俺「百合の邪魔をする奴は殺す(迫真)」   作:yakitori食べたいね

8 / 8
別にサボってたわけじゃ無いんだからね!
呪術短編ががなんか日刊にのってた


Eli, Eli, Lema Sabachthani?

 

 

 

「〜〜♪」

 

そこには一人の男がいた。

 

鼻歌を歌い、気分良さげに手元を動かす。

部屋の中には、爛々と輝くたった一つの照明だけがあり、点滅を繰り返していることから古い型であることがわかる。

男は私服のようで、特段珍しくもないジーンズと白い…いや、赤いTシャツを着ている。

 

 

突然だが昔から男は、スプラッター映画や、ホラー映画を苦手としていた。

人間の"死"というものを再現しようとしているその姿が気に食わなかった。

 

虚構の恐怖を作り出し、死を矮小化しようとするその姿勢は、軽薄の一言に尽きた。

プロットも、映像も、その全てが子供騙しのトリックのようで、ただただ酷く詰まらないだけの愚物としか思っていなかった。

 

ただ本物の"死"とはどれほど美しい物なのだろうかと、彼は次第に考えるようななった。

 

 

 

人は何故絵画を好むのだろう。

 

『モナ・リザ』『ひまわり』『星月夜』

 

挙げればキリがない程の名作の数々。

人はそれを求め、見たいと欲した。

それは、本能的な部分での人間の知的好奇心を究極に刺激するのが、美しさというカテゴリだからではないのだろうか。

 

美しい物を見ると己も美しくなる、という考え方がある。美しいと感じる魂は、同時にそれ自体が美しくなるという考え方だ。

 

つまり、人は美しい物を見なければいけない、感動しなければいけないのではないか。

 

と男は考えた。

ただ人は皆、感性が同じと言うわけではない。ある時は絵画、ある時は骨董品、景色や、映画。或いは人と人との愛。

 

様々なジャンルに分類される物を彼は見てきたが、そのどれもが彼に心から美しいと言わせる物ではなかった。

 

なるほど確かに綺麗だとは思うのだろう。

ただ、感想はその一言に尽きてしまう。

彼に興味を持たせるものではなかったのだ。

これ自体は別に現代において「おかしい」などと言われるものではないだろう。

 

 

 

ある日彼は一匹の雀の死体を見た。

冬の寒さで死んでしまった雀は、車のボンネットの上にくっついて剥がれない。

すると突然空から鴉が降りてきて雀の腹をちぎって持っていった。

 

ああ、勿体無いな。

 

と彼は思ったのと同時に、興味を持った。

雀の千切られた身体は、ピクリピクリと脈動する。肉体の反応でしかないそれに、彼は強い関心を持った。

 

小さな雀をボンネットから引きちぎり、その血で手が汚れることも気にせず掌の上に雀を置いた。

雀の眼は薄く開かれていることが確認できる。血に塗れた雀は、臓腑を溢して2度と動くことは無かった。

 

それが、今まで見た何よりも綺麗な物だった。

 

だから次は、自分で殺すことにした。

鳥、猫、犬、だんだんと対象は大きくなっていく。

 

そして運命の日、彼は初めて人を殺した。

彼女は、普段から彼の世話をしていた母親代わりとも言える人物だった。

 

そこからどんどんタガが外れ、今に至る。

 

 

殺人は罪だと、人は言う。

だが、この世には70億もの人が犇めいており、その途方もない人数の人間が数万という単位で生まれ、死ぬと言うではないか。

 

なら彼の手による殺人など重みというものは存在し得ないのではないだろうか。

1人の死がもたらす情報量は、取るに足らない1つの命を生かすことよりもよっぽど多くの得るものが彼には存在していた。

 

特段人を殺す、という行為自体が楽しいわけではなかった。

どちらかといえば殺害する合間に見せる感情や叫びの末期の様子が、彼は好きだった。

人生の縮図ともいえるものを観察することで、死やそれの逆でもある生に対しての理解を深めていった。

 

その脳に染み込んでいく経験と刺激は、彼を享楽的な日々の暮らしを営む、という目的の中に組み込まれることは必然だったのだろう。

 

それを彼も望んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────

 

 

〆月&日

 

仕事の話がめっきり少なくなった。

やっぱリコリス殺しすぎなんじゃ……

 

〆月☆日

 

まあまあ、最近行ってなかったリコリコにでも行ってみましょうや。

ってことでやってきましたリコリコin冬

 

……何かミカさんには幽霊見るみたいな目で見られるしタキナちゃんは元気無いしチサトちゃんもどこか暗いし……

 

ちゅらいね。

 

〆月$日

 

またまたまたもやリコリコに参上、三乗、見た目は惨状なんつって。

キレそう。

 

〆月○日

 

また1週間ぶりにリコリコ来店すると何かタキナちゃんもチサトちゃんおらんくて草。

何でや…?

 

え?2人でデートですか?

最高ですね。割り増しで支払います。

え?だめ?札束ごと置いてっちゃうもんねー!

 

〆月*日

 

ミカ-サンにガチ説教喰らった。

流石にはっちゃけすぎたか。反省反省。

 

…で、タキナちゃんどこやねん。

え?やめた?

 

 

 

 

 

マジ?

 

〆月€日

 

今世紀最大のショックで朝昼晩しか飯が喉を通らない……

まあ最悪食べなくても死なないけども。

毒食っても死なないし。

最強か?この体。

 

最強だったわ。

 

〆月◎日

 

気を取り直してまた来店したらやっぱ全体的に空気重い。

スペシャルパフェも重い。

 

〆月♪日

 

真島が吉松とかいうやつを拉致したらしい。

アラン機関の人間…?

 

……あー…テレビのアレか。

才能云々のやつ。真島とチサトちゃんが持ってるペンダントの人。

 

もしかしてすごい人?????

 

〆月〒日

 

ふむふむ……取り敢えずあのどでかいスカイツリーの偽物みたいなやつをぶっ壊すのね。

いいね、楽しそう。

 

んでもって東京中に銃をばら撒く(激ウマギャグ)と。

楽しそう!いいね!

 

準備に時間がかかる?学校やめるか!

ついでに急に学校辞めると怪しいから家も売り払っとくか!

 

細かいところ?ロボ太やっとけ、お前それが仕事だろ。

 

クソ喚いてたが「うるせぇ!やれ!」でやってくれた。

優しいね。

 

〆月×日

 

計画実行数日前!リコリコ、閉!店!

 

マジで?普通にショックなんだが。

何?元から終わる予定でたきなは先に辞めただけ?

 

マジかよ。

 

つら…鬱になりそう。

ロボ太いじめよ

 

〆月#日

 

決行当日!頑張ろう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────

 

 

 

 

「吉松…何か見たことあるんだよなぁ……」

「ハッ、お前も案外アランチルドレンだったりしてな!」

「ないないないない」

 

手を振って返す。

アラン?ないない。あんなキッショい組織になんて所属したことない。

したく無い、認めたくない。

 

鳥肌立ってくる。気持ち悪りぃ!!

ってかリコリコ閉店したせいで俺の精神ボロボロすぎて逆に上がってるぅ!!

 

 

真島がリモコンを操作して画面を動かす。

そこには錦木千束の個人情報、来歴、そして心臓の秘密などが羅列されていた。

 

 

「ほーん……心臓ね。お前らの関係は大体把握した。悲しい勘違いだな。お前も罪なやつだ憧れのヨシさんがこんな奴だったと知ったらさぞかしがっかりするだろうなぁ」

 

煽る様な表情で真島が言う。

俺は手元のUSBをペン回ししながら話を聞いている。

 

 

 

「奴に同情するぜ。ま、お陰で俺は電波塔で命拾いしたわけだが」

『だから忠告したんだアラン機関!僕は裏切ったわけじゃないぞ』

 

スピーカーで発せられるスマホ越しの音声が裏切ってはいないことを必死に伝えている。

 

「でもよ思い通りにならなかったからって手を出すのはアランのルール違反だろ?お前大丈夫なのか?」

「彼女が道を違えたのは私のミスだ。責任を果たす」

「なら俺も殺すか?」

「君は優秀なチルドレンだよ。銃は千挺で足りたか?」

 

真島は苛立ったように乱雑に置かれていた缶を弾き飛ばしながら吉松に銃を突きつけた。

 

 

「恩着せがましいな…俺も奴と同じだぜ?思うままに生きてる。だから思うままにあんたをぶっ殺すかもしんねぇ。いいのかそれで」

 

その時、俺はすぐに分かる。

殺す殺すと言ってる時は、あんまり殺す気がない時だ。別に殺してもいいけど殺さなくてもいい。

俺も殺す…なんて基本言わないからな。

そこら辺は理解してる。

 

が、銃を突きつけられた側の吉松は曇りなき眼で真島を見つめながら喋る。

 

「アランの理想を果たせるならば、命だろうと捧げてみせるよ」

「……ハッ気色の悪いったらねぇぜ」

 

正直これには俺もドン引きした。

アラン機関は宗教団体か何かなのだろうか?

それもかなりタチの悪い洗脳とかするタイプの宗教。

 

まじこわ………

 

「お前らDAと同じだわ。コソコソ隠れて手前勝手なお正義様で世界を操ろうとしやがって。DAの後はお前らだアラン機関。本丸はどこだ、あぁ?」

「ふん……」

 

どうやら答える気はなかった様だ。

銃を下げこそしたが真島のその殺意は先ほどよりも高まっていた。

 

 

 

 

 

 

「…あ。」

 

そして思い出す。

見覚えある顔……

 

 

「?どうした」

 

真島は心配そうに聞く。

 

「コイツ…リコリコに遊びにきてたわwww」

「リコリコ……?」

「チサトのやってる喫茶店」

「マジかよwwwwwww!!」

 

お互いに馬鹿らしいほど笑う。

目の前の吉松はただ姿勢正しく座っているだけだ。仏頂面で小さな笑みを浮かべたその顔に少し腹が立ったので、少し意地悪することにした。

 

「…つまんねー」

「あぐっ……」

 

 

そう言いながら転がるピンク髪の女の腹を蹴った。女は蹴られた瞬間えづくだけでそれ以外は何も言わずにコチラを睨んでくる。

 

「アランは秘書まで優秀だな」

 

流石に喚いたりしないか。

ぎゃあぎゃあ叫んでくれたらそれはそれで面白いのだけれど。

 

 

 

そういえば俺は仮面を外している。

故にいつもの編集された機械音声ではなく、素の声だ。既に住んでいた家は引き払った。

 

こっちの方が楽しそうだったからな。

 

依頼主は目の前の男だから裏切ったったwwwってことになるのか。

でもこっちのがおもろいな……

 

ま、やっぱ楽しい方が人生得でしょ。

神様もそう言ってた(ガチ)

このまま頑張ろう。

 

 

そういやあのジジイクソテンション高かった割には何かに対してブチギレてた気がするんだよなぁ…

 

何でやろ。まあ覚えてないけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────

 

 

『おお、沢山来やがって。修学旅行か?』

 

プロジェクターに映像が照らされるのと同時に、少女たちは一斉に銃を構える。

 

「降ろせ」

 

黒髪の三白眼の赤服の少女が銃を構える少女達を制した。彼女がリーダーらしい。冷静な判断ができている。

 

すると、部屋の奥から赤髪の大人が現れた。

 

『おお、引率の先生もいたか。何もんだあんた』

「お前達を殺す指揮をとっているものだ真島」

『自己紹介は不要みたいだな。つまりリコリスの親玉か』

「目的は金か?」

『フハッ…それもある。仲間の生活もあるからな。だがそれ以上に興味のある仕事だから引き受けた』

「興味……マフィアに手を貸すことか?」

『正義の味方面してる悪党がどんな顔してるか気になったって事だよ』

 

侮るように真島は嘲るが、それに対しての楠木の返答は疑念に満ちたものだった。

 

「悪党はお前らだろう…?」

『善悪の物差しは現代においては法だ。お前らは法の元に存在しているのか?』

「その法が生まれる前から我々は存在し政治体制を超えてこの国の治安とモラルを育ててきたのだ」

 

まるでこの国を支配しているのは己の組織だ、とでも言いたげなたいどだった。

『ははははっ!体制を超えて?何様だお前ら』

「それを話すつもりはない。結果としてこの国の利益は守られている」

『マキャヴェリズムって奴?古臭え。んなもんが罷り通ってるって知ったら世間はどう思うかねえ』

 

マキャベリズム…目的の為には犠牲を許容する考え方だ。

簡単な話がトロッコ問題。それの究極系の話を彼らはしている。

 

「いらぬ心配だ。真の平和とは悪意の存在すら感じない世界のことだ。お前も、誰の記憶にも残らず消える」

 

楠木は夢を語るようにその思想を話した。

 

『お得意の情報操作か。だがな、悲惨な現実を知らなければ平和の意味さえ人々は忘れてしまうんじゃないのか?与えられるものではなく勝ち取るものだってことのな』

「フッ、賢しいことを言うじゃないか。悪党も自分が悪である認識には耐えられないか」

 

今度は楠木から煽り、真島に話しかける。

 

『心配してやってるんだぜ?善悪の天秤ってのはな?どっちに傾くとしてもお前らみたいな存在に操られるべきじゃねぇ。バランスを取り戻さなきゃな』

「それが延空木を狙う理由か」

『ははっ…そこまでお見通しかい。両方壊れてないとアンバランスだからな』

「武器商人から得た銃で武装しようが結果は十年前と同じだ」

『どうかな?こっちには切り札もいるし今回もアイツが助けてくれんのか?』

 

楠木は眉を顰めていた。

真島にとってはそれが何よりの返答でもあり、求めていた回答だった。

 

『クックックックック……じゃあなリコリスの親分様』

 

満足したように真島は笑って通信を切ろうとする。そこに1人のリコリスが割り込んできた。

 

「待ちなさい!」 

「たきな!」

『おお黒い方、久しぶりだな。こっちに戻ったのか』

「吉松はどこ、弓兵も」

『何だ、お前もヨシさんか?人気者だな奴は』

「私はあなたに興味は無い。吉松の居所を…!!」

 

必死に少女は訴えるも、それは意味をなさなかった。

 

『アイツは今此処にはいねぇよ。買い出し中だ』

『嘘つくなや面白そうなところハブるんじゃねえ馬鹿』

 

ガチャリとドアの開く音と共に若い青年の声が聞こえてきた。姿こそ見えないが、その場に入り込んできたのは確かだろう。

 

『クッハハ!すまんすまん。ま、俺もお前に興味は無いんだ黒いの。コーヒーもまだあったかいはずだからゆっくりしとけよ』

『何飲む?』

『コーラ。あ、コカな』

『わーってるよ、ホラ』

 

一才のシルエットすらその声の正体の人物は見せず、仲のいい掛け合いの様な言葉だけが聞こえる。

 

真島がコーラ缶を受け取った。

 

『ちょっ!おま投げんなよ。ふらさっちゃうじゃねえか。泡どうすんだよ』

『それ転がすと治るらしいぞ』

『マジで!??』

 

 

うわ、本当じゃん……そう言いながら真島はコーラを飲んでいる。

それは、DAに余裕がないことに対して俺達は襲撃されても余裕だぞと煽る様な仕草だ。

 

その瞬間、通信が途切れた。

恐らく真島側のハッカーが強制的に切ったのだろう。

学生同士の様な仲の良さを見せつける2人に、リコリス達はかなり腹が立っていた。

特に楠木は煮え繰り返るほどの怒りを抱いていた。しかし、それを表層に表す事はない。

それは、怒りが一周振り切れてしまったせいであり、本来は怒り狂うという次元を超えるほどの殺意に満ち溢れていた。

 

その烈火の如く燃える怒りは一転して深海の如く深く、そして重く楠木の心に響いた。

 

 

 

そんな中、1人の少女(たきな)は突然乱入した声に何よりの困惑を抱いていた。

 

 

 

 

───────────────────

 

 

 

 

俺は、エレベーターを上りながら気分良くなっていた。

 

 

「トゥットゥル〜!」

「…何だそれ」

「しょ●たん語。知らない?」

「わかんねぇ」

「あの、何だっけ。そう、あれだ。シュタゲのまゆしぃの奴」

「もっと知らねー…」

「まあ俺もポ●モン世代だからシュタゲはゲームもアニメもまともに見たことない。これはそこからじゃなくてしょ●たんからだからな」

 

うんうん、やはりポ●モンサンデーとポケ●家は教育番組。

え?ポケ●家放送終了…?マジで?

 

そう考えていると耳に付けたイヤホンから音声が流れる。

 

『流石に中央部は待ち伏せされてるぞ。まずは計画通り電波をジャックしてから放送を先に行おう』

「りょーかい。期待してるぞロボ太」

『あいあいさー!』

 

ここ数日でコイツも結構ノリが軽くなった。

うんうん、やっぱ人生は楽しんだほうが得!!はっきりわかんだね!

 

 

 





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