ONE PIECEの世界に転生した一般タコ魚人   作:タマネギ日光浴

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いざ自分で文章を書いてみると、毎日投稿している方々の凄さを実感します。
ましてや、尾田先生はなんて凄まじいのでしょう。
皆さん尊敬します。


原作開始28年前(11才)、冒険のはじまり

晴れてロジャー海賊団の一員となったおれだが、扱いとしては船員見習いという一番の下っ端だ。

 

大海原の航海にはたくさんの仕事や雑務がある。

 

例えば舵輪を回して操船や海図を使って針路決定。

これはギャバン先輩がよくやっている。

 

おれは魚人だから波の流れには敏感だし、前世でも今世でも初めての航海なので、船を動かすこと自体に興味がある。

 

まだまだ新入りだからここの仕事には関われないがいつか教えを乞いたいものだ。

 

 

他には360度周囲の見張り。

これは大事な役割なので皆でローテーションを組んでやっている。

 

ただ夜間の担当になって1人で不寝番をする時はちょっと退屈だ。

 

とはいえ、おれは新入りだから他の仲間と一緒に組まされることが多く、いろんな武勇伝や冒険譚を聞いたり、仕事や修行のアドバイスをもらえる貴重な時間でもあった。

 

 

他には毎時ごとの気象観測だ。

 

とはいえ、新世界の海は常識が通用しない。

晴れたと思ったらすぐ嵐になって、かと思えば雪が降り、しまいには雷が鳴り響く。

 

それでもしっかり目的地に向かって進むことができるのは流石海賊王のクルーだが、それにはこうしたこまめな気象観測が欠かせないようだ。

 

とりあえず、気象の判断や予測は経験豊富な船員に任せるとして、おれは雑用係として気象を紙に記録していた。

 

紙を余分にもらえたので、ついでに航海に関して学んだことやその日に起きたことを書いた航海日誌もつくっている。

 

せっかくだから、船員たちにサインをもらっておこうかな。

 

 

ここまではあまり役に立っていないおれだが、明確に貢献できる仕事がある。

 

それは船内全員分の食事の調理だ。

 

もちろん正式なシェフはいるので調理補助なのだが、持ち前の6本腕と1年半厨房で鍛えた腕前を存分に発揮し、即戦力として歓迎された。

 

というか40人くらいいる食事をシェフ1人で作ってたんか…

 

それも原作のサンジみたいに食料の管理や献立もこなしているようだ。

 

食材の準備から下ごしらえ、配膳、片付けから皿洗いまで、揺れる船の厨房での作業は意外と重労働だ。

 

そこにクルーの栄養管理、食材の仕入れ、食料消費スケジュールの管理が加わる。

 

しかも船員はロジャー船長を含め大食漢ばかりだ。

 

これはキツイ。

 

まあ今は大海賊時代も始まっていなくて海賊になる人材も限られているし、そもそも海賊になるような人に料理の心得があるやつは中々いないようだ。

 

そんな中おれの存在はシェフにとても喜ばれた。

 

 

さて、栄養管理といえば、史実では大航海時代にはビタミン不足が深刻だったとテレビで見た覚えがある。

ビタミンが不足すると色んな病気を引き起こすので、特に壊血病といった難病に悩まされていたらしい。

 

そんな中おれたちの食糧事情だが、たどり着いた島で補給をしても、食糧の内訳は、塩漬けの肉、塩漬けの魚、ビスケット、乾燥した豆、チーズ、たまねぎ、酒、酢、水などが主なのだが、航海に出ると新鮮な野菜、果物の類はわずか数日で消費してしまうし、後は保存のきく塩づけの肉類、ビスケットだけに頼るしかなくなってくる。

 

原作でルフィがよくつまみ食いをしていたが、あれはわりとシャレにならないのだ。

サンジが鍵付き冷蔵庫を待望していたのも納得である。

 

 

そこで釣りなどでいかに魚を現地調達できるかが大事になってくるわけだが、そこには魚人であるサンベル先輩の活躍があった。

 

サンベル先輩は一度海に潜ると三叉槍を自在に操り海王類さえ仕留めてくる。

おれも魚人ということで手伝いに行くのだが、先輩の泳ぐスピードが早すぎてついていくのがやっとだ。

食べられる海の幸の見分け方も素早く的確で、勉強になることばかりだ。

 

先輩からしても、仕留めた獲物や収穫した貝や海藻などを運ぶ荷物持ちができたことで、より多くの食料を獲ってこれると喜んでいた。

 

魚人は1船に1人必要だな(確信)。

 

 

他の雑用としては甲板みがきなど清掃がある。

 

これも大事なことだ。

 

海の上では病気一つが命取り、狭い船の中で感染症が蔓延すれば航海が困難になる。

 

実際原作のブルックの海賊団はそれで大打撃を受けた。

 

清潔を保つ習慣を身に付けるのは良いことだ。

 

意外だったのはヤシの実(っぽい果実)を半分に割ってタワシの代わりにすることだ。

断面がごわごわして確かにタワシのようだ。

 

すげぇな、ヤシの実(っぽい果実)。

 

 

最後に船内巡検と人員確認もおれの仕事だ。

 

といってもこれはおれが勝手に始めたことだ。

 

暇があれば船内を巡って何か手伝う事はないかとクルー達と交流することにしたのだ。

 

これははっちゃんを見習って積極的に人と関わろうと決めたからだ。

 

ロジャー海賊団の仲間達はみんな気のいい人達で、いろんな人と仲良くできたし顔を知ってもらうことができた。

中には馴れ合わないといった態度の少年などの例外もいたが。

 

そうした中で自然と船内の情報が集まるようになって、それがいち早く船の故障に気づいたり、海に落ちた船員を助けることにも繋がった。

 

特に、海軍や海賊相手に海上戦をした後の迅速な人数確認は大事だった。

 

人知れず海に落とされて溺れているクルーがいれば、いの一番におれが助けた。

 

泳ぎではサンベル先輩の方が上だが、先輩は主戦力の1人なので手が空いてないことが多い。

その点おれは6本も手があるので、問題ない。

特に能力者からは溺れた際に頼りにされていた。

 

 

 

 

そうしてロジャー海賊団に馴染んでいる内に1年が経過した。

 

この1年は初めての経験だらけで必死だったがとても充実していた。

 

雷の降り注ぐ島、見たことのない巨大なジャングル、前世でもみないような不思議な動植物。

 

そこはまさに見たことのない世界だった。

感じたことのない暑さ。寒さ。

珍妙な植物。人間。

そしてロジャー船長をはじめとしたクルーの圧倒的な強さ。

おれの知らない世界が広がっていた。

 

 

 

さて、昔からの夢だった冒険ができてたいへん満足なおれではあるが、ひとつだけ不満もあった。

 

それは師匠があまり修行をみてくれないことだ。

 

もちろん師匠は副船長なので多忙だから仕方ないことはわかっている。

自由奔放なロジャー船長に加えて個性的なクルーのお守りをするのもたいへんそうだ。

 

だが、まがりなりにも弟子入りしたのにこの1年で教わったのは身体の鍛え方だけだ。

 

それはそれで以前より効果的に筋力をつけれるようになったのでありがたいが、覇気はまだ教えてもらっていない。

 

しょうがないのでこの1年は身体造りに精を出していた。

 

 

そんなある日、いつも通り筋トレをしていると師匠が現れてこう言った。

 

そろそろ本格的な修行を行う、と。

 

どうやら船に乗ったときは11才の子供でまだ身体が出来上がっていなかったから、キツイ修行は避けていたようだ。

 

本当はもう数年は身体造りをさせる予定だったが、魚人島時代よりも肉や大型魚類など栄養のあるものをたくさん食べられたことや、師匠特製の筋トレメニューを割り増しで行っていたことなどが功を奏し、予想以上に身体が仕上がってきたとのこと。

 

流石師匠!慧眼だぜ(熱い手のひら×6返し)

 

 

なんにせよ、これでさらに強くなれるのは嬉しい。

 

冒険は楽しいが、見習いなので戦闘では後ろで待機していたり、初上陸の島でもすぐに探検できるのは一定の実力がある人達だけだったりと、強さがないと自由に行動するのも難しいのだ。

 

 

そんなわけで師匠の手が空けばちょくちょく修行をつけてもらえるようになった。

 

その内容はスパルタで、実戦形式の組み手では何度もボコボコにされた。

 

覇気は使っていないようだが、おれの6本腕の攻めは全ていなされ、逆に鉄壁と自負していた守りも簡単に突破された。

 

これがジンベエ兄貴のようにパワーで押されたならば、より身体を鍛えるだけで済むのだが、師匠は剣の技術だけでおれの六刀流を攻略したのだ。

 

師匠曰く、おれの剣は剛剣というには力任せが過ぎるとのこと。

 

6本も腕があるから途切れない攻めや固い守りを無理やり実現出来ているだけで、まだまだ動きに無駄や粗が多く、格上相手には通用しないそうだ。

 

単純な筋力でいえば、9年以上鍛えた魚人のおれは中々のレベルだから、ここからは技量を伸ばすべきだと言われた。

 

そのパワーと手数に技量が加われば鬼に金棒だと。

 

おれが不甲斐ないせいで、6本腕のポテンシャルを発揮できないのは情けない。

 

師匠の修行方法はおれの六刀流に隙があればすぐさま木刀を打ち込んでくるというもので、めちゃくちゃ痛いし骨折はおろか重傷を負うこともあったが、なんとか食らいついていった。

 

 

師匠の他に参考にさせてもらったのはギャバン先輩だ。

 

先輩は斧を用いた二刀流で、とても強い。

その攻めの動きや両腕を使う際の身体の動かし方はとても参考になる。

 

師匠が試合の場を用意してくれたので胸を借りるつもりで挑んだが、案の定全く歯が立たなかった。

 

それでも二刀流のコツを教えてもらったり、いろいろ目にかけてもらえるようになったからありがたい。

 

 

 

 

そしてまた1年が過ぎ、13才になった。

 

この1年で成長したおれは戦闘でも役に立てるようになった。

 

まず六刀流は攻防ともに隙がなくなり、一対一では無類の強さを発揮した。

筋トレも欠かさなかったからか、よりガタイもよくなり、パワーが増した。

 

おかげで海軍本部の中佐を一騎打ちで倒すことができたし、懸賞金数百万ベリー程度の賞金首なら複数相手でも倒せた。

大佐や数千万ベリークラスの相手は荷が重かったが、師匠達にボコボコにされ続けたことで一番鍛えられた六刀流の防御力で時間を稼ぐことくらいはできた。

 

特に海戦ではサンベル先輩と一緒に海を泳いで敵船に先駆けたり、船底に穴を空けたりと活躍できた。

 

船大工とも仲良くなっていたおれは船の構造にもある程度詳しくなっており、敵船の急所を狙うことができるようになったのだ。

 

もちろん、溺れた味方がいたらすぐさま助けたし、逆に海に放り出された敵を捕まえて捕虜にすることもあった。

 

 

 

それに戦闘以外の仕事でもおれは成長した。

 

厨房では、調理補助から副料理長になった(とはいえ、もとからシェフと二人だけだが)。

食材の下ごしらえだけでなく調理も少しずつ任せてもらえるようになったのだ。

特にサンベル先輩と一緒に狩ってきた魚類の解体と調理には磨きがかかった。

 

他にもギャバン先輩と仲良くなったことで、海図や操舵のことも教わるようになった。

 

また、時にはケンカしたクルーを仲裁したり、6本腕の素晴らしさを仲間に説いたり、赤鼻先輩の宝さがしに付き合ったりした(なお成功することはなかった)。

 

 

 

そうしておれは順風満帆な冒険生活を過ごしていたが、世の中全てがうまくいくわけではない。

 

ロジャー船長が不治の病にかかってしまったのだ。

 

 

 

 

 

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なっちゃん:昔からの夢だった冒険にテンションMAX。こいつは普段は大人しいのに修学旅行だけやたら積極性を発揮するタイプの陰キャである。周囲からは目付きは悪いが真面目な働き者だと好意的に思われるくらいにはコミュ力が向上した。

 

なっちゃんの航海日誌:将来的にお宝間違いなしのブツ。世界初の世界一周を達成する海賊団の航海記録に加え、なっちゃんが学んだ様々なノウハウや練習で書いたちょっとした海図も載っている。なお本人はその価値を理解していない。

 

シルバーズ・レイリー:ぶっちゃけまだ子供なのであまり真剣に鍛えるつもりはなかった。しかし、1年で新世界の厳しい航海に慣れ、クルー達との仲も良好で、仕事もよくこなすことに驚いた。気を利かせたクルー達(魚人とかシェフとか)に裏で頼まれたこともあって本格的に鍛えることにした。技量を身に付けさせると共に身体をいじめ抜くことで、根性や気力も育てようとしている。どれも覇気につながる一歩である。なっちゃんは気づいていないが。なお、教えたことを愚直に守り吸収していくなっちゃんへの修行が思いの外楽しく、つい熱が入りすぎて重症を負わせてしまった時には、流石に反省したし、他のクルーからもブーイングされた。なっちゃんは気にしてないが。

 

スコッパー・ギャバン:斧を使う二刀流のクルー。レイリーに頼まれて手合わせしてみたが、まだ荒削りであるものの二刀流にも通ずる所のある六刀流に魅力を感じた。また、何度打ちのめしても立ち上がってくる根性を気に入った。聞けば海図や操舵にも興味があるとのことで、そこも教えてあげると殊の外尊敬されたので嬉しい。堅物だがかわいい弟分ができた気分である。

 

サンベル:魚人の後輩ができて実は一番嬉しがっている人。海に潜ることで、海賊団において重要な食料調達の仕事をしている。なっちゃんにもそのノウハウを伝授している。その中でなっちゃんが一部の魚類と会話できることを知り驚いた。魚人でも海の生物と会話できるのは珍しいからだ。その能力を活かせば海の情報をそこに住んでいる海の生物から集められるので、より海の幸を集められると考え、正式になっちゃんを後継者にしようとしている。

 

シェフ:地獄のワンオペをこなし続けてきた猛者。料理の心得がある人材がきて一番歓迎している人。正式になっちゃんを後継者にしようとしている。

 

赤鼻先輩:雑用を押し付けても文句を言わないし、唯一自分を雑に扱わない存在なのでなっちゃんのことを舎弟だと思ってる。




ロジャー海賊団は30から50人くらいの規模感とのことで、まだおでんやその家族家臣らが加入していない時期なので、40人くらいかなと独自解釈しています。また、スコッパー・ギャバンは海図や操舵に関わっているというのも原作のコマから勝手に推測しただけです。サンベルについてはただ、魚人でかつ漁業にも用いられる三叉槍を持っているという情報だけから膨らませた妄想です。シェフはロジャー海賊団が宴をよく行う都合上もう少し人数がいてもいいのかもしれませんが、彼がよっぽど凄腕だったということでここはひとつ勘弁してください。
なっちゃんの海の生物と話せる能力ですが、これは原作の扉絵連載で、はっちゃんが金魚姫などと会話していると解釈できそうな描写があったので、なっちゃんも同じ能力をもっているということにしました。

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