モノクロの旅人達   作:アルカトヌ

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※タイトルに意味は多分ありません


火もなお、熱のあとで。

雨が上がりきれいな日の光が見える清々しい日にボロボロの小屋を探索している二人の旅人がいた。

 

「おお!こんなものが落ちてるのか。」

 

「どうしたの?」

 

 

旅人の一人、アリアルは小屋の中に珍しいものを発見する。

 

 

「いや、花火玉がたくさんおいてあってね。」

 

「はなびだま?なにそれ」

 

「簡単に言うと花火を出すやつ。」

 

「あー、前にアリアルが言ってたやつか。夜に打ち上げられてるのがきれいだって言ってたね」

 

「そうだよ、とってもきれいなんだ。」

 

 

そんな話をしているとアリアルはふとあるものを見つけ一つの名案を思いついた。

 

 

「そうだ!せっかくだし見てみるかい?」

 

 

また突飛な提案をした姉にミリアルは呆れ気味に返す。

 

 

「いや、見てみたいけどさ。確か花火って元は火薬でしょ?」

 

「そうだよ。」

 

「いや、危なくない?」

 

「危なくはないよ。」

 

「ほんとに?」

 

「ほんとほんと。アリアルウソツカナイ。それに彼らの残した道具もあるみたいだしね。」

 

「前科持ちがなんか言ってるよ……。ほんとにできるんでしょうね?」

 

「これぐらい余裕さ。」

 

 

ミリアルはドレだけ安全面の確認や機能面、技術面の確認をしても自信満々にできると答えるアリアルを信頼してみることにした。

 

 

「ふーん。じゃあ私はあたりの探索をしとくから。夜を楽しみにしてるね。」

 

「まかせてくれ。」

 

 

アリアルの自信満々な声を背にミリアルはその小屋を出てあたりの探索を始めた。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

「さて、準備ができたよ。」

 

 

夜。小屋から離れた場所で座って休憩していたミリアルにアリアルは駆け寄っていった。

 

 

「花火の場所から離れてて大丈夫なの?」

 

「もちろん。彼らの作った機械は無駄に優秀だからね、時間に合わせてで映し出すのなんて簡単なことさ。」

 

 

ミリアルの素朴な疑問にアリアルは昼と変わらない様子で自信満々に答える。

 

 

「なるほどぉ………。なんか私達の旅道具にもそういう便利なのがほしいなぁ……。」

 

「やめときな。それで少し前に彼らの作り上げたものを壊したばかりだろう?」

 

 

アリアルは少し前にミリアルが持ってきたオートクッキングの装置がすぐに壊れたことを指摘する。

それでもミリアルは諦めきれないようだ。

 

 

「それはそうだけどさ、あれはあれで便利だったでしょ?ずっと火をつけるのが大変な生活のまんまなのは疲れるよ………。」

 

 

ミリアルがそう言うとアリアルは少し目を細めてミリアルを見たかと思うと話題を変えた。

 

 

「まぁまぁ。それよりほら、そろそろ始まると思うよ。設定が完璧なら……。」

 

パァーーン!

と、花火の特徴的な音が聞こえると同時に空に花が描かれた。

 

 

「ほら、始まった。」

 

「きれい………。」

 

 

ミリアルは初めて見る花火に感動した。

その様子にアリアルはフフッと笑いをこぼす。

 

 

「いやーかなりの年数たってたから失敗するかと思ってたけど、うまく動いてるみたいだね。良かった良かった。」

 

 

そんなことを行っている間にも空にはハートや土星、スマイルなんかの模様が次々描き出されている。

 

 

「形が色々あるんだね。」

 

「昔の花火師である彼らが頑張って作り上げたものからとっているからね。きっと彼らも使われたことに喜んでいると思うよ。」

 

「そうだといいなぁ」

 

 

空に描かれる花火の鑑賞会は花火師の思いを乗せるかのように長く、長く続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

彩り鮮やかに彩られていた夜空は、花の先終わりと同時にいつもと寸分変わりのない景色へと切り替わった。

 

先程までの騒ぎがまるで嘘だったかのように夜空は澄み渡っている。

 

 

「終わっちゃったね。」

 

「そうだねぇ……」

 

「なんだかきれいだけど儚い。そんな感じがした。」

 

「そうだねぇ………」

 

「ねぇ、アリアル?」

 

「どうしたの?ミリアル」

 

「あれほんとに花火だったの?」

 

「うん。あれは“花火”だよ。」

 

「そっか。“花火”ってきれいだね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

動くものはみな寝静まった真夜中に、ボロボロになった小屋の中には人影があった。

 

 

「ありがとうございました。」

 

 

そう、小屋の中でつぶやいた彼女の手にある小さな立体映像媒体が、部屋の中に先程夜を彩った華を映し出している。

彼女は愛おしそうにもう使うことのできない花火玉を撫でたあと、その上に映像機体と一輪の花を置いた。

 

 

「じゃあ、おやすみなさい。」

 

 

花火玉の上に飾られた白色のダリアは花火師を称えるかのように優美に咲いていた。




ミリアル's Memo[姉と夏のおもいで]

花火玉:火薬がたくさん詰まった球状のもの。アリアル曰く3、6、10、30、40の5つの大きさがあるらしい。
火花を当たりに散らして空に模様付けしているらしく、炎色反応という繁栄人の作ったルールに則って火花に色がつくと言っていた。
打ち上がった“花火”はすごくきれいだった。

花火師:空へ打ち上げる花火をつくる繁栄人達の総称。彼らの描きたかったものこそが私の見た花火だったのかもしれないと思うと、なんだか花火が愛しくなった。 

ダリア:花火師の家の近くの花畑にあった花の一つ。赤色・オレンジ色・黄色・白色・ピンク色・藤色・ボタン色・紫色等の色んな種類があるとアリアルが言っていた。
アリアルは白いダリアを一輪持ってたけど、いっつも白色基調の服を着ているし、白いダリアが好きなのかな?
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