「知ってる天井だ」
今日も朝が来た。布団に潜り込んでいた清姫を簀巻きにしてマイルームを出る。
「あっははははははは!」
チヴィンチちゃんが楽しそうに廊下を走っている。また医務室から抜け出してきたのかな?元気そうで何より。アハハハハ。
騒がしかった食堂に入ると一斉に静かになった。うんうん皆ちゃんと早起きして朝食食べれて偉いね。さっきまで「死ね」だの「ぶっ殺す」だの叫んでたり、お皿とかテーブルが割れる音がしてたんだけど気のせいだったんだろうか。アハハハハ。
エミヤから今日のメニューをもらって、比較的損壊の少ない角の方に座る。真ん中の方とかなんかドロドロに溶けてて使い物にならないからね仕方ないね。思ったんだけどほぼ毎日テーブルとか椅子が壊れるからもう段ボールとかでいいんじゃないかな。今度新所長に提案してみよう。
「ねぇ」
「……」
いやー今日もご飯が美味しいなぁ!アハハハハ!ついつい食べる速度が速くなっちゃうよ。
「聞いているのかしら、BB」
「……なんです?メルト」
「いえ?ただちょっと前のあなたがなんて言ってたのかを思い出して欲しいだけよ?なんと言ってたのかしらね?ああ!そうそう!『お寝坊なセンパイは上級AIの私が管理しに行ってあげないといけませんね~♡』だったかしら!?お生憎様、あの人は一人でもちゃんとそれぐらいできるわ、だって私のアルブレヒトですもの」
「はぁ……見にくいアヒルの子風情が偉そうに。そんなにペラペラしゃべらないといけないなんてよっぽど自信がないんですね~」
「は?」
おっと、あまりに食事が美味しすぎてもう食べ終わっちゃった。この後レイシフトの予定があるから、ちょっと早いけどもう行こうかな。
食器を返却口に置くとエミヤが話しかけてきた。
「すまないねマスター。食事ぐらいはゆっくり取って欲しいのだが」
「いや別に大丈夫だよ、アハハ。器材の申請はいつも通り管制室に回しておいてね」
こうして話している後ろでも、怒声や食器の飛び交う音が聞こえる。またランサーが死んでるんじゃないかな、この人でなし!なんてね、アハハ。
「助かる。それとどうだろう、食事をマスターのマイルームで取るというのは。食堂だとどうも落ち着かないと思うのだがね」
「いやいや、僕は皆で食べる食事が大好きなんだよ。じゃあ、悪いけど予定があるからもういくね」
そう言って食堂を後にする。もし僕がマイルームで食べたりなんかしたら死人が出るんじゃないかなあ、なにそれ食事の場所だけで人が死ぬって面白いね、アハハハハハハハハハハハハハハハ。まあ、サーヴァントの皆は一回死んでるけど。アハハハハハハハハハハハハハ。あれ?じゃあ死ぬのって人間の新所長とかスタッフの皆?もしかして僕?アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ。
「あははっ、はは、あははははは」
そんなことを考えてたら、笑いながら壁に頭をぶつけてるチヴィンチちゃんに出くわした。なんか楽しそうで良いね!アハハハハ。医務室に連れて行くことにする。
医務室にチヴィンチちゃんを預けると、なぜか僕が問診を受けることになった。といっても、いつもの定期検診と特に変わりはなかったけど。まったく、こんな素敵な笑顔が出来るのにどこが悪いというんだろう?アハハハハ。
サンソンとナイチンゲールの話が漏れ聞こえてきた。聞きたくないのに聞こえてしまう。「……精神的な……」「メンタルヘルス……」「カウンセリング……」「正直……専門外……」誰か精神的に疲れてる人がいるのかな?そういえば、カルデアには外科医とか看護師とかの英霊はいるけどカウンセラーの英霊は聞いたことないな。……ロマアハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ。
……ふぅ。管制室に急ごう。何かしないと■れる。アハハハハ。
食堂を出たときには、結構時間に余裕があったのに、なんやかんや道草を食っていたら時間ギリギリになってしまった。というか10秒オーバーした。管制室から何かを壊す音がする。あーあ、今日も面倒、いや面白いことになるなぁ。アハハハハ。
「皆おはよう!ごめん!おくれちゃった!待った?」
挨拶は大事。古事記にもそう書いてある。ついでに謝罪も済ます完璧なムーブ。
部屋の中では今日の周回メンバーのアストルフォがモニターを壊していた。多分それ直すのめっちゃ大変だと思うんですけど。ほら見てよ、あまりの怖さにサポートのスカディさんがぴえんこえてぱおんこえてバブゥなことになってるよ。久々の出番で張り切ってきたとこにかわいそうだね。アハハハハ。控えにメイヴちゃん入れといて良かった良かった。
「あっ、マスターおはよう!ううん、大丈夫!時間ぴったりだよ!」
「んっ?そうだっ……」
「だってマスターが遅れてくるわけないもんね。僕バカだけどそれぐらい分かるよ。でもね、マスターが遅れてくるわけないのにこのモニターが変な時間を表示するんだ。マスターが送れたってね。マスターが遅れるわけないのに。じゃあこのモニターが間違ってるよね?間違ってるモノなんていらないよね?」
「イエス、マスター、遅れない。モニター、間違ってる。このやろう!モニターめ!だまされないぞ!お前が悪い!なめるなよ!」
何言ってんだ俺。
「うんうん、そうだよね!それとマスター、忙しいのは分かるけどもう少し早く来てくれると嬉しいな。僕マスターともいっぱいお話ししたいからさ!」
とりあえず満面の笑みと共に了承して後は控えのジーク君に相手を任せる。さぁこれでレイシフトが出来るぞ。
「なぁマスターちゃんよ」
おっと伏兵発見伝。いやーおかしいなぁ剣スロのはずなのになぁどう見ても一ちゃんがいるなぁとは思ってたんだけどね。壮大なイメチェンだったら良かったんだけどそんなわけないか。アハハハハ。ねえ、トリ公どうにかして。役目でしょ。
「大丈夫?さっきも医務室行ってたみたいだし。疲れてない?」
「アハハ、大丈夫大丈夫。まっ、早くレイシフト片づけちゃおうよ」
「……そうだな」
あれ、意外と素直。もしかして、剣スロに用事が出来て代わりに来ただけとかなのかな。いやーダメだね、人を疑っちゃ。三蔵ちゃんを闇討ちしたキュケオーンとかの前例があるからつい。一ちゃんに限ってそんなことないか。
レイシフト先では特に問題はなかった。カルデアでははっちゃけることが多い皆だけど、レイシフト先では命に関わるからかちゃんと言うことを聞いてくれる。なんかカルデアの方が命の危険を感じることが多い気がするけどね。アハハハハ。
「それ!原初のルーン!」
「きゃー!スカディすごーい。ほら!見なさい。アストルフォもあんなに早く動けるようになってるわよ!」
「凄いの?私凄いの?えへへへへ」
幼児退行したスカディさんがメイヴちゃんにあやされながらアストルフォにバフをかける。
「マスターちゃんに指一本近づけるかよ!」
アストルフォが蹴散らした残りを一ちゃんが切り刻んでいた。実に頼もしい。うんうん、これは問題ないね。勝ったなガハハ。なんてことを思ってたら流れ弾が飛んできた。あ、やっべ。
「「マスター!」」
とはいえ、この程度普段のフレンドリーファイヤに比べればなんのその。余裕で躱せる。
「「っの野郎!」」
うわすっげぇ。さっきまでも凄かったけど、なんか二人のやる気が爆増した。文字通り塵一つ残さない勢いで進軍していく。そのままボス格まで一気に殲滅した。なんか名乗りを上げようとしてたけど一切無視しての即殺。ちょっとぐらい話を聞いてあげても良かったんじゃないかな。
「マスター大丈夫!?」
「よーし!帰るとすんべ!」
こういうときに主導権を渡してはいけない。ダメ絶対。
カルデアに戻った流れのままに、ジーク君にはアストルフォを連れて帰ってもらう。ありがとうジーク君。姉の時もよろしく。
また、メイヴちゃんも帰ったので解散の雰囲気になった。メイヴちゃんサポートのスカディをあやしてるうちに変な扉開きかけてたけどうちにはスカディいないから大丈夫でしょ。さあ、一ちゃんも帰ろうとしたときに剣スロが駆け込んできた。問題を持ち込むんじゃないよ穀潰し卿。
「マスター!お怪我はありませんか?!」
「大丈夫大丈夫無問題、だからゴーホームランスロット」
「っ、貴公か?!あのような卑劣な足止めを仕掛けたのは!斎藤一!」
「オーケー、Be kool. クールになるんだ」
「円卓最強のランスロット殿ともあろう御人が、こんな木っ端の剣士に何の御用ですかねぇ」
「煽らないで一ちゃん」
「とぼけるな!私が管制室に辿り着けないようにしたのはお前だろう!」
「あっうん。もうレイシフトは終わったから帰ってもらって大丈夫ですよ」
「さて、何のことやら。ただ、時間すら守れないような奴がマスターを守れるはずがないと思っただけですよ」
「おっ今の守れないで掛けてる?うまいねアハハハハ」
「……マスター。剣を抜く許可を」
「ダメに決まってんでしょ、話聞いて?」
「へぇ、そっちの方がよっぽど分かりやすい。無敵の剣、見せてやりますよ」
あーあ、一ちゃんも乗っちゃった。どうすっかなぁ。さすがに管制室壊れると困るしなぁ。アハハハハ。
「ふむなるほど『人妻との禁断の蜜月~私の運命の人はあなたなの!~』ですか、ランスロット卿。お借りしても?」
トリスタン!?いたの!?忘れてた!
「トリスタン卿?!いや、これは……」
「えっ、おたく、よりによってそれに引っかかったの?」
「ちっ違う!私の部屋に頼んだ覚えのない興味深……不審な本が届いただけで!私のものではない!」
「ふむ、いつ届いたのかは分かりませんが、ここまで遅くなったならしっかり読んだのでしょう。その上で自分のものではないというならば、私がもらってもかまいませんね?ではマスター、失礼します」
そう言って華麗に去って行くトリスタン。去り際のウインクも忘れない。
「なっ、待て!トリスタン卿!くっ、マスター、私も失礼します。そして、斎藤一!この決着は必ず付ける!」
それを追っていくランスロット。うんどうぞどうぞ、シミュレーター内ならいくらでも喧嘩してもらってかまわないからね。いま確かシミュレーター半年待ちだけど。皆訓練好きで凄いなぁ。アハハ。
「はぁ、なんだか俺も白けちまった。まっ、別に本気にもなってないけど。じゃあ一ちゃんも帰るとしますか。じゃあねマスターちゃん……しんどくなる前に呼んでくれよ?僕だけはずっとマスターちゃんの味方だからさ」
じゃーねー、と、一ちゃんとも分かれた。さてなんだか疲れてしまった。シャワーを浴びて汗を流すことにする。マイルームのシャワーなら一人になれるしね。アハハハハ。
マイルームに入るとまずは誰もいないことを確認する。朝簀巻きにしたきよひーもいなくなっているので小太郎辺りが運び出してくれたかきよひー自身が抜け出したかしたのだろう。
とりあえず誰かがいる痕跡は見当たらなかったのでシャワーを浴びることにする。仮に誰かがいるとしても僕が気づけなければそれは誰もいないのと同じだしね。
シャワー室は数少ない聖域である。この前聖域の一つであったトイレは扉が破壊されて犯された。そんな聖域からでると静謐のハサンがぱんつくってた。アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ。SAN値ピンチ!
「おふぁまふぃふぇまひゅ」
「……なにしてるの?アハハ」
いや待て、決めつけは良くない。まだ静謐ちゃんはぱんつくってるだけである。パンツ食ってるわけではない。パン作ってるだけかもしれない。いやいや、複雑に考えるな。二者択一だ。まだ正常である可能性は残っている。どっちだ?そう二つに一つ。正常か異常か、つまり右か左か、男か女かっていうことだよな。男か女だったらやっぱり女を選びたい。
「ぅく、マスターのパンツをいただいています」
だめでした。
「アハハハハハハ、なんでそんなの食べてるの?おなか壊すよ」
「えっ、でも主食ですし」
「主食なの?」
「主食です」
「僕のパンツが?」
「はい、私にとってマスターのパンツが主食です」
主食かぁ。世の中には土食べる文化があったりするもんね。パンツ食べる文化があってもおかしくないよね。アハハハハハハハハハハハハハハハハハ。
「ごめん。疲れたからちょっと寝るね。パンツなくなったら困るからほどほどにしといてね」
「あっ、はい。あの、夜伽しましょうか?」
最後の言葉は聞こえなかったことにして眠りに入る。いやぁ!今日もいっぱい笑えて楽しい一日だったなあ!アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ。
─
「とまぁ、カルデアの生活はこんな感じかなぁ。アハハ。カドック、何か質問ある?」
「なんだこれ地獄か?」
笑っているからギャグだな!ヨシッ!