ONE PIECEの世界に転生した一般タコ魚人 作:タマネギ日光浴
感想も増えてきて嬉しいですね。
今回は途中から三人称に挑戦してみました。
アーロンが捕まったというニュースは人間との融和を教育方針に掲げているにゅー魚人街にとっていいニュースとして広まった。
魚人島出身の魚人が外で悪事を働けば、ここ数年のリュウグウ王国が積み重ねてきた信頼と努力が踏みにじられることになるからな。
それはわかるが、おれやジンベエ兄貴、そしてかつて子供時代に一緒に遊んだような記憶しかないはっちゃんにとっては、中々複雑な思いだ。
チュウやクロオビ先生も捕まってしまっただろうからな。
ちなみに腐れサメ共に感想を聞いてみたら、今ではアーロンや人間への憎しみは興味がないとのこと。
…こいつら、年を経る毎におれを見る目が狂信者みたいになってきて怖いんだよな。
おれの行動を基本全肯定してくるし。
まあ今ではおれが不在の間の師範代として、道場を任せられるくらいにはなったから便利ではあるのだが。
ま、まあこれ以上はおれの精神衛生上考えないことにしよう。
最近はおれの門下生も続々と覇気の基礎習得課程を終えて免許皆伝を受けている。
望むものはそのまま道場の師範代となるのだが、おれの道場の卒業生はリュウグウ王国中で引く手数多だから色んな場所で各々活躍しているようだ。
おれがやっているのは直接的な戦闘能力の向上というよりかは、如何に自分を鍛えることができるかを追及するという精神修練の要素が強い。
免許皆伝も、覇気を習得するだけでなく、自分で自分に必要な修行を考えて実行できるようになっているかが基準となる。
このように特に礼儀作法なんかは教えていないのだが、卒業生達は強くて礼儀正しいと評判だ。
それは礼儀というより自分を律する術を知っているだけなんだけどな。
そんなわけでおれの道場はリュウグウ王国でも有名で、その門を叩く人や子供を通わせようとする親は後を絶たない。
その分、リタイアする人も多いけどね。
だからこそおれの道場の卒業には一定のステータスがあるのかもしれないな。
王子達もおれの道場を卒業した。
今のところおれの弟子達の中では最強クラスだな。
国王ネプチューンもそろそろ68才で年も年だからか、王子達に少しずつ仕事を引き継いでいるようだ。
…おれも跡継ぎを考えないといけないのかなぁ。
そもそもおれは修行が恋人みたいなものだからな。
実の子供はいないが、それこそ弟子達は子供のようなものだし、彼らの中の誰かに道場は継いでもらうかな。
にゅー魚人街の代表の方は、フカボシ王子が王になったら、リュウボシかマンボシに譲ればいいだろう。
そうすればかつての魚人街のように、魚人島本島から手の届かない見捨てられた土地にならずに済むだろうからな。
そういえば、跡継ぎといえばはっちゃんはどうするのだろうか。
はっちゃんはその料理の腕前で、にゅー魚人街でも一番美味しいと評判の店の店主になっている。
弟子も何人かとっているようだ。
いずれは引退するのかもしれないな。
最近は弟子に店を任せて伝説のたこ焼きのレシピを探しに行っているようだしな。
それはそうと、はっちゃんはいい加減店主夫妻の娘さんのアプローチに気がつかないのだろうか。
確かに赤ん坊の頃から知っているし、はっちゃんとは11才の差がある。
とはいえ、もう25才と36才なのだからそこまで問題はないだろう。
一緒に店を切り盛りしている姿はもはや熟練夫婦の域でお似合いなのにな。
誰に似たんだか、鈍感なやつだ。
そんな風に考えて日々を過ごしていたら、また麦わらのニュースが入ってきた。
クロコダイルを倒してアラバスタを救ってくれたことには感謝だ。
アラバスタはリュウグウ王国の友好国で、細々と貿易もしているのだが、如何せん魚人や人魚にとってあの国は暑すぎるので、近寄りがたいんだよな。
他にもエニエス・ロビー襲撃のニュースでは、フランキーが元気そうなことを確認できたトムさんが喜んでいた。
ブルックも無事に麦わらの一味になったようで、改めて懸賞金をかけられていた。
もう何年も前にソウルキングとして音楽活動で名前を馳せていた時期があることからか、世間では海賊になってショックを受けたとの声もあるらしい。
一方で、ソウルキング様には何か深い考えがあるのだ、と主張するファン達もいるようだ。
どこも狂信的な信者はいるものだな。
ラブーンも懸賞金が付けられていたが、元気そうでよかった。
そんな麦わらの一味は王下七武海のモリアをも倒したらしい。
ということは、そろそろ航路的にシャボンディ諸島に付く頃合いか。
はっちゃんからも手紙が届き、無事にレシピを見つけて、旅で出会った人魚のケイミーと地上でたこ焼き屋を開いているようだし、師匠もいる。
おれも行ってみるか。
天竜人、許すまじ。
どうやら、人攫いに拐われたケイミーを助けるために、はっちゃんと麦わらの一味が協力して探していたらしい。
そこでヒューマンショップのオークションで売られているケイミーを発見し、正攻法で買い取ろうとしたのだが、貴重な人魚に即決で10億を出した天竜人の圧倒的な資産力により敗北。
その後ルフィが駆けつけ、はっちゃんを拳銃で撃った天竜人のアホをぶっ飛ばしてくれたようだ。
幸いはっちゃんにはおれが最低限の護身として見聞色を仕込んであるので、怪我はなかったようだが、おれの弟に銃を放つとは許せないな。
ちょうど今、麦わらの一味の船のコーティング作業をしている師匠から以上の事の推移を聞いた所だ。
一味は師匠の作業が終わる3日後までやり過ごすためにここを出ていったようだが、たった今上陸してきた懐かしい強者の気配を鑑みると、そう上手くいくとは思えないな。
…よし、弟の借りだ。
あいつの相手はおれがしてやろう。
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
その日、海軍大将黄猿はシャボンディ諸島に任務で赴いていた。
標的は天竜人に危害を加えた事件を起こした主犯である麦わらのルフィだ。
今はそのついでにこの島に集っていた億越えのルーキー達を相手にしていた所だ。
「どいつもこいつも億を超えるような輩らは、化物じみていてコワイねぇ~。」
そう嘯きつつも超新星達を一蹴していく黄猿。
そんな彼に、部下から麦わらの一味が見つかったという報告が入った。
黄猿がルフィ達の場所へと八咫鏡(やたのかがみ)で向かおうとした時、それを遮った男がいた。
「おォ~っとっとォ。危ないねぇ。」
「ニュ~。久しぶりだな、ボルサリーノ。元気にしてたか?」
その人物は黄猿と同じで3mを超える身長を持ち、何より6本の腕に六刀の黒刀を構えていた。
「お前さんの顔を見るまではよかったんだけどねぇ。まったく、古傷が疼いてしょうがないよぉ。
…お前さんが出る幕かい?
立場ってもんがあるでしょうに。」
「なに、ちょっと弟が世話になってな。
ここはおれの顔に免じて1日だけ時間をくれないかい?
おれもジンベエ兄貴の許可も無しに世界政府と敵対したいわけではないんだ。」
なっちゃんがそう頼むと、黄猿は少し考えてからこう言った。
「…こちらとしても、あんたを敵に回すとなると、色んな覚悟を決めにゃあいかんので…。
半日だけなら諦めるよぉ。
その間、わっしは観光でもしてようかねぇ。」
「おっ、いいね。助かるよ。お詫びにおれが案内してやるよ。」
この後めちゃくちゃ観光した。
その後、黄猿は部下から、王下七武海のバーソロミュー・くまが麦わらの一味をバラバラに何処かへ飛ばしたとの報告を受けた。
「ん~、困ったねぇ。
これもあんたの狙い通りかい?
なっちゃんよぉ。」
「ニュ~、まさかくまに限ってそんなことをする奴だとは…、夢にも思わなかったぜ。ま、災難だったな、ボルちゃん。」
「ウソをつけ~~~。」
こうして2人は和やかに別れた。
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おれは作戦(くま任せ)が上手くいったことにホッとした。
結果は変わらないのかもしれないが、これではっちゃんの借りは少し返せただろう。
もしかしたら、大将さえ抑えておけば原作主人公ならばなんとかするのかもしれないと期待をしていたが、流石に無理だったようだな。
半日近くもっただけでも頑張った方か。
さて、それにしても、おれもそろそろ本格的に考えないといけないな。
世界政府を敵に回していいのかどうかを。
改めて整理すると、おれの立場はにゅー魚人街の代表だが、それ以前に王下七武海ジンベエの配下である。
その恩恵があるからこそ、不逮捕権が与えられており、こうして一国の重要なポストに就いていられる。
仮におれが世界政府と決定的な敵対をしたら、リュウグウ王国に迷惑がかかるだろう。
その悪影響はアーロンが東の海で事件を起こしたことによる風評被害の比ではないはずだ。
しかし、既にジンベエ兄貴が世界政府の白ひげ海賊団と戦えという要請を断っている。
おれがこうしてシャボンディ諸島に来る直前にも再三命令が来ていたし、これ以上断れば投獄するとの通達もあった。
今頃はもしかしたら捕まっているかもしれないな。
そうなればおれが自重する必要はないな。
では、おれ自身はどうしたいと考えているかだが、勿論オヤジの力になりたい。
しかし、そのためにも国王達にはしっかり説明をして筋を通さねばならないだろう。
どの道白ひげ海賊団が敗北したら、ナワバリも荒らされるであろうし、そうなればリュウグウ王国もただでは済まない。
リュウグウ王国はなんとかなっても、せっかく築いた地上の友好的な白ひげ海賊団ナワバリ経済圏が荒らされることは確実だ。
そのため、国として表立って積極的に白ひげ海賊団を支援するのはマズイにしても、何かしら裏で協力する必要性はあるはずだ。
とにかく、今は魚人島に戻って、国王と相談しなければな。
おれがリュウグウ王国に戻ると、既にジンベエ兄貴は捕まって連行された後だった。
また、国王ネプチューンは白ひげ海賊団にコーティング職人の斡旋を頼まれ、凄腕のトムさんを秘密裏に派遣したようだ。
どうやら裏から白ひげ海賊団を支援する事はもう決めてあったらしい。
食糧と隠れ場所も提供しているようだ。
国王によると、白ひげ海賊団には恩があるし、おれのオヤジなのだから協力するのは当たり前だ、とのこと。
王妃や子供達もうんうんと頷いていた。
…なんだ、悩んでいたのはおればっかりか。
やはり慣れないことはするもんじゃないな。
よし、行くか。
親孝行の時間だ。
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黄猿:白ひげ海賊団との戦争が控えているため、なっちゃんと諍いを起こすことを避けた。
また、仮になっちゃんを手を掛けると、実力を付けつつある魚人島を完全に敵に回すことにもなる。
それくらいならば、半日を犠牲にする方がマシだと判断した。
どうせそのくらいのハンデでは、ルーキーが光の速度の自分から逃げられることはないと考えていた。
また、そもそも自分が半日待っている間に、部下やパシフィスタが任務を達成すると信頼していた面もある。
ちなみになっちゃんとの観光はふつーに楽しかったらしい。
なっちゃん:修行していたら、いつの間かサンゴ刀六刀全てが黒刀に成っていた。
今回はルフィ達がくまにバラバラに飛ばされることを、余程印象に残っていたのか珍しく覚えていたため、黄猿の初動だけ抑えることにした。
黄猿には観光案内してあげた。
実は数年前に師匠がシャボンディ諸島にいるという情報を聞き、再会している。それ以来暇があれば手合わせを願いに行っているのだが、放浪している師匠を探している内に島に詳しくなっていったのだ。
観光中に黄猿の好物がみそラーメンだと知ったので、シャッキーに厨房を借りてご馳走してあげたらとても喜ばれた。料理人冥利に尽きるぜ、とか思っている。
自覚はないが、これって賄賂なのでは?
師匠:久しぶりに再会した時は、随分たくましく成長したなっちゃんに驚きつつも歓迎していたが、昔にも増して修行修行と煩いのでその内逃げるようになった。
ただ、それもなっちゃんにとっては、気配を殺している師匠を広いシャボンディ諸島の中から探すのは見聞色のいい修行になるな!と思っているので、むしろより積極的に追いかけ回されることになり逆効果である。
信じて送り出した弟子がまさか修行が恋人な変態になっているとは不憫な男である。
まあ、昔は昔でモフモフに目がない変態ではあったが。