女ヶ島を追い出されたので外海でハーレム王に私はなる 作:覚醒サイダー
「ひ、人がこんなに沢山いるっ!」
ローグタウン。
「歩きづらいのだけど。ヒナ不満」
「こんなに人が多いと不安なんですよぉ。こう、心がざわざわするんですっ」
「軍艦に大穴あけれる人間が何を言ってるのよ」
呆れたように言うヒナさんだけど、そんなことを思い出させないでほしい。ボガードさんがやったことにしようとしたけど全然無理だったし。
結局、あんな大穴があいた船で航海なんて出来ないので、修理のためこのローグタウンまでヒナさんの軍艦で引っ張ってきた。ガープ中将達は今、船大工さんのところへ行っている。幸いローグタウンは
「ほら、あれが行きたいって言っていた処刑台よ」
ヒナさんの指す方に人混みに囲まれた処刑台があった。
人混みを掻き分けて近づいてみても、別に何の変哲もない処刑台だ。でもどうしてだろう。ここで一つの伝説が終わり、新たな時代が始まったことが、何となく感じられる。
ゴールド・ロジャーは、自らの死によって、この時代を作り、その先に何を起こそうとしているのか。世界を変えてしまうような凄いことなのか、笑い飛ばしてしまうようなくだらないことなのか。それは
うん、ここに来てみて確信した。
「なんで皆、
「未知を何より魅力的に思う者達もいるのよ」
きっと
「私も
ヒナさんやハンコックの百倍綺麗で可愛い人と、バラティエの百倍美味しいご飯があるのなら、命を賭けるか真剣に悩む。でもそれって海賊の財宝って感じしないし、両方、いつ見つかるかも分からない場所で隠しておくことなんて出来ないものだ。つまり、
「随分平和的な財宝ね」
「平和で良いじゃないですか。私はそれだけあれば幸せだって確信できますよ」
石から解放されてまだ1ヶ月も経っていないのに、私は沢山の幸せを見つけた。
偶然出会ったスペード海賊団。
騒がしいけど楽しい奴らだった。短い時間だったけど、正直寂しくて仕方なかった私にしたら一緒に宴をやったあの時間は最高の思い出だ。海の上で、ひとりぼっちで復活、なんてことになってたら寂しくて死んでたかもしれない。
ヒナさんや黒檻部隊の人達。
ヒナさんは美人で優しくて最高だ。いつかその能力を夜のお楽しみに使ってもらうのが私の夢だ。
黒檻部隊の人達はなんか子供扱いしてくるけど、まあ良い人たちだ。別に困ってたら助けてあげないこともない。
バラティエでの食事は凄かったなぁ。サンジさんは何話してるのかたまに分からなかったけど、丁寧に色々教えてくれて優しかったし、他のメニューも食べてみたいからまた行きたい。
面白い技術を見せてくれたボガードさんとガープ中将。船を壊してしまったのは本当に申し訳なかったので、ちょっと頼まれたおつかいを全力で遂行します。
いやー、本当に石から解放されてからずっと楽しい!あんな小さい国に閉じ籠もってたのがバカみたいだ。世界は広くて面白くて、きっとまだまだ楽しいことがある。ひとつなぎじゃなくても、大財宝はそこら中にあるのだ。
「ヒナさん、私、国を出られて良かったです」
しみじみと言った私の頭をヒナさんは黙ったまま、ぽんぽんと撫でた。
◆
ローグタウンでの当初の目的を果たし、私とヒナさんは街を探索していた。
人混みにも多少は慣れてきたものの、この他人の気配が大量に蠢いている中でずっと暮らすなんて私には無理な気がしてきた。やっぱ田舎探して、しばらく引き篭もろうかな。
「そうは言ってもやっぱり都会のご飯は美味しいですねぇ」
出店で美味しそうなものを見つける度に食べてるけど、今のところハズレはない。味付けは濃い目が多い印象。最初の一口目が一番美味しく感じる味付けって感じだ。バラティエのような繊細なものではなく、叩きつけるような味で、私としては懐かしさを感じるチープさだけど、こういうのはこういうので美味しいんだよなぁ。
「ヒナ疑問。セラって船上だと普通だけど、ここやバラティエだと意外と食べるわよね?」
「船上だと食材が限られてますし、何より、毎日同じようなやつになるじゃないですか。一回でいっぱい食べちゃったら次から飽きがきて絶望しますよ」
多少改善したとはいえ、それでも船上での食事はレパートリーに乏しい。私が外海を旅するために船を買うときは絶対、一番でっかい冷蔵庫を付けるんだと決意したくらいだ。一回の食事でいっぱい食べるということは、それだけ飽きを加速させるということ。一時的にはお腹いっぱいで幸せかもしれないけど、長期的に辛くなるだけなのだ。
「そんな細い体のどこに入ってるのかしらね」
「背が伸びます。あと20センチ伸びます」
「ヒナ失笑」
母親も父親も会ったことないので、遺伝子的にどうなのかはわからないけど絶対伸びる!私には確信がある!190cmくらいにはなるはず!胸は年々大きくなってるのに身長があんまり変わらないの少しばかり不安であるけど、私は私のポテンシャルを信じている。伸びるったら伸びるのだ。
「それで、ガープ君に何を頼まれたの?」
「なんでも有望な海兵さんがここの管轄らしいんですけど、その人と戦って倒せばいいらしいですよ」
ここローグタウンに駐在している海軍本部大佐の人は、
「……スモーカー君、ご愁傷さまねぇ。ヒナ合掌」
合掌するヒナさんの表情は、本当に死にゆく人を慈しんでいるようなものだった。私、別に殺さないよ!