虹ヶ咲のメンバーを無自覚に曇らせる転生者の話 作:投稿するヒゲ
早く2期編書きたくてうずうずしております。
今回は璃奈編のオリ主の設定です。
僕は愛さんと一緒に普段行なっている学園内での同好会の広報活動に殉じていた。
主に愛さんが持ち前のコミュ力で部活動を行なっている場に堂々と入って行き、そして愛さんお馴染みの助っ人のついでに同好会の宣伝をすると言う形で学園内の知名度を上げていっている。
「うーん、今日も頑張った!」
そうスね。僕は一切頑張れてないんだけどね。いや、別に不満とかはないんスよ。僕が出しゃばらなくても同好会は回るんだなとか、こんな役立たずは同好会にいらないよね、とか別に思ってないんだからね! 勘違いしないでよね!
「やっぱりむーちゃんと一緒だと楽しいなぁ。今まで離れていた分とっても嬉しい!」
何を隠そう愛さん、僕と昔会ったことあるらしいのだ。僕にその記憶は一切ないんだけどね……すまそ!
沢山の部活を回っていたからだろうか。夕暮れも深い夜初め、もうちょうどいい帰る時間帯だった。
このまま今日は解散でいいよね?
僕は帰る為に栞子とリナリーに連絡を取ろうとスマホを操作した。
「ダメだよ」
さっきまで笑顔だった愛さんの顔が、凍りついた様な無へと変化していた。スマホを持つ手をガシッと掴まれてしまい操作が出来ない。
「今日はしおってぃーとりなりーは無しだよ」
ミシミシと音が鳴りそうな程に僕の腕を捻り上げる。無意識なのか意図的になのか分からないけれど、声には切実さと祈る様な心細さが感じられた。
「このまま私の店に来てよ。久々に愛さんのプロの鉄板捌きを見せてあげよう」
手を離してくれた愛さんは、いつもと変わらない笑みを浮かべていた。
僕はさっきまでの出来事が嘘の様に感じられて恐怖が薄れる。そして、その瞳の奥に秘められたナニカから目を逸らして頷く事しか僕には出来なかった。
場所は変わって愛さんの実家兼お食事処。どうやら粉物が売りの鉄板料理屋さんみたいだった。
「ただいまー」
「お帰り愛。あら、お友だち?」
「うん、むーちゃん。やっと再会出来たんだー」
こんばんは。
この人が愛さんマッマ。外見は完全に愛さんを大人のお姉さんにした見た目をしている。本当に一児の母か、これが? これは、愛さん大人になったらいろんなところがボッキュンボンになりますよ! 乞うご期待です。
「……そう。ごめんなさいね。今日はお金は要らないから沢山食べて帰ってね」
妙にしんみりした雰囲気と申し訳なさそうな表情をした愛さんママの顔が印象的だった。
僕は愛さんに誘導されて席に座る。
少しの間が空いて、具材が運ばれて来た。そして、愛さんが丁寧に食材を調理していく。
その間に僕は少しだけこれまでの事を振り返っていた。
この世界に転生してからいろいろあった。
パパは初めからこの世には居なかったし、ママは美人だけど情緒不安定な残念虐待母性。
そんなママとは意外な事にこの前再会した。どうやら同好会の動画を見て、そこに一瞬映っていた僕を発見して応援に来てくれたみたいだ。正直、僕の事は嫌いなのかと思っていたけれど、沢山謝ってくれて、沢山応援してくれた。今は別に家族を作って幸せな様子だった。そんな姿を見て、僕も勇気を貰えた。
この世界がラブライブ世界だと気がついた時、一瞬だけ僕は存在してはいけないと考えた事もあったけど自殺するのは違うと思い止まった。それを見透かされていたのか、ママはずっと心配してくれていたんだろう。流石は母親と言う事なのかな。
僕が理想としていたアニメの中の様な幸せな家庭じゃなかったけれど、今は三船家の人達に優しくして貰えているから生きていて良かったと素直に思える。
その後、栞子から中学時代に起こった『二次創作の様な集団エ◯同人レ◯プ事件』の関係者が日本に戻って来たとの知らせを聞いた。
あの時はビビったね。
まさか自分が誰かにそこまで性的な目線で見られているとは思いもしなかったからね。
あの時程ノリノリで内心『私に乱暴する気でしょう! エ◯同人みたいに!』を連呼した事はなかった。
僕的にはあれをきっかけにあゆぴょんと侑タソに出会えたから、そこまでトラウマにはなっていない。それどころか、若干ネタにしたいぐらいなのだが、栞子が過剰に悲しむオア怒り狂うので話題にはしない様にしている。
そして、現在。
虹ヶ咲学園に入学して、同好会に無事に入部して日々を過ごしている。
その中で僕は、違和感と呼んでもいいのだろうか。とても不安に思える出来事がいくつか起こった。
アニメの内容は正直に言えばうる覚えで確かな事は言えない。しかし、侑タソの変な言動。そして、今みたいな愛さんの実家にご招待イベントなど、アニメでは描かれていない内容な気がする。
つまり、今この時点で僕が前世で記憶しているアニメの中の世界ではなくなってしまっているという事だ。
それが、今後どんな影響を与えてしまうのか非常に不安だ。僕が関わる事で悪化してしまったり、結果が変わってしまうなどあってはいけない。
必ずスクールアイドルフェスティバルを成功させなければならない。
今後は、いっそう全力で同好会に貢献していかねばならないなと決意していた。
「出来たよ」
愛さんが僕のお皿に出来上がった料理を乗せてくれる。
「本当はもんじゃ焼きにしたかったけど、今日はお好み焼き」
少しだけ
「ねぇ、むーちゃん聞いても良い?」
ニコニコと唇を吊り上げた愛さんが僕に向かって笑いかける。
「むーちゃんにとって友だちって何?」
意味の分からない質問だった。
友だち?
そりゃ勿論、大切な存在だと言える。
この世界で一人ぼっちだった僕に寄り添ってくれる貴重な存在だ。それだけでも有難いし、感謝の念が絶えない。
僕は、大雑把にそれとなくタブレットに書いて伝えた。
「……そっか。じゃあさ、私とりなりーどっちが好き?」
またしても意味の分からない質問だ。
どっちが好き?
そんなのどっちも好きに決まってるんだゾ!
寧ろ、この二人のカップリングも大好物さ!
しかし、愛さんから嘘は許さないと無言の圧力が僕に向けられていた。
なので、僕は正直にどちらも大切な事を真剣に伝えた。
「……そうなんだぁ! りなりーと同じぐらい大切だって思ってもらえて嬉しいな!」
僕は愛さんの顔から目が離せなかった。
その貼り付けた様な、無機質な笑顔。まるで今目の前に居る存在が、本物の宮下愛じゃないみたいな気までしてくる。
僕はその後のお好み焼きの味は、何も覚えていない。
◇
「今日はダンストレーニングをしましょう」
栞子ちゃんが同好会メンバー全員に向けてそう言い放つ。
今日は結と愛さんが出かけていて居ない。
愛さんとは野良猫のはんぺんの一件で仲良くなってから、よく話す様になった。私の会話のテンポにも合わせてくれる優しい人だ。
そんな二人が居ない。
なんだか心がざわついてモヤモヤする。
「りな子、どうかした?」
「ううん、大丈夫」
「では、各自二人組を作って下さい」
なんて絶望的な言葉を吐くんだろう。
栞子ちゃん、私達ボッチの気持ちを考えてほしい。そんな思いをぶつける様にジーッと栞子ちゃんを睨みつけた。
「璃奈さんは私と組みましょう」
栞子ちゃんはとっても優しい素敵な友だちです。
私は感謝の気持ちをぶつける様に栞子ちゃんをジーッと見つめた。
「どうかしましたか?」
「私、栞子ちゃんの事好きになったかもしれない。璃奈ちゃんボード『じ〜ん』」
「何を言っているんですか」
栞子ちゃんは無情にも辛辣な返ししかしてくれない。私がこんなに素直に気持ちを口にするのは珍しいというのに。
栞子ちゃんは結以外には大体塩対応なのを忘れてた。
その後、それぞれが二人組に分かれて柔軟運動をしていた。
栞子ちゃんが背中を押してくれるが、元々インドア派の私の節々は固まってしまってまったく曲がらない。
栞子ちゃんが困ったふうにため息を吐く。私は誤魔化す為に、ふと疑問に思った事を伝えた。
「今日は結が来てないけど寂しくない?」
栞子ちゃんの動作が一時停止した。
「し、心外ですね。私とて結が常に一緒にいなくても平気です」
明らかに嘘と見抜ける嘘をついた。
「……嘘をつきました。やっぱり寂しいですね」
照れているのか苦笑いで頬をかく。
そんな栞子ちゃんの姿に、私も自分の心の中で感じていた気持ちを話そうと思えた。
「私、ね。結が誰かと一緒に居たりすると胸がキュッと苦しくなる。栞子ちゃんや愛さんや同好会のメンバー、私以外と話したりしているだけで悲しいんだ」
気づけば同好会全員が私の話を聞いてくれていた。全員が真剣に私の話を促してくれる。
「友だちだからってそんな縛る様な想いを抱きたくない。私は皆と仲良くしたいのに、結には私以外に仲良くしてほしくない。そんなのっておかしいよ」
こんなに深くまで話すつもりはなかったのに、自分でも自覚のなかった言葉が口から止めどなく溢れた。
「そうかしら? 私は別におかしくないと思うわ」
果林さんが微笑みながらも優しく言葉を返してくれた。
「誰にだってそんな気持ちは少なからず在るものよ」
「それだけ相手の事を大切に思っている証拠なんじゃないかな」
果林さんとエマさんがお互いに頷き合う。
そっか。
醜いと感じていた嫉妬心や独占欲は皆も感じている気持ちなんだ。
「私も結が璃奈さんと仲良くしていると嫉妬します。そんな時、誰だって寂しさを感じているのだと思います」
「栞子ちゃん……」
私と栞子ちゃんは、きっと結に対して
それでも、栞子ちゃんは私を理解しようとしてくれた。だったら、私も栞子ちゃんともっと深く繋がりたい。
「栞子ちゃん、私負けないよ」
「私も勿論負けません」
こんな繋がりもあるんだ。
私は、また一歩誰かと深く繋がれた様な気がした。
愛さんオヤジギャグ挟まず。