少しだけ疲れた。
「アリシアちゃんには、これも良いんじゃないでしょうか?」
「そうねぇ、悪くはないんだけど、こっちの清楚さを押し出したスカートとブラウスも良いと思うわよ?」
「あら、アリシアにはこういったちょっと冒険した感じのミニスカートも良いんじゃないかしら?」
少しだけ疲れたという表現なのは、彼女達は私を無理矢理ひん剥いて着替えさせるということはしないのである。
あくまで似合うであろう服を議論しているだけで、私に押し付けて無理矢理着替えさせるということがないだけマシと言うものなのだ、ただあの時に運悪く室内に留まっていた彼はお母さんたちによって室外に叩きだされていたので、そういうのがないだけ良いのだ。
今の私の姿はセーニャが前に選んだ服である青いプリーツスカートに白いセーターに似た服を着ているが、下着はちゃんと新しいのを付けているので安心してほしい。
「にしてお前、そんなに疲れたような様子がないな」
「うむ、あんなにシルビアたちが張り切っておるし、他のパレードの皆もテンションが高かったのじゃが、アリシアは平然としておるのぉ……」
「平気、セーニャたちは私を脱がして着せ替え人形にしないから、お母さんたちは私を無理矢理脱がしてきたから……」
「苦労、していたのだが…… そなたも……」
今の服はセーニャが選んだ物で更には自分で着替えたので、疲れたというのは彼女達の議論が落ち着くまで待つくらいなので、特にへでもないのだが他の男性陣にとってはそうでもないのだろう。
何しろカミュが言ったことに応えたら、勇者様を含めた全員がドン引きした様子でお母さんたちの行動を聞いていた。
セーニャたちは自分たちが選んだ服の議論が進まないと知ったら、こっちに選択を迫るものの無理強いするわけでもないし、ましてや無理矢理ひん剥いて着替えさせるわけでもないので正直な感想を言ったのだが特にグレイグが感慨深そうに言っていた。
「じゃあ、アリシアちゃん!!アタシとセーニャちゃんにマルティナちゃんが選んだ服のどれが良いかしら!?」
「気になります!!アリシアちゃん」
「私も気になるわ、アリシア」
「ぅ、ぅぇぇぇ……」
議論が全く進まなくなったのか、こっちの意見を聞くというより迫ることにしたようだ。
危機を察知した男性陣はさっと私の傍からいなくなると、それと同時に自分たちが選んだ衣装を持った3人に迫られる。
まずセーニャは今着ているものとは違うノースリーブと言う感じのワンピースで、シルビアは白いプリーツスカートにフリルのついたブラウスに加えて可愛い白いリボンも持っているし、マルティナに至っては紺色のタイトミニなスカートと黒いプリーツスカートのミニを持っている
「えっと、シルビアの選んでくれたブラウスとマルティナの選んでくれたスカートを組み合わせて着てみたい」
「あらっ、それも良いわね!」
「そこは盲点だったわぁ!!」
「じゃあ、アクセサリーも選んだ方が良いですねっ」
何となくミニスカートも穿いてみたいと思ったので、シルビアが選んでくれたブラウスと組み合わせて着てみようと伝えたら二人ともが大喜びしていた。
前世はおとこだったこともありミニスカートなんて穿いた事なんてないし、この世界でお母さんが作ってくれた服は大抵がロングスカートタイプのワンピースとかばかりだったのだ、何でも女の子が足を出すのははしたないという意識があったようで、神の民の里では露出を控える衣装が中心だった。
そうしてセーニャがアクセサリーも張り切って用意をしていくと、シルビアとマルティナも協力していくので彼女達が選んだ衣装を持って試着室へと入っていく。
「よっと……」
試着室に入った後、ブラウスを脱いでスカートも降ろしてから改めて己の体を眺める。
あの時につけられた傷は綺麗に無くなり、今の体は約10歳児程度の女の子そのものであるが、胸が既に膨らみ始めていたので胸元はジュニアブラっぽいのでおおわれていた。
むむむ、と、後ろを向いたりして色々と確認するように動いた後で、まずはブラウスを着ていくが羽を収納してからなのは当然だ。
じゃないと羽の位置から通していかないといけなくなるし、メンドイのだ。
「アリシア、着替えは終わったかしら?」
「もうちょっとだから、待って」
「分かったわ、ゆっくりで良いからね」
「うん」
ブラウスを着てから羽を展開していくが、一体どうやってこの服を作ったのかが気にはなる。
シルビア曰くパレード隊の皆が頑張ったと言っていたが、有翼人の衣服を本人を見ることもなく違和感なく本人が着られるものを作るって凄くないか? と、思って感心していたらマルティナから声を掛けられた。
ボケーっと考えていたので、ハッとなってしまうが慌てて外へと出て下半身丸出しで彼女達の前に出るという愚は犯さず、黒のプリーツスカート(ミニ)を穿いておかしい所がないかどうかくるっと回って確認してからカーテンを開ける。
「へぇ…… やっぱり元が良いと何を着ても映えるわね、着せ替えのし甲斐があるわ!」
「あ~ん、アリシアちゃんとってもプリティ~!じゃあ、このリボンで髪も結ってみましょう?」
「やっぱりアリシアちゃんが可愛いですし、そのお羽がいいポイントですね!」
「んぅ」
姿を見せたわたしを見た3人はと言うと目を輝かせながら、マルティナは大量に積まれている衣装の着せ替えが待っていることを示唆する言葉を言い放つ、シルビアも目を輝かせながら赤いリボンを持って髪を結ぼうと言ってくれる。
実は今の髪は自然に流しているだけなので、何も結んだりとかしておらずシルビアの提案は願ったりかなったりだし、今までお母さんに結んでもらってきていたために自分での結び方も分からなかったのだ。
セーニャに至っては羽を優しい手つきだが、いきなり触って来たのでついつい変な声が出てしまうのはご愛敬だ。
「じゃあ、髪型はどうする? アタシはおさげみたいにするとか良いんじゃないかって思うのだけど」
「シルビアはそう考えたのね、私はサイドテールも良いと思うわ、セーニャはどう?」
「私ですか? そうですねぇ…… 色々としてみたいですっ!」
「ピッ!!」
この姿を見た後に真剣な表情となったシルビアが、髪型の討論を開始し始めるけど、マルティナまでは特に何も感じなかったというのにセーニャが放った言葉からは、背筋にゾゾゾっとナニかが走りランランと目を輝かせる彼女の姿に嫌な予感が膨らんでいく。
ま、まさか……? そう思っていたら。
「じゃあ、色んな髪型を試しましょう!!行くわよ!!」
「ええ!!任せて頂戴!!」
「アリシアちゃん!!色んな髪型を覚えて頑張りましょう!!」
「 」
い、嫌な予感が的中した!? そう言わざるを得ない光景が降臨した。
ひゃぁっ!もう我慢出来ねぇ!そう言わんばかりに表情を輝かせてマルティナとセーニャだけでなく、シルビアも張り切った様子でこちらを見ているから、ヤベェと思ってしまうのだけどいつの間にか他の男性陣は室内から姿を消しており、助けなど期待できない状況を端的に理解させられるのは当然だった。
その後は、女性陣によっておしゃれとは何かとか今の自分がどれだけ勿体ないことをしているのかとか、そういうのも含めてレクチャーが行われたとだけは言っておくけど薄情な勇者様達には一言物申したい所である。
勇者の剣を作りに行かなくて良いのん? というツッコミが来そうですがちゃんと作りに行きますし、このロリも見届けますぞ。
天空魔城にも同行しますし、この小説ならではと言う感じの要素を出せていけたら、そう考えながら書いております。