こんなドラクエ世界は知らんかった   作:ドM饅頭

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 注意!!

 今回の話はTSロリ娘がリョナ的な意味で酷い目にあうシーンがあります!
 なので苦手な方は最後の方へスルー推奨ですぞ。


第5話 何かが動き始めた、そんな気がする

 

 

 

 

 勇者との最初の邂逅から1か月近くが経つ、あれからの彼らの冒険は順調なようで1週間ほど前に来たときなどガイアのハンマーを手に入れたと嬉しそうに報告してくれた。

 週1程度で様子を見に来てくれるのはありがたいのだが、ダンジョンを無理して突破していないかとかが気になる、特に天空の古戦場など長老の言葉を考えるとかなり厳しいダンジョンだったはずだし。

 

 

「ふんふ~ん♪」

 

 

 ただ長老から聞いた通り天空の古戦場にはぱふぱふを生業にする妙な女がいたそうだ、ただバンジージャンプをさせられたとは言っていたもののぱふぱふとは何ぞや? と幼女ボディで聞いてみても皆が温かくはぐらかしたのは当然だろう。

 最近は彼らがやってくるのが楽しみになっていて、そろそろ来るだろうというのが何となく分かるのでついつい鼻歌を歌ってしまうのはご愛敬だ、何しろ今日か明日中には来そうな気配と言うか予感めいたモノがあるし。

 

 ちなみに光の鎧は相変わらず勇者であるイレブンに反応することはなく、そのままの状態で今も太陽の神殿の中に佇んでいて周辺を掃除したりしている。

 

 

「よっと、そろそろお茶にしようかな……」

 

 

 神殿周辺の草刈りをバギの呪文を応用してザックザクと刈った後にブチブチと草も毟っていく、これらは一か所に集めて発酵させたら良い肥料になるので後で畑に蒔いて有効利用する。

 こんな雲より高い上空にあるというのに普通に雑草は生えてくるし、野菜も育つのでロトゼタシアに生きる植物という奴は本当に逞しいと思う。

 

 動物性たんぱく質については全く心配はいらなかったりする、この神殿を囲むように流れのある泉があって、その水の中には魚たちが泳いでいるのだから釣りをして捌いた後に干して保存がきくようにしていた。

 俺にこの辺を仕込んでくれた育ての親や里の大人たちには感謝しかない、何しろ現代日本で生きていたがこういった知識を得ようとすることはなく、料理の知識が多少あった程度なのだからもしも仕込まれる前に今の状況になったのならばゾっとしてしまう。

 

 

「さて、今日はどうしようかな……」

 

「失礼、そこのお嬢さん」

 

「……っ!」

 

「私の事が分かるか、ならば単刀直入に要件を言わせてもらおう」

 

 

 夕飯は魚を焼いて今朝にまとめて焼いたパンでいいか、そんなことを考えながら泉の水で手を洗った後に手を拭いて小屋の方へと歩き始めた瞬間、今まで存在しなかった気配が急に湧いて背筋に寒気が走り体が一瞬硬直するほどの邪悪な気配と言うべきものを感じた。

 それと同時に弾かれるように振り向けば、何らかの法衣を身にまとった人とは思えない肌の色をして耳も尖っている明らかに人ではないモノ、そんな存在がそこにいた。

 

 

「ここにある物、勇者の為の物を渡してもらおうか」

 

「っ、やっぱりっ!それが狙い!!」

 

「その通りだ、忌々しい神聖な力を感じて来てみれば勇者の剣にも匹敵するモノの気配があるではないか!!」

 

「渡すもんか!あれは絶対に勇者様に使ってもらわないといけないんだ!!」

 

 

 いずれは来ただろう魔族、それを確認して奴の目的が光の鎧だと知った俺は急いで戦闘態勢へと移行する。

 懐に入れていたビー玉くらいの大きさの球に魔力を通すと、それが一気に俺の顔と同じ大きさになっていく、これは戦闘時に使う武器で前世でのガンダ〇と言う作品に出てきたファンネルの様な使い方が出来る武器だ。

 非力な自分ではこういう武器でないと対抗が出来ないからか、里の大人たちが作ってくれた渾身の一作なのだ。

 

 

「ほぉ、この魔軍司令ホメロスを見て引かぬか!!その身の程知らずを思い知りながら死ぬが良い!」

 

「絶対に渡さない!それにここも守るんだ!!」

 

 

 そうして始まる戦い。

 分かっていた、実力差には大きな開きがあって敵わないことくらいは、だけど何もせずに渡せないしこんな奴に捕まるのだって嫌だ、そう考えていたことを頭から追い出した俺はオーブを向かわせながら呪文の詠唱も同時に開始していた。

 

 

 

 

 

 

 

 この日、イレブンたちは遂に全ての材料が揃い勇者の剣を打つ場も見つけた。

 そのまま剣を打とうとしたのだがセーニャが【胸騒ぎがする、嫌な予感が消えない】と、言っていたことによりケトスに乗り込み一路アリシアのいる神の民の里を目指していた。

 

 

「それにしてもセーニャ、その嫌な予感ってのは?」

 

「分からないんです…… ただ命の大樹のことが起こる前の日に感じていたザワザワする感覚が消えてくれなくて……」

 

「その感覚は当たっている場合が多い、直感に従うことも重要だろう」

 

「そうじゃな、あの娘に何事も起こっておらねば良いが……」

 

 

 飛翔しているケトスの背の上でカミュは真剣な表情でセーニャに問いかけ、彼女は不安と緊張に包まれた様子で神の民の里がある方向を見つめている。

 それとほぼ同様のものを感じ始めたのか、グレイグとロウも不安と緊張を感じている表情となりながら睨むように針路を見ていた。

 

 

「本当に何もないなら一番なのよ、ね……」

 

「ええ…… 本当に、あの子に何もなければいいんだけど……」

 

「それに嫌な雲ね、悪い予感しかしないわ……」

 

 

 シルビアの言葉にマルティナも同調しつつも進路上を見ており、周囲の様子が今までと違い黒く禍々しさも含んだものへと変わっていることから、セーニャが感じたものは全員の中で確信へと変わっていた。

 何か良くないことが神の民が住まう里で起こっている、と。

 

 

「そろそろ見えるはずじゃが……」

 

「見えた!っ!?」

 

「あれは!?」

 

「ケトス!!速度を上げてくれ!!」

 

 

 ケトスの速度を上げて更に近づいて見えてきたアリシアが住んでいる浮島は、所々から煙が上がり更には何かが起きているのか閃光と爆炎も確認できるという有様だった。

 これを見た瞬間、イレブンはケトスに速度を上げて島に接近するように指示を出して一気に彼らはアリシアの元へと向かっていく。

 

 どうか無事であってくれ、そう全員が願いながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから戦闘の時間はどれくらいだったのだろうか、体感では数時間になりそうだけど絶対にどんなに経っていても20分は経過していないのは明らかだ。

 

 

「は、ぁはぁ……っ」

 

「良くやったと言いたいが、この小娘がぁっ!!」

 

「あぐっ!!」

 

 

 俺の体には切り傷や打撲と言った怪我が刻まれて、背中の羽も自分が出した血で赤く汚れてしまっている。

 着ている服も魔法と物理の防御に優れた物だったのだけど、無惨にビリビリになっていて戦闘の激しさを物語る材料の一つとなってしまっていた。

 

 

 あの時から始まった戦闘はほとんどの抵抗が無駄に終わり逃げ回りながら、戦いとも呼べない無様な醜態を晒しながらも呪文を叩きこんだりぶんしんの特技を駆使してオーブを3方向から撃ち込んだりもしたが、全てが簡単に防がれるか無効化されて俺に呪文や杖に体術で攻撃が仕掛けられたら己の体は木の葉のように舞い、地面をボールみたいに跳ね飛ばされながらも体勢を立て直して戦いを継続させた。

 一矢報いて何とか奴の顔に傷を入れられたけど、それが却って逆鱗に触れたのか気の済むまでサンドバッグのようななぶり殺しの目に合う羽目になってしまっていた。

 

 

「この私の顔に傷をつけるとは…… 万死に値する!!」

 

「あ゛ぅっ!」

 

「ふんっ、この醜い羽などこうしてくれる!!」

 

「あ゛っぎっぃぃ!!」

 

 

 地面に倒れ伏す俺の背中を踏みつけたホメロスと名乗った男は、羽を掴むと力を思い切り込めていく。

 羽からメキメキと軋む音に激痛が走り、自分の口から勝手に呻き声が漏れていった。

 

 

「ア゛アッア゛ア゛ア゛ア゛アァ!!!」

 

「この翼は自慢だろう!? 折ってやったから感謝するのだなぁ!!」

 

「ァッ!ギィッ!!」

 

 

 激痛が行き過ぎて自分の口からは幼い子供が出した物とは思えない絶叫が出てくる。

 翼の骨を折られ、すぐさま軽々と体を持ち上げられて近くの壁に投げられて体が叩きつけられる。それと同時に右手から鈍く何かが折れる音が響いて来て、あぁ右手折れちゃった、と考える冷静な自分がいることも驚かされた。

 

 ズルズルと地面に落ちて行き目の前にやってくるホメロスを視線にとらえて、自分が死ぬと悟っても死ぬことへの恐怖より、勇者が渡さないといけない鎧を守れなかったことへの悔しさで涙が出てくる。

 

 

「ごべっゲブッ!ゆぅし…… よ、ろ…… まもゲボッゲホッ!!」

 

「フンっ、今更この私に歯向かった後悔で涙を流すか、死んでもらうぞ神聖な空気を身にまとった忌々しい小娘が!!」

 

「ホメロォォォォォス!!!」

 

「なっ、なに!?」

 

 

 涙が流れ勇者に向けて謝罪の言葉を血を吐きながら言っていると、何を勘違いしたのかホメロスは自身に仇名したことに対する後悔だと思ったらしいが、それを訂正する気力もなかった。

 

 杖を振りかぶり先端の鋭い方で俺の体を貫こうとした瞬間、大地が揺れたと思うほどの凄まじい咆哮が辺りに響き渡りグレイグが両手持ちの剣を振りかぶりながら接近してくる。

 その姿が現れたのが予想外だったのかホメロスは動揺して動きを止めた瞬間、奴にグレイグの一撃が入りホメロスはピンボールの様に跳ね飛ばされて行った。

 

 

「アリシアちゃん!!しっかり!アリシアちゃん!」

 

「セーニャ!!爺ちゃん!アリシアの治療を頼む!!」

 

「はい!!なんて、なんて酷い……!」

 

「任せておくのじゃ!イレブン!こちらに奴を近寄せるでないぞ!!このような幼子になんと惨いことを……!」

 

 

 もう体は動かなくて短い息を繰り返していた時に、シルビアの焦った声が俺の耳に届いてイレブンが指示を出す声も聞こえてきた。

 それと同時にセーニャとロウの気配が来たと思ったら、温かい光に包まれた瞬間とっくに限界を超えていた俺の意識は闇に閉ざされてしまった。

 

 




 アリシアは弱いのかと思われますが、ゲーム的に言えば弱くはありません、即戦力となる強さを持っています。
 むしろ強いレベルではありますが、今回は相手が悪すぎました。

 ホメロスの強さはこの時点だと最強格と言って良い強さですし、このロリには実戦経験と言う重要な物が抜け落ちていましたので、こうなりました。


 ちなみにこのシーンがゲームにあった場合、悲惨な展開になる選択があったりします。
 火山にて勇者の剣を作るあの場を聖なる種火を使って呼び出した時に、そのまま剣を打つかアリシアの様子を見に行くかの選択肢があり様子を見に行けばこの話の様になります。
 もしそのまま剣を打つ選択肢を取ると…… アリシアはしんで光の鎧はホメロスに持ち去られてウルノーガの手に渡るという最悪な展開に……

 トラウマ鬱展開そのものになっちまいますな……
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