転生したらオバロ世界のエルフだった件について 作:ざいざる嬢
シャルティアとアルベドはよく見たんですけどね。……アウラとマーレは?
後は最推しのデミウルゴスが出てくれれば……と、テンション上がったので無事書き上がりました。
聖王国編第二話、楽しんでいただければ幸いです。
ローブル聖王国、首都ホバンスにて聖王女カルカ・ベサーレスは頭を悩ませていた。
女であるからか聖女王ではなく聖王女と自らを軽んじ、排除しようとする貴族の活性化や、立場を強めるための強行的な政策を行うべきかどうか。南部との関係性の取りまとめなど悩むことを挙げればキリがない。
だが、彼女を最も悩ませているのは外交関係だった。
バハルス帝国。そして神聖アインズ・ウール・ゴウン魔導国。
帝国とは関係はこじれず、今も交易を行い両国でのやり取りも以前の様に変わらず行われてはいるものの、先日招待された神前試合で行われた会議後での皇帝から聖王国への印象はあまり良くなく、このままだと帝国との関係を見直さざるを得なくなる可能性が生じてしまった。
神聖アインズ・ウール・ゴウン魔導国に関しては、帝国よりも優先して国家としての関わりを考えなければならないとカルカは判断している。
かつてのスレイン法国も宗教的な問題から互いに不干渉ではあったが、魔導国は六大神信仰を全て否定し、新たにアインズ・ウール・ゴウン信仰という新たな教義を掲げていた。
これには聖王国内でもかなりの反発があった。 そもそも人間至上主義国家であった法国を治めるのが神を自称するアンデッド。それに加え六大神信仰を否定したということは、間接的に同神である火・水・風・土の四大神を信仰している聖王国としても──カルカ個人としては別だが──受け入れられるものではない。
それ故に断固抗議すべきだと主張する者もいる。
しかし、あの神前試合を見たのであればそんな考えは出来なくなるだろうとカルカは判断している。
言ってしまえば、今の帝国と魔導国は強すぎるのだ。
カルカも戦力として、友として聖騎士と神官における聖王国最恐の姉妹を有しているが、あの試合を見ればレベルが違いすぎることなど理解出来てしまう。
ケラルトとレメディオスがいても、帝国の粛清騎士アレーティアと魔導国の守護者コキュートスには到底敵わない。
更に言えば魔導国はあのレベルの戦力をまだ幾つも抱えているという。
帝国も四騎士という強者に加え、鮮血騎士という全員が英雄級の実力を兼ね備える粛清騎士の配下もいるという。
聖王国にも九色という称号こそあれど、アレは強さだけではなく政治的働きによって与えられることもあるため、武力という点ではそれらに劣る。
そんな戦力を抱える帝国と魔導国へは今後どのような対応をするか。聖王女として聖王国の民を導かなければならないカルカは頭を悩ませている。
「……民への負担はどうにか避けなければ」
カルカの民を想う気持ちは本物だ。
『誰もが安らかに生きていく。ごく普通の当たり前の幸せを享受させてあげたい』というその考えと優しさは甘さに変わってしまい、強い政策が取れないという欠点になってしまっているが。
だがそれも今回の件に関しては捨てざるを得ないとカルカは判断を下す。
帝国、魔導国との敵対だけは避けたい。
幸いなことに魔導国とは先の神前試合で行われた会談で魔導国とは相互不干渉という形に納まり、帝国とはこれまで通りの関係を維持することが出来た。
……ただ、あの会談での皇帝の視線からは好意は感じず、嫌悪感や哀れみといったものを感じたのは気のせいだろうかとカルカはふと思い返す。
「カルカ様、お疲れですか?」
そう訊ねるのは神官長であるケラルト・カストディオと聖騎士団団長のレメディオス・カストディオだった。
聖王女カルカ・ベサーレスにとってかけがえのない親友であり、心強い味方である。
ただ、ケラルトは少しばかり腹黒いところがあり、レメディオスは実直過ぎるきらいがあるが、カルカに足りないところを彼女たち姉妹が補ってくれていることに感謝していた。
「ケラルトにレメディオス……。そうね、これからの聖王国について考えていたわ」
「……あの会談でのことですか?」
「そうよ。今のままだと、きっと聖王国は孤立してしまう。
私たち聖王国が帝国と魔導国を必要とすることがあっても、逆はないわ。
……それなら、いっそのこと帝国の属国になった方が──」
「いけませんよカルカ様、弱気になっています。
帝国の皇帝は即位してからあの粛清騎士と共に大規模な粛清を行ない、貴族と民を震え上がらせたと聞きます。
そのような殺戮と血に塗れた所業を行なった皇帝の傘下に入るというのは、聖王国内でも多くの反発を生むことになります」
「しかし、それでも実際国は良くなっています。 国を率いる者として、ある程度の痛みは覚悟しなければならないのかもしれません」
「カルカ様……」
少なくともこれからのことを考えれば、帝国との関係を強めるべきだとカルカは判断している。
仮にこれから魔導国と拗れることがあっても、同盟か何らかの協力体制を築ければ仲裁に入ってくれるという期待も加味して。
ならば、あの皇帝にそうさせてもいいと思わせる何らかのメリットを用意しなければならないだろう。
そのためにもまずは南北で発生している内政問題を解決するべきだと考えた矢先──。
「聖王女様!聖王女様はいらっしゃいますか!!?」
「何事だ!!」
「き、緊急事態です!! 南部に強力な悪魔の軍勢が突如現れました!!既に主要都市のいくつかが陥落しているらしく、逃げてきた貴族や民たちが保護を求めています!」
「な、なんですって!?」
「悪魔だと!?なぜそんなものが現れる!? 一体誰が召喚した!!」
「わ、わかりません! ただ現れた悪魔の数は推定で千を超えるとされ、先頭にはこれまで記録されていなかった悪魔の姿があったと報告が……」
カルカはあまりに突然の事態に頭を押さえる。
悪魔──基本的には聖騎士が召喚する天使と同様で召喚しなければこの世に現れることはない。
加えて言えば一度に召喚できる天使や悪魔は一、二体が限界だ。それが
「……悪魔の大群を召喚出来る魔法なんて聞いたことがない。 あの結社ズーラーノーンの盟主がかつて使用したという〈
だがそれでも〈不死の軍勢〉は第七位階の魔法。言わば神話の領域にある魔法であり個人では習得不可能であり、周辺諸国最高峰の
それが同数の悪魔召喚ともなれば最低でも第七位を行使できる魔法詠唱者がいるということになる。
「……まさかだが、これは魔導国の仕業ではないか?」
「レメディオス、その発言は……」
「ですがカルカ様、あの魔導神……もしくはあの守護者と呼ばれた悪魔なら可能ではありませんか?それなら納得いくというか……」
あの神聖アインズ・ウール・ゴウン魔導国の守護者と呼ばれたモノの内の二体は、かの魔導神が召喚した悪魔──絶世の美女悪魔と蛙の頭にスーツを着た悪魔──はあの神前試合でその圧倒的力を知らしめたコキュートスという守護者と同等の力を持っているという。
それほどの力を持っているのなら、第七位階以上を行使出来てもおかしくはないという考えが頭をよぎるがカルカは頭を振りその考えを振り払う。
「憶測で物事を語ってはなりませんよレメディオス。 それよりも今は事態の収束に勤しむべきです。南が落ちたということはこの北側にも攻め込んでくるのは間違いありません。
聖王国が落とされる事態は避けなければ──」
国家総動員令を発動するしかない。そう判断したカルカは行動に移すべく諸侯を集め発動を宣言しようとした矢先──新たなる凶報が伝令によって持ち込まれた。
「失礼します! 大至急報告しなければならないことが御座います──!!」
「今度はなんだ!! ……なっ!?お前その傷は……」
現れた伝令は全身に傷を負い、血を流し城内の見事なカーペットを汚してしまっている。しかし、伝令の目は使命を果たさんとする意思を──聖王女に剣を捧げんとする聖騎士と同じ──宿していて、咎めようとしたレメディオスもその様を見て口を閉じた。
同時に傷だらけになりながらも何かしらの報告を持ち帰った伝令を手当てすべくケラルトが駆け寄り回復魔法をかけ傷を癒す。それによりいくらかマシな状態になった伝令は手短に失礼のないようケラルトに感謝の意を伝え──一刻も早く伝えなければならない緊急事態を口にした。
「──破られました」
「何?」
「城壁が……中央大砦に亜人たちの大軍が突如侵攻し、それを率いる大罪の悪魔の一柱と名乗る悪魔により壊滅!! 亜人たちの侵入を許してしまいました……!!」
「なん、ですって……!?」
聖王国の半島を覆うように築かれた防壁は亜人の侵攻を防ぐための聖王国最初の守りにして最後の守り。
それが破られたということは、亜人の侵攻を防ぐ術が失われたという残酷な事実だった。
○
○
〇
「ふぅ……ここまでは計画通りですわね」
崩壊した砦を背に女悪魔が嗤う。
女悪魔とはいうが頭部はカラスのような貌をしていて、亜人の一種と見えなくもない。
だが首から下の身体つきは人間の女性のそれで、露出の多い革のボンテージじみた衣装に身を包み、豊満な胸が目立つ。
そんな女悪魔──
南は
そして嫉妬の魔将が任されている北はこの亜人の大軍を使い、戦線を二つ作ることで残されている限りある戦力を分散せざるを得ない状況に持っていく、というのが大まかな仕事だ。
だが、進行速度は速すぎてはならない。この作戦の立案者曰く、いかに聖王女が無力なのかを国民に知らしめる必要があるという。そうすることで聖王国における聖王女への支持率を下げ、今後行われる計画の一助になるというのだ。
北も南も聖王国は生かさず殺さず、長く苦しんでもらう必要がある。その手段はいくつかの指示は出されているものの、基本的に現場の指揮を任されている三魔将に一任されている。
「ここからは腕の見せ所ね。 とりあえずは当初の予定通り進めましょうか」
嫉妬の魔将が手を叩けば亜人たち各種族の代表者が集まってきた。
この場にいる亜人たちのほとんどが血に飢え、人間を食料とし、強者には従うといった野蛮な種族たちだ。
恐怖で従っている種族はほとんどいない。何故なら多くの亜人たちは既に嫉妬の魔将との接触で精神に干渉されていて、彼らの中の負の感情を増幅させられ人間に対し深い嫉妬心を抱くようになり攻撃的になっているからだ。
それは三魔将にとって都合のいい状態だった。
「では指示を──これより攻撃を開始なさい。あまり被害を出さずにこの砦からなるべく多くの人間を追い立てるように。そう、獲物を狩るようにね。
──ああ、殺すなとは言いませんが皆殺しにはしないように。せめて深手を与える程度に留めなさい。狩りは長く楽しみたいでしょう?」
命令を受け亜人たちは破壊された砦を越え、侵攻を始める。これから今まで亜人を追い立ててきた人間共を蹂躙し、支配し、隷属させる。想像するだけで胸が高鳴る。
亜人たちの士気は高く、その士気が高いだけ聖王国で行われる数々の所業はより凄惨なものになっていくだろう。
──聖王国の長い長い
カルカ・ベサーレス
色々思い悩んでいるところにとんでもない事態が舞い込み頭を抱えている。
皴が出来ても自前の美容魔法で治せるから問題ないね!
原作では聖棍棒にされてしまうが……?
レメディオス・カストディオ
パワハラ気質のある聖騎士団団長。脳筋。
頭脳労働はカルカ様と
原作では散々な扱いだったが……?
ケラルト・カストディオ
レメディオスの妹であり聖王国神官団団長。蘇生魔法を行使できる。
脳筋の姉を抑えられる数少ない存在。
原作では
亜人連合
嫉妬の魔将によって勧誘、思考を誘導されて全体的に乗り気な種族ばかり。
原作と違い仕方なく従っている種族が少ないのは
フールーダ・パラダイン
この作品では第七位階には至っているものの、その情報が伏せられているので聖王国はそれを知らないということになっています。
感想、高評価ありますとモチベーションが上がりますので、是非是非よろしくお願いします。