2520年 6月、約500年前なら今は初夏と呼ばれ、日本では30度近くの暑く、雨が降りじめじめした天気が続くと言う天国のような気候だった。
 今の地球と言えば、世界的山脈の噴火が日光を遮蔽し、野菜、果物は育たず、家畜の草食動物が次々に餓死し肉食動物も次々と餓死していった。また地震で孤島や鉱山などが崩落し、津波で飲み込まれ大陸資源は全盛期の20%にも満たない。
 それでも人類は高い科学力を活かしなんとか生き延びていた。だが、それは『高い科学力』と呼ぶにはあまりにも酷い物だった。

 この世界で今、一番必要なものは食物だ。生きる為に、動く為に必要な食物。しかし、先の大災害で食物は貧困を極め、遂には餓死が世界死因の1番となった。
 そんな時、世界を丸ごと変えてしまうある革命が起きた。『人間の遺伝子の一部を丸ごと低消費系の波状に変えてしまう』と言う実験が成功されたと報道され、その薬を世界中の人間が服用した。ようは少量の食物で多く動く事が出来る体になる薬を作ったのだ。
 少しでも少ない食物で、出来るだけ多くの事を成す。これを可能とした。そして人類は皆がその薬に歓喜し受けた。
 だが、実際はこの薬の効果がもたらしたのは、食物捕食による味覚停止だ。そして、全ての

生き物・植物等が食物に感じられると言う、意識錯覚。
 これにより世界中の人間が心の奥底で感じるようになった。


 「ならば人間を食べてしまえばいいんじゃなか?」と


 急速に歪みだした世界が捻じ曲がるのは簡単だった。
 脳の奥底にある僅かな本能を読み取る『海馬』。そこにある装置を埋め込んだのだ。


 ~独自感知型覇気観測機~

 その者の脳を生体的、性的、本能的適性値を計り
 多い者を、「捕食者」
 少ない者を、「餌」として、振り分ける。

 捕食者は餌を食べる権利が与えられ、餌は捕食者に「お前を食べる」と宣言されたその場で気を失い感覚を全て遮断される。
 これが所謂、『捕食制度』だ。
 また捕食者の脳は強制的に強化され常に脳の40%の能力が発揮される。通常の人間と比べると2倍ほど違うのだ。
 捕食者が捕食を開始しわずか数年で人類の人口はみるみる減り、現在の世界人口は10億人を切っていた。
 災害による被害も近年では少しづつ回復し人類は希望を持ち前に進むと思われた。
 しかし、一向に減らない人類同士の共食い。

 『人を喰らう』―――本来ならば忌み嫌い吐き気さえも沸くこの行為に捕食者達は中毒的な快感を覚えてしまったのだ。
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