トラックに跳ねられ、気づいたら武器人間にされた件   作:兎の助

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皆様、お久しぶりです。お待たせしました

RE4のトレーラーを見てから執筆欲が沸いて、気づけばスラスラと書いてました。発売が楽しみですね

それと遅くなりましたが、本年も何卒よろしくお願いします


結局一番強く恐ろしい生物は人間だと思う

美しく整備された大統領府の中央ゲート周辺は、反政府軍とBOWの攻撃によってまさに戦場と化した。

 

攻撃の口火を切ったのはモスキートの持つ銃火器(AKMとPKM)の弾幕からだった。

75連ドラムマガジンを装着したAKMと100連のベルトリンクが装填されたPKMから放たれる弾丸の嵐は、眼前にいる兵士達の命を文字通り蜂の巣にした。

 

それを合図に残りのトラックに乗っていたリッカーと民兵達も攻撃を開始した。

 

「撃て!撃ちまくれ!!」

 

「東スラブに栄光を!!」

 

民兵達の士気は高い。それと相反して国軍兵士達は混乱の只中にいる。

 

「し、司令部!こちら中央ゲート!お、応答を!!こちらはテロリストの奇襲を受けて現在交戦中!!直ちに応援を!」

 

〔こちら司令部、敵の規模は?〕

 

「わからない!既に部隊には多数の死傷者が出てる!早く応援を…あ、あぁ!?」

 

〔どうした!?おい!中央ゲート!何があった!!〕

 

「ば、化け…化け物の大群が押し寄せてきてる!!く、来るな!来る…うわぁぁぁぁぁ!!」

 

〔中央ゲート!?おい、応答しろ!〕

 

リッカーの俊敏な動きに翻弄された国軍兵士達は次々とその鋭利な爪の餌食になっていく。

それでもゲート周辺の防備は固く、まだ容易には突破することはできない。国軍側は状況を打開しようとBTR装甲車を前に出してきた。

 

「撃ち続けろ!何としてもここを突破させるな!!」

 

「おい!BTRは何をしてる!?前に出してバリケードにしろ!!」

 

BTR装甲車の砲塔がゆっくりと民兵達に向けられ、そして14.5mm重機関銃が火を噴いた。

身を隠していたトラックは一瞬のうちに穴だらけのスクラップとなり、リッカーや民兵達の四肢はバラバラに吹き飛ぶ。

流石のリッカーの鋭利な爪も、BTRの装甲の前には歯が立たない。

 

そんな中モスキートは武器を放り捨てるとトラックの上から跳躍して弾丸を回避し、死んだ民兵のベストから手榴弾を一つ拝借。BTRに向けて走り出す。

 

「おい!あのドリルの付いた化け物を狙え!」

 

BTRの砲塔が今度はモスキートに向けられる。

するとモスキートは右腕の槍を近くに倒れていた国軍兵士の死体を突き刺すと、勢いよくBTRに向けて放り投げた。

死体は砲塔の視界を塞いでしまい、攻撃はモスキートには当たらず横を掠める。

その隙にモスキートは距離を詰め、車体の上に乗る。

 

「クソ!死体が邪魔で何も見えない!!」

 

「外に出て直接照準で撃て!!」

 

「化け物め!殺してやぎゅ!?」

 

兵士が砲塔のキューポラを開けて、外を確認しようとする。だが開けると同時に既に車体の上に乗っていたモスキートの槍によって体を貫かれる。

そして先ほどの手榴弾のピンを抜き、砲塔内に叩きこんだ。

 

「おい、どうした!?何が…あ」

 

車内に残っていた兵士は何が起きたのかも分らぬまま吹き飛び、BTRからは火の手が上がる。

燃え盛る装甲車を背にしながらゆっくりと国軍兵士達へとにじり寄るモスキートの姿に、彼らは恐れおののく。

 

頼みの綱とも言える装甲車を目の前でいとも簡単に破壊されてしまった恐怖と絶望から、兵士達は背を向けて逃げ始めた。

 

そんな彼らの背中を眺めながらモスキートは、先ほどの戦闘の振り返りをしていた。

 

(通常の軍隊や兵器相手なら銃火器を用いた戦闘で余裕で勝てるな。問題は対BOW戦闘のノウハウがあるプロ相手だな…。それに俺一人で戦うのも何かと面倒だし、俺もハイゼンベルクのようにゾルダートみたいな機械化を施した死体兵を作ってみるか…)

 

復習と今後の計画を立てつつ、彼は民兵達と共に大統領府内へと進んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

▼   ▼   ▼

 

 

 

ゲート襲撃から少し遅れてレオンとJDの二人も大統領府に到着した。

死体と瓦礫の山によって地獄絵図と化したゲート周辺の光景にJDは顔を歪め、リッカーの死体を見ながらレオンは呟いた。

 

「まさかお前が飼いならされるとはな」

 

相棒(バディ)は無事かな…」

 

「分からん。だがどの道、簡単には行きそうにないことは確かだ」

 

二人はそのままサーシャが向かったであろう建物内部へと侵入する。元は見事な装飾が施されていたであろう廊下も、今では無残な姿に変わり果てている。

窓ガラスは一枚も残さず割れており、大理石の壁や天井には無数の弾痕と血痕、そしてリッカーによって付けられた爪痕がある。

床の上には国軍兵士達の死体で埋め尽くされており、その凄惨さが窺い知れる。

 

「行くぞ」

 

慎重に廊下を進む二人。その時、目の前で天井から血が滴り落ちる。ゆっくりと天井を見上げれば、そこには二体のリッカーの姿が。

 

「…っ!んぐ!?」

 

JDが小さな悲鳴を上げそうになる所をレオンがすんでのところで口を押えて止めた。リッカーに気付かれないよう、小さな声で説明して落ち着かせる。

 

「(こいつらは目が見えない。静かにしていれば気づかれることはない)」

 

「(わ、わかった…)」コクコクッ

 

二人の横をゆっくりと素通りしていくリッカー。安心して進もうと歩き出したその時、レオンの足を何者かが掴んだ。

銃口を向けた先には、瀕死の国軍兵士の姿があった。

AKを向けようとしている所を見るに、どうやら最後の瞬間まで国に忠を尽くすつもりのようだ。

だが彼のうめき声によってリッカーに気付かれる。レオンは足を振りほどきながら叫んだ。

 

「悪いが今は付き合っている暇はないんだ、走れ!!」

 

「あぁ!チクショウ!!」

 

脇目も降らずに二人は走り出す。後ろから生きた死が迫ってきているからだ。

一体のリッカーが瀕死の国軍兵士に止めを刺している間にもう一体が近づき、そして飛び掛かる。

レオンはそこにカウンターでAKを構え引き金を引く。放った弾丸はリッカーの急所を貫いた。

 

もう一体が来る前に部屋に入ろうとドアノブに手をかけ開けると、その先にあったのは大統領執務室ではなく、巨大なエレベーターシャフトだった。

咄嗟に止まることが出来ずに二人は飛び込んでしまう。

 

「うわぁぁぁぁぁ!」

 

「JD!手を離すな!!」

 

 

レオンは瞬時に左手でドアノブを握り、右手からAKを手放してJDの腕を掴んだ。

目が見えていないリッカーはそのまま飛び掛かり、そしてシャフトの下まで落ちていった。

 

 

 

 

紆余曲折を経て、二人は地下五階に到着した。

元は核シェルターとして作られたであろう場所には大量の貨物用コンテナが積まれており、その奥には謎の巨大建造物がある。

大量のパイプやケーブルに繋がれている様子はまさしく異様だ。

 

「年代物のシェルターにしてはご立派だな…ん?」

 

その時、遠くの方から足音が聞こえてきた。

その音の主は天井の整備点検用の足場からコンテナ伝いに飛び降りると、謎の建造物へと駆け寄った。

 

その人物の名はエイダ・ウォン。

レオンとはラクーンシティ事件の頃からの知り合いであり、恋人とも戦友とも宿敵とも一言では表せない複雑な間柄だ。

 

「ふん、そんなに俺に会いたかったか?」

 

「バカね…」

 

「おいおい、アメリカのエージェントの次は謎の美人女スパイかよ!マジで映画みたいだ!」

 

「新しいお友達?」

 

「ま、そんな所だ」

 

「まぁいいわ。それより周りを見てみたら?」

 

エイダに促されるままに周りを見れば、異様な光景がそこには広がっていた。

謎の建造物の内部は無数の六面体のガラスケースが壁一面に埋まっており、その中には何かがプカプカと浮かんでいる。

 

「まるで蜂の巣だな」

 

「こっちよ、これを見て」

 

「これは一体何なんだよ…」

 

「プラーガよ」

 

「プラーガ?」

 

「生き物に取り付く寄生生物だ。お前たちの仲間や町の住民に寄生しているのも同じ奴だ」

 

レオンの説明にJDは驚愕の表情を浮かべ、ガラスケースから数歩遠ざかる。

エイダは中央の操作盤を操作しながら説明を続けた。

 

「従属種の培養は過去に何度もあったわ。でも…どうやらそこにあるものは支配種の培養に成功した初めての例みたいね」

 

「何をしてる?」

 

「お仕事よ、気にしないで頂戴」

 

「だから気になる」

 

「そこまでよ!」

 

その時、三人の周りを武装した兵士達が取り囲んだ。

黒い戦闘服に最新鋭のボディーアーマー、バイザー付きヘルメットを被りSR-2M(ベレスク)サブマシンガンを構えている。どうやら大統領直属の国家親衛特殊部隊のようだ。

 

そして兵士達の間から当の本人、スベトラーナが姿を現した。

 

「やはりこれが目的だったのね。それで?満足できた?」

 

「えぇ、おかげさまで」

 

皮肉に皮肉で返す二人。スベトラーナは視線をレオンとJDの二人に移すと、横にいる側近に問いかける。

 

「その二人は?」

 

「一人はテロリストのようですが、もう一方は分かりません」

 

「アメリカのエージェントよ」

 

「…わざわざご紹介ありがとう」

 

「アメリカの?」

 

「気を付けた方がいいわよ?あのおばさん、結構怖いから」

 

「なんだって?」

 

レオンがエイダの方を振り向いた次の瞬間、彼女は操作盤のスイッチを押して照明を落とした。

レオンとJDはAKを撃ちながら急いで走り抜ける。

 

特殊部隊も反撃で打ち返すが、同士討ちが起こってしまう。

照明が元に戻り辺りが明るくなると、エイダの姿は消えており、残された二人はスベトラーナを人質に取りながら後ろに少しずつ下がる。

 

「動くな!」

 

「あなた一体どういうつもりなの?誰に銃を向けているか分かっている?」

 

「あぁ、つまりあんたが…養蜂家(ビーキーパー)だ」

 

「ビーキーパーって?」

 

「プラーガを放った張本人さ」

 

その言葉にJDが固まった。

 

「お、おい。ちょっと待てよ!アタマンはブラックマーケットであの力を手に入れたって…」

 

「これは俺の憶測だが、恐らくそのブラックマーケットで流した業者はこいつが作ったダミー会社だ。政府軍と戦う力を欲しているお前たちにBOWを渡すためのな」

 

「でもなんでそんなことをする必要があるんだ!?敵であるはずの俺たちに?」

 

「恐らくBOWを売りつけ、お前たち反政府軍に『BOWを使用した凶悪なテロリスト』というレッテルを張り付け、国際支持を得たかったんだろう。そうすれば堂々と掃討作戦を実行できるしな」

 

「…じゃあ俺たちは、この女の手のひらの上でまんまと踊らされていたってことかよ!!」

 

怒りに震えるJDをあざ笑うかのように、彼女は小さく笑った。

 

「ふふふっ…やっぱり思った通り、何も分かってない。私はこの国の大統領なのよ!」

 

そう言うと同時に彼女は右肘で背中に突き付けられていた拳銃を叩き落すと、レオンの右腕を拘束する。彼は反動を利用して素早く左肘を叩き込むが、彼女はそれを腕でガードする。

 

レオンは掴まれた腕を振りほどき左ストレートと裏拳を繰り出すが、避けられてしまう。

彼は彼女の腹にタックルして裏に回ろうとするが、今度は彼女の右肘が迫る。

なんとかガードで防いで後ろから首に腕を回すが、これをスルリと抜け出すと逆にレオンの腕をハンマーロック*1で押さえつける。

 

レオンは拘束されないよう回し蹴りを行うが、すんでのところで回避される。

彼は彼女の頭に膝蹴りを食らわそうとするがこれもスルリと抜け出されてしまい、今度は腹に行うがこれも避けられる。

 

これは余談だが彼女は元軍の教官らしく、格闘術に長けている。その卓越した身体能力と格闘術*2で少し前にはエイダと互角以上にやりあっている。

 

瞬時に彼の右膝の裏に腕を回し右肩を掴んで後ろに倒すと、その反動を利用して後方に投げ飛ばした。

 

「うぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

投げ飛ばされたタイミングで今度はJDがAKの銃床(じゅうしょう)で殴り掛かるが、体をそらす形でこれを避けると右膝を彼の腹に叩き込む。

内臓が圧迫され胃の中のものが吐き出されそうになるが、JDはそれを堪えてアッパーカットを繰り出す。

 

だが当然の如くこれも仰け反る形で避けられ、逆に腕を掴まれ背負い投げの要領であっけなく投げ飛ばされた。

 

「エイダの言ったとおりだな!」

 

「この国の敵となる連中よ。殺しなさい!!」

 

その言葉を合図に後ろで待機していた特殊部隊が一斉に彼らに銃火を浴びせる。

二人は咄嗟に作業重機の裏に飛び込んで隠れた。

 

「チクショウ!なんなんだよあの女!?おい、これからどうするんだ!?」

 

「今考えてるところだ!」

 

その時、辺りに警報が鳴り響いた。それはエレベーターの接近を知らせるブザーだ。

無線機からは地上の兵士から悲痛な叫びが聞こえてくる。

 

《化け物に搬入口を突破された!そちらに向かっている!!っ!?うわぁぁぁぁぁ!!》

 

その無線を聞き特殊部隊の兵士達は二手に分かれ、エレベーターの出入り口を取り囲む。エレベーターが到着し、シャッターがゆっくりと上に上がると、その先で待っていたのは…モスキートだった。

 

「撃ち方始め!!」

 

姿を現したと同時に分隊長の号令によって一斉に弾幕が放たれる。おびただしい量の鉛玉がモスキートに叩き込まれ、火花が散る。

だがハイゼンベルクの手によって作られたゾルダートの一人である彼が、そんな生易しい攻撃で倒せるはずがなかった。

 

気づけば分隊全員が弾切れになるまで撃っても、彼が倒れることはなかった。

 

「…っ!?」

 

兵士達の間に少なくない動揺が走る。そして…

 

(終わりか?なら今度はこっちの番だ)

 

ドリルの高速回転を合図に、エレベーターの天井に張り付いていたリッカー達が一斉に襲い掛かった。

 

(さてと…第二ラウンド開始だ)

 

 

 

 

 

*1
相手の腕を相手の背中側に引っ張り、捻り上げる関節技

*2
システマと呼ばれるロシアの武術。徹底した脱力と柔らかな動作が特徴




自立行動出来て自我が残ってて銃火器を使えるBOW、なんか既視感あるなと思ったらもう既にネメシス先輩がいたわ
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