ONE PIECEの世界に転生した一般タコ魚人   作:タマネギ日光浴

7 / 15
今回は繋ぎ回なので短めですが、あとがきに説明の必要性を感じた一部感想返信を載せています。

それと、前話で魚人街が「燃えた」と描写しましたが、魚人街は海中ですので「破壊された」という表現に変更しました。

ストーリーの流れは変わっていません。


皆様のおかげで日間ランキング一位を達成できました。

応援ありがとうございます。


誤字報告もありがとうございました。


原作開始22年前(17才)、白ひげ海賊団特別部隊

白ひげのオヤジさんに勧誘された。

 

光栄だ。

 

大恩あるこの人に少しずつでも恩を返していきたい。

 

とはいえ、1つ条件というか、お願いをした。

 

魚人島が再び狙われた時のためにも、1人で自由に行動できるようにしておきたい。

 

そのため、各隊に囚われず好きに行動できる権利をもらった。

 

名目としては、特別伝令部隊(1人)といった所か。

 

白ひげ海賊団の船は複数あるし、傘下の海賊団が後ろをついてくることも多い。

 

魚人であるおれは海を自由に行き来できるので、連絡係としては便利だろう。

 

白ひげ海賊団の潤滑油となるのがおれの役目だ。

 

…ライバルは電伝虫だな。

 

ま、まあおれは物資や人を運ぶこともできるし、戦闘もこなせるから下位互換ではないはずだ。

 

それにこれはあくまで名目であるし、おれの本当の狙いとしては、自由に厨房に出入りしたり、航海士の仕事を見物することなので問題ない。

 

下手に役割を固定されてしまうより、おれは色々な事に手を出したいのだ。

 

そうでもしないと、6本もあるので手が余ってしまう。

 

 

こうしておれは白ひげ海賊団の一員となった。

 

 

と、その前に一度魚人島へ戻り、無事にお礼状と感謝の品を渡せたことを国王ネプチューンに報告した。

 

ジンベエ兄貴からは、白ひげのオヤジさんのお役に立てるように、と激励をもらった。

 

復興しつつある魚人街の皆も、これはめでたいと喜んでくれた。

 

元々は無法者の集まりであったが、この非常事態を協力して乗り越えたことで、連帯感と仲間意識が生まれたようだ。

 

足を洗ってタイガーの大兄貴の子分になったやつも多い。

 

タイガーの大兄貴もしばらくは冒険よりも魚人街を取りまとめることに集中するようだ。

 

おれだけ航海に行くことを申し訳なく思ったが、大兄貴は笑いながら、そんなことは気にせず行ってこい、と背中を押してくれた。

 

はっちゃんや店主夫妻にも暫しの別れを告げ、おれは再び冒険に出た。

 

はっちゃんは、次に会うときはおれも少しは強くなっているぞ、と意気込んでいたので、おすすめの修行方法を教えておいた。

 

 

余談だが、アホサメとも鉢合った。

 

魚人街防衛にも積極的に力を尽くしていたようだし、一応幼なじみでもあるので、一言声をかけようとしたのだが、向こうから避けられてしまった。

 

…おれ何かやったか?

 

まだ昔ぼこぼこにしたことを根に持っているのかな。

 

 

 

 

その後、オヤジさんにもらったビブルカードを頼りに白ひげ海賊団に合流した頃にはおれは18才になっていた。

 

 

白ひげ海賊団はラフテルやワンピースを狙っているわけではなく、オヤジさんの気のむくままに冒険をしているようだった。

 

例えるなら、周りが全国大会を目指して活動している部活動ばかりなのに対して、ゆるーい同好会のような雰囲気だ。

 

これはこれで楽しい。

 

白ひげ海賊団は家族のようなアットホームな職場です。

 

 

それでいて、当代で最強と目される海賊団なのだから、周囲は堪ったものではないだろう。

 

実際にオヤジさんの首を獲って名を上げようとする輩は絶えない。

 

大抵はオヤジさんが出るまでもないのだが、たまに活きがいい奴らがいた。

 

クロコダイルなんかはその筆頭だ。 

 

しかし、以前あのバレットと争って決着が付かなかったそうだが、そこまでの強さは感じなかった。

 

バレットが知略で嵌められたか、あるいはスナスナの能力は厄介なので仕留めきれずに逃してしまったのだろうな。

 

とはいえ、まだまだ大海賊時代以前の大物海賊達も残っているし、何よりロジャーの首の次は白ひげだと言わんばかりに攻めてくる海軍の精鋭達は厄介であった。

 

時には隊長が倒されることもあったが、オヤジさんはそんな相手をも軽々と粉砕した。

 

まさにロジャー船長を彷彿とさせる圧倒的な力だ。

 

試しにおれと戦ってもらったのが、おれの攻撃は全て予見されているように避けられ、逆にオヤジさんの一撃はおれの六刀流の防御を貫いた。

 

これ程の一撃を受けたのは師匠との最後の立ち会い以来だ。

 

それでも以前に比べて気絶することはなかったし、剣を折られることもなかった。

 

おれも成長しているのかもしれない。

 

 

オヤジさんにどうしたらそこまで強い一撃を放てるのか聞いてみた。

 

そこで驚愕の事実を知った。

 

オヤジさんやロジャー船長や師匠は、武装色だけでなく、覇王色の覇気をも纏った一撃を放てるそうだ。

 

…Qrnz*1マジカヨ。

 

覇王色って雑魚狩り専用じゃなかったのか…。

 

膝をついてガックリと落ち込んだおれを見かねたのか、武装色にも次の段階があることを教えてくれた。

 

それは外に纏う覇気と、内部破壊だ。

 

まず前者だが、身体の中を取り巻く不必要な覇気を流すことによって、直接触れずに対象を弾き飛ばすことができるそうだ。

 

そういえば師匠もそんなことをやっていたな。

 

あれってただ武装色で硬化しているだけではなかったのか。

 

…教えてくれてもいいじゃないか。

 

まあ、手本があるのに見て盗めなかったおれも未熟だったな。

 

次に後者だが、さらにもう一段上の段階に達したことにより、覇気は敵や物体の内部に到達し、内部(体内)から破壊することができるそうだ。

 

…何それ怖い。

 

 

でも、これで希望が持てた。

 

覇王色を持たない一般タコ魚人でも鍛えればまだまだ先があるってことだ。

 

その日から、おれは仲間達にも協力してもらってより一層の修行に励んだ。

 

 

おれはそんな風にマルコやジョズと覇気の修行をしたり、厨房でサッチと料理対決をしたり、魚人のナミュールと泳ぎで競争したり、ビスタに剣術の指導を受けたり、充実した日々を過ごしていた。

 

しかし、そんな平和なおれ達とは異なり、世間では色んな事件が起こっていた。

 

例えばバレット(22歳)がバスターコールをかけられて、捕縛された。

そのままインペルダウンに投獄されたようだ。

 

…そこまで深く関わりがなかったとはいえ、かつての仲間が捕まるのはいい気がしないな。

 

バスターコールか。

 

いずれそれくらいは跳ね除けられる実力を身に付けたいな。

 

 

他にも聞き逃せないニュースが耳に入ってきた。

 

ワノ国で百獣海賊団とゲッコー海賊団の戦争が勃発し、カイドウ(36才)がモリア(27才)を破ったそうだ。

 

…モリアといえばあの王下七武海になる男だよな。

 

そしてカイドウはいずれは四皇になるはずだ。

 

そんな大物二人がぶつかり合うなんて、ワノ国もただではすまなかっただろうし、あのおでんが黙っていないだろう。

 

それなのに、おでんについての情報がない。

 

鎖国国家だから情報が外に出てこないのは仕方ないにしても、心配だ。

 

そうオヤジさんに伝えて、ワノ国に行こうと提案したのだが、ちょうどタイミングが悪かった。

 

白ひげ海賊団はビッグ・マム海賊団と小競り合いをしている最中だったのだ。

 

その発端は、白ひげ海賊団が保護した島にある。

 

オヤジさんは、家族と共に冒険ができれば満足といったお方だが、その冒険の傍らで、魚人島にしてくれたように、力の無い島を縄張りにして保護する活動をしていた。

 

その内の1つがお菓子の名産地で、ビッグ・マムに目を付けられてしまったのだ。

 

そのため、お互いが島を巡って争い膠着状態に陥り、下手に船を動かせない状態であった。

 

おれにとっても、自衛力の無い島の保護といえば他人事ではない。

 

おでんのことは心配だが、死んでも死にそうにないし、大丈夫だろう。

 

トキさんや子供達もおでんなら守れるはずだ。

 

それより目の前のか弱き島を守る方が今のおれにとっては重要だ。

 

 

 

 

そうして月日が流れ、ようやくビッグ・マム海賊団が諦めた頃にはおれは19才になっていた。

 

いや、執念深すぎる。

 

何度か戦ったビッグ・マムの子供達は癖のある能力者が多く厄介だったので、もうやり合いたくないな。

 

 

さて、そうしてまたおれたちは出航し、冒険をしたり、弱い島を保護したりしていた。

 

 

そんな時に入ってきたのが、オハラにバスターコールがかけられたニュースだ。

 

…そうか、この時期だったのか。

 

ロビンちゃんを保護しようにも手がかりがないし、ここ新世界から西の海までは流石に遠すぎる。

 

おれには無事を祈ることしかできない。

 

 

他にも一大事件があった。

 

シキがインペルダウンを脱獄したのだ。

 

このニュースは白ひげに会いに来たシキ本人から聞かされた。

 

その際、一合打ち合った。

 

どうやらおれの顔を覚えていたようで、ロジャー船長を守れなかったくせにのうのうと生きてることがムカついたそうだ。

 

当時は見習いレベルだったのにその顔まで覚えているなんて、ロジャー海賊団の事を好きすぎるだろ。

 

おれはロジャー船長が不治の病にかかっていたこと、船長はおそらく自首したであろうことを伝えた。

 

シキはショックを受けたようだ。

 

それでも、すぐさま立ち直ったのは流石だ。

 

数年囚われていたことと、両足を切り飛ばして脱獄してきた関係で、大分弱っているようだが、その状況でなお次を見据えて悪巧みを止めないその姿は、ロジャー船長世代の大海賊の名に恥じぬ姿だった。

 

 

 

 

 

꧁⍤⃝꧂꧁⍤⃝꧂꧁⍤⃝꧂꧁⍤⃝꧂꧁⍤⃝꧂꧁⍤⃝꧂꧁⍤⃝꧂꧁⍤⃝꧂

 

なっちゃん:この度白ひげ海賊団の特別部隊長(1人)になった。

本業は連絡員だが、白ひげ海賊団のあらゆる仕事場に出没し、学びながら手伝っている。

特にコック達からは貴重な即戦力として頼りにされている。

航海士達にとっても、新世界の海図や気象の知識を交換してくれたり、海の生物から情報を集めてくれたりするので助かっている。

最近は、傷だらけのはっちゃんのことがトラウマになったのか、自分でも応急処置くらいはできるようになろうと船医の所にも顔を出している。

美味しいデザートを対価に知識を得ているようだ。

 

白ひげ:おでんのことは多少気になるが、自分の弟分なんだから問題ないと思っている。

 

マルコ:修行仲間。好物のパイナップルを使ったデザートを作ってくれるので、船医としての知識を教えることもある。

 

ジョズ:修行仲間。最近、外に纏う覇気を覚えたなっちゃんにダイアモンドの身体を斬られたので焦りを感じている。

 

サッチ:コック仲間。なっちゃんはレシピの引き出しが多く、張り合いがある。一度の作業量では分が悪いが、味付けや調理の丁寧さでは負けないと思っている。

 

ナミュール:魚人仲間。なっちゃんが地上戦に比べると、海中戦がまだまだなっていないことを勿体無いと感じている。とりあえず、泳ぎの競争という形で鍛えている。

 

ビッグ・マム:ーーー白ひげ海賊団は許さねぇ。

*1
ガックリしたポーズを表す。Qが頭とタコの口、rとnが胴体(3対の腕)、zが脚を表すアスキーアート




感想で来た質問に対して、皆さんにも共有した方がいいものがありましたので、その概要をまとめました。
読まなくても問題ないので、読み飛ばしてもらっても構いません。
また、感想欄をご覧になっている人にとっては重複する内容となっております。
ご了承ください。



Q.ブルックがグランドライン一周の約束を諦め逆走してラブーン会いに行ったことが解釈違い。筆者はどう解釈しているのか。


A.本作のブルックが置かれた状況において、原作とは異なる要素がいくつかあります。

①グランドラインを冒険中で、かつ自身を仲間に誘ってくれる信頼できる海賊団がいない
②心配をかけた親友(クロッカス)が命の危険がある航海に出てまで探しに来てくれた

その上で、ルンバー海賊団から、もしも生き返ったらラブーンに渡すという約束で最期の演奏を託されているわけです。

確かに男が一度交わした約束を果たせないことをブルックは恥と思うかもしれません。

それでも、「男が一度必ず帰ると言った」上で、「ラブーンにトーンダイアルを渡す」という約束までしたのです。

また、①の要素がなく、グランドラインを一周できると確信できるような信頼できる仲間もいません。

そんな中で②の要素もあるのです。

ここまでしてくれたクロッカスを放っておいてまたグランドライン一周を目指して一人で当てのない冒険に出るというのは、それこそ約束を果たせないことを何より厭うくらい義理堅いブルックらしくないのではないでしょうか。

と、いうのが私の解釈です。



Q.魚人島が被害を受ける原因となった大海賊時代という元凶を作ったロジャー船長に恨みはないのか?
原作で知っていたのだから大海賊時代を止めようとは考えなかったのか?


A.恨みはないですが、なっちゃんがロジャー船長に抱く思いは複雑なのです。

当初はぶっちゃけ原作の舞台装置に過ぎないと思っていました。

魚人島編までの原作知識に詳しい描写がそこまで無かったので、それは仕方ない面があるでしょう。

本作でも船に乗った辺りはロジャー船長との絡みはあまり独白されていません。

それだけ彼という存在に現実感がなかったのでしょう。

しかし、実際に生身で冒険に出てみるとロジャー船長のカリスマを否応なしに体感します。

この人とならば、どこまででも行けるという絶対な信頼感。

そのようなある種信仰的な思いも芽生えたのでしょう(なにせ思い込みだけで6本腕を信仰するような主人公なので)。

今度は畏れ多くて絡むことがありませんでしたが、クロッカスさんに対して、ロジャー船長の苦痛を和らげてくれた恩義をあれほどまでに感じていたのは、そうしたロジャー船長への心の変化があったのかもしれません。

そんななっちゃんにとって、尊敬するロジャー船長の最期の大一番を妨害するなんて考えもしませんでした。

その点では、まさに指摘してくださった通りです。

後先なんて深く考えず、その場の感情で行動する。

昔に見たマンガの流れよりも目の前の現実を優先する。

なっちゃんはまさに脳筋なのです。

また、それはそれとして原作知識をちゃっかり活用するずる賢い部分もあります。



Q.六話で正気を失ったような表現の後に、「記憶が曖昧」だとあるが、一人称の説明口調だから普通に記憶があるように感じてしまう。自分で自分を客観視できているのではないか。


A.そのような感想を抱くのは実は正解なんです(感想に正解も不正解もないとは重々承知ですが、ここでは筆者の意図したという意味で正解です)。

ロジャー海賊団にいてなっちゃんが人を殺める描写はありませんでしたね。

ロジャー海賊団がカタギ以外には容赦がないのはスクアードの件をとっても明らかなのに、です。

それでもなっちゃんが不殺でこれたのは、前世の倫理観が残っていたということと、本人が弱かったこと、周りのクルーが強くて頼りになったということなど、様々な理由があります。

簡単にいえば、周りに甘えていたのですね。

そんななっちゃんが1人になり、プッツンしてついに人を手にかけてしまいました。

いつかその日がくると覚悟していただろうとはいえ、それまでの疲労もあり、精神には相当な負荷がかかっていたでしょう。

忘れたくても忘れられません。

ですが、やはり忘れたいのです。

本文はなっちゃんの心の声を描写しているという側面があります。

そこで記憶が曖昧だ、と言っているということは、そういうことにしておきたいと、自分に言い聞かせているのではないでしょうか。



Q.魚人島に行くまでに海底を通らないといけないから、魚人島に近づいてきた海賊船のシャボン割りまくる方が効率的なのでは?シャボン割るだけで船の人員は水圧で死ぬだろうし、能力者はさらにアウトだろうから、島に入らせない海中防御線を築いた方が早いのでは?

A.その戦法は有効でしょうね。

ただ、なっちゃんが魚人街に帰還した時点ではもう既に海賊が押し寄せてきていました。

海中に防衛ラインを引く前から市街地戦が始まっているようなもので、そこからさらに手が足りなくなる程たくさんの敵が雪崩れ込んできました。

さすがのなっちゃんでも市街地に入ってきた敵を追い返すして戦線維持することが精一杯で、防衛線の構築まではできませんでした。

ネプチューン国王には今後の防衛計画を見直してもらいたいですね。

本作では、シキやバレットなど、過去の映画の登場キャラクターを出しておりますが、さすがに現在公開中のONE PIECE FILM REDの登場人物を出すのはアリでしょうか。それともナシでしょうか。本当に出すか出さないかは置いておいて、皆さんの感覚を知りたいです。また、この結果は多数決ではありませんので、どの結果になっても今後の展開を確約するものではありません。

  • アリ
  • ナシ
  • どちらともいえない

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。