げながら右手で空中に円を描いていた。

 

その円の動きに答えるようにみるみるうちにオレンジ色の光の線が空中にどこからともなく現れ弧を描く。

その輪の中に、目の前の風景とは全く異なる情景が映し出された。一人一人様々な風景が見えるがその内の1人の少女が描いた穴からは真っ白い風景が窺える。

 

円の中に見える白い風景。吹雪吹き荒れる雪山は映像の類かと思われたが、驚いた事に映像の中の吹雪が輪を通して吹き込んできのだ。

輪を描いた者がモロに吹雪の直撃を受け、溜まらず慌て始めだと思えばその光の輪は閉じ、吹雪は止んだ。

 

残るのは真っ白くなってしまった術者であろう少女。

咳き込んで寒そうにする彼女を見て朗らかに笑う者達。

 

これぞまさに異常。

 

あの光の輪の起こす現象は常識で測ればあり得ない事態のはずなのだが、近くにいた僧侶達が彼女に称賛の声を送るのみ。対する少女も気恥ずかしげである。

空間と空間を繋ぐという大偉業を前にして、そこに関しては全く動じない。

 

そんな、異常が日常となっているカマー・タージ。

 

それもそのはず。

 

何を隠そう彼らは魔術師という、奇跡を起こす者達である。

 

魔術。

 

カマータージでは別名ミスティックアーツと呼ばれるそれは、マルチバースと言う多元宇宙や別次元へと繋がり、強力なパワーを引き出すことで行使する奇跡。

 

先程の弧を描く光はゲートウェイ。

この星のみならず銀河を隔てた先の空間や別次元にすら道を繋ぐ魔術の一つ。

 

彼ら魔術師はその力を行使し、さまざまな者が想像しうるありとあらゆる奇跡を自由に行使する集団である。

 

 

とある世界にも魔術師と呼ばれる者はいるが、彼らのルールに乗っ取って語るのであれば、別次元へと繋がる事がスタートラインであると知れば発狂しかねないその魔術。

そんな彼らの目的は、別次元からの脅威に備え、世界を守る為に魔術を行使する事。

 

世界が違うが故に目的もその体系も異なる彼ら。

 

とある世界での魔術師の最終目的地、あるいはその目前に到達しなければなし得ない別次元への干渉を、基礎の一歩目とするこの世界の魔術師達は果たしてどれほどの異常なのか。 

 

 

――だがそれは果ては世界の為に魔術を使うという大いなる使命と、別次元からの脅威と言うリスクと引き換えに手に入れた力なのかもしれない。

 

 

そんなカマータージにて修行する魔術師達の中に一際目立つ格好をする者がいる。

 

細身の男性だ。

 

 

30代程だろうか、その顔立ちは整っており、わざと生やし整えられた髭は、どちらかと言うと髭などを生やそうとしない者達の多いカマー・タージの中では風変わりの様相を呈している。

 

なによりも違うのは、肩から広がっているマントである。襟立てられ、足まで届く程に長く赤いマントはフィクションにありがちな魔術師然としすぎていて僧侶達の中では浮いていた。

 

彼は今、カマータージのとある部屋で1人、空中に胡座をかきながら光幾何学模様の光をその手で摘みとりながら腕を振り上げ、虚空を描きながら何やら空中を見上げていた。

 

その視線の先には大小様々な光が灯っており、その様は宇宙そのものを想起させる風景だった。

 

 

 

「どうだストレンジ」

 

 

 

マントの男の後ろから先程のような橙色の光が弧を描く。

 

ゲートウェイの中に男が1人。

 

黒髪短髪のふくよかな男性だ。ストレンジと話しかけられた男とは違い、マントなどは付けていないがその法衣には様々な装飾が施されており、特別な立場の人間であることが窺える。

 

 

 

「ウォン。どうもこうもない、未だ状況はは変わらず。そこらの石ころでも見つめていた方が有意義だろうさ」

 

「アベンジャーズは?」

 

「解答は変わらない。ここ最近は連絡もない。ここのWi-Fiが故障してなければだが――」

 

「Wi-Fiは動いてる。さっきドラマを見ていたからな」

 

「……また、裁判友達とか?」

 

「ノーコメント」

 

 

ストレンジと呼ばれた男はなんとも言えない表情で空中の星々を刺す。

 

 

「ご覧のとおりまた力が発動した。力の波動もコードも同じ」

 

 

その言葉と共にストレンジが手を振り上げれば、宇宙空間のような何かに緑色の光が灯った。

 

 

「やはりこれはアガモットの眼――タイムストーンの力か……」

 

 

「間違い無い」

 

 

「ドルマムゥの時のように時間を繰り返させているのか。やはりコレは――」

 

 

「ヤツのためのマルチバースを渡る実験によってコードは計測済み。科学的な観点で見てもトニー・スタークやブルース・バナーの解答では黒だ」

 

 

言いながら緑の光に隣り合う赤い光を視線に入れる。

 

 

「……サノスを倒した後、キャプテン・アメリカーースティーブ・ロジャースが石を返しに行ったのとアイツが異世界へと帰る為に世界を渡ったのはほぼ同時期だった。世界を渡って奪いに行ったと言う事は?」

 

 

「別の宇宙で手に入れたと仮定する方が可能性は高いだろう。どちらにせよ良いことじゃない」

 

 

会話の間にまた一度光が灯る。

 

 

「こちらからコンタクトは取れると思うか?」

 

 

「無理だ。反応は掴めても無限にあるマルチバースの中でもさらに最奥の繋がるはずもない世界だ。ターミネーターの世界にジェダイの騎士はやって来ない。場所を絞るだけでもエネルギー不足だ。宇宙が生まれる程の莫大なエネルギー放出が向こうで起きれば別だが――」

 

 

その言葉を口にだした瞬間、異常と言うには弱く、無視が出来ない程に強い風が流れる。

それは果たして空気の循環によるものなのか。

 

 

「今、俺は予感のようなものが走ったんだが」

 

「よせ、口に出さないほうが良い事もある」

 

 

お手上げだと言わんばかりのストレンジ。

だが、ストレンジの言葉にウォンと呼ばれた男性は何かが引っかかるように顔を顰める。

 

 

「トールはどうやってタイムストーンを手に入れた? ヤツの世界にそんなものが無い事は確定済みだ。彼女と彼女の世界を確実に救う為の保険だとしても他世界からインフィニティストーンを奪うなどあってはならない事だ。下手をすると残りの――」

 

 

その先をウォンは口にしなかった。する必要も無かったとも、恐ろしくてできなかったとも言えるその反応に、ストレンジは頷きで返す。

 

 

「何にせよ、時が動いている以上アイツの望みは達成出来ていないと言う事だ。こちらに影響が及ぶ事はないが、認識できてる以上、他の世界よりかは繋がる可能性が高い。放置すべきか干渉すべきか……」

 

 

「マルチバースを渡る力。そうなってくると――」

 

 

「――スティーブン! ウォン!」

 

 

ガタンと、2人の緊迫した部屋の空気を破壊しながら、大きな音をたててドアが開かれた。

開いたのは1人の少女。先程吹雪が直撃した少女だ。

 

 

「できた! ゲートウェイで次元の扉を開けたよ! マルチバースのポータル程自由には出来ないけど――」

 

 

と、はしゃぐ様子を見せながら2人に近づくがその2人の深刻な雰囲気を察したらしい。快活な表情は収まり気まずそうなものになった。

 

 

「あ〜、お取り込み中?」

 

 

言われストレンジは空中にあぐらをかいたまま振り返る。

 

 

「構わない。もうゲートを開けたのか。やるじゃないか」

 

 

「ああ、どこかの誰かよりも早かったな」

 

 

「えへ、ありがとう」

 

 

2人の素直な反応が意外だったのか。訝しげな視線を送るストレンジと悪戯小僧のような表情をするウォンを尻目に、思いの外恥ずかしそうに笑う彼女。

 

それも束の間、その快活な視線はストレンジの背後にある赤と緑の点に関心を向けた。

 

 

「この点って何? 何かの信号?」

 

 

言われ2人は顔を合わせる。

ほんの少しの逡巡。

その後2人は頷き合い、ストレンジは口を開く。

 

 

「初めて会った時にマルチバースの話をしただろう」

 

 

「ビザを食べさせてくれた時の? あ、まさかこの信号ってお尻から蜘蛛の糸を出す人? 確かスパイダーマン」

 

 

「違う。スパイダーマンでは無いし、尻から糸は出さない。今のところな」

 

 

「それなら誰? あ、確かもう1人いたんだっけ?マルチバース関連の人。確か……フラッシュ!」

 

 

「まあ、間違いじゃない。君と同じ。異世界から来た男だ」

 

 

「この世界から出て行ったんだよね?元の世界に帰れたのかな?」

 

 

「さて。私達にわかるのはまだアイツが生きているという事と、今まさにタイムストーンを使用して何かを企んでいる事くらいだ」

 

「タイムストーン。時間を操る凄い石だよね。宇宙を滅ぼしかけて、救ってくれた石。魔術師達が守らないといけなかったもの」

 

「ああ、今アイツは時間軸を繰り返して何かを成そうとしているようだ」

 

 

それを聞いた少女は、驚いた表情を作る。

 

 

「そういう大事そうなこと私に教えて良いの? こう言うのってエライ人達だけで内緒にしておくのが普通なんでしょ? ドラマで見たよ」

 

 

「……君もテレビっ子か」

 

 

呆れた表情のストレンジにしたり顔でウォンが口を出す。

 

 

「アメリカ・チャベス。カマー・タージではやってはいけない事はあるが知る事は禁じられてはいない。遠慮は不要だ」

 

 

アメリカ・チャベスと呼ばれた少女はウォンの言葉に笑顔を向ける。

まるで家族のような3人のやり取りの中。

 

緑色の点の光が強まり、また収まった。

 

 

「時がまた戻された。乱暴な術式だ。時空を壊さない為の安定に寄りすぎて術者本人への負担がまずい事になっている」

 

 

「確かに奴は頑丈だが繰り返し過ぎればどういう影響が出るかわからんぞ。それは理解しているはずだ。」

 

 

「それって大丈夫なの?」

 

 

「いいや大丈夫じゃない。時空がねじれて時が狂ってしまう負担を体で受け止めている。言葉で言ってもそれがどれほどの物かは実質わからない、その負担はきっと身体だけでは収まらないはずだ。彼はタイムストーンを自由に操れるほどの力があるわけではない。()()()()()はいるが別の世界の魔術師である以上限界はある。ヤツ自身も、彼女もそれはわかっているはずなんだが……」

 

 

「なんでそこまで?」

 

 

言いながらもどこかで理解もしているような表情の少女。

 

 

「愛する者と愛する世界を救う為――」

 

 

一つの解答を口にしたストレンジ。疑問を投げたアメリカはその答えに複雑な表情を作り出す。かく言う彼女も、とある1人の人間の愛による行動をきっかけにこの世界にやってきた口なのだ。愛故の行動の尊さと愚かさを、彼女は経験している。

 

 

「……助けに行ったりはできないの? 私が手伝えば――」

 

 

「危険だ。下手に繋がればこの世界にどういう影響が及ぶかは分からない。それに世界の特定も困難だろう。情報はこの宇宙の大釜を応用した見取り図だけ。これを見て君はどこに行くべきかわかるか?」

 

 

首を横に振ってアメリカは困難である事を明示する。

 

 

「――でも」

 

 

彼女の納得のいかない様子は彼女自身というよりも、今目の前にいる彼らを気遣っているようにも見える。

 

 

「なに。アイツもある意味同期で…この星を護るために戦った仲だ。出来る限りの事はしよう。反応があると言う事はまだ無事だと言う事だしな」

 

 

ストレンジのその表情に彼女は笑顔を返す。

 

 

「ストレンジ。あいつは今何度目のやり直しだ?」

 

 

そんなやり取りの中、ふと繰り出されたウォンの問いにストレンジは何か運命めいたものを感じながら答えを返した。

 

 

 

「1400万605だ」

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

――人間牧場侵入の前日

 

 

記憶に確かに浮かぶ夥しい程の戦闘経験。

数えきれない程の人間や怪物達との闘い。

およそ自分の常識の外にある訳の分からない絵物語のような戦い。

 

思い出したそれは間違いなく確かなものだ。

 

これまで生き残れたのは、もとより強靭な肉体だけでなく、鍛え上げた故の頑丈さだったらしい。

所作、たたずまい。その全てに力がみなぎるのを感じる。

 

腕を枕にして仰向けに寝ながらとある録音を聞いていた青年。トールは、スイッチを切った端末を持ち上げる。その瞬間手に吸い込まれるようにその端末は消え去った。

そんな不可思議な現象にトールはなんの疑問も持たずに腕を上げ、右手にあるリングを見つめ。

 

 

「なあ、本当に俺の記憶は教えてくれないのか?」

 

 

まるでリングに対して話かけるように口を開いた。

何に対して話しているのか。独り言のように思えるそれは、実際はしっかりと相手が存在していた。

 

『言っただろう――』

 

 

リングそのものから音が出る。

 

そのリングは、まるで()()のように形状を変えていく。

 

 

『自分で思い出さなければ意味がないと……』

 

 

出来上がったのは女性のカタチ。

輪郭はあっても瞳が無い。形状だけを型どったヒトガタだ。その液体も色は銀に光っており、およそ普通の液体とも思えない。

 

そのヒトガタは掌の上に乗ることができるほどに小さかった。

 

 

「でも教えてもらえばそれがキッカケになって思い出す事が出来るんじゃないか? よくあるだろ? そういうの」

 

 

仰向けになっているトールの胸の上にチョコンと乗る彼女。小人故の儚げな雰囲気を纏わせながらも、背筋は伸び、威厳を感じさせる佇まいがあった。

 

 

『知ったところで()()()()()()()()()()としか認識できぬ。その認識は記憶を取り戻した時のノイズとなり得る。記憶が戻ったとしても一度自分ではない何かと言う認識を覆すのは難しいものだ』

 

 

「じゃあ俺とV2Nがどうやって出会ったとかも教えてくれないのか……」

 

 

「……知らねば信頼ができないか?」

 

 

どことなく、落ち着かない態度に訝しげな空気を全身に纏った小人の女性、V2Nと呼ばれるそれは、不満げに呟いた。

 

 

「いやそうじゃない。信頼はしてる。俺は君を信じきってるんだ。理屈じゃ無い、きっと魂とかそう言うレベルでの話なんだろう」

 

 

『……ふん、記憶を失ってもそういうところは変わらないな。であるならば何をそんなに浮ついている』

 

 

トールの言葉にどことなく、高揚した雰囲気を纏いながら問うV2N。

 

 

「さっきその女の子の見た目以外に、機械っぽい見た目になっただろ? それの姿とか名前のセンスとかあの世界の、いわゆるドロイドって奴らっぽい感じなんだけど」

 

 

『ほう?』

 

 

「俺の世界の事と、異世界を巡ってきたこと自体はなんとなく覚えてるんだ。だけどそれが本当の世界なのか、ドラマとか映画とかでみた物語の世界なのかの区別がつかないんだ。あの世界は現実でそこで出会ったとか無いかな?」 

 

 

『さて、どうだろうな?』

 

 

V2Nの返しに、仰向けになっていたトールは上半身を上げる。胸に立っていたV2Nは傾いた大地に臆さず、そのままトールの膝上へと着地する。

 

 

 

「なんだよ、教えてくれよ。実は俺も使えたりするのか?アレ……フォー……とかブオンブオンするやつとか……」

 

 

『教えないと言っただろう?』

 

 

「……どうすれば教えてくれる?」

 

 

『くどい。自分で思い出すしか無いと言ったろう』

 

 

「ちえーっ」

 

 

『普段しないような言葉を使うな。気色が悪い』

 

 

再び腕を枕にしながら仰向けに寝るトール。

 

 

「俺の力もこれが全部じゃ無いってこと?」

 

 

『ああ、お前の力はこの程度のものでは無い。だがそれも自分自身で思い出さなければ意味は無い』

 

 

「そこらへんが困ってるんだ。自分の強さは何となくわかってきたんだけど、思ったよりも動けなかったりするんだよ」

 

 

「それが()()と言うものだ」

 

 

言われ、何を考えているのか右手を上げ、自身の手の甲を見つめるトール。

 

 

「ふーん……まあ今の段階でも妖精に襲われても返り討ちにできそうだから良いか……」

 

 

『驕らないことだトール。妖精も人間と同じ。種族間でも力の優劣は存在する。余計な戦闘は避けなければ。特にこの國で騎士の称号を得ている類の妖精にはな。昼のようにそこかしこに喧嘩を売るな』

 

 

「わかってるけど、何か我慢ができないんだよ……」

 

 

『記憶の齟齬ゆえだろう。精神の我慢強さは経験に基づくモノ。だがそれを言い訳にするな、そこをどうにか抑えろ』

 

 

「でもピンチになったらなったで過去のことを思い出してスーパーパワー復活!なんて事もありそうじゃないか?」

 

 

『くどいぞトール。危機に陥った段階で、奇跡以外に頼るものがないなど愚の骨頂だ。その時点で命は無いと思え。』

 

 

「……わかった。喧嘩は売らない。なるべく戦闘にならないようにするよ」

 

 

『なるべくでは無い。絶対にだ。明日の人間牧場もだぞ?』

 

 

「わかったよ」

 

 

 

 

 

***

 

 

 

『そう言ったのに……』

 

 

「ムー!ムー!」

 

 

『何度も忠告したと言うのに……!』

 

 

「ど、どうしましょう。V2Nさん」

 

 

『何をやっているのだあの馬鹿は……っ!!』

 

 

人間牧場。

 

立ち並ぶ奴隷たちの住居の隙間に、2つの影があった。

 

1人はボロボロの蝶のような羽を生やした少女だ。

彼女は手に持っているリングに焦るように声を出す。

 

 

『記憶があろうがなかろうがこう言うところは昔から変わらぬ!』

 

 

「ムー! ママミメー!!」

 

 

リング、V2Nから出る激昂ともう一つの声にビクリとする少女、ホープの脇には帽子を被った同い年ほどの少女が1人。

猿轡をされ、手足を縛られていだ状態で横にさせられていた。

 

 

「ア、アルトリア……! その、V2Nさん、アルトリアを解放しちゃダメですか?」

 

 

『ならん、拘束してもこの喧しさだ。解放してサルのように暴れられても困る。』

 

 

「まめままむまーーー!」

 

 

『黙れ!! これ以上喧しくすれば奴らに場所が割れる! 見つかりたくなければ大人しくしろサルが!』

 

 

「まままももうまむむまいまん(あなたもうるさいじゃん)……」

 

 

『……やはりこいつをあの場に投げ飛ばすか。その隙にトールを回収する』

 

 

「もっ……!?」

 

「だ、だめですよ!!」

 

 

建物の隙間にて響く3つの声は、どういう理屈かまるで隠れている自覚がないかのように響き渡る。

だが、不思議なことに、広間の者たちはもちろんの事こと、周辺を散策する妖精達の耳にも届かない。

 

 

『……くっ、どうする……っ! 』

 

 

そのような不思議な現象を気にすることも無く。苦虫をかみつぶしたような声が聞こえる。

気付かれないまま声を出す銀の少女の視線の先。

そこには2つが重なり一つの巨大な影になっていた。

それは、巨大な女性に首を掴まれ、持ち上げられている青年の姿。

 

それは、青年、トールの敗北を語るには十分な情景だった。

 

 

 

 

 

 




ウォン:至高の魔術師、結構コミカル。

Dr.ストレンジ:主人公、この世界の彼は至高の魔術師ではない、巨大な力や才能を秘めており、マルチバースによっては世界そのものを滅ぼす力を持ってしまっていたり滅ぼしてしまっている事が何者かによって観測されている。

アメリカ・チャベス:マルチバースを渡る事が出来る少女。

*今作の彼らの設定はMCU版基準だがトールの存在によってマルチバースの存在を感知していたため、科学的、魔術的問わず、マルチバースに関して解明が進んでいる。
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