~ シュウ15歳 ~ リョウ8歳 ~
「いいかリョウ?」
「うん いつでもいいよ お兄ちゃん」
「んじゃ いっちょ暴れますか!」
そう言って夜の繁華街のど真ん中に飛び降りる。ここ最近では昼間のスリ稼業をやめて、夜な夜な街に群れる不良、下っ端ヤクザのおっさん、明らかに健全ではないお姉さん達からこっそり(と裏路地に連れて行きカツアゲして)金品をいただく。
稼ぎは連日連夜上々。見つかっても鍛えた脚と腕っ節で何とかなる。しかし、こうも毎日いくとこんな噂も立つ。
スタッ!
「あっ!あれは有名な終了兄弟じゃねーかぁ!」
遠くからそんな声が聞こえたと同時に一斉に逃げ始める不良。どうやら前にボコッた連中らしい。ふむ、狩るか
「リョウ、お前は表からあいつらを追え、2人までなら大丈夫だ。3人に囲まれたら逃げろ!」
「おーいえす!」
スタッ!
そう言って走り出す俺とリョウ、リョウはこの3年間で驚くべき身体能力を発揮した。今では走る速さなら俺にも劣らない。この歳にしてはリョウの体は、もはや捕食者並だな。
ちなみに俺も速い方だ。100mなら10秒位で行ける。
裏道から一気に先回りする。これでも鍛えているんでね、そう簡単には逃げられないよ。1分ほど待つと不良達がリョウに追いかけられてこっちに向かってきた。それを確認し裏路地に隠れて待つ。
・・・・・・・・・・・・タタタタタ
・・・・・・・タタタタタ
もう少しで来る。目の前の大路地を通る瞬間に狙いを定める
・・・・タタタタタ
・・タタタタタ
タタタタタ
「キタァ!」
裏路地からいっきに大路地に飛び出ながら両手で1人づつ回収しそのままの勢いのまま逆サイドの裏路地に入り込む。その時に同時にアゴに一撃入れて気絶させる。
リョウはそのまま大路地を逃げる残り3人を追っている。俺は襲った2人から金品を奪い。再び裏路地から先回りをするために走った。
「リョウも最近うまくなってきたなぁ」
最初はうまく行かずに俺が仕留めてた所があったが、もう一人前な強盗犯だな。
そう言って先回りして待ち伏せしてると、
ズズズズズズズズ
「ん?」
変な音がしたので大路地に出ると、
「えへへ~ 3人相手に勝っちゃった」
笑顔で不良三人を引きずる弟が満面な笑みで歩ってきた。
「今日も大量だったな、アイス食べるか?」
「食べるぅ~~」
他から見たら普通の兄弟だが、2人揃って凶悪強盗犯だ。俺とリョウはフードで覆いかぶしてある為まだバレていないが、最近2人ほど警察を見かけた。気をつけないとな・・・・・・・ 狩るか?
「お兄ちゃ~~ん アイスゥゥ~~」
「あぁぁ ごめんごめん ほらよ」
「わぁ~い」
俺たちはあの小屋から出た。1年前位から俺たちは家には帰っていない。皆は笑顔で送り出してくれたが、心配してるかもな。
それでも、いつ食べられるか分からない。そんな所にいつまでもいる訳にはいかなかった。
「ほら口汚れてるぞ」
「ムシャムシャ、むぅ」
もちろん最初はどうしようかとも思ったが、今はそんな事はない。兄弟2人で体を鍛え2人でご飯を食べた。これでいいんだ。
そう、とりあえず今はこれでいいや
毎日、不良をぶっ飛ばして、お金を奪って食い物を食べる。これでいい。これで満足だ。
ニコニコしながらアイスを頬張るリョウを見ながら考える。あまりにも美味しそうに食べるリョウを見て思わず微笑んでしまう。
「邪魔だ!」
ボフッ
そう誰かに言われた瞬間、俺は何者かの攻撃をガードし、隣に居たリョウが吹き飛ばされる。
「リョウっ!?大丈夫か!」
ドサッ
2mは飛んだ。持っていたアイスが地面に落ち、リョウの手は腹部を押さえており、眼には涙が浮かび、口からは先ほど食べたアイスを吐いていた。
「汚らわしい餓鬼共め、私は先祖代々伝わる『山田家』の頭首、『山田 太郎・16世』であるぞ。馬に蹴られるだけで済んだ事を幸運に思え!」
そういって去っていく山田太郎、それを後ろから睨む、一組の眼
その眼はまるで煮えたぎるマグマの様な、光を映さぬ闇のような。
そんな俺の瞳だった。