なりきりムーブしようとするけど結局素が出る… 作:アールスミス
私はお金がないのでスルーです。
「ヒイロ、お前には千束とのバディを解消してもらう」
先生から唐突に突きつけられた宣告。
頭が真っ白になる。
なぜ?
俺が何をした?
先の任務で何もできずに終わったことか?確かに、だがあの状況は俺たちが現着するまでにほぼカタがついていたはずだ…
「別にそんな険しい顔をするな。お前と千束のステップアップと言ったところだ。いつまでも二人でやるわけにもいかん。千束はリコリスだ。今のお前じゃあ立場が違う。3年前に9029を降りたお前とはな。もちろんバディを解消するからと言って別に千束と仕事をしないわけじゃない」
どうやら俺のが100%仕事でミスをしたということではないらしい。
「アイツには新人を任せる」
「新人?」
「ああ、こいつだ」
先生から資料を渡される。
そこには先日機関砲をぶっ放したセカンドリコリスの写真が映っていた。
目線を下に、まとめられた資料に目を通す。
「命令無視、単独行動……」
「お前にそっくりだな。いうこと聞かず。単独で動こうとする。まあお前に関しては育て上げたヤツの責任でもあるが…アイツ、向こう側で笑ってやがるんだろうな」
ぐうの音も出ないとはこういうことか…….
師匠から一人で戦い生き抜くことを専門に教え込まれてきたチームワークというのを全く知らなかったというのもあるが…
コイツも仲間や信頼できる人間を知らない口か……
「お前と千束のような関係よりも女同士ってのがいい時もある。お前にもソイツの面倒を見てもらうことになる。まあお前も部下の育成ってヤツを経験するべきだな。ヤツを見てお前に足りないものに気付ける場合もある」
そういう見方もある…か……
「わかった……」
「それに‥‥…」
もう1束資料が渡される。
「これは?」
「JBからだ……アイツはどっかに盗聴器でも仕掛けてんじゃないのか?ヒイロを条件付きとはいえバディ解消でフリーにした瞬間こんな資料送りつけやがって…それでなどうやらクシュリナーダが動いてるそうだ」
パラパラと資料に目を通す。
projectZEROの再開の可能性。
新薬epyonの存在。
「楠からの情報によればリコリスが数名行方不明になっている…断定はできないがコイツの仕業か……」
「狙いは俺か?俺へのメッセージか……」
「だろうな?安い挑発だ。乗るなよ?」
「仕掛けてくるのであれば潰すまでだ……」
一通り読み終えた資料を握りつぶしマッチで燃やす。
ナンバーズが来るのであれば当然epyonを使ってくる。
「ZEROが必要になるかもしれん……」
「2年使ってないんだろ?大丈夫なのか?」
「問題ない、おそらく2年程度では症状が緩和する程度だ。先生」
先生がため息をつく理由もわかる。
「心配しないでくれ、今度はちゃんと話す。千束にも……アイツも師匠の……シエスタの事をもう知らないわけじゃない…」
師匠の件についてはそこそこ踏ん切りはついているはずだ…
ジュリアとも千束とも命日には墓参りもしている。
「ならいいが…」
「調べるくらいなら俺一人でもできる。資料によればこの国にも小さな拠点を作りつつあるようだしな……」
「わかった…あまり無理はするな」
「了解した…千束にはもう?」
「いや?お前の方が納得した方が早そうだったからな」
まあ、確かに…千束は誰とでも上手くやれる。俺の方が問題か……
「さてとそろそろ起きろ、ミズキ」
先生と俺の傍には泥酔と書かれた瓶を抱きしめ眠りこける中原ミズキの姿がいた。
「なぁにぃ〜そう!千束にフラれた?アハハハ!じゃあヒイロはミズキお姉さんが貰ってあげる!黙って口閉じてればいい男よね。背は低いけど……まあ平均はあるし」
俺は、俺はフラれていない……
というよりこの女、最初から聞いていたな。
「寝言は寝て言え」
「ハァっ?何?行き遅れッ?よくも言ったわね?悪いのはこの口か?」
何故そうなる⁈一言もそんなことは言ってない…
「先生、しばらく……」
「ああっ……」
先生もドン引きしている事なので首筋に一撃。
中原はパタンと倒れる。
「千束が買い出しから戻るのが遅いな。迎えに行ってきたらどうだ?」
先生の気遣いだろう。甘えさせてもらう。
「了解」
店を出ていつも仕入れる商店街の方へ足を運ぶ。
しばらく歩くとそこには赤い和服を着た彼女がいた。
彼女はスマートフォンを見ているようでこちらに気づいていないようだ。
「持つぞ」
「えっ⁈うわっ!ヒイロ⁈」
うわとはなんだうわとは……
「注意散漫になってるな…」
「まあねぇ〜それよりもさ!それよりもさ!見てよコレ!コレ!コレ!」
千束は俺の顔にスマートフォンを押しつける。
近すぎて見えないがどうやら「食べモグ」のレビューページのようだった。
どうやらホールスタッフのことが褒められているようだ。
「これ私だよね!私だよね!ウハッー、私ってそんなに綺麗かな」
彼女は髪をかき揚げ横から覗き込むように微笑む。その微笑みは反則である。
「そうだな…お前のことだろう」
「だよね〜だよね〜」
スマートフォンを持ちながらくるくると回る。
なかなかな量を買い込んだな……
そうこうしているうちに店に着く。
「千束帰還しましたー!」
「戻りました先生」
店に着くと資料にあったセカンドリコリスの姿があった。
井ノ上たきな
「本日からコチラに配属になりました!井ノ上たきなです!よろしくお願いします」
「おお〜新人のリコリスぅ〜、あ!私は錦木千束!こっちのムスっとしてるのが風見緋色っ!よろしくぅ〜!」
「千束さん!よろしくお願いします!あなたのお噂は予々daでも聞かされています」
礼儀正しいのか硬いのか…
千束も同じ感想を抱いたのか、すかさず井ノ上の肩を組む。
「たきなかぁ〜幾つ?」
「16歳です」
「じゃあ私が一つおねぇさん〜」
スキンシップを眺めていれば先生が奥からやってくる。
「千束にはたきなとバディを組んでもらう。今日から相棒だ仲良くしろよ」
「え?」
その疑問は千束、たきなどちらが発したのだろうかすぐにわかる。
「ちょ、ちょっちょっと待ってよ!先生!じゃあヒイロは?私とヒイロのバディじゃないの?」
「バディ交代だ。今日からお前のバディは俺ではなく井ノ上だ」
「え?ヒイロはそれでいいの⁈」
キョロキョロと先生、井ノ上、俺と見ながら食い下がる千束。
そこまで食い下がってくれれば俺も満足だよ。
これはお互いのキャリアアップのためだ…
だから
「任務だからな。それにお前と任務をやらないわけじゃないから安心しろ」
「はーい…」
「なになにー?千束ちゃんもヒイロくんが恋しいんですかー?」
「あ?黙ってろ酔っ払い。オメェはさっさと旦那候補探せ」
中原撃沈。
口から何か見えたが言わないことにしよう。
「まあなんにせよ…チームでやるわけだから千束もヒイロもたきなも文句はないな」
先生が締めることによりこの場は解散となる。
まあバディ関係の問題で多少あったが千束と井ノ上の関係は良好そうだ。
俺は着替えるために更衣室へ上がろうとすると声をかけられる。
「あ、あの!」
「なんだ?井ノ上」
「い、いえ…」
「お前の大体の成績と最近の任務に関しては資料を目に通してある。アイツから学べ…いい機会だ」
柄にもないが…彼女の成長を願い言葉をかける。
射撃能力も申し分なしあとは状況判断力と倫理観が課題か……
「アイツと同じ言葉だが、歓迎する。これからよろしく頼む」
「はい!よろしくお願いします!」
こうしてリコリス二人と元9029兼実験体の物語が始まる。
「あ、それヒイロが淹れたの?私も飲む!たきなも飲もう!意外に美味くなったんだよね〜先生には劣るけど……」
ドタドタとカウンターに座り二人でコーヒーを飲む
「美味しい………」
井ノ上の感想に密かにガッツポーズを覚えたのはここだけの話とする。
まあ千束とたきなのバディは崩したくないんです。
緋色くんから見た、たきなは手のかかる妹分な感じですね。
もしかして1日で2話投稿した?うそだろぉ〜
シャイニングフィンガーはターンx派です。