今の私はホムラの里と呼ばれる場所を出て、完全な戦闘装備を身に纏ってホムスビ山と呼ばれる場所へと走っていた。
なぜここにいるのかと言えば、ソルティコの街でジエーゴと呼ばれる領主さまの所に連れて行かれた時にさかのぼる。
ジエーゴさまの屋敷に連れてこられた私は皆について行きたいと、勇者様達に話したのだが全員から反対された上にグレイグやマルティナはカミュみたいに怒りながら、私を制止しようとして来ていた。
その二人を抑えて話を聞く体制に持って行ってくれたのはロウとセーニャの二人で、カミュとシルビアは私達の様子を見ている様子だったけど、心情的にはグレイグやマルティナと同じなのか彼らを止める動きはなくて迷っているのが窺えた。
「なぜ、お主がワシらについて行きたいのか、それは理解した…… だが……」
「家族の仇を討ちたい、それを私は否定することは出来ません、ですが……」
「母親の仇討ち、か……」
「アリシア……」
神の民の里を滅ぼしたのが魔王軍の邪竜軍王ガリンガだということ、お母さんたちを里の皆を殺したのが魔王ウルノーガの手の物だと分かったから、だから彼らと共に行って仇を討ちたいと言ったら全員が悲しそうというか、悲痛な表情となっていたから勇者様達も大切な誰かを亡くしたのは分かった。
「ハァ…… それで、お前さんは母親の仇を討つためにゴリアテたちについて行きたいって訳か?」
「…… はい」
「この!!バカモンがぁ!!」
「っ!!?」
この話をしていたいのが領主であるジエーゴさまのお部屋でしていたこともあって、彼は全ての話を最初から聞いていた。
それを腕組みをして難しいというか険しい表情を浮かべて聞いていたのだけど、大きくはないけど室内にハッキリと木霊した溜息で私たち全員の意識が彼へと向いたのと同時に、ジエーゴさまは確認するように問いかけてくるが私はしっかりと頷いて答える。
その瞬間にジエーゴさまからビリビリとした迫力と、威厳のある怒声が響き渡ると同時に私の背筋はピンっ!と張って彼に正面から向かい合う形となっていた。
「お前さんが生きているのは、その母親や里の皆が命を懸けてくれたからだということがなぜ分からん!!」
「分かっていま「分かっている訳、ねぇだろうがぁ!!」ひぅっ!」
「分かっていたら、仇を打ちたい、そんなことを軽く考えて決断するモノか!!」
「軽く考えてなんかない!!」
「なにぃ?」
多分だけど、ジエーゴさまは敢えて厳しくも辛い言葉を重ねて、私を止めるために悪者になってくれているのだろう。
他の皆が一歩下がった様子で私達のやり取りを見ていることから、私と仲が良い彼らでは言えないことをジエーゴさまが敢えて辛辣な言葉を浴びせて、いるのだと分かったけど私にだって引き下がれないものはある。
「血の繋がらない私を、里の皆は優しくてあったかく見守りながら育ててくれた!なのに……!なのに私は……!!」
「その考えの全てがお前の独りよがりな考えだと何故分からんか!? 実際にお前は負けたのだろう」
「…… それ、は……っ」
「それとも何か? 都合よく自分を守ってくれない者がいないから負けたと、そう言い訳をするのか!!」
優しい微笑みを浮かべて私を見守り抱きしめてくれたお母さんや、時に優しいけれど悪さとかをした時には厳しくなる里の人たちや、里に住む心を浄化された魔物と言える人達を思い出すと冷静ではいられなくて声を荒げてしまう。
皆が殺された時に私が何をしていたのか、強い呪文や特技を使えるのに恐怖に慄いて震え、隠れてやり過ごすという卑怯すぎる決断をしてしまったのだ、更には魔王軍の一人であるホメロスに痛打を与えながらも敗北した事実、これらが私に黒い影を落としてしまっていた。
確かに私は強力な呪文を取得しているけど、近接戦闘の心得がなかったためにホメロスから良いようにやられたのは事実だった。
だからジエーゴさまの言葉に反論が出来ないでいてしまっていた。
「ジエーゴ殿、ここはワシの顔に免じてアリシアの覚悟を試す場を整えさせてくれんかのう」
「そうよ、パパ…… 頭ごなしに否定するばかりじゃ、アリシアちゃんは納得できないわ」
「お前ら…… ハァァァ…… それで、どうするつもりだ?」
思いばかりが先行してしまって感情的になってしまい、涙が浮かんできて視界がじわっとぼやけてしまうけど、何かを思案している様子を浮かべていたロウがジエーゴを窘めるように言葉をかけ、シルビアも微笑みを浮かべながらもしっかりとした様子でジエーゴ様に言葉をかけていた。
彼らの様子を見て私に対する何らかのことをするというか、試験みたいなことをするのが分かったのか、呆れ果てた様子と言うか私を心配そうに見つめながらもロウとシルビアに問いかけるジエーゴさまの様子は、幼女である私を心配するものが見えていることからも彼も私が戦うことになること、これを良しとする人ではないのだろう。
「実は、ワシらは強力な武器を作る場所を見つけたのでな」
「そこにアリシアちゃんが条件を満たして辿り着けば、連れて行こうって考えたの」
「ふざけるな!ロウ!ゴリアテ!!こんな子供になんて危険なことをお前たちはしようとしている!!」
「だからこそだ、ジエーゴ殿、この程度の事も乗り越えられないようではワシらの旅についてくることなど出来ん」
ロウが言った強力な武器を作る場所と言うのは、かつて勇者ローシュが勇者の剣を作った場所の事だろうということは分かった。
だけど、そこに辿り着くことがなぜ試練となるのかは分からないのだが、ジエーゴ様は反対なのか彼らが言った言葉を聞いて余計に酷く激昂していたがロウは動じることなく、更には冷徹と言うべき冷たい響きと共に言い放って私が行こうとしている道、これがどれほどの険しさを持っているのかを理解させられる。
そうして私の試練は開始された。
私はお母さんたちの仇を討ちたい、そう考える中で自分の実力が通じるのか否かが不安だったけど、やらないとお母さんたちの仇を討とうとしなかったことを後悔する。
そのことを胸に私は走り出していた。
ちなみに番外編でエロガキよりスカートを捲られそうになったこと、これにアリシアは気が付いていません。
なぜなら神の民の里では、そういうことをする子供はいなかった上に、彼女(彼)
がスカートめくりという行為を忘れているからであります。
なのでアリシアはガチでエロガキがナニをしようとしていたのか、コレに全く見当がついていないのです。