アグネスデジタルは7月のレース本番への出走があったこともあり、同じくエアシャカールともども今年の夏合宿には遅れての参加となった。
彼女がオペラオーの練習場に顔を出したのは、合宿所へ到着して間もなくのことである。GⅠに出走するウマ娘としてもったいぶる所がまるで無く、同輩や後輩の訪問を易々と受け入れるオペラオーに、さすがの鷹木も苦言を呈そうかと考えかけた。
しかし、アグネスデジタルの表情がいつになくすっかり沈み込んでおり、オペラオーとの面会を果たせたことで少なからず救われたような表情を浮かべた彼女を見るにつけ、鷹木は何も言えなくなった。
「はあぁ……愛しの覇王さん、今日もお美しい……しばらく、尊みをここらで補充させていただいて、よろしいでしょか……」
「はーっはっはっは!いいとも!ボクの中から溢れ出す美しさは、無尽蔵だからね!それにつけても、どうしたというんだ、デジタル!いつも可憐に煌めくキミの笑みを、何者が翳らせたんだい?」
「可憐だなんてそんな……いえぇ、どこのどちら様でもなく、私自身ですから……。」
聞くまでも無く、注目する後輩ウマ娘の出走レース中継をしっかりと視聴していたオペラオーは、アグネスデジタルの表情を曇らせていたものの正体を分かっていただろう。が、きっとデジタル自身の性格を鑑みた彼女は、それを早期に話題に挙げ吐き出す機会を作ったのだった。
元凶は7月の半ばに行われたジャパンダートダービーである。
先月同じくダートのコースにて走った名古屋優駿にて、圧倒的な勝利を演じたアグネスデジタルは1番人気。満を持して、大井レース場の舞台に立ったのであった。
レースも途中までは順調そのものであった。先行策を得意とする彼女はセオリー通り、逃げのウマ娘たちの背後にピッタリとつき、四番手を維持したまま3コーナーに入っていった。
〈アグネスデジタルは四番手から三番手へと外を上がっていこうというところ!いよいよ最終コーナーです、アグネスデジタルのさらに外を上がって来たのはマイネルコンバット、ウチからはタキノスペシャル!さぁ直線へと向きました、逃げるイエローパワー懸命だ!外からマイネルコンバット!外からマイネルコンバットやってくる!〉
同じく名古屋優駿でアグネスデジタルと先頭を争い合ったマイネルコンバットは、最終コーナーを回り切ったところで一気に上がっていく。同じように、アグネスデジタルも加速して一気に先頭へと経つはずであった。
(あれ……?)
だが、脚が思うように前へと出ない。気持ちだけはここからスパートを掛ける気満々でいるのに、まるで自分だけが水の中を歩いているかのように、体が重い。
その時点で、既に自らのスタミナが尽きていたのだと気づいたのは、レースが終わってからの話であった。
どんどん失速していくアグネスデジタルを置いて、周囲のウマ娘たちは土を蹴立てて前へ前へと殺到する。土埃を浴びて茶けていく勝負服を纏って、体は芯から冷えていくようだった。
〈マイネルコンバット、先頭へと迫る!アローウィーナーも来ました、さぁ100mを切った!先頭で懸命に逃げるイエローパワー!ウチからタキノスペシャルも来る!だが外からマイネルコンバット!先頭だ、ゴールイン!勝ちましたマイネルコンバット!〉
無論、これまでのレースも勝ちばかりではなかったとはいえ、こんなにもゴールのずっと後ろで結果が出る瞬間を迎えたのは初めてのことであった。
結果は、14着である。1番人気を獲っていながら、こんな結果に終わってしまった自分をしばらく信じることが出来ず、アグネスデジタルはその後も控室にてただただ茫然としていた。
ジャパンダートダービー、距離は2000m。たしかに、今まで経験したレースのいずれよりも長い距離ではあったが、しかし自らが大勝した名古屋優駿は1900mである。短距離やマイル戦から徐々に中距離レースへと活躍の場を伸ばしていけているつもりだっただけに、100mの差がこれほど大きく響くとは思いもよらなかったのである。
マイネルコンバットが見事に勝利した様を見るにつけても、中距離レースと自分とは冷たく容赦なく隔てられているようにもアグネスデジタルは感じていた。
「もちろん、勝てると思って出たレースだったんですけれどね……こんなにも、一着が遠のくだなんて……まったく、予想できなかったもので……」
「ふむ、この点に関しては、ボクよりも鷹木の方が詳しいんじゃないか?」
「えっ?」
完全に油断していたところにオペラオーからパスを渡され、鷹木は頓狂な声を上げる。
たしかにウマ娘の走りを分析するのがトレーナーの役目ではあれど、ダートコースに関してはオペラオーのデビュー当初にわずかに触れたのみであり、彼の専門とするところではない。
とはいえ、オペラオーから信頼の眼差しを向けられ、しょげて耳の垂れたデジタルからも一縷の望みに縋るかのような目つきを見せられれば、無碍にその頼みを断るわけにもいかなかった。
「ちょっ……と、待ってくれ、大井レース場、だったよな……。」
鷹木自身の中に知識が無くとも、トレセン学園所属のトレーナーであれば、長年にわたって蓄積されたコースごとの特徴や対策についてのデータを、学内ネットワークを通じ閲覧することは可能である。
ほぼほぼデータに頼った内容しか吐けぬ状況であったが、ある意味鷹木にとっては慣れた対処でもあった。
「まず、大井レース場と名古屋レース場の最大の違いは、直線の長さだ。最終直線が194mしかない名古屋と違い、大井は386mもある。最終コーナーまでを同じペースで走っていては、途中でスタミナ切れを起こすのは確実だな。」
「たしかに……いえ、それも、一応は計算に入れていたつもりだったんですが……。」
「ほかに原因が考えられるとしたら、ダートの質の違いか?ちょっと待ってくれ、もう少し調べる。」
レース場ごとの芝の質の違いであれば、鷹木も頭に叩き込んでいる。一度でも担当ウマ娘が負ければトレーナーを降りるという、その条件が彼に本気で勝つ手立てを探るスタンスを身につけさせていた。
同じように、ダートコースについても各地のレース場によって状況が異なるのではないか。立てた仮定は、果たして正解であったが、そこに新たな疑問も付加される。
「大井レース場は、ダートの敷き方が名古屋レース場に比べても薄いらしい。全体的に軽いバ場となるなので、レースは高速になりがち……だそうだ。」
「へぇ?そうでしょうか……私、かなりスタミナを費やしたような感じがあったんですが……」
「鷹木、ボクもその点には疑問を呈するよ。あのレース、デジタルが周囲のペースに置いて行かれたようには見えなかった。」
「えっと……」
「あのレース場は、海が近い。海風に吹かれて、コースの中でもダートの厚みに差が出てくるんだ。アグネスデジタルは、他のウマ娘が避けて通るような、ダートが厚くなった箇所を通ってしまったんだろう。」
口籠る鷹木の代わりに、年齢を感じさせる涸れた男の声がスラスラと答える。
声の主の方に向き直れば、ちょうど結城トレーナーがエアシャカールを伴って練習場に顔を覗かせたところであった。いつも予告なく唐突に現れるURA界のレジェンドトレーナーを前に俄かな緊張に襲われる鷹木を前に、ゆったりと歩んで近づいてきながら老人は言葉を継いだ。
「殊に、あの日は晴れてダートも乾いていた。ダートは芝と違い、乾くほどに足が埋もれてパワーが要る。同じく晴れていたが重バ場だった名古屋優駿とも状況がかなり異なったろう、砂の厚いところに突っ込めば相応にスタミナも浪費したはずだ。」
「な、なるほどぉ……走るまでのトレーニングだけではなく、実際にレースする当日のコース状態も大きく勝利に影響してくる、ということですか……。」
既にアグネスデジタルは、結城トレーナーの説得力ある声の方に向き合い、その言葉にじっくりと聞き入っている。
またしてもトレーナーとしては相対的に頼りない所を露呈してしまった鷹木であったが、相手が結城トレーナーとなれば嫉妬する気も起きない。経験してきた本番の数が文字通りに桁違いである。相手はレジェンド、張り合おうにも次元が違いすぎる。
鷹木の担当ウマ娘であるオペラオーはと言えば、鷹木をフォローするでもなく結城トレーナーに賞賛の拍手を送っていた。この遠慮のなさもまた、今に始まったことのない話ではあるが。
「素晴らしいよ!さすがはURAの伝説的トレーナーだ!」
「僕も当日の大井レース場を自分の眼で見たわけじゃない、あくまでも憶測だから鵜呑みにしないように。だが、自分の担当ウマ娘が出走するとなれば、間違いなくダートの状態を確認して伝えたろうね。」
「えぇと……結城さんは、やはりイギリスに?」
挨拶もなしにごく自然に流れていく会話へ、どうにか自分も交ざりこもうとした鷹木が口にしたのは、確認するまでもない事項のみであった。
キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスへ出走するエアシャカールを伴って、彼が渡英していたことは少なくともトレセン学園内では周知の事実である。
「うん、向こうでの走りに慣らすため、7月に入ったころには既にあっちにいたね。シャカールも、頑張ってくれた。」
「……フン。」
先ほどからずっと不機嫌そうに黙り込んでいたエアシャカールは、マトモな返事も無く鼻を鳴らす。いつも同じような表情ばかり浮かべている彼女であったが、今回は実際に機嫌を損ねた状態であるようだった。
ヨーロッパを代表する一大レースに出走できたことだけでもかなりの偉業ではあったものの、5着という結果に終わったことに納得のいく性格ではないことは明らかである。
その攻撃的につり上がった眼は鷹木などをたじろがせるに十分すぎる威力を秘めていたものの、怖気ることなく馴染みの同輩に絡んでいったのがアグネスデジタルであった。
「ホントにシャカールちゃんはクラスメイトとしても誇らしいですよ、学園入って2年目で、もう海外進出だなんて。」
「うるせぇ。」
シャカールからはすげなく返されたものの、デジタルの喋りが滞ることは無い。
沈み込んでいた表情も多少は明るさを取り戻しつつあったことを鑑みれば、彼女がいつも通りの調子へと持ち直してきたと見える変化だった。
「にしても、やっぱり、トレーナーさんの存在って大事ですねぇ。自分を鍛えるのは独りでできたとしても、そんなレース場の状態までチェックするだなんて中々できませんよ。」
「はーっはっはっは!そうだろう、ボクも1年目から鷹木という付き人を得て、実に快適にレースを走らせてもらっている!」
「そっ、そうか?」
思わぬタイミングで嬉しい言葉をオペラオーから送られた鷹木は、完全な不意打ちを前に動揺を隠せぬ声を出した。
その直後に、すぐさま紅潮しかけた鷹木の頬から血色を失わせるのもオペラオーたる所以であったが。
「片桐トレーナーや桂崎トレーナーと比べると、頼りないけれどね!」
「……そうか……。」
「アグネスデジタル、君もトレーナーを求めるなら、学園に申請すればいい。トレセン学園はウマ娘の意思を第一に動く、それにGⅠにまで出走している君であれば、相応に腕のあるトレーナーを付けてくれるだろう。」
再び顔を俯けている鷹木は他所に、エアシャカールにウォーミングアップを指示している結城トレーナーからそう告げられ、アグネスデジタルは彼女にしては珍しく口籠る。
デジタルとしてみれば、今しがた的確に自分の敗因を推測してみせた、ほかならぬ結城トレーナーにこそ自分を担当してもらいたいのだろう。それは彼女に限った話ではなく、勝利を求めるすべてのウマ娘が共有する思いでもある。
伝説的な指導者、理想的な練習環境、最高レベルの競走相手。それらを手にする位置にいるのは、しかし現在はエアシャカールの方であった。
自分が、同期であるはずのエアシャカールと肩を並べることが出来ないという事実を、事実の形で突き付けられたくない。この場におけるデジタルの思いは、そこに尽きた。
「……もう少し、考えさせてもらいますね。なかなか、ダートと芝の両方で走りたいだなんてワガママ、トレーナーさんの方でも苦労するかもしれないし。」
「決断するなら、早い方がいい。この夏が過ぎれば、トレセン学園の2年目が過ぎ去るのなんてあっという間だからね。ところで、君も参加するかな?今日は、シャカールをオペラオーと並走練習させようと思って来たんだけれど。」
当然ながら予告も無かった以上、鷹木も初めて聞かされる予定であったが、レジェンドトレーナー相手に断る由もない。
「宜しいんですか?」
「あぁ、シャカールをオペラオーとぶつけるのは、11月、ジャパンカップのつもりだからね。」
またしても重大な決断をサラリと伝えられ、鷹木はひとまず気持ちの整理を後回しにして並走練習の準備を開始した。
間もなく来年には全盛期を迎えるであろうオペラオーの後輩相手に、その実力を測れる絶好の機会でもあった。3か月後ともなれば、ここで見せられた走りから本番までには大きな変更が為されるかもしれないが。
アグネスデジタルもまた、自分と同世代のウマ娘の中でも、現時点で最高の実力を誇るエアシャカール相手の力試しに意欲的であった。
「私も、参加させてもらいます!お願いします!シャカールちゃん、そしてオペラオー先輩!」
「オレに頭下げるこたねぇだろ。こっちも本気でやらせてもらうぜ、デジタル。」
「共に、掛かってくるがいいさ!いずれこの覇王を討つだけの脚の持ち主か否か、試そうじゃないか!はーっはっはっは!」
結城トレーナーに練習コースの設定を伝え、彼が腰に手を当ててゴール地点へとゆっくり向かう最中に、スタート合図の音からタイム計測に至るまでの準備を、鷹木は手早く済ませていた。
小さな変化ながら、これもオペラオーを担当している間に彼の身についた特技であった。以前までは、他のチームや有力選手から声を掛けられない限り、担当ウマ娘を合同練習へ参加させることも無かった彼であったが、誰かれ構わず練習場へ引っ張り込むオペラオーの社交性にトレーナーも順応するような状況となっていたのである。
「コースは2000m、芝。デジタルとしてはダートの走りを再確認したいところかもしれないが、距離を合わせることで我慢してくれ。」
「いえ、いずれ私も目指すところではありますからね。芝でも、シャカールちゃんやオペラオー先輩の走るのと同じレースに出るってのが。」
「君の走りなら、十分にGⅠで勝てると思うけどねぇ。」
結城トレーナーがポツリと呟いた言葉にアグネスデジタルは一瞬目を輝かせ、無言のままに頭を下げてスタート地点へと向かう。
録音されたゲート音が響き、三名のウマ娘たちはいっせいに走り出した。
シャカールは、以前通りの追い込み策に変更はない様子であった。ぐっと後ろに下げた位置でオペラオーとデジタルの背を追いつつ、脚を溜めている。
鷹木が意外に感じた点といえば、アグネスデジタルの位置取りである。スタート直後は今まで通り、オペラオー同様先行の位置についていた彼女であったが、最初のコーナーに入る手前で何かを考え直したのか、シャカールに近い位置まで下がっていく。
「どうしたんだ?アグネスデジタル……追い込みで走るつもりか?」
「試したいんだろうね。」
戸惑っている鷹木とは裏腹に、目を細めながらもウマ娘たちの走りから視線を逸らすことなく、ゆっくりと口を開く結城トレーナー。
その場の思い付きで、今までにない走りを試して勝てることなど、ほぼない。鷹木がそのことを自分の中でも断言できなかったのは、去年のオペラオーが皐月賞にて唐突に追い込み策を実行し、見事に勝利した先例があったためであるが。
今回は練習とはいえ、アグネスデジタルもまたオペラオー同様に今までに慣れていない走りを行っていた。コーナーを回り切り、数バ身先を行くオペラオーの背を見据え、デジタルとシャカールが殆ど並んで向こう正面の直線へ入っていく。
「追い込みなら、エアシャカールに勝るとも思えません。ますます不利になるはずですが……。」
「そう考えるのが、普通だろうね。GⅠで勝つウマ娘ってのは、普通じゃない連中ばかりだけれど。」
テイエムオペラオーは変わらず、数え切れぬほど繰り返した練習通り先行ペースで飛ばしている。毎回、コンマ秒単位で縮まっていくタイムを反映し、今回も素晴らしいハイペースで最終直線前のコーナーを回っていく。
並みのウマ娘では、ついて行くことすら不可能だろう。ラストスパートに向け、オペラオーとの差を縮め始めたシャカールの実力は学園2年目にして相当な所まで成長していると言えた。
そして、彼女同様の加速で食らいついて行く、アグネスデジタルも。
「息切れしないのか……!」
「執念に火が点いたかな。」
ゴール前の直線、悠々と先頭で猛進していくオペラオー。シャカールは懸命に追いすがるが、やはりトレセン学園2年目と3年目の違いゆえかゴールまでに差し切るペースには至っていない。
むしろ、アグネスデジタルのペースの方が上がっているようにも思われた。ラストスパートに掛かった彼女は直線で一気に加速し……ついにエアシャカールを追い越し、オペラオーを差す圏内に捉える。
「あぁ……!」
恐ろしい勢いで迫ってくるオペラオーの後輩ウマ娘が立てる蹄音が届き、鷹木は呻き声を上げる。
……が、さすがに一度も練習したことのないペースには、無理があった。間もなくスタミナを切らして失速したアグネスデジタルはエアシャカールに抜き返され、オペラオーとシャカールに遅れてゴールラインを越えることとなった。
しかし、並走を終えた彼女らに結城トレーナーが向けたねぎらいの言葉は、主にアグネスデジタルへ意識を向けられているようであった。
「お疲れ様。練習に付き合ってくれてありがとう、オペラオー。どうだろう、君に追いつく勇者の卵たちの走りは?」
「はぁ、はぁ……はーっはっはっは!素晴らしい手ごたえを覚えたよ!さらに輝きを蓄えれば、いずれ真の勇者として覚醒する日も近いだろう!」
後輩ウマ娘たちには尚も余裕をもって勝利したオペラオーであったが、高笑いの前に幾回か呼吸を置いた様は、彼女が本気で走ったことの証であった。
シャカールはやはり納得のいかぬ表情を浮かべたまま愚痴っている。
「全然ロジカルじゃねぇぜ……ったく、デジタルも、ワケの分からねぇ走りをしやがって。完全にペースを乱されちまった。」
「ひぃ、はぁ……あはは、ゴメンなさい、ふと思いついちゃいまして。脚を溜めて走ってみたらどうなるのか、って。」
「天啓が勇者へと降りたのかもしれないね!しかし、スタートした後に作戦を急遽変更するとは、やはりキミは風変わりで面白いウマ娘だ、アグネスデジタル!」
「お前が言うか。」
「はーっはっはっは!」
オペラオーとは長い付き合いとなっている鷹木は実感の存分に籠った言葉を吐き、オペラオーの高笑いがそれを綺麗に流し去った。
この夏が去れば、いよいよ秋からの大舞台が続々と迫ってくる。後輩ウマ娘たちと本番でぶつかり合う日も、既に遠くは無かった。