しんしんと雪が降る荒野の真ん中でテントを貼った旅人二人は、明日の予定について話し合っている。
「ねぇ、ミリアル?次は東の方に見えた洞窟に入ってみないかい?」
「いや、北の方に雪山が見えたしそっちの方へ行こうよ。洞窟に出口があるかわかんないし、陥落したら生き埋めだよ?」
どうやらアリアルは洞窟へ、ミリアルは雪山へ行きたいらしく二人しかいないテントの中では話し合いで決めるしか方法はなかった。
「でもさ、洞窟なら宝石とか骨董品とかあるかもじゃん?」
「ないでしょ。そんなのあったら繁栄人がとっくに盗ってるよ。繁栄人たちは強欲なんだから。」
「彼らも可愛そうな言われようだねぇ。雪山だって登るにしても寒さと体力切れによる死亡の可能性があると思わないかい?」
「そんなこと言うなら一番安全なのは洞窟にも雪山にもいかずにそのへんの安全そうな道を探すのが一番じゃん。」
ミリアルの言うとおりである。しかし、長く旅をしている二人は安全策など飽き飽きしており、危険かつ冒険心がくすぐられる方へ意見が傾き、またお互いに意見を曲げるつもりは微塵もなかった
「たしかに………、ミリアルは天才かい?」
アリアルはあたかも今気づきましたとでもいうかのように大げさに反応する。
アリアルの意図が透けて見えたミリアルは目を細めて言った。
「………おだてても私の意見は変えないからね」
「だめかぁ………。」
「駄目に決まってるでしょ!!そんなにちょろいと思われてるのかな私。」
作戦がうまくいかずしょんぼりするアリアルに対して、自分が流されやすいのかと不安になってしまうミリアル。
「思われるも何もここには今私しかいなくて私がミリアルのことをちょろいと思ってるから、満場一致でミリアルはチョロいんだよ。」
「満場一致って言葉で一人だけのことはないと思うんだけど」
「いや、今私がその状況を作っているから問題はないね」
「問題しかないよ?」
「それはミリアルにとって不都合だからだろう?不都合だからって遠ざけようとすると彼らみたいになってしまうよ?」
アリアルはもっともらしいことを行ってミリアルを説得しようとする。
ミリアルは自身の姉のイメージの中の自分はどれだけ流されやすいのかと気が滅入った。
「いや、だから騙されないからね?」
「うーん、駄目かぁ………」
「駄目だよ。というか、私のことちょろいって思ってるのはアリアルだけだよ。」
「だってそれは私しか……、」
「もういいから。」
また屁理屈を並べようとしたアリアルをミリアルが一刀両断する。
「ひどい!」
徐々に雪が積もってきた雪原とでもいうべき場所に、アリアルの情けない声が響いた。
旅の途中のなんてことない雑談。
平穏を噛み締めている二人の旅人の話である。
アリアル's Memo [寒い夏季の次]
結局、ミリアルは一切折れてくれなくて雪山を登ることになったよ。
ミリアルにはやっぱり勝てないね…………。
言葉を紡ぐ彼女らも妹のほうが強いらしいし、姉の定めってものなのだろうか………。
はぁ…………寒いのは苦手なんだ。手が凍りそうになってしまう。凍るなんてありえはしないんだけどね。
追記:雪山で雪崩にあって結局洞窟に入ることになった。雪崩があっても別に雪山にのぼれないことはなかったんだけども、私が雪崩に巻き込まれるとは………。
洞窟に入ることはできたけど、嬉しいような悲しいような……………。複雑だよ。