グレイグによりホメロスはアリシアの近くから吹き飛ばされ、空中で体を回転させて体勢を立て直すと着地して周囲の状況を確認するように視線を回していた。
「ここまで…… ここまで堕ちていたか!ホメロス!!」
「ふんっ、あの娘は大人しく勇者の武具を渡していれば痛い目に合わずに済んだものを…… 身の程というものを知らぬ小娘に道理を躾けていただけさ」
「ふっざけんじゃねぇぞっ!テメェ!!」
「落ち着きなさい!カミュ!!」
怒りが頂点に達して凄まじい形相となったグレイグはホメロスを睨みつけて、鋭い声と共に気迫を叩きつけている。
それを涼し気に流したホメロスは自身に回復の術を掛けつつ、嘲笑を浮かべながらアリシアに対して行った仕打ちを正当化する言葉を発した瞬間、短剣を両手に持ったカミュは激高して体勢を低くして走ろうとするがマルティナの静止により踏みとどまっていた。
ぐったりと地面に倒れ伏すアリシアの所では、セーニャとロウの二人が必死の形相で回復魔法を唱えて治療に当たっていて、彼らの表情からアリシアの容態が予断を許さぬものであることが窺えるのが、カミュやグレイグの怒りに火を注いでいた。
「アリシアちゃんの容態はどう? ロウちゃん」
「出血は何とか止まったが、内の臓まで影響が及んでおる、治療に専念したいから奴を絶対に近づけんでくれぃ!」
「了解、アタシも頭に来てるんだからね、絶対に近づけさせないわ」
「もっと、もっと私がしっかりと皆さんに進言していたら……!」
剣を両手に持ち正眼に構えていつもの飄々とした口調こそ崩していないものの、表情は鋭く怒りと冷徹さを持ってホメロスを睨みつけるシルビアは、アリシアの治療の進行具合を聞くのだが治療を開始しているというのに死相が浮かんだ顔のまま変化がないために、予断を許さない状況だというのはシルビアにも判断が出来ていた。
そのシルビアの問いかけを聞いたロウは冷静ではあるものの、静かな怒りと焦りを滲ませながらも目の前で失われようとしている幼い命を救うために全力を尽くしており、セーニャも己の不甲斐なさに歯がゆさを感じつつも全力で治癒魔法をかけてアリシアの治療に全力を挙げている。
「フンッ、グレイグよ前に俺に敗れ去ったお前に何を救えるというのだ?」
「俺一人で何かを救えるなどと驕ってはいない!!ここには仲間が皆がいる!彼らと己を信ずるのみ!!」
嘲笑、哄笑、そのどちらとも言えないような不快感が前面にくる笑い声をだすホメロスの言葉に、グレイグは一瞬だけ眉をしかめるものの持っている権を握り直して構えも新たにして、ホメロスへと宣言するように言葉を叩きつける。
「クククッ、よもやここまで早く私にとって都合の良い展開が来るとは思わなかったぞ?」
「何が言いたいんだ!?」
「今まで確認すらされていなかった新たな勇者の武具を入手し、ウルノーガ様に盾突く愚か者共の始末まで出来るのだ!都合が良いと言う以外に何がある!!」
「やはり、あれを求めてアリシアを害したというのね!」
体を震わせて己がすでに勝利して主の元へと凱旋するのが決定していると言わんばかりに、発した言葉にカミュは激怒しつつも自分が一人で突っ込んでも勝てる相手ではないと、頭の中の冷静な部分が警告を発していることから何とか踏みとどまっており、マルティナもアリシアが無惨と言う言葉をどれだけ足しても足らないほどに害された理由を察して新たに怒りを覚えていた。
「光の鎧、とか言ったか? あの小娘を痛めつけている時に思わずアレが漏らしたがなぁ」
「ああ、そうだ、俺が使うべきだったが力不足で未だに鎧に認められていないから使えない鎧だ」
「ハハハッ!!鎧に認められないから使えないだと!? ここまで滑稽で道化と言えるものがあるか!!勇者よ!」
「認めさせるさ!あの鎧に相応しい使い手となると!!
敢えてグレイグたちの怒りを誘うための言い方をしているのか、アリシアを痛めつけている時の一部始終を語ったホメロスだが、全員が特に反応を示すことなく自身を睨みつけて怒りのボルテージだけは上がりながら、冷静さを失っていないという厄介な状況になっていることに舌打ちをする。
だが、今代の勇者であるイレブンでも鎧に認められておらず扱うことが出来ないという情報を聞き、嘲笑と共に挑発と言える言葉を叩きつけるのだが、勇者は特に堪えた様子はなく逆に鎧に自分を認めさせると言い切り彼の澄んだ瞳に見据えられて不快感に包まれるのだった。
「今の時点で鎧に認められていないというのならば、勇者として失格と同義だな!情けないなぁ勇者よ!!」
「あぁ、そうだな、ちいせぇガキを痛めつけて良い気になっているうちに、俺達に囲まれてるヘタレ野郎よりはマシだぜ!!
「フンッ、私の美しい顔に傷をつけた代償を思い知らせただけだが、それが理解できないようだな」
「納得もそうだけど理解したくもないわね、特に貴方の様な人の事なんて、ね」
嘲笑と共に言葉を叩きつけるが、勇者一行に何も変化がない処かホメロス自身を挑発するような言葉へと変わっていくことに、苛立ちをホメロスは浮かべながらも言い返したのだが、二刀の心得のスキルを取得しているシルビアが腰に差す二振りの片手剣を抜き放ちながら言った言葉と気迫は仲間である勇者たちも後ずさりしそうになるものだった。
「ようやくアリシアちゃんは心の底からの笑顔を見せてくれる所だった、それを奪ったお前の罪は重いと思いなさい? ホメロス」
「何を訳の分からないことを…… 笑顔などとくだらな「黙れ!!」ッ!!?」
「お前たちによって人々から笑顔が奪われたのだ!!罪のない民が再び安心して暮らし当たり前の日常を送るため、戦うだけだ!」
「下らん…… くだらんくだらんくだらん!!!何が笑顔だ!何が安心して暮らせる日常だ!!そんなものなどあるはずがなかろう!!」
「それを作るために俺たちは努力していたはずだ!!ホメロス!!」
そうして始まる戦いは激しいものとなるが、戦いの最中に光の鎧が自立して動いてイレブンの元に駆け付けて彼の体へと自分から纏っていき、ホメロスとの戦いは勇者の防具が手に入り更にはそれの性能による効果により優位に戦いは進められたのだが、火力の不足によってホメロスに逃げられるという状況になってしまったのは彼らにとっても不本意な結果に終わってしまった。
戦いの最中に幾度となくグレイグはホメロスへと自身の思いの丈をぶつけるが、それらが友人であったホメロスへと届くことはなく、虚しく終わってしまった。
ちなみに光の鎧がイレブンへと装着された光景は、ロトの紋章でジャガンがロトの鎧を召喚したシーンでの自動で鎧が動いて飛んでいき身にまとっていく状況です。
ただドラクエ11をやっていて疑問だったのは、ウルノーガはなぜ聖なる種火が存在している神の民の里の最後の区画を破壊しなかったのかと言う事と
天空の古戦場をそのままにしていたのかと言う事ですね。
ウルノーガの正体が勇者の仲間だった男ですので、これらは全て知っていたはずなのになぜ何もしなかったのかが、分からないんですよね……
預言者の彼にその辺が吸い取られていたとか、そういう事情がありそうではありますが、プレイしていて本当に疑問でした。
ですがニズゼルファの復活を阻止したことから、かつての記憶を保持していたのは間違いないので、余計に私の中で混乱は広がってしまっていたりします……