最初に目が覚めた次の日、マルティナが看病をしてくれている時に目が覚めたら、久しぶりに食事を摂る人の胃に優しいパン粥を作ってもらっていて、それを食べた後にセーニャも部屋に入ってから色々と診察してくれた。
「…… うん、異常のある場所はないみたいですね」
「ありがとセーニャさん」
「当然のことをしたまでですよ、アリシアちゃん」
ベッドの上で上半身を起こしたら、自分の体は服と言うか簡単なシャツの様なものになっていることに気が付いたけど、今は体の調子を探るのが一番と思いながら腕や足に加えて羽もセーニャの指示に従ってゆっくりと動かして確かめていく。
そうして分かったのは回復呪文のすばらしさというか、若々しいというかちんまい己の体の治癒力の凄さと言うものだった。
厳しいリハビリを乗り越えないといけないだろうと思っていたのに、そんなのほとんど関係なく動いたので本当に良かったと思う。
「ところでアリシア」
「?」
「失礼だけど貴女の服を確認させてもらったのだけど、その、あの2着しかないの?」
「うん、本当はお母さんや里の大人が作ってくれた服がもっとあったけど、里が堕ちてからは3つの服を洗濯しながら着回してた」
診察の様子をずっと見守っていたマルティナが改まった様子で聞いてきたので、何事かと思い身構えてしまったら服の事だったので拍子抜けしてしまった。
そりゃ育ての親と言える母や里の大人たちが心を込めて作ってくれた服がなくなったのは悲しいが、この太陽の神殿の管理を担当する人が住む小屋に幼女となった俺が着れそうな服が幾つかあったので、それを着回している次第である。
「そう…… 後は下着も確認させてもらったのだけど、同じように失ったの?」
「うん、だけど特に不便は感じてないかな、下着はホメロスに服と一緒にビリビリにされたから困るけど……」
「…… それなら私たちと一緒にソルティコっていう街に行かない? シルビアが良いお店を知ってるみたいなの」
服に関しては、まだ2着あるから洗濯をしていけば何とかなると思いたいが下着に関しては残りが1着となったのは痛恨だ。
何しろホメロスとの戦いの時に奴が放った攻撃呪文を防御したら服の方は耐えられたけど、下着は耐えられずに消し飛んだのだから困ってしまう事態になったのだが、だけど何故だろうかホメロスとの戦いの際の下着の行方を話した瞬間、部屋の内外の空気が凍った気がする。
「だけど、わたし、お金ないよ?」
「良いのよ、私達が貴女にしてあげたいことなの、女の子なんだから可愛いお洋服とか着ても罰は当たらないの」
「そうですよ、アリシアちゃんはすっごく可愛いんですから、選び甲斐があります!」
ウィンクをしながら妖艶さの中に子供っぽさを持っているという、今の自分の性別が男でショタであれば絶対に性癖が歪んだであろう笑顔を浮かべるマルティナと、ふんすっと張り切った様子で言っているセーニャという二人を見て、自身が持っているお金と言う切実な問題を告げるのだが、二人とも確保はしているらしく気にするなと言っていた。
だけど気にしてしまうのは前世で一応は社会人であった性と言うものなのか、むむむ、と考えてしまうが衣服や下着はもう誤魔化しようがないし足りないのも事実なので、彼女達の言葉に甘えるしかなかった。
「じゃあ、えっと、お世話になります……」
「ええ、任せなさい!絶対に貴女を可愛くコーディネートするからっ」
「はい!シルビア様も張り切っていますわ!」
「あぅぅ…… お手柔らかにお願いします……」
女性の欲求と言うものは種族を選ばないのか、マルティナとセーニャの二人は俺が服のコーディネートをお願いしたら、彼女達は凄まじく目を輝かせて嫌な予感を抱かせるほどの勢いで言っていたので、体を縮こませながら言うのが限界だったのは当然だ。
だって、怖いし…… この世界で俺を育ててくれたお母さんたちも衣服類に関しては怖くなる時があったが、やはり女性が着飾る欲求と言うのは何時でも変わらないと言う事なんだろう。
ただ、今の体は美幼女と言えるので綺麗に着飾ったらどうなるのか、それが楽しみなのはもちろんあるのだが神の民が住まう里以外の所に行けるし他の町や村がどうなっているのか、それを確かめる機会でもあるので俺も楽しみだった。
☆☆☆☆
シルビアやマルティナ姫様にセーニャ殿達から部屋の外でアリシアとの会話を聞いていてほしい、そう我々男たちに言われてから、全員が会話の聞こえる位置に居たのだが俺は怒りと失望だけでなく嘆きにも包まれていた。
「落ち着くのじゃ、グレイグよ……」
「ロウ様…… うろたえてしまい、申し訳ございません」
「気にしなくともよい、良き友でありライバルであったホメロスの凋落に怒りが隠せぬのだろう?」
「はい…… まさか、奴は童女に性的暴行を働く様な卑劣な輩になり果てていたとは……!」
あの時、アリシアを殺そうとしていたホメロスに切りかかったという俺の認識は間違っていたのかもしれない、あれから更にアリシアの抵抗する力を奪った所で性的な暴行を加えて、彼女の尊厳を踏みにじろうとしていた可能性が出てきたのだ。
俺はホメロスを親友でありライバルと認めていたが、そんな男の凋落と失墜を目の当たりにして、もはや奴が人間に戻れる可能性は存在しないと言う事を思い知らされた。
だからこそ、俺の手でホメロスは決着を付けねばならぬと考えていたが、ロウ様には俺の様な若輩者の事など御見通しなのだろう、優しくも厳しい態度で俺が今以上の視野狭窄に陥らない様にお声をかけて下さっているのがありがたかった。
「あの時、グレイグが大声を出して接近しなかったら、胸糞ワリィもの見せられていた可能性あったってことかよ……!」
「許せないわね、あの男…… アリシアちゃんをあれだけ痛めつけるに飽き足らず……!」
「……っ」
だが何とか冷静となれたのは、俺以上の怒りを出しているカミュやシルビアにイレブンたちのおかげだった。
特にイレブンは言葉も出ないほどの怒りで激昂しているようで、表情にはホメロスへの侮蔑と怒りと言った感情が渦巻いているのが分かる。
カミュなど妹がいたからか幼い女の子に性的な暴行をしそうになっていたホメロスへと、分かり易い嫌悪感と怒りを見せており、これが自分に向けられたものでないにも拘らず彼の気迫に後ずさりしそうになることからも、怒りのほどがうかがえた。
「して、ホメロスのことはどうするつもりじゃ? グレイグ」
「決まっております、奴がこれ以上堕ちる可能性があるならば、奴を手にかけてでも止めるまでです!!」
「うむ、ワシも協力しよう、奴には思う所が大量にあるのでな」
「はい、心強いお言葉、ありがとうございます!」
ロウ様も普段のおふざけになられている雰囲気はみじんもなく、ユグノアという王国の前国王であらせられた頃の威厳と風格を身にまとわせて俺へと問いかけてくる。
既に決意の固まっていた俺はロウ様に対して言葉を返しながらも、ホメロスが道を誤ったことの悲しさを胸に抱きつつ打倒を決意するしかない現状に悲しさを抱くしかなかった。
俺の親友であり光でもあった男、ホメロス、デルカダールの知将とまで呼ばれた誇り高く気高い男は、もうどこにもいないのだと分からされたのだから。
まさかのホメロス幼女への性的暴行容疑ですが、最近になって改めて各シリーズの小説やCDシアターを確認したのですが、呪文を防御したら下着が消し飛んだとかの表現はなかったんですよね……
だから誤解したという経緯になりますが、公式がこの辺を描写するわけにはいかないということで描写していないだけかもしれません。
ですが、TSロリ娘の言葉足らずで余計な誤解が出来上がっております……
ただ、光の鎧が11に出てこなかった理由が最近はなんとなく理解できたかもしれません。
何しろ初代ドラクエやドラクエ3に出てきた光の鎧(ロトの鎧)が強力すぎるからですね、これらの時代から更に遡って原典と言えてより強力であったと考えると出てこないのも当たり前かもしれません……
次の投稿辺りで今作の光の鎧の耐性を含めた設定を出そうと思います、初代ドラクエとかで出てきた耐性を含めて考えると公式チート以外の何物でもない状態ですし……