こんなドラクエ世界は知らんかった   作:ドM饅頭

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第4話 なんで鎧は動かなかったんですか?

 

 

 

 勇者である彼に渡さないといけない物、自分と共に神の民の里に来た物を渡せば魔王を倒す手助けになるのは間違いない。

 

 

「あのっ」

 

「どうしたの?」

 

「勇者であるあなたに、渡さないといけない物があります」

 

「渡す物……」

 

 

 自分が声をかけたのと同時に全員が一斉にこちらを振り向いたので、その圧が掛かって少し言葉が詰まってしまうものの勇者は微笑みを浮かべて続きを優しく促してくれたので、何とか続きを話せたのだがコミュ障になっていることは何とかしないといけない。

 ただ彼らが去ってしまうと再び一人となるので、彼らに頼んで人のいる場所に連れて行ってもらうか、自分自身の力で地上に降りる訓練をいずれはしないといけないだろう、丁度良い事に羽があるんだし。

 

 

「こっちへ」

 

『……』

 

 

 この聖なる種火のある祭壇には下の階があり、まるでカップのような形の上に聖なる種火や大樹の苗などが存在している。

 部屋に入って右手には下へと降る階段があって、これは俺が来てから共に来ていた物を保管するために新設されたのだが、新しく作られたのは階段だけではない。

 

 

「これ、は……」

 

「なんて神々しい……」

 

「あの紋章、それにあふれ出てくる力……」

 

「勇者の剣の紋章に似ていますし、これほどの力を出す鎧が……」

 

 

 階段を下りる毎に見えてくる一つのある武具の姿、このロトゼタシアという世界の名前である先頭の二文字ロトの名をいずれは冠することになる。

 そんな名前の前身となる鎧が持ち主となる存在を迎えるように、神聖な光の中に佇み静かに己を着用する勇者の到着を待っていた。

 

 

「これは光の鎧、勇者が使うため生み出された神聖な物」

 

「ひかりの、よろい……」

 

 

 佇んでいる光の鎧を呆然と見つめる勇者は己の左手にある紋章が輝いていること、これに気が付くと手を鎧に向けて翳しながら俺の説明を聞きながら呆然とした様子を見せている。

 もしも魔王がこの世界にあんなことをしたと言う事ならば、この存在に気が付けば間違いなくここを襲撃するし長老の話が確かならば、間違いなく聖なる種火を含めた物を消滅させようといずれはやってくるかもしれない。

 

 

「……?」

 

「一度だけ鎧は光ったけど、ナニも反応しないわねぇ……」

 

「いえ、まるでその時じゃないって鎧が言っているような気がするわ」

 

「どうして……?」

 

 

 光り輝いていたのだが、すぐに光は収まって鎧は先ほどと同じように台座の上に佇んでいる。

 先ほどの反応から絶対に勇者の為の鎧であり、彼が着て戦うために作られたし俺がここに来た時にいっしょに来たのも今日と言う日に、勇者の手に渡すためなのは間違いないのに何故鎧は彼の元に行かなかったのかが分からない。

 

 呆然としているシルビアとマルティナの言葉に、俺も呆けた声を漏らしてしまうのは当然だ。

 

 

「間違いなく勇者が着る鎧なのじゃろう、じゃが……」

 

「まるで鎧に意思があるかのようですな……」

 

「勇者の剣を手に入れるのが先ってことかね」

 

 

 ロウが顎に手を当てながら険しい表情をしていっていることに、グレイグも同調していたがカミュの方は少しだけ気を取り直したのか軽い調子で言っているのが印象的だ。

 その後の鎧はうんともすんとも言わなくなったことで、これ以上ここにいてもしょうがないということになり外に出ることになった。

 

 

 

 

 そうして外に出たら既に夕暮れになって来ていて、彼らは再びケトスに乗って旅立とうとしていたので一晩泊まって行けと言って残留してもらう。

 久しぶりに過ごす誰かとの団らんは楽しいし食事も一緒に食べてくれる人がいると、こんなに美味しいのだと言う事を再確認させられてしまった。

 

 

「ねーえ、アリシアちゃん」

 

「?」

 

「貴女はこれからどうするの?」

 

「えっと、このまま光の鎧と聖なる種火を守ると思う……」

 

「そう……」

 

 

 昨日作った肉じゃが風の煮物の残りに材料を足してから皆さんに振舞ったのだが、それを美味しいと言って全て平らげてくれたのは嬉しかった。

 ただ食事が終わってお茶の時間として皆さんに薬草茶を出して、色々と話をしていたら優しくも真剣な表情となったシルビアから、これからの事について聞かれたがやることなど決まっている光の鎧と聖なる種火を守る為に留まるだけだ。

 

 

「じゃあ、光の鎧をイレブンが手に入れた後はどうするんだ?」

 

「…… それでも聖なる種火を守らないといけないし、ここにいるかな……」

 

「魔王の手先に襲われないとも限らんのじゃが、おぬしに戦う術はあるのかの?」

 

「だいじょうぶ、呪文とか色々と使えて戦えるから」

 

 

 彼らの言いたいことは分かる子供一人でこんなところに残ることを良しとしていないのだろう、だが、彼らは魔王を倒すという目的のために行動していることから付いて来いとも言えない。

 だけどたった一人で残っていてもしもの事があればと考えてしまうのだ、特に今は魔王が復活したのは間違いないし空を飛ぶ魔物たちも大きく活発化していて、何時ここの事が魔王たちに気が付かれるのかもわからないのだ。

 

 だからこそだろうロウが俺に対して戦う術について聞いてくるが、これでもイオナズンなどの上級の呪文だけじゃなくてライデインも使えるというバリバリの魔法使いタイプでもあるから、一応戦うには問題はないのだが実戦経験がないので力加減を間違える可能性はあるので機会を見て修練はしておいた方が良いだろう。

 

 

「しかしのぅ……」

 

「アリシアさん、勇者の剣を手に入れていなくてもたまに立ち寄っても大丈夫でしょうか?」

 

「良いよ、わたしは基本的に暇してるから」

 

 

 それに幼い子供がたった一人で寂しい場所にいること、これも良しとしない人たちなのだろう。

 全員が俺がここに残ることについて理解は出来ても納得していないのが丸分かりだからだ、やはり勇者とその仲間たちらしく底抜けのお人よしと言える優しい人たちだ、だからこそ彼らが頼みとするであろう防具である光の鎧を守らないといけないと思うのに気合が入る。

 

 だが基本的に暇してると言った瞬間に、全員が何かを決意したような表情となっているし悲壮感を若干漂わせているのは、まあ幼女が孤独であることを良しとしているという状況は普通に考えたら健全ではないし、まともな大人ならばなんとかしようと考えるのは普通でもあると思う。

 なので今の自分に出来るのは彼らの不安を取り除くことと思いながら、それからの時間は皆さんが歩んできた冒険の話を幼女らしい態度でせがんで聞かせてもらうのだった。

 

 

 あ、やっぱ世界中を旅して回って来た人たちの話は凄く面白くて、一度では全然聞くことが出来なかったので再び来てと約束を取り付けられたのは幸運でした。

 

 




 鎧が全く動かなかった理由ですが、勇者の剣の材料は揃ってないし本当に造れるか分からないので、鎧の意思が勇者イレブンを試した感じです。

 ドラクエ11をやっていて思ったのは、ロトの剣そのものな勇者の剣だけじゃなくて勇者の盾に、更には王者の剣まであるのに、なんで光の鎧がないんだ!オォン!? と言う事でした。
 何か設定や理由があるんでしょうかね……?
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