女ヶ島を追い出されたので外海でハーレム王に私はなる   作:覚醒サイダー

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第4話 船旅

海軍の軍艦は船底に特殊な石を敷き詰めていて、海中を通る動物たちからは海水と同一に認識されるため、凪の帯(カームベルト)を素通りして渡ることが可能らしい。これによって偉大なる航路(グランドライン)からローグタウンまで直で行くことができる。

私が石になる前はそんな話聞いたことないので技術の進歩ってやつなのだろう。これならアマゾン・リリーまで帰れそうだけど、海賊国家のアマゾン・リリーまで海軍が送ってくれるわけないし、今はこの外海を見て回りたい気分なので、帰りたくなったら最悪、こっそり軍艦を拝借しよう。寂しいかもしれないけど、少しの間ハンコックには待っててもらう。帰ったらたっぷり愛でてあげるからねっ。

 

「ヒナさんの能力ってカセカセの実ですか?それともロクロクの実とか?」

 

「オリオリの実の檻人間よ。わたしくの体を通り過ぎる全ての物は“禁縛(ロック)”される。貴女には何故か防がれたけど」

 

檻人間。だからヒナさんは『黒檻』とかいう全然可愛くない異名を持っているんだとか。ちなみに、ヒナさん直属の部隊は黒檻部隊って呼ばれてるんだ。

今回、ヒナさんが私をローグタウンまで送ってくれることになったわけだけど、軍艦1隻をヒナさん1人で動かせるわけもないので、その黒檻部隊の人達が乗組員としてそのままついてきている。私を送るついでに、ローグタウンを担当している部隊と合同訓練をするんだとか。海軍は仕事熱心だ。

 

「海軍では覇気って習わないんですか?」

 

「覇気?それがあの力の正体なの?」

 

「そうですよ。覇気と言っても種類があって、武装色なら能力者の実体に触れられますし、見聞色なら周囲の情報を察知できて、覇王色は威圧して雑魚なら気絶させられます」

 

「ヒナ困惑……でも確かにゼファー先生はわたくしやスモーカー君に触れていた」

 

外海だと覇気は当たり前の力じゃないって九蛇海賊団の皆が言ってた話は本当だったのかも。物心ついた頃には、息をするように覇気が使えてた私からすると、覇気が使えないってどんな感覚なんだろうって逆に不思議に思うくらいだ。

 

「ちょっと見せましょうか」

 

甲板にリゾートっぽい椅子を出して寛いでいたのだけど、丁度、海王類が近づいてくる気配を感じたので立ち上がる。

特殊な技術で動物達の認識を誤魔化しているこの船も、視覚的に認識されてしまうと海王類に気づかれて襲われることがあるため、近くに出現した場合はヒナさんが能力で対処することになっている。今回は私が代行致しましょう。

 

「一体何を――」

 

ヒナさんが、ただ立ち上がって海を眺めている私に痺れを切らした頃、海王類が海から顔を出す。ヒナさんが対処しようとするのを手で制して、海王類に覇王色の覇気をぶつけた。海王類はその場で息が止まったように気絶すると大飛沫を上げながら海へ倒れる。

自慢じゃないけど、私はかなり繊細に覇王色を打ち分けられるので、今度は船員が気絶するようなこともない。まあ、私みたいに覇気を扱える者は天賦の才だって皇帝も言ってたし、曲芸みたいなものだから、ここまで使える必要はないと思うけど。

 

「……ヒナ驚愕」

 

「ローグタウンまでの間、私で良ければ教えますよ?」

 

唖然としてるヒナさんに、私は微笑みかけた。

思えば、九蛇の女を口説くのは簡単だった。強い者程美しいという価値観があるから、私みたいに戦闘力に自信があるタイプはモテモテだ。自分が如何に強いか、それを示せば大概落とせる。私はこれまで楽をし過ぎていたのだ。

だからヒナさんはじっくり口説いていく方針に切替えようと思う。いくら凪の帯(カームベルト)を素通りして渡ることが可能とは言っても、ローグタウンまでは数週間は掛る。その間に好感度を高めていくのだ。外海での口説き方。それが今の私には必要不可欠な技術!この船旅でその感覚を少しでも掴んでみせる!

 

「先生と呼んだほうが良いかしら?」

 

「セラでお願いします。親しみを込めて、ハニーでも可です」

 

「セラね。ヒナ了解」

 

「冷静に流された!?」

 

ヒナさんの場合、能力が強力だし、近距離〜遠距離までの汎用性もあるから、まずは見聞色を鍛えて、確実に能力を当てられるようにするのが良さそうだ。

何もしなくても覇気が使えた私に教えられるか不明だけど、九蛇の皆でも習得には何年もかかる技術だから、それっぽいことして教えた感じにしよう。あと、たまに修行ってことでおっぱい揉もう。

 

「セラのこと中将から聞いても信じられなかったけど、今なら信じられる」

 

「えっ、何か言われました?」

 

2隻の軍艦と共にそのままスペード海賊団を追いかけていった中将さん。有能だと思っていたのに、何か悪いこと吹き込んだ?

 

「――貴女がスペード海賊団の船員なら、『火拳』は船長をやれてない、とね」

 

『火拳』っていうのはエースのことだろうけど、中将さんの話には同意しかねるなぁ。確かに戦ったら間違いなく私が勝つだろうけど……エースは持っている(・・・・・)人間だよ。彼はまだまだ強くなるし、何より人を惹き寄せる魅力がある。船長になるべくして生まれてきた人間、可能性の塊だ。いつかとんでもない力をつけて、この大海賊時代を掻き回す存在になる。

まあ、私の感覚だし、当てにはならないけど。

 

「謝罪するわ、セラ。貴女はスペード海賊団ではなかった。ヒナ反省」

 

「誤解が解けて良かったですよ。疑われてたままじゃ船旅も息苦しいですからね」

 

改めて手を差し出すと、今度はしっかり握ってくれた。けど。

 

「あの、能力発動しようとするの止めてくれません?」

 

「不意の発動にも反応した。これが見聞色ね、ヒナ感心」

 

イタズラが成功したみたいな顔で笑うヒナさんが可愛過ぎたので全て許しました。ああ、早く抱きたい。

 

 

 

 

ヒナさんに覇気のことを教えてみたり、組手と称して体を触りまくって怒られたりしながらの船旅は楽しい。楽しいのだけど、私には大きな不満があった。

 

アマゾン・リリーなんて閉鎖された空間では娯楽は限られてくる。九蛇海賊団の選抜を外された上に、仕事しなくていいから大人しくしていてくれと皇帝に自粛を促されてからは、私の趣味は、外海のことを調べるのと、料理研究だった。女・知・食こそが私の興味関心の全てな気がするし、原動力だからね。今、私的に大不満なのがこの食の部分だ。女はヒナさんっていう最高の美人がいるし、知は船に積まれている書物や、海兵さんから外海の話が聞けて満たされているのだけど、食が本当に酷い。

 

そりゃ、航海する上でいつでも島に上陸できるわけではないし、保存の効く食べ物ばかりなのは仕方がないことだとは分かっている。分かっているけど、それと満足できるかは別の話だ。

堅パンかオートミール、それに豆のスープと塩漬けの肉、固いチーズ。壊血病の心配があるから野菜や果物は冷蔵庫に保管されていて、ある程度新鮮な状態が保たれているものの、量は少ない。しかも、部隊の人達が持ち回りで調理してるから味が雑で毎日同じメニュー。グルメな私としては相当きつい。

 

「いや、ちゃんとした調味料あるじゃないですか!」

 

こんな食事では鬱になってしまう、と厨房に乗り込むと食材はともかく調味料はしっかりしたものが揃っていた。調理法や味付けを変えればレパートリーを増やすのは全然出来る。

 

「ヒナ疑問。そんなに食事が気になった?」

 

「逆に気にならないんですか!?毎日毎日、同じ美味しくないメニューで!」

 

「軍だと任務中はこんなものよ?船上の限られた食材で長旅の栄養配分をするなら同じメニューのほうが効率が良い」

 

後で話を聞いて分かったのだけど、黒檻部隊の人達は、ヒナさん信者みたいな人達ばかりで、食事という娯楽が無くとも、ヒナさんの元で働いているというだけで充実感を得られる強者だから今まで問題にならなかったらしい。ヒナさん自身は食事よりも煙草に拘りがあるって感じ。

 

「もう今日は私が作ります!色々教えますから当番の人は覚えてくださいよ!」

 

私が動かないと一生、美味しくない栄養補給第一メニューを食べ続けることになるので、当番の人を呼びつけて調理法を仕込んだ。食材が一緒でも、調理法や調味料で全く違うものになるのが料理。その尊さをここの人達は一ミリも理解していない。

 

「そんなに嫌だったの?なら、ローグタウンへ行く前にレストランに寄りましょう。覇気を教えてもらってるお礼にね」

 

「レストラン!」

 

アマゾン・リリーの食文化しか知らない私にとって外海のレストランなんて、最高にワクワクする!どんな美味しいものがあるのか、初めての食材はあるのか!考えるだけで楽しいよ!

 

「ええ、東の海(イーストブルー)に有名なレストランがあったはずよ。確か――海上レストラン、バラティエ」

 

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