屍喰鬼と殺人鬼   作:ユニ@カスリンガー

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純粋な死と絶望

 ~ シュウ 12歳 ~ リョウ 5歳 ~

 

 

「いない、いない・・・・ばぁ~~~!!」

 

「きゃっきゃ! きゃっきゃ!」

 

 今日も楽々と小屋から抜け出しいつもの基地へ行く、そこではシンジが居てリョウの面倒を見てくれていた。

 シンジは俺の3つ年上の15歳で妹・弟がたくさん居る。その為、小さい子の面倒を見慣れていた。

 っと言うかリョウを見せると俺から強奪し自然な流れで世話してくれる。その間に俺は読書したり、リョウに絵本を読み聞かせている。

 今日も1時間ほど騒いだ結果、リョウはただいま熟睡中。

 

「悪いな、ここ最近毎日だ」

 

「かまへん、かまへん ワイもだてに長男坊やっとらんからのぉ、それにこのご時世じゃ、いつ死んでも良いように世話しとかんと後悔しよる」

 

 シンジの弟達は実は2人ほど死んでいる。死因は栄養失調だ。つまり餓死。

 シンジも奴隷ではあるが、俺とは違い捕食者に飼われてなどいない。餌同士でスラム街の様な集まりを作りそこで住んでいる。自由で誰にも縛られず、だがそれは安定した食事にもありつけず、今日・明日の食事を常に求めながら生きなければならない事でもある。

 

「あっ!そろそろ小屋に帰らないと、シンジは?」

 

「せやなぁ~ わいはもうちょいここでノンビリするわ」

 

「うん、わかったじゃあなぁ」

 

「おう!じゃあのぉ!」

 

 ガタンッ

 

 基地から出て走っていると、リョウが起きた。

 

「ちょっとゆっくりしすぎたから、急ぐぞリョウ」

 

「きゃっきゃ、うん!」

 

 にこっと笑った顔が可愛くて堪らないのは俺だけじゃないはずだ!

 

 

 

 

「相変わらず、仲良い兄弟で、さぁ~って、ワイもちょいと寝るとする・・・」

 

 ダダダダダダッ! バッ!

 

 急に基地のカーテンが開かれ数人の男たちが入ってくる。

 

「なんやお前ら?」

 

「お前がここ最近この辺の食物を盗むというガキか・・・」

 

「ちゃうで~、ワイはやっとらんて」

 

 厳つい男達に囲まれても微動だにしない。

 

(しかし、まいったバレたかぁ。)

 

「この薄汚いガラクタ小屋も無許可のものだな・・・・・ 燃やせ」

 

「はぁ!? アホ抜かせ!」

 

 シュボッ

 

「なっ!?」

 

「私はやると言ったらやる男だ。貴様にも署まで来てもらう、従わないのなら・・・」

 

「せやなぁ~、ワイは結構クールな方やけど、ちょっとお前さんにはカチンときたわ、ちょいと・・・・・」

 

「「叩きのめす!」」

 

 

 

 

「うううぅぅぅぅ!」

 

「どうしたリョウ??」

 

「あっち・・・・・」

 

 そう言ってリョウが指をさす。そっちは来た方向だ。

 

「!!」

 

 寒気がした!今何か取り返しの付かない物を無くしたかのような、そんな悪寒が。

 

「リョウ一回基地に戻るぞ」

 

「うん・・・・」

 

 いつもニコニコ返事をするリョウが不安げな顔を見せる。子供にはよく分からない超感覚があるというが・・・・・ 外れてくれよ・・・・・

 

 

 

 

 

「・・・・う・・・そ・・・・・・・だろ・・・」

 

 目の前にあるのは燃え盛る俺らの基地そして・・・・

 

「なんでこんな火の近くにいるのに・・・・シンジ、お前の体はこんなに冷たいんだよ」

 

 腹には複数の穴があけられていた。間違いなく拳銃だろう。

 うな垂れて膝が地面に付く、その時だった。

 

「ほう! 他にも居たのか・・・・」

 

「・・・・なんだよお前ら」

 

 目の前にいるのは軽武装の4人組の軍人、真ん中の奴はTVでも見た事のある軍人だ。そして、はっきりとわかった事がある。

 

「・・・・お前らか、お前らが」

 

「ふっ奴隷風情が我々にたてつくからだ」

 

 ダッ!

 

 その瞬間、シュウは全力でダッシュした。リョウを抱えながらでもその足の速さはもはや子供のソレではなかった。

 

「お前達は回り込め私が追う」

 

「「「 了解! 」」」

 

 

 

 

「はぁはぁはぁはぁ、ここまでくれば撒けたか?」

 

 ガサッ

 

「あぁ、私が相手じゃなければな」

 

「なっ?!! クソッ」

 

 ダァーン!

 

「がぁぁぁぁ!」

 

 突如現れ、無慈悲に放たれた軍人の拳銃の弾は見事にシュウの脚に当たり倒れる。

 

「うぅぅぅぅぅぅ ヒックヒック」

 

 ビックリのあまりリョウが泣き出した。そしてシュウが覚悟を決めて言う。

 

「泣くなリョウ、兄ちゃんは大丈夫だからな、」

 

「『大丈夫か』笑わせてくれるな」

 

 状況的に言えば、確かにシュウは絶望的であり絶体絶命であるのは間違いない。

 

「リョウ、良いか? 兄ちゃんの言う事をよーく聞くんだ」

 

 コクコク

 

 リョウが縦に首を振るとシュウは痛みで引きつりながらもニコリとしながら言った。

 

「今から頑張ってお母さんの所まで帰るんだ? 道は分かるな、さぁ行け!」

 

「ふっ!逃がすとでも思っ・・・」

 

 ボフッ!

 

「ぐわぁぁぁぁ」

 

 その瞬間、シュウが撃たれていない方の脚で思い切り飛び込み、先ほど拾い隠していた15cm程の金属棒で軍人の顔を殴る。

 

「わ、私の顔に傷だとぉぉぉ、きぃぃさぁぁまぁぁぁぁぁ!」

 

「ははは、さっきのすました顔よりそっちの方がダサくてオススメだぜ」

 

 

 

「は、は、は、はやくママに教えないと・・・・」

 

 ガシッ ガチャ

 

「どこに行くんだおチビちゃん」

 

 先回りしていた軍人たちがリョウを捕らえて拳銃を突きつける。

 

「うううううぅぅぅぅぅ うわぁぁぁぁぁぁぁん!」

 

 恐怖のあまり大声で泣きさせぶ、だがその声は軍人達以外には全く届かない

 

「うるせいガキだな、おいさっさと始末するぞ」

 

 ガチャリ

 

「じゃあな坊主、天国で兄ちゃんを待ってな・・・・」

 

 ダァァーーン!

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