「息抜きしている暇なんてない。」
結城トレーナーに招かれた合宿所にて迎えた、七日目の朝。相変わらずレジェンドトレーナーからは明確なトレーニングの指示はなく、ウマ娘たちが自主的に行う鍛錬が続いた練習合宿の、只中であった。
朝食の場でアドマイヤベガが上げた声は、向かい合っているテイエムオペラオーに向けられていた。
「あなたも本気で走る気があるのなら、分かっているでしょう?これだけ理想的な練習環境、合宿が終わったらいつ得られるか分からないのよ。」
「簡単な事さ、トップを走り続ければいい!トレセン学園は、優秀な成績のウマ娘への支援を惜しまないのだろう?」
「それはそうだけれど、一年次には戦績を上げるだけのめぼしいレースが無いでしょう。だったらなおのこと、この合宿の一秒でも無駄にせず……」
「はーっはっはっは!案じたまうな、一秒も無駄にせず楽しめばいい!そのための息抜きさ!」
まるで噛み合っていない会話であったが、オペラオーは何が何でも息抜きの日を設けたいようだった。確かに振り返れば早朝から晩まで練習し通す日々が続いており、そろそろまとまった休息を入れるべきかとトレーナー達も考え始めていたのである。
が、彼らがそれを口にする前に、ウマ娘たちの中からその声が出てきたことは、以前結城トレーナーが喋っていた内容を裏付けるような状況であった。
他人から教えられなければ気づけないようなウマ娘は、勝てない。
白米の上に乗せた梅干しの果肉をほぐしながらにこやかに聞いている片桐の隣で、鷹木は離れた席の結城トレーナーに視線を向けた。老トレーナーもまた、黙ったままに芳しい湯気の立つ茶を啜るばかりである。
ウマ娘たちの論議はそうしている間にも熱を帯びてくる。とはいえ主に喧しいのはオペラオーとアドマイヤベガの二名であり、ただ穏やかな表情のままに時折口をはさむナリタトップロード、あわあわと狼狽えながら見つめるばかりのメイショウドトウが隣に控えている。
「ほら、華麗なるオペラ座にだって、幕間に休息を取るためのホワイエが用意されているだろう?完璧な演目は、休憩無くして生まれ得ない!」
「どうしても休憩を入れたいのなら勝手にどうぞ。その間に、私は先に行かせてもらうから。」
「じゃあ、こういうのはどうかな。午前は、いつも通り練習に打ち込む。午後になったら、オペラオーくんが言うとおり、少し気分転換を入れてもいいだろう。」
どちらも性格は全く異なるものの、互いにまるで意見を譲る気のないアドマイヤベガとオペラオーを仲裁するように、トップロードが意見を挟む。頑として意を曲げる気のない様子であったアドマイヤベガも、唯一気を許す彼女の言葉には耳を傾ける準備があるようだった。
「ほら、アヤベだって、あんまり根を詰めすぎて具合を悪くしても良くないじゃないか。」
「……トップロードが、そう言うのなら。」
「わ、わ、私も、お付き合いさせていただいて、よろしいですかぁ……?」
「当然だとも、ドトウも共に!はーっはっはっは!さて、午後から出かけるならば、どこが良いだろう?どこかお薦めのロケーションはないかい、トレーナー?」
オペラオーが迷わず「トレーナー」と呼ぶ相手が、自分ではなく結城トレーナーであることを知った鷹木は若干凹んだ。
お茶の入った湯飲みが格段に似合う老人は、口にまだ茶を含んでいることを示すように眉毛を上げ、返答をまとめつつも茶を飲み込んでから口を開いた。
「うーん、のんびりする分にはいい土地柄なんだけれどね。君たちが行って楽しめるような場所は無いね、なにぶん田舎町なものだから。」
「近くに神社でもあれば、勝利を祈願するためお参りにでも行けるんじゃないかな。」
誰が相手でも、さらりとフォローに入ることのできるトップロードの気遣いを笑顔で受け止めつつも、結城トレーナーの首は横に振られた。
「いやいや、本当に何も無いんだよ。強いて名所を上げるならば、このウマ娘用の合宿所ぐらいだ。ちょっと行ったところには街の商店街があるけれど、今は殆どシャッターを閉め切ってしまっているし……あぁ、そうだ。おぉい、太田さん。」
彼は何かを思い出したように、食堂の厨房に向かって声を掛ける。食器を洗う水音が途切れて、しばらくした後にこやかな中年女性が現れた。この合宿所にて、期間中に調理を担当している一人だ。
割烹着の似合うふくよかな体の前で手を拭きつつ、現れた彼女は結城トレーナーとも長年の知り合いのように言葉を交わしていた。
「はいはい、なんでしょ。」
「太田さんところの食堂、今日は開けてますかな?」
「えぇ、お昼時だけですけどね。」
太田という名の彼女は、普段は地元の街で食堂を営んでいるらしかった。結城トレーナーは、食卓に着いているウマ娘たちの方を指さして告げる。
「じゃあちょうどいい、昼はこの子たちを向かわせます。走って向かうにも、ちょうどいい距離だし。」
「あら、あの商店街まで結構距離ありますけれど。」
「ウマ娘なら数分で着きますよ。お宅のご自慢のメニューを、振る舞ってくれると嬉しい。僕も久々に、あの食堂に行きたいし。」
「ここで出してるお食事と、そう違いませんよ?」
その言葉を、三角巾を着けた頭を傾げてウマ娘たちの方に投げかける彼女に対し、オペラオーはいつも通りに芝居がかった仕草で立ち上がり、手を差し伸べて返した。
「ますます楽しみになったよ、その食堂での昼餉が!決まりだね、今日の昼はその商店街まで赴き、太田さんの食堂にお邪魔しよう!」
「あらあら、いつもは地元のお年寄りが集まってるばかりだけれど、今日は賑やかになりそうね。」
いかにも地元の大衆食堂の女将さんといった風体から嬉しそうな声が転がり出し、ウマ娘たちもつられて笑顔になる。
「食事する場所を変えるのも、いい気分転換になるだろう。君は来るのかい、アヤベ。それとも、残って練習かな?」
「だから行くって、言ってるでしょ……。」
「太田さんのお料理、わ、私も、楽しみです。」
合宿中も常に半ば緊張した表情のままでいることの多いドトウも、この時ばかりは心躍らせる計画を耳に笑顔を見せていた。
そんな彼女を見つめる、担当トレーナーの片桐の頬が緩んでいるのを確認した鷹木は、どこかホッとする思いであった。常に腹の底に何か計り知れぬ企みを抱えていそうな片桐にも、人間らしい情があることを確認出来たのだ。
これより以降は、トレーナーの同行無しにウマ娘たちが行動した記録となる。鷹木はこの話を、後に結城トレーナーづてに耳に入れることとなった。
当初の予定通り、午前中はランニングや走り込みをみっちりと行ったウマ娘たち。出かけることをトレーナーの元へ報告に訪れた後、彼女らは夏の田舎町へと駆け出して行った。
田舎の道はアスファルトで舗装されていたとしても、路肩の雑草やこぼれた土などに彩られたその路面は半ば自然の構造物と化している。両脇を雑木林や耕地に囲まれ、偶に民家が現れる道のりは静かで、聞こえるのは風の音、自分たちの足音、そしてオペラオーの歌声ばかりである。
「さぁ 夢の真ん中で ミラージュのリズムで
今宵は僕と 踊りませんか?」
ここで共に肩を並べて走るのが、自分とトップロードだけであればどれほど良かったろうか。そう考え続けているアドマイヤベガは、いよいよ周囲を憚ることなく歌い続けるオペラオーに苦言を呈した。
「さっきからうるさいんだけど。」
「はーっはっはっは!風や遠い海鳴りの音が、ボクの歌を待ちわびるがごとく伴奏を続けているものだからね!トップロード、ギターは持ってこなかったのかい?」
「さすがに、走りながらは厳しいかな。でも、これだけ静かだとさすがに間が持たないし、オペラオーくんのおかげで陽気なお出かけになったよ。」
「そうだろう、そうだろう!興が乗ったのであれば、共に歌おう!ドトウも……おや、ドトウ?」
気付いたオペラオーと共に、他の二名も背後を振り返る。そこに、いつも静かについて来るメイショウドトウの姿は無かった。
「あの子、はぐれたの?この一本道で……」
「ちょっと引き返して探しに行こうか、もし怪我でもしていたら大変だ。」
「ボクも行こう!なに、この歌声を聞けば、ドトウも自ら戻ってくるだろう!」
同行する数が減ったにもかかわらず、オペラオーがいよいよ騒がしさを増した一団は道を引き返していく。
結局、約束していた食堂へたどり着いた時には、夕暮れには多少早いとはいえ日が傾きかけるほどになってしまっていた。大幅に遅れた到着を、今は街の食堂の主となった太田がにこやかに出迎える。
「いらっしゃいませ、さぁ座って座って。食べたいもの、何でも注文してちょうだいね。」
「すっ、すみません、すみません!私が途中ではぐれちゃったせいで、到着がこんなに遅れてしまって……!」
「いいんだよ、田舎は時間が長いからね。バスを一本待つのと大差ないさね。」
恐縮してペコペコと頭を下げるドトウも席へと促される。渡されたおしぼりで手を拭きながら、一同は食堂の中を見回して古びたメニュー表を見出した。
壁に張り付けられたメニュー表は経年を示すように、窓から日が差し込むあたりだけが黄色く灼けて色褪せている。
「さて、何を頼もうか。いずれもクラシックかつノスタルジックなメニューが並んでいるね!」
「はっはっは、どうしても年寄りばかりが集まる食堂だからねぇ。若い人向けには梅塩ラーメンなんかがオススメだよ、地元名産の梅を使ってさっぱりと塩の効いた味が売りなんだ。」
「なるほど、運動をする私たちにはピッタリだね。私は、それにしよう。アヤベは?」
「私も、同じでいい。」
「ボクも頼もうか!ドトウはどうするんだい?」
「み、皆さんと同じのを、お願いしますぅ……」
やがて厨房から美味そうな匂いを抱えた湯気が流れて来るのを嗅ぎつつ、四名の話題はドトウが迷子になった経緯へと移っていった。食堂の隅にはアンテナを突き立てたブラウン管モニターが据えられていたが、今は放送を受信することもないのか沈黙し続けている。
「にしても、あなた何していたのよ。あんな山の中まで入って行って。」
「すみません、すみません……実は、走ってる最中、一匹のタヌキさんが、道のわきの溝にはまってるのを見つけちゃいまして……」
「なるほど、優しいドトウらしい理由だね。にしても、何故あそこまで道から離れた位置まで行かなきゃならなかったんだい?」
「最初は、溝の中から拾い上げて、それだけで済ませるはずだったんですけど……私が見ている前で、またタヌキさんが同じ溝にはまってしまって……」
「はーっはっはっは!なるほど、ドトウに似ているね!それで、放っておけなくなったというわけだ!」
「にっ、似てますかぁ……!?確かに、放っておけなくなったのは、その通りですけれど……。」
やがて運ばれてきたラーメンに舌鼓を打ち、四名の談笑は続く。
が、アドマイヤベガの中では焦りが膨れ上がりつつあった。本来の予定であれば、いちおう田舎町の中心部であるこの場所までの往復を昼間の内に済ませ、夕方からはいつも通りのトレーニングを再開するつもりであった。
しかしゆっくりと食事を終えた今、窓の外は僅かながらも暮色に染まり始めている。このままノンビリし続けていれば、合宿所へ帰るころには日が暮れてしまうだろう。
「私、先に戻るね。」
「おや、折角この場を訪れたのだから、もっとゆっくりしていっても良いのに、アヤベ。」
いつも共に居るトップロードをこの場に残してでも帰ろうとするほどに、アドマイヤベガの焦燥感は強まっていた。
「ごめん、けれど練習時間を取りたいから。ごちそうさま、お勘定は?」
「あぁ、結城さんから払ってもらっているから、大丈夫だよ。また、機会があったらウチに来てちょうだいね。」
見送りの声を背に、食堂からひとり一足先に出たアドマイヤベガは、夕暮れ色に染まる商店街へと歩み出して行った。
商店街と名はついているものの、結城トレーナーが言っていた通り、ほとんどの建物はシャッターを下ろしっぱなしであり、多くは錆びついている。曇ってヒビの入ったガラス窓をガムテープで補強したままの建物も目につき、唯一営業している食堂を除けばほぼ廃墟のような様相を呈している。
(……夕方になると、ちょっと不気味ね……)
とはいえ、たった今背を向けて出て行った食堂へと戻り、仲間と行動を共にすることはアドマイヤベガの矜持が許さなかった。
空はまだ明るく、毒々しいまでに鮮やかな茜色に染まった雲が上空にたなびいている。山へと帰っていくのだろうカラスが大声で鳴きながら飛びたち、アドマイヤベガは思わず身体を竦めた。
しかし浅い角度で差し込んでくる薄暮の光は建物の影となっている部分に明るみをもたらさず、オレンジ色と黒のコントラストで彩られた商店街の光景はいよいよ現実離れしたもののように見え始めた。
(何も、変なことはないわ。このまままっすぐ、合宿所へと帰るだけよ。)
足を運ぶにつれ、両脇を通り過ぎていく建物や郵便ポスト、街の掲示板などがいよいよ不気味な存在に感じ始めることを隠しようは無かったが。
……そんな中でも、アドマイヤベガは足を止めざるを得なかった。
たった今、前を通り過ぎた掲示板。
そこにはもはや見る者も居ないだろう町内会のお知らせなどが張ってあるばかりであったが、画鋲で止められていた一枚の新聞記事に自分の名前がチラと見えたのである。
(見間違いよね……?)
いくら自分がトレセン学園の同学年内でトップの成績を有していようと、ニュース記事に取り上げられるほどの成績は残していない。
単なる見間違いだとは思いつつも、彼女が目を背けられなかった記事の内容は、衝撃的なものであった。
『99年ダービー馬、アドマイヤベガ急死。 29日早朝、99年日本ダービーを制したアドマイヤベガ(父サンデーサイレンス、母ベガ)が急死した。解剖の結果、死因は偶発性胃破裂であった。28日夕方ごろから疝痛の症状を訴え、緊急入院。しかし、既に手の施しようがなく、翌29日午前五時ごろ、関係者に見守られるように息を引き取った。日本ダービーにおける勝利後、翌年の宝塚記念に向けて調整を進めていた中、繋靭帯炎を発症し出走を断念。そのまま引退した名馬の最期であった。』
最初、自らの視線が毛布の上でも撫でているかのように明確な印象は読み取れなかった。あまりにも現実味のない内容を前に、しばらくアドマイヤベガは頭がボンヤリとしたまま立ち尽くしていた。
夕暮れとともに吹きわたって来た冷たい風が、彼女の背筋を粟立てた時、初めて全身に悪寒が走っていることに気づく。
彼女の顔色は青ざめていただろう。
「なに……これ……気持ち悪い……」
きっと、これは質の悪いイタズラだ。本物の新聞記事のように見せかけて、誰かが嫌がらせをするためにここに貼ったのだ。
そう思い込もうにも、そんなことをする相手に思い至らない。先ほどまで同行していた面々は鬱陶しくも陰湿な行為に手を出すような性質だとは思えない。そもそも、この場所に来ることはトレーナーの偶然の思い付きである。ピンポイントで、この掲示板に自分が目を向けるなど、誰が予測できるだろうか。
考えれば考えるほど不気味さを増していくこの場に背を向け、アドマイヤベガは足早に去り始めた。
が、いくら歩いても歩いても、商店街は両脇にずっと続いている。来た際は見覚えのない建物も立ち並び、住民と思しき人間の数も増えだした。
(嘘でしょう、こんなに大きな商店街だったはずは……)
黄昏の光に染まった商店街は、あちこちから店じまいの音が響いている。周囲を見渡せば、シャッターが閉まりっぱなしの店も無い。先ほどの静けさがウソのように活気にあふれ、商店街の上部には横断幕が掛けられている。
〈頑張れニッポン!2004アテネオリンピック・パラリンピック〉
(何のこと……?2004年って、いつなのよ……!)
キョロキョロと不安そうに周囲を見回しながら歩いていく、一人の少女の姿は商店街の住民の目にも止まったのだろう。商品を並べていた棚を担いだ八百屋の主人が、アドマイヤベガに声を掛ける。
「お嬢ちゃん、この辺の子じゃないね。どうしたんだい、迷子か?」
彼にこの場所について尋ねようとしたアドマイヤベガが口を開き、声を出そうとするのを遮るように、遠くから歌声が響き始めた。
「もし目が覚める頃 すべて忘れても
キミの笑顔につながればいい もう夜が明ける
きっとまた出会えるさ DREAM JACK」
あまりに聞き慣れた、その忌々しい歌声。だが、今のアドマイヤベガにとっては、自らの慣れ親しんだ場所へ戻るための唯一のよすがであった。
いきなり踵を返し、今来た方向へと駆け戻っていくアドマイヤベガ。驚いて何事か声をかけている八百屋の主人の声も置き去りにし、その俊足をもって商店街を逆へ、逆へと馳せていく。
いつしか周囲から物音は消え、元通りに風音だけが吹きわたる、人気のない商店街へと戻ってきていた。空は暗さを増し、夕焼けの色は消えかかっている。
目の前には先ほどまで食事をしていた食堂があり……たった今扉を開けて出てきたオペラオーが、機嫌よく歌を響かせているのであった。既に帰ったものだと思われたアドマイヤベガの姿をトップロードが見出し、驚いたように問いかけて来る。
「どうしたんだい、アヤベ。先に帰ったはずじゃ……何かあったのかい。」
「ハァ、ハァ……何でもない。」
肩で息をするアドマイヤベガがどこか青ざめていることを、トップロードの目はしっかりと捉えていた。が、相手が拒む内容を無理に聞き出そうとする彼女では無かった。
店を出る所で大きくつんのめり、倒れそうになったメイショウドトウをオペラオーが支えている。その様子を目にして笑いながら出てきた太田が、食堂のシャッターを閉め、車のキーを出しながら一同に告げた。
「良ければ、車で送りましょうか?私も、今から合宿所の厨房で皆さんの夕食を作らないと。」
「おぉ、素晴らしい!ぜひお言葉に甘えさせていただきたいところだ!」
「わ、私も、また迷子になるよりは、お車に乗せてもらえた方が助かりますぅ……。」
「私も乗せてもらおうかな。アヤベは?」
いつも通りであれば、帰り道も走る鍛錬であるとして拒否するであろうアドマイヤベガだったが、今の彼女は迷いなくトップロードの傍に寄って来た。
「私も……乗る。」
暮色の薄れていく商店街を、太田が運転する車がガタガタ揺れながら進んでいく。車窓から見える商店街はあっという間に過ぎ去り、店じまいをする店舗などどこにも見当たらない。あの記事が張られた掲示板も、改めて探せば見つからない。
食い入るように窓の外を流れる光景を見るアドマイヤベガが、隣りに座った自分の手をしっかりと握って離さない様をトップロードは黙って見ていた。