とある飛空士への召喚録〜新世界大戦全史目録〜   作:篠乃丸@綾香

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更新が遅れましたが、また再開。


第3話〜希望の船

第3話

 

中央暦1641年4月10日

ムー共和国 マイカル市造船所

 

 一万トンの鉄塊がレールの上を滑る。風の穏やかな海原に続くレールに乗り、その船体が波を掻き分けて巨大な水しぶきを上げた。

 立ち上がる波が排水量の巨大さを表し、あたりの魚すら打ち上げる。それを合図にあたりの人々から歓声が上がり、ワインの赤みに汚れた艦首が色濃く、それらが彼女の完成を祝っている。

 

「いい船だな」

「ああ、美しさを感じる」

 

 命名式に立ち会ったムー共和国統治軍所属、情報通信部の情報士官マイラス・ルクレールと戦術士官のラッサン・デウリンは、美しいその重巡洋艦を見てそう言った。

 長船首楼型の船体、クリッパー型の船首から20.3センチ連装砲を背負い式で配置する。2番主砲塔の基部から上部構造物のうえに箱型艦橋が存在し、艦橋を基部として頂上に測距儀を載せた三脚型の前部マスト。

 バランスの取れた、かと言って何かに劣るわけでもない美しい船だ。

 彼女は『ラ・エリオン』と名付けられ、無事完成式を迎えられた『ラ・エス級重巡洋艦』の2番艦。ラ・エス級重巡洋艦はレヴァームと天ツ上の技術提供を受け、初めて建造されたムー連邦海軍の最新鋭重巡洋艦である。

 

『ラ・エス級重巡洋艦』

基準排水量:9800トン

全長:196メートル

全幅:20メートル

機関:ラ・ド・ダンブル式ディーゼル機関

兵装:

20.3センチ連装砲4基

7.5センチ単装高角砲8基

55センチ三連装魚雷発射管4基

対空機関砲多数

 

 この船はマイラス主導で行われている海軍艦艇強化計画の一環で建造された重巡洋艦だ。ムーとグラ・バルカスとのさを埋める為、旧来の艦艇を最新鋭艦で置換する、まさに国家プロジェクトと言えよう。

 艦の建造にはムー国内にある造船所を使っているが、これを整備したのは天ツ上だ。ムーの要求設計図を元に天ツ上の協力の下、ムー国内の造船所で建造する方式をとっている。これにより、技術力の追いつききれてないムーでも最新鋭重巡洋艦を保有することができた。

 今後の目標はムー独力ででも建造できるようにする事。現在はまず整備や修理だけでもムーで行えるよう、懸命に造船所の拡張が行われている。

 

「これでラ・エス級も2隻、今後はあと2隻の計4隻で運用されるらしいぞ?」

「頼もしい限りだ。見ろ、洋上に迎えが来ているぞ」

 

 マイラスの指差す先には、迎えとしてラ・エリオンを迎えに現れた艦隊が居た。彼女らも旧艦艇達とは全く違う、近代的な見た目をした立派な艦隊である。

 長船首楼型の船体は新たなムー海軍艦艇の遺伝。天ツ上からの技術教諭により製作された三連装砲や両用砲が乗った、軽巡洋艦と駆逐艦の艦隊だ。

 

「ラ・ガリソニエール級軽巡洋艦、ラ・ドロア級駆逐艦……建造はほぼ天ツ上主導だが、あれらがあれば、ムーは十分に戦える」

「だがまだ数がそろってない。巡洋艦だって重巡と軽巡を合わせてもまだたったの5隻だ。それに、今までの旧ラ・カサミ級より巨大な船が巡洋艦レベル……我々がどこまで扱えるかが心配だな」

 

 ラッサンの自信ありげな言葉に対し、マイラスの反応はトーンが低かった。

 

「だがその分、水兵の訓練期間も長く設けてある。レヴァームと天ツ上から受けた新技術だって、それだけ長ければ嫌でも慣れるさ」

「それでは間に合うかわからん。今からグラ・バルカスの脅威にどこまで抵抗できるかどうか、という瀬戸際なんだ。戦争準備はもう始まっている……」

「マイラスにしては珍しく焦っているな……」

「当たり前さ、グラ・バルカス帝国は日に日に力を増していっているからな。我々ムーは戦争になった際、最前線になる国だ。いち早くグラ・バルカス帝国との差を埋め、対抗できるようにならなければならないのに……」

 

 マイラスは造船所で拍手を送る海軍軍人を指し、陰からこう言った。

 

「……いい加減に旧艦艇にこだわる派閥を説得しなければな。予算は彼らに囚われ、無駄しか無くなってしまう」

 

 旧艦艇派。今現在、ムー海軍を二分する意見の勢力のうちの一つだ。「レヴァームと天ツ上という他国に頼らずとも、ムー独力でグラ・バルカス帝国を打ち破ることができる筈だ」と豪語する勢力である。

「天ツ上製の船より自国の戦艦の方が優秀」「戦艦こそ最強、補助艦艇は時代遅れ」等々、旧来の海戦の常識に未だに囚われている軍人達は、未だにマイラス主導の艦隊強化計画に賛同していない。

 

「旧艦艇派の事か……あいつら、未だに旧式のラ・カサミ級を量産しようとしているらしいな」

「ああ、俺たちがいくら説得しても聞く耳を持たなかった……」

「聞いたか? それで6隻分の予算が承認されてしまったらしい。これじゃあ、最新鋭艦の建造がますます遅れる」

「やはり説得しかないか……」

「奴らは頑固頭だからな……未だに戦艦が海戦の主役だと考えている。もはやその時代は終わりつつあるのにな……」

 

 マイラスとラッサンは頭を抱える。彼らからして旧艦艇派は上官が多い、そのため説得するのも一苦労だ。なんとか、インパクトのある証拠を突きつけて納得させられればいいのだが。

 

「何か……あの大艦巨砲主義の頭を爆撃できるほどのインパクトある出来事があれば、形を変えることもできるんだが……」

「そうだな…………ん? 待てラッサン、お前今なんて言った?」

「え?」

 

 マイラスはラッサンに食いつく。

 

「いや、形を変えることも出来るが、と」

「その前!」

「インパクトある出来事……」

「それよりもっと前!」

「何か……」

「行き過ぎだ!」

 

 あまりの迫力に少したじろぐラッサンだが、足を踏ん張って思い出す。

 

「あの大艦巨砲主義の頭を爆撃できるほどの……か?」

「それだよ!」

「え?」

 

 マイラスはそれを聞くと、すぐさまメモを取り出して書き込みを始めた。スケジュール表とも照らし合わせ、地面に伏せてペンを走らせる。

 

「おいおい……何してるんだ?」

「いやいや、ちょうど2ヶ月後にミリシアルで観艦式がある事を思い出したんだ」

「それとさっきの台詞……どういう関係が?」

 

 それを聞くと、マイラスはガバッと立ち上がってラッサンに向き直る。その目はニヤニヤしていて、完全に悪巧みをするときの顔になっていた。

 

「旧艦艇にこだわるならば、自分たちの戦術や思想がいかに古いかを叩き込んでやればいい。ミリシアルの観艦式の後に合同演習がある。そこに参加するレヴァームや天ツ上の艦隊に航空機でボコボコにしてもらうのさ」

 

 そう、マイラスが考えついたのは旧式艦艇で演習に参加して、手加減なしで嬲られることで考えを矯正しようというものだ。かなり強引で悪い企みだが、一番効果が良さそうである。

 

「な、なるほど……それはいい考えだが、各国は了承してくれるか? というか、間に合うのか?」

「観艦式自体はムー海軍に対する参加の打診もあったんだ。レヴァームと天ツ上は快く承諾するだろうし、主催のミリシアルだってムーからの提案なら乗ってくれるはず。政府には俺の方から背中を押せばあと一押しだろう」

「そうか……なるほどな。なら俺の方からも推奨しておく。これで沼の底にドッボンだ」

「ありがとうラッサン、頼りになる」

 

 二人はガッチリと腕を組み合わせ、計画の合意を示した。これから少し忙しくなるが、これで頑固頭達を叩き砕く材料になってくれるであろう。

 

「そういえばマイラス、今度第三文明圏行きだってな?」

「ああ、少し交渉したいことがあってな。これでスケジュールを少し変更してレヴァームに出向く必要も出てきたけれど」

「? 最初からレヴァームに行くんじゃなかったのか?」

「いや、最初の目的地はパンドーラだ」

 

 ラッサンはその地名をうまく思い出せなかったが、マイラスに「パーパルディアの元属国」と言われてなんとか思い出した。

 

「ああ、あの第三文明圏きっての技術大国か」

「ああ、実は彼らの力を借りる必要が出てきたんだよ」

「何を借りるんだ? 魔法技術ならミリシアルと交渉するのが良くないか?」

「いや、それとは違う別の物を頂きに、な」

 

 マイラスのカッコつけた言葉に、ラッサンは首を傾げた。その様子にマイラスは爽やかに笑う。スケジュール帳には、『パンドラガス』と赤字で書かれている。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

中央暦1640年5月30日

フィルアデス大陸南西部 パンドーラ大魔法公国 ファンダリア地方

 

 パンドーラ大魔法公国。かつてパーパルディア皇国に圧力をかけられ、無理やり属国にされた国である。

 かつては旧時代のパーパルディアやリームなどと同じレベルの技術と国力を有し、先進11カ国会議に出席するなど、第三文明圏の中でも魔法技術力に優れた技術立国だった。

 特に飛空船に関しての技術は右に出るものがなく、それを発明したのもこの国である。その技術力は、第三文明圏戦争においてパーパルディアに吸い上げらた。飛空戦列艦という空飛ぶプライドの為だけに。

 かつての技術大国は今では見る影も無くなっていた。あまりに技術を吸い上げられた為準列強からも除名され、暗黒時代に差し掛かりつつある。

 そんなパンドーラ大魔法公国の一角、マール王国との国境線に程近い場所に、『ドルブ地方』と呼ばれる地方があった。

 長閑な平野部が続く平坦な土地で、山などの起伏が少ない。土地は肥沃というわけではなく、むしろ痩せている。

 そもそもパンドーラの土地自体があまり肥沃ではなく、多くの地方が痩せていて食料は半分以上が輸入頼りだ。

 「パンドーラの痩せた土地では葡萄しか育たない」とも言われており、パンドーラがいかに技術なしには何も残らない国力の低い国であることを表している。逆にいえば名産品はその葡萄を使ったワインくらいだ。

 そのドルブ地方では、中流貴族のイブリール家という貴族が領地としていた。比較的温和な貴族のイブリール家は、今回こうしてムー共和国の交渉にも気安く乗ってくれた。

 

「はじめまして、ムー共和国統治軍所属、情報通信部情報士官、マイラス・ルクレールと申します」

「こちらこそはじめまして。私はイブリール家当主、マクシル・フォン・バード・イブリールと申します。本日は遥々ムーからお越しくださり、誠にありがとうございます」

 

 マクシルは表裏のない挨拶をしながらも、内心は複雑な感情だった。レヴァームと天ツ上が出現してもなお、列強第二位として世界から認められ続けているムーが、こんな辺境の地に来るのは何事だろうか?

 

「さて、本題に入りましょう。して……何用にてこのような辺境の地にいらしたのでしょうか?」

 

 マクシルは列強の人間との会話は初めてである。それはパンドーラ人全体で見ても同じだろう。政府から前々から打診があったとはいえ、マクシルには疑問と緊張が入り混じっている。

 そもそも彼らには怪しい一面もある。ムー政府からの打診ももちろんあったし、目の前にいる彼らも本物のムー人なのだろう。だが何故統治軍自らがここまでやってきたのか? まさか、ムーにも野心がではじめたのだろうか……?

 

「ここは第三文明圏の中でも辺境の辺境。あなた方ムーの求めるものを提供できるかどうか……」

「いえ、我々はあなた方が持つ価値があるものを求めております。知らず知らずのうちに持っているものを……ですが」

「知らず知らずのうちに?」

「ええ、今まで価値のなかったものです。()()()()

 

 その言葉を強調するマイラス。マクシルは緊張や警戒心の入り混じった感情の中に、新しく興味の感情が湧いた。

 

「パンドラガス」

「っ…………」

「単刀直入に言いましょう。我々はそのガス資源を求めております」

 

 ドルブ地方には特産品がいくつかある。平坦で広い土地を生かした家畜業、パンドーラでも珍しい白葡萄。そして、とある資源の産地であることも有名だ。

 

『パンドラガス』

 

 魔法燃料の一種であり、主に気体として使われている天然ガスだ。特徴として、可燃性が非常に高い事と浮力が非常に高いことの二つが挙げられる。

 パンドーラの発明した飛空船を空に浮かばせているのはこのガスであり、飛空船を作る際は最も重要視される資源だ。

 非常に高い浮遊性、それこそ水素やヘリウムとは比べ物にならないほどの浮力を誇る。重くて巨大な戦列艦ですら浮かばせることができる、まさに浮遊性に関していえば夢の気体である。

 パーパルディアが用いた飛空戦列艦にも、このガスは使われていた。パーパルディアはレヴァームと天ツ上が転移してくる前から飛空戦列艦の整備を進めており、最終的に1400隻もの数を揃えていたのだから、使用したガスの量も半端ではない。

 最も、パーパルディアはパンドーラの意見を聞かず、タダ同然でガスを独占して奪い取った為パンドーラは大損でしかなかったが。

 そして、もう一つの特徴として可燃性が非常に高いことが挙げられる。水素ガスと同レベルの可燃性を持ち、火花が少し上がるだけでも大爆発である、危険な代物だ。

 パーパルディアの飛空戦列艦があまりにも脆かったのはそれも起因している。ただでさえデカい火薬庫でしかない戦列艦をぶら下げるのが大可燃性の天然ガスとなれば、それこそ機銃弾1発でも危ない。

 とにかく、パンドーラはこのガスの一大埋蔵量を誇る国であり、この国で飛空船が発達したのもこれのおかげである。だがパンドラガスは飛空船以外での有効活用がほとんどなく、パンドーラはあまり富を得ることはできなかったのだ。

 

「なるほど……求める品は理解できました。しかし……パンドラガスは科学文明にとっては不要な筈では? あれは魔法文明でも飛空船を作る以外に活用法がありません。魔法とは無縁の科学文明のムーの方々が、何故これを求めるのでしょうか?」

「ええ、その疑問は存じております。それを話すとかなり長くなるのですが……よろしいでしょうか?」

「ええ、私の時間は大丈夫です」

「では、こちらの資料を」

 

 マイラスはそう言って、茶色い封筒を手渡した。少し分厚い中身に『極秘』というハンコ、それらから重たい重圧を感じる。

 

「これは……」

「この件については、くれぐれも内密にお願いいたします」

 

 マイラスから念を押され、マクシルは恐る恐るその中身を開いた。中から出てきたのは束ねられた数十ページの紙の束。のしかかるほどの重圧ある題名は……

 

「『ムー統治軍独自の空中艦隊計画』?」

 

 内容はこうだ。

 "パンドーラ大魔法公国に存在するパンドラガスを利用した、小型の飛空艦艇を複数建造する"という国家プロジェクションである。

 レヴァームと天ツ上の存在が世界に知らしめられたこの今日、飛空艦という艦種の名前を知らない者はいない。

 空を飛び、巨大な大砲と鋼鉄の船体を持つ飛空船。異世界からの恐怖の証であり、パーパルディアを滅ぼした希望の船でもある。

 今まではレヴァームと天ツ上の2カ国しか保有していなかったその飛空艦を、ついにムーも持とうというのか? 疑問は尽きない、そのページをさらにめくると完成予想図のイラストと共に要求性能まで書かれていた。

 

『ムー統治海軍空中艦艇』

グラ・バルカス帝国の駆逐艦や軽巡洋艦と対等に戦う為、以下の性能を要求する。

・サイズは排水量1200t〜5500tクラスの小型艦。

・目標速力は250㎞〜280㎞。実現の為、新型のレシプロエンジンを開発中。

・主砲は12㎝〜14㎝の小型砲。対空射撃も可能な両用砲とする。

・対空ロケット砲を多数装備。

・攻撃に対する防御力は速力にて回避するとし、装甲は妥協する。

 

 予想図を表したイラストには艦底部に気球のようなふくらみを備え、その上に鋼鉄船の船体が乗った真新しい形をしていた。レヴァームと天ツ上の飛空艦とも違う、新しい時代の船という印象だ。

 

「まさかこんなものが……貴方方は建造するのに、パンドラガスが必要と?」

「理解が早くて助かります、そうです。我々はかのグラ・バルカス帝国が日に日に力を増していく現状を危機とし、本格的な艦隊増強に入りました。これはその一環です」

 

 そう説明されたが、マクシルにはまだ一つだけ疑問があった。

 

「……つかぬ疑問があるのですが、よろしいでしょうか?」

「なんでしょう」

「貴方方はレヴァームと天ツ上とは友好関係にあるのではないでしょうか?」

 

 ここはズバリと聞いてみる。

 

「友好関係にあるのなら、レヴァームと天ツ上から飛空艦やその動力を譲ってもらう、もしくは買い付ける事も可能かと思います。一体なぜ……それをする機会がありながら我々にこのような交渉を……?」

 

 ムーは温和な国家だ、他国ともなるべく対等に接してきている。こちらの質問をはぐらかすことはしないと信じたい。

 

「そうですね……隠すことでもないので結論を言ってしまいましょう。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「……今海軍はレヴァームと天ツ上から設計図を得た近代艦艇の建造を重視しています。ですが、それらを整備した上で飛空艦まで整備……となると、流石に予算を圧迫します。飛空艦は水上艦よりコストが何倍にもかかる代物なのですよ」

 

 それは知らなかった。なぜなら、レヴァームと天ツ上は大小の飛空艦を数百隻を超える数も保有していると聞き及んでいたからだ。

 

「それに……例え輸入することができたとしても、それはムーの実力ではありません。我々は他国に頼らず……それこそ単独でグラ・バルカス帝国と戦えるまでに成長しなければならないのです」

 

 マイラスは熱く語る。

 

「飛空艦一隻を揃えるより、パンドラガスを用いた飛空艦の方が予算が浮くと予想されています。我々は船の性能だけでなく、グラ・バルカス帝国の生産力に対しても対抗しなければならないのです」

 

 マイラスの語りには嘘偽りは見えず、ただただ国を守りたいその一心だけが見えた。彼のような若者がいるのなら、大事な資源を与えてもいいかもしれない。もちろん相手の報酬次第だが、ここまできて嘘をつくとは思えない。

 

「貴方の熱意は私にしかと伝わりました……! 交渉を続けましょう。我が国の資源がムーを救うことになるのなら、その言葉を国王陛下にもお伝えいたします」

「ありがとうございます!」

 

 二人は席に降り立つ。それはムーにも空飛ぶ希望の船が舞い降りようとした、その予兆でもある。

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