寝落ちしたらやってたゲームに転生した男の話。という設定

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最近ウイポの小説見たんで書こうと思った次第


1976年 オークス

俺の馬は無敵だ。

そりゃそうだ。俺が馬を撫でればその馬はランダムだが確実に強くなる。

他の馬なんて蹴散らしてやれ。そんな気持ちで撫でれば、大体強くなる。

俺はチート持ってるから、史実馬にだって負けない馬が作れる。

奢っていたのは間違いない。

まだ一戦しか勝っていないのにだ。

まぁ?1900mが最低ラインの馬ですし?

1400のフィリーズレビューとか?1600の桜花とか?むしろくれてやったみたいな?

・・・・ウソです。めっちゃ悔しかったです。

負けるなんて微塵も思ってなかった。戦法を変えれば余裕とも思ってた。

けど負けた。フィリーズレビューはハナ差。桜花に至っては3着だ。

チートで無双できるなんて、やっぱりラノベとかだけの話だなって実感したわ。

いやまぁ牧場に回せる資金が1兆円近くって言うだけで十分無双だと思うけど。

ゲームのデータ持ってこれるとかマジチートだわ。

金の力で牧場の施設充実させるの気持ち良すぎだろ。

だが、あるなら使う。使うべきときは使う。

オークスでは絶対に勝ってやる。

2400mは俺のウインドメテオの距離だ!ゼッテー負けてやらねぇ!

その一念だった。

まぁ俺ができることなんて金だすくらいだしな!

精々嫌われないように、調教師の清水久雄先生と、騎手の田島信行くんの機嫌を取っておこう。実際にウインドメテオをどうのこうのするのはあの二人だし。

そんな気持ちで迎えたオークス。俺は基本的に俺の馬以外に興味はない。

興味はないのだが、ライバルは違う。

ウインドメテオのライバルはテイタニア。

史実では1976年の牝馬2冠を達成した名馬だ。

この世界線ではクイーンズCこそウインドメテオに譲ったが、続くトライアルのフィリーズレビューではハナ差。桜花賞では1着という結果でこちらが負け越している。

ハナ差・・・この負け方が一番悔しい。

距離があってない。それはそうだろう。間違いない。だがそれでもだ。

だからこそ負けない。ウインドメテオの適正距離であるこの2400mのオークス。

絶対に勝つ。

 

「・・・大丈夫ですか?月灯さん」

「へぇあ?!!だ、ダダダ大丈夫ですよ?ダイジョブダイジョブ!!よゆーっすよゆー!!」

(大丈夫じゃないなコレ)

顔色の悪いウインドメテオの馬主、月灯彗太さんの肩を叩くと、わかりやすく動揺した。

それも当然か。新人馬主でここまで来たというのは正に奇跡としか言いようがない。

同じ立場なら建っているのがやっとで、こんな風にプレッシャーを感じることもないだろう。

ウインドメテオを譲り受けたときこそ『この馬は走りますよ。絶対です。間違いない』とふんぞり返っていた。

前オーナーの所でもそこそこ成績を残していたので、疑いはなかったが、クイーンズCを勝利したときは目を丸くしたものだ。

あの時の月灯オーナーがした、絶妙に人を苛つかせる得意げな顔は今でも覚えている。

牧場には最新設備を取り揃えたり、馬のケアに金を厭わないとどこか成金な面もあるが、フィリーズレビューでハナ差で負けたときは誰を責めるわけでもなく、慢心していたと自身を叱責していた。

意外と真摯に向き合っているのだと素直に感心したものだ。

それからは以前からこまめに様子を見に来るオーナーと、念入りに打ち合わせをしたり、方針の確認も行った。

それでも桜花賞を負けたのは、どうにもならない距離適性の問題だ。

しかし、どうやらオーナーは表面上は納得していても、本心では不満げだった。

そんな態度を取らないで欲しい。

私だって悔しいのだ。だからこそ、このオークスでは全力を出した。

もてる全力を出して調教したウインドメテオ。

私は確信している。彼女は勝つ。

だから安心してくださいよ。というつもりでオーナーに微笑んだ。

 

勝った・・・。

勝った・・・?

勝ったああああぁぁぁぁ!!!

「っしゃあ!!」

「やりましたね!オーナー!!」

思わずガッツポーズを取ると、同時に清水さんが俺の方に腕を回して、胸を叩いてくる。

おウッフ⁉?結構痛い!

けどそんな事はどうでもいい。

正直に言おう。ゴール手前でテイタニアが迫ってきたときは負けるかと思った。

ウインドメテオすぐ後ろに来たんだもん!ビビるわ!

しかし負けたくなかったのは、ウインドメテオも同じだったのか。

彼女は最後の一踏ん張りを持ち堪え、東京競馬場の芝を駆け抜けきった。

俺の、清水さんの、田島くんの初めてのG1勝利。それもオークスだ!

牝馬三冠のメインだと個人的に思っているレースだ。

その大舞台で勝ったのだ。

「見て下さい。あのウインドメテオの晴れがましい顔を」

清水さんが俺に向かって言うので、指さした方を見る。

そこには爆発したかのような万雷の拍手をその身に受ける、芦毛の乙女が誇らしげに走っていた。

「あの馬を走れるようにしたのは私です。走らせたのは田島くんです。けどね・・・彼女を選んだのは、この舞台に連れてきたのは貴方ですよ!!オーナー!!!!」

心底嬉しそうに俺の背中をバシバシと叩く清水さん。

俺は前世でなにかに熱中することなんてなかった。

全部中途半端で、何も成し遂げられなかった。

長続きしているといえばゲームくらいなものだ。

ウイポをやり始めたのも昔見たマキバオーのような、熱く、泥臭く、負けてなお鮮烈に記憶に残る競馬の世界に少しでも触れてみたいと思ったからだ。

実際の競馬場に足を運んだこともあった。オフシーズンのせいで馬は走ってないし、人もまばらで、レースが行われている時の熱気こそ感じなかったが、その巨大さに、存在感に、思いを馳せることくらいは出来た。

その中心に、俺がいる。

その熱気の中に、俺がいる。

その興奮を作った、俺がいる。

視界が涙でゆがむのに、時間はかからなかった。

 

「なんじゃこりゃーーーーー!!!???」

「何って・・・オークスの活躍を見て譲ってこられたんですよ。忘れましたか?」

清水さんの厩舎に並ぶウインドメテオとヒシスピード以外の馬達をみて、驚く俺に対し、清水さんはあっさりという。

えぇ?そんなことあったっけ・・・?

「お祝いだーって深酒するからですよ。姫神さんが首を傾げながら本当に良いのかなぁ?とか言ってましたよ」

えぇ・・・止めてよ。

厩舎の中にいるのは所謂史実馬だ。

フジノパーシア、テンポイント、トウショウボーイにエリモジョージ。グリーングラスもいる。

おい。あそこにいるのはウインドメテオのライバル、テイタニアじゃねーか。

そして最後はマルゼンスキー・・・マルゼンスキー!?

疎い俺でも聞いたことあるぞ!?

あ、DLCか・・・どこまで適用されてんだろ?

「あとカブラヤオーとテスコガビーも呼ぼうとか言ってましたがどうします?」

「・・・・やめておきましょ。怖いし」

怖いというか一気に増えすぎて管理しづらい。

 


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