高校生二人の失踪事件に関する、当事者のインタビュー記録。

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録音記録:2018.7.12

 ──れ、録音って、こんな機械でやるんですか? 

 

はい、もう始まってますよ。

 

 へぇ……すごいなぁ。こんなニューラライザーみたいなものでやるんですね。

 なんか、もっと……カセットレコーダとか、スマホとかでするのかなって。

 

あんまり大きな声では言えませんが、相手方に許可を取る場合ばかりじゃないですから。

 

 あははは、そんな事もするんですね。

 例えば、どういうのか聞いても? 

 

すいません、そろそろ本題に……

 

 あぁ、すいません。

 いやぁ、ついつい気になってしまって。

 それで、三年前の事件について、でしたよね。

 

はい。よろしくお願いします。

 

 じゃあ、事前に言っておいた通り、私が話し終わるまでは喋らない、という事で。

 はい。そうしたら、何処から話したものかな。

 警察さんの方にも、ある程度は話してますから。

 

 そうですね、半年前私が通っていた、A高から帰る途中のことでした。

 私と二人で、あぁ、私とは別にってことです。

 行方不明になったK君と、I君と一緒に帰ってたんです。

 

 私の家は、B県側の方にありまして。

 三者面談の期間中だったので、早く帰れるぞーって、私の家で遊んでから、二人は帰る予定でした。

 それで、私の家の方に向かっていたんですよ。

 

 あそこの病院、なんて言ったかな……そうそう、C病院の坂を下ったところに、Dっていうコンビニがあるでしょう? 個人経営の。

 で、その裏側の、E幼稚園側のほうにちょっとした竹やぶがありますよね。

 まぁ、分かりますか。二人が消えた竹やぶです。

 

 で、その中。

 今行けば何もないと思うんですけどね。

 あそこって本当に狭いじゃないですか、10m四方くらいのサイズですよね。

 

 なんか、そこが凄い気になって。

 帰り道に竹やぶの前を通るんですけど、みんな同じタイミングで止まって。

『あれ、なんか……やけに、暗くね?』

 みたいに喋ったんですよ。

 

 今見ても同じくらいの暗さで、いつもと変わらないはずだったんですけど、何故かその時はいつもより暗く感じる気がしてしまって。

 ちょっと行こうぜという話になって、そこに向かったんですよ。

 

 向かったといってもね、すぐに着いてしまう訳ですけど。

 それで、行ったはいいものの、何もすることが無いので。

 折角だし、中に入ってみようぜとなるわけですね。

 

 それで自転車を道の前に止めて、中に入っていきました。

 

 砂利道……っていうか、なんて言うんでしょうね、砂道? 

 ちょっと滑らかな砂が道にある感じで、道が続いていたので。そこから入りました。

 中は少し暗い感じで、竹やぶの中にしても、光が少ない感じがしましたね。

 

 それで、何を言うわけでもないですが、反対側に抜けよう、という感じになって。

 今思えば、なんとなくですけど不気味な、呪いといいますか。

 呪術……? そういう訳じゃないんでしょうけど、そういう感じがしまして。

 

 それを打ち破りたかったんでしょうね。

 向こう側に抜ければ、単なる竹やぶじゃないですか。だから、本当に竹やぶだと確認したかった。

 それで、中にどんどん進んでいったんですね。

 

 そうはいっても、長さは10mぐらいですから、すぐに抜けれるだろうと思って進んでいきました。

 気付いたと思うんですけど、おかしかったんですね、最初から。

 

 10mですよ? 長さは。

 当たり前ですけど、多少中は曲がっていますが、向こう側は直ぐに見えるはずなんです。

 なのに、見えませんでした。

 空からの光以外はなにもなくて、ただ、先に続く竹と、向こうから暗闇が覗くばかりです。

 

 でも、私たちも意地でと、ちょっと思考能力が下がっていたんでしょうね。

 そんなことは気にも留めず、先に進んでいきました。

 

 まぁ、直ぐに気付くんです。

 

 何かおかしいぞ、と。

 

 一向に竹やぶから出れないんです。ぐるぐる回っているわけでもなく、一本道でちょっとずつ曲がっているくらいで。

 なのに、出れないんです。

 先に光も見えない。

 

 ずっと、暗い竹やぶに閉じ込められてしまっている。

 そんな感じがしました。

 

 でも、進まない訳にはいかない。

 帰ろうなんて言い出せないので、とにかく進みました。

 

 そうしていくと、変なものまであるんです。

 こういう話でよくあるじゃないですか、仏像とか。

 倒れてるんですよね、道の隅に。

 

 あぁ、もう駄目だ。

 全員が直感したと思います。

 

 一斉に走り出しました。目の前に。

 後ろに戻ってればよかったんですかね。

 まぁ、もう分からないです。

 

 そうして一心不乱に体力が尽きるまで走っていると、神社がありました。

 道の左に、鳥居が立ってるんです。

 

 もう、すごい異質ですよね。

 誰が見たって分かる。

 入っちゃいけない場所ですよ。

 

 それで、私たちはどうしたかって? 

 そりゃ、入りますよ。

 

 お約束のように思えるかもしれませんが、私たちにとっては希望の光だったんです。

 凄い怪しかったんですけどね、神社の中にいるであろう神主さんに助けを求めようと思って、行きました。

 

 二人はもうそれは速く駆けだしていって、境内の中にいないと分かると社務所を探していました。

 ですが私は、どうにもこの不気味さが気になる。

 

 そう思って、辺りを見渡します。

 

 そうすると、神社の障子の影から日本人形がコトン、と。

 こっちを向いたまま倒れてきたんです。

 

 ビクッ! っとしちゃって……

 一瞬フリーズしましたよ。

 

「そのまま動くな」

 そう言われました。

 

 日本人形が喋ったんです。

 まぁ、ここまでの話を聞いていたら、特に不思議でもないかもしれませんね。

 はは……

 

 で、暫く動けずに待ってました。

 

 十数秒のあと、大きく口を開けて、笑いながら、こう言うんです。

「いいよ、お前は気に入った。だからさ……早く、帰れよ」

 

 で、終わりです。

 

 そのまま、僕は二人を置いて帰りました。

 無我夢中で、二人の事なんて忘れてました。

 

 それで終わりです。

 ……拍子抜けしました? 

 

 そんなもんです。

 

 二人はそれから見つかってません。

 

 これが、貴方が必死で探してたであろう、高校生二人の失踪事件の私が知る限りの全てです。

 あの竹やぶは、もうただの竹やぶでした。

 多分、ね。

 

 

 

 

 

 カチリ。


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