女ヶ島を追い出されたので外海でハーレム王に私はなる   作:覚醒サイダー

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第7話 ローグタウン

「ひ、人がこんなに沢山いるっ!」 

 

ローグタウン。

東の海(イーストブルー)から偉大なる航路(グランドライン)へ行く時の玄関口となる町であることから、偉大なる航路(グランドライン)を目指す海賊たちが多く集まる街であるわけだけど、それ以上に、『海賊王』ゴールド・ロジャーの故郷にして処刑された場所として有名であるため海賊たちにとっては特別な場所であるのだ。海賊だろうとなんだろうと、人が集まる場所は発展するのが当然の流れ。ローグタウンは、森と岩に囲まれた野生児達の国、アマゾン・リリーとは比べものにならないくらい栄えており、余りの人の多さに絶賛ビビリ中だ。ヒナさんの腕をがっしり掴んで、やっと歩けるくらいである。

 

「歩きづらいのだけど。ヒナ不満」

 

「こんなに人が多いと不安なんですよぉ。こう、心がざわざわするんですっ」

 

「軍艦に大穴あけれる人間が何を言ってるのよ」

 

呆れたように言うヒナさんだけど、そんなことを思い出させないでほしい。ボガードさんがやったことにしようとしたけど全然無理だったし。

結局、あんな大穴があいた船で航海なんて出来ないので、修理のためこのローグタウンまでヒナさんの軍艦で引っ張ってきた。ガープ中将達は今、船大工さんのところへ行っている。幸いローグタウンは偉大なる航路(グランドライン)を目指す海賊達が集まるということで、造船業者もいくつかある。なんとか直ると信じたい。

 

「ほら、あれが行きたいって言っていた処刑台よ」

 

ヒナさんの指す方に人混みに囲まれた処刑台があった。

人混みを掻き分けて近づいてみても、別に何の変哲もない処刑台だ。でもどうしてだろう。ここで一つの伝説が終わり、新たな時代が始まったことが、何となく感じられる。

ゴールド・ロジャーは、自らの死によって、この時代を作り、その先に何を起こそうとしているのか。世界を変えてしまうような凄いことなのか、笑い飛ばしてしまうようなくだらないことなのか。それはひとつなぎの大秘宝(ワンピース)を手にした誰かの手に引き継がれ、委ねられるのだろう。

 

うん、ここに来てみて確信した。

 

ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)――全然欲しくないわ。驚くくらい興味なかった。

 

「なんで皆、ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)なんて欲しがるんでしょうね。どんなものかも、本当に実在するのかさえ分からないものを、命懸けで求めるなんて損ですよ。目の前には綺麗な人も、美味しいものも、楽しいことも、沢山あるのに」

 

「未知を何より魅力的に思う者達もいるのよ」

 

きっとひとつなぎの大秘宝(ワンピース)を本気で見つけようって人達にとっては、それがどんなものかなんて関係ないのだろう。その過程の冒険を、頂へと駆け上がる興奮を、大海賊時代という熱狂を、楽しんでいるに過ぎないのだと思う。

 

「私もひとつなぎの大秘宝(ワンピース)が飛び切りの美女か、とんでもなく美味しいものだったら結構真剣に考えるんですけどねぇ」

 

ヒナさんやハンコックの百倍綺麗で可愛い人と、バラティエの百倍美味しいご飯があるのなら、命を賭けるか真剣に悩む。でもそれって海賊の財宝って感じしないし、両方、いつ見つかるかも分からない場所で隠しておくことなんて出来ないものだ。つまり、ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)は、私にとってはきっとどうでもいいものなので、見つかったら何だったのか教えてもらえるとちょっと嬉しいかもって感じかな。

 

「随分平和的な財宝ね」

 

「平和で良いじゃないですか。私はそれだけあれば幸せだって確信できますよ」

 

石から解放されてまだ1ヶ月も経っていないのに、私は沢山の幸せを見つけた。

 

偶然出会ったスペード海賊団。

騒がしいけど楽しい奴らだった。短い時間だったけど、正直寂しくて仕方なかった私にしたら一緒に宴をやったあの時間は最高の思い出だ。海の上で、ひとりぼっちで復活、なんてことになってたら寂しくて死んでたかもしれない。

 

ヒナさんや黒檻部隊の人達。

ヒナさんは美人で優しくて最高だ。いつかその能力を夜のお楽しみに使ってもらうのが私の夢だ。

黒檻部隊の人達はなんか子供扱いしてくるけど、まあ良い人たちだ。別に困ってたら助けてあげないこともない。

 

バラティエでの食事は凄かったなぁ。サンジさんは何話してるのかたまに分からなかったけど、丁寧に色々教えてくれて優しかったし、他のメニューも食べてみたいからまた行きたい。

 

面白い技術を見せてくれたボガードさんとガープ中将。船を壊してしまったのは本当に申し訳なかったので、ちょっと頼まれたおつかいを全力で遂行します。

 

いやー、本当に石から解放されてからずっと楽しい!あんな小さい国に閉じ籠もってたのがバカみたいだ。世界は広くて面白くて、きっとまだまだ楽しいことがある。ひとつなぎじゃなくても、大財宝はそこら中にあるのだ。

 

「ヒナさん、私、国を出られて良かったです」

 

しみじみと言った私の頭をヒナさんは黙ったまま、ぽんぽんと撫でた。

 

 

 

 

 

 

ローグタウンでの当初の目的を果たし、私とヒナさんは街を探索していた。

人混みにも多少は慣れてきたものの、この他人の気配が大量に蠢いている中でずっと暮らすなんて私には無理な気がしてきた。やっぱ田舎探して、しばらく引き篭もろうかな。

 

「そうは言ってもやっぱり都会のご飯は美味しいですねぇ」

 

出店で美味しそうなものを見つける度に食べてるけど、今のところハズレはない。味付けは濃い目が多い印象。最初の一口目が一番美味しく感じる味付けって感じだ。バラティエのような繊細なものではなく、叩きつけるような味で、私としては懐かしさを感じるチープさだけど、こういうのはこういうので美味しいんだよなぁ。

 

「ヒナ疑問。セラって船上だと普通だけど、ここやバラティエだと意外と食べるわよね?」

 

「船上だと食材が限られてますし、何より、毎日同じようなやつになるじゃないですか。一回でいっぱい食べちゃったら次から飽きがきて絶望しますよ」

 

多少改善したとはいえ、それでも船上での食事はレパートリーに乏しい。私が外海を旅するために船を買うときは絶対、一番でっかい冷蔵庫を付けるんだと決意したくらいだ。一回の食事でいっぱい食べるということは、それだけ飽きを加速させるということ。一時的にはお腹いっぱいで幸せかもしれないけど、長期的に辛くなるだけなのだ。

 

「そんな細い体のどこに入ってるのかしらね」

 

「背が伸びます。あと20センチ伸びます」

 

「ヒナ失笑」

 

母親も父親も会ったことないので、遺伝子的にどうなのかはわからないけど絶対伸びる!私には確信がある!190cmくらいにはなるはず!胸は年々大きくなってるのに身長があんまり変わらないの少しばかり不安であるけど、私は私のポテンシャルを信じている。伸びるったら伸びるのだ。

 

「それで、ガープ君に何を頼まれたの?」

 

「なんでも有望な海兵さんがここの管轄らしいんですけど、その人と戦って倒せばいいらしいですよ」

 

ここローグタウンに駐在している海軍本部大佐の人は、自然(ロギア)系の能力者で、ローグタウン駐在に就任以来、一度も海賊を取り逃がしたことのない優秀な海兵さんだ。それをわざわざ倒してくれっていうのは、彼がこの、生ぬるい環境でその実力を落としてしまうことを危惧しているのだろう。どうやらこの辺の海の人は覇気を使えないらしいし、自然系なんてバカでも無双できる。そんな無双状態で、強い海賊もいない東の海駐在じゃあ、強くなんてなれやしない。かといって海軍の実力者達は暇じゃないし、鍛えるためにローグタウンに居座るなんてことは出来ないから、しばらくここにいそうな私に、自然系は無敵ではないと分からせ、あわよくば、鍛えさせようってことなんだろうな。ガープ中将の口振りからして男の人っぽいし、言われた通りに一回ボコって、終わりにするつもりだけどね。可愛い女の子とかだったら手取り足取り、超丁寧指導するのだけども。

 

「……スモーカー君、ご愁傷さまねぇ。ヒナ合掌」

 

合掌するヒナさんの表情は、本当に死にゆく人を慈しんでいるようなものだった。私、別に殺さないよ!

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