なんか団長たちの万能な姉になってたんだけど、とりま全力で推し活を楽しむわ。 作:時長凜祢@二次創作主力垢
何でもお見通し婆ちゃんの訓練を終え、自宅へと戻った私は、グランとジータの生家であり、この世界での私の生家でもあるそこの本棚を漁っていた。
日記やアルバムのようなものはないか、せめて、自分の年齢がわかるものはないかと思いながら。
それにより見つけることができたのは、小さなアルバムだった。
写っているのは一人の赤ん坊。よく見るとそれには、“シアンが生まれた日”という文字が記されている。
自分が生まれた日か……と思いながら、パラパラとめくってみると、新しい写真が見つかる。
そこには“双子に興味津々な6歳の可愛い女の子”という文字がある。つまり、私とグランたちは6歳違いってことか。
確か、原作グランたちが15歳の男の子だったはずだから、原作開始時の私は21歳?へぇ……酒飲めるじゃん。居酒屋やバーって情報収集に最適だから入れるようになっておきたかったんだよね。
年齢がわかったことに小さく笑みを浮かべながらも、私はアルバムを見る。だが、よく見るとアルバムはそこで終わっており、この後のこと……今に至るまでの内容はわからなかった。
「……アルバムはここまでか。」
空白ばかりが続くアルバムを見ながらポツリと呟く。本来なら記録を残すためのものだけど、父親がなかなか戻らない分、残す機会がほとんどなかったのだろうか?
よく見るとどの写真も両親の顔は写っていない。女性の手と思わしきものや、男性の指と思わしきものはちらほらと写り込んでいるのに。
少しだけ残念に思いながらも、“双子に興味津々な6歳の女の子”という題名が記されている写真を引き抜き、撮った日付と年を今のカレンダーと合わせて見る。
どうやら、これは9年前の写真だったようだ。
「……となると、私の今の年齢は、ゲーム内でのグランたちと同じくらいの歳なのか。そんで、グランとジータの二人は、現在9歳っと。」
自分の年齢をそれにより判断した私は、アルバムに写真を収めたのち、アルバムを本棚へと戻す。
日記……は、やっぱりないな。これまで何をしてきたか知りたかったんだけどな。
一つ溜め息を吐きながら、私は本棚にある書物をなぞる。すると、騎空艇の操舵方法が記されているものを見つけることができた。
すかさずそれを手に取れば、記されている内容に目を通す。よく見るとそれには、真新しい文字が記されていた。
もしやと思い、近くにあった紙にシアンと言う名前を書き記す。それによりこれを記したのは私自身であることがわかった。
なるほど……どうやら、元の世界の記憶を宿す前の私も、いずれはザンクティンゼルの外に出るつもりだったな?
「へぇ……勉強したノートも残ってんじゃん。」
いいものを見つけたと笑みを浮かべ、ノートを手に取り中を見る。そこにはびっしりと騎空艇を操舵する際に必要なことや、気をつけるべきことが記されていた。
どうやら、この私はかなり勉強熱心だったようだ。
ペラペラと流し読みする要領で記されているものを記憶に叩き込む。一度勉強をしているからか知らないけど、すぐに吸収することができた。
全て読み終わり、手にしていたノートを本棚に収める。他に知識として得て問題なさそうなものは……と。
ん?
「これ……料理のレシピか。こっちは物作りに使えそうなレシピだ。へぇ……こんなものまで勉強していたのか。」
趣味としてか、それともこれらを利用することによりお金を稼ぐためか……。
どちらかわからないけど、こう言う知識はあればあるほど役に立つ。
(あ、お酒の作り方まで書いてる……。何を勉強してたんだ私は。)
何と言うか……覚えることができそうなものは全部覚えてる感じだな。
道理でスペックがおかしなことになっているわけだ。しかも、全部これまで私が学んできたものだからか、しっかりと記憶に刻むことができてるし、本当に何でもできそうだ。
でも、お酒の作り方ってちょっと面白いな。可能だったら、これを利用して空飛ぶバーでも開店してみようかね。
まあ、飲酒運転はいけないから、私は作るだけ作って飲むことはしないつもりだけど。
(これは……アクセサリーの作り方か。騎空士として行動を取っていれば、アクセサリーの材料になりそうなものとか見つけることができそうだし、そう言うの見つけ次第、アクセサリーを売りながら生計を立てるのもいいかも知れない。)
あ、コーヒーや紅茶の淹れ方も学んでる。知識欲凄すぎないか空の世界の私。
ファーさん程じゃないと思うけど、何かを学ぶことが好きだったんだろうな。向こうの私とは大違いだ。
まあ、お陰でこれから不自由なく過ごせそうだし、これは大切に保管して、ザンクティンゼルから出た際、持って行くとしますかね。
「ザンクティンゼルを出たら、まずはどこか過ごし易そうな場所に拠点を置くか。一番いいのはアウギュステかな。」
なんせ私は海が好きだ。キラキラと太陽の光を反射する昼の海も、オレンジ色に輝く夕暮れの海も、月光の柱を出現させる夜の海も。
と言うか、水が兎に角好きだった。だって綺麗じゃん。キラキラゆらゆらしてさ。
だから湖を眺めるのも好きだったし、いつか熱海や沖縄に永住したいと思うくらいには、海を好んでいた。
色とりどりの珊瑚礁。そこを住処にして集まる熱帯魚。岩の隙間に潜り込むウツボに、悠々と泳ぐジンベエザメ。
はしゃぐように泳ぐイルカや、存在感を一等放つクジラたち。美しく輝く蒼の世界は、とても癒されるものだった。
いつか水族館巡りをしたいと考えていたけど今は叶わない夢。それなら、住むところは海がある場所がいい。
「うん。ザンクティンゼルから出てまず向かうのはアウギュステだな。そんで、住めそうな物件を見つけることができたらお金を貯めてそれを買って、そこを拠点にしながら情報収集+推し活だ。」
これから先どうするかを考えながら、生家内にあるシアンと言う存在……この世界での私のカケラを集めて行く。
だって、こっちの世界に何らかの拍子にやって来たって記憶を思い出してから、こっちの自分の記憶が軽く曖昧になってるからな。
だから、カケラを集めて行って、そんで元の形に戻して行くってワケ。
いざと言う時ボロが出たらめんどくさいしな。それに、実は前世の記憶があるんです!なんて言われて誰が素直に信じるよ?
私だったらバカなんじゃねーの?頭打った?ってなるね。自身がこんな風に経験してなかったらな。
誰に説明してんのかわかんないけど、そんなことを実況しながら曖昧な記憶を補完する。
さて……旅に出るとしたら、いつ頃がいいかねぇ……。
シアン
ようやく自分の年齢がわかった特異点たちの姉。
OLだった自分の記憶を持って空の世界にやって来たため、OLだった記憶を思い出す前の自分の記憶が軽く曖昧になっていた。
しかし、生家内にある情報からその記憶を少しずつ保管して行くことにより、こっちの記憶も徐々に取り戻しつつある。
一つ目の目標は、ザンクティンゼルを出てアウギュステに拠点を移すこと。
理由海が好きだから海の近くで暮らしたいと言うOLだった自分の望みを叶えるため。
なお、将来的にアウギュステで過ごせる代わりに、アウギュステでの自宅が厄介者たちの溜まり場と化すことはまだ知らない。