一月十六日、今日が、フェリスの誕生日、ダト……?
そんな、馬鹿ナ……と、今日になって知ったくそったれ作者ことワタシ。番外編。二二。
◆◇◆
──むかしむかし、あるところに閉じ込められているお姫さまがいました。
お姫さまは泣いていました。
そこはとてもさむくて、とてもかなしくて、とってもさびしいところだったからです。
ある日、お姫さまは夢をみました。
そこはのどかな草原で、やさしい風がふいていて、そこにはしらない男の人がいました。
つぎの日、お姫さまは泣きませんでした。
それを、お姫さまを閉じ込めているわるい人はよく思いませんでした。
わるい人はお姫さまにひどいことをしました。
それでも、お姫さまは泣きませんでした。
お姫さまは信じていました。
夢はかなうと信じていました。
するとお姫さまのところへ、しっている男の人があらわれました。
男の人は王子さまでした。
王子さまはいいました。
あなたと夢であって恋に落ちましたと。
王子さまはわるい人をたおして、お姫さまをつれ出しました。
その後、お姫さまはいなくなりました。
お姫さまはお妃さまになったのでした。
──信じれば、夢はかなうのです。
──……だから、ね、■■■■■■……あなたを助け出してくれる王子様が、いつかきっと来てくれるから……大丈夫……大丈夫……わたしはいつまでも……──
◆◇◆
「……ふぁ」
フェリスは目を覚ました。
夢を見ていた気がする。
どんな夢だったか、フェリスは思い出せなかった。
でも、声が聞こえた。
「………だれだったんだろう」
わからない。
でも、とても大切なものだった気がする。
「んー……?」
思い出そうとするも、しかし思い出せない。
小さく唸って考えていると、後ろから声がかかった。
「……フェリス? どうかした? まだ朝じゃないよ」
ユウだ。
フェリスを包み込むように抱えて休んでいる。
時間はまだ早朝で、日も昇りきっておらず、空気も冷えている。
フェリスはまだ寝ていた方がいい時間だ。
しかし、
「う~ん……目がさめちゃった」
「……いやな夢でも見た?」
完全に目が覚めてしまった様子のフェリスに、ユウは身体を冷やさないように身体を包みながら聞いた。
「ううん……でも、だれかが、お話してて……わからないの」
「……そっか……その人は、どんなお話してたの?」
「……んー、わかんない」
「ははっ、わかんないか」
「うーん……」
夢で誰かが話していた。
それが誰かも、何を話していたかも分からないようだ。
さすがのユウもそれではどうしようもない。
フェリスはモヤモヤするようで、うんうんと唸って考えている。
しかし、考えても答えは出ないだろう。
そう考えたユウは言った。
「じゃあ、まだ起きるには早いけど、たまにはお話でもしよっか」
ユウはフェリスの気を紛らわそうと、御伽噺を聴かせることにした。
もしかしたら何か思い出せるかもしれないし。
「お話!!」
フェリスはユウの言葉に食いついた。
ユウがフェリスにお話を聞かせるのはこれが初めてじゃない。
あの二人っきりの牢屋で、ユウは元の世界のことについて色んなことをフェリスに話して聞かせた。
フェリスはユウの話す物語が好きだった。
しかし、ユウと離されてから今まで聞く機会がなかった。
だからお話を聞けると知ってフェリスは嬉しかった。
「……」
一方、その反応にユウは若干動揺していた。
自分から言い出したものの。
(……元の世界のお話は、もうできないんだよな)
「……!!」
ユウはチラッとフェリスを見る。すると、
わくわく、わくわく、といったオーラ全開のフェリスがそこにいた。目をキラキラさせているフェリスに、ユウは少しだけ尻込みした。
ユウが話せる物語はもうそう多くない。
しかし、ユウにはこの世界に来てから覚えたお伽噺もあった。
「じゃあ──むかしむかしあるところに──」
「………」
ユウはお伽噺を語った。
それをフェリスは真剣に聞いた。
そのお話は、偶然か、運命か──フェリスが夢で聞いたおとぎ話だった。
「──どうだった?」
「………」
「フェリス……?」
話が終わっても、フェリスは黙ったままだった。
面白くなかっただろうか、という思考がよぎる。
内容はありきたりな御伽噺だった。
「………そっか……そうだったんだ」
「何か分かった?」
フェリスは何か得心がいったというように頷いていた。
そうして、
「ううん! なんでもない!」
そう言って、元気そうに答えた。
その答えに、ユウは思った。
──あ、やっぱり面白くなかったのかな、と。
「……今度は、もっと面白いお話考えておくね」
「──? うんっ! 楽しみ!」
元の記憶を取り戻さなければ、そう決意したユウであった。
そして、一方でフェリスは夢の内容をちゃんと思い出していた。
(──思い出した)
フェリスは夢で話していたのが誰だったのか、わかった。あれはフェリスの──お母さんだ。フェリスは覚えていない。しかし、彼女が三歳になるまでは彼女は確かに母親と過ごしていたのだ。
覚えていないなんて、フェリスは悪い子だろうか。でも、覚えていなくても──夢では逢える。だから、寂しくない。それに──。
フェリスは、『心』から溢れ出す温かい想いを、大切な人に伝えたくなった。
「ユウっ! ──大好き」
「……──僕もフェリスが大好きだよ」
そう言うと、ユウも答えてくれて、抱きしめてくれる。そうしてまた胸がぽかぽかと熱を生みだすのだ。熱くて、熱くて──とっても幸せ。
フェリスはユウが大好きだ。
フェリスはユウを愛している。
フェリスは寂しくない。
フェリスは世界で一番幸せだ。
フェリスにはユウがいる。
ユウはわたしの──。
──わたしだけの──王子さま。
◆◇◆
信じれば、
さぁ、あなたも妄想しましょ。
クルシュとフェリスと過ごした五年間のお話読みたいデスカ?
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ある程度
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そんなに
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それより話を進めてほしい
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どっちでもいい
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お好きにどうぞ