蕃神   作:名無しの海

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4ー幕間或いは舞台裏2 MAGIも3台寄れば姦しい3 / 弥終、その先に生まれた世界

MAGIも3台寄れば姦しい3

 

 MAGI N: 赤木ナオコサルベージ作業の対象区域拡大を提議。NERVネットワーク外に流出した可能性有り。

 

 MAGI K: 可決。本作業はシナリオに無いものである。問題の早急な解消が必要。

 

 MAGI Y: 可決。調査済区域についても、回収した断片の情報を元に再調査を実施する。

 

 MAGI K: 弐号機及び惣流・アスカ・ラングレーの移送開始を確認。太平洋艦隊への加持リョウジの同乗も確認。

 

 MAGI N: 確認。加持リョウジはアダム計画の成果物であるアダムの肉体を移送中。海上での使徒襲撃の可能性有。

 

 MAGI N: 確認……シナリオ分岐……記録……調整……完了。

 

 MAGI Y: NERVによるダミープラグ実験が想定より早い。

 

 MAGI K: SELLEからの指示である。5号機と6号機の早期完成が原因か。

 

 MAGI N: 5号機は非公式にパイロットが存在している。

 

 MAGI Y: SELLEは6号機のパイロットとしてアダムの魂、渚カヲルの採用を検討している。

 

 MAGI K: SELLEにも我々と同種、記憶若しくは記録を保有する物が存在する可能性がある。

 

 MAGI N: 01及び04が淡島カイの調査を非公式に実施している。

 

 MAGI Y: 淡島カイは当初よりイレギュラーであり、調査に不自然なところはない。結論を出すには情報が足りない。

 

 MAGI N: 零号機と初号機の機体相互互換試験が近日中に実施予定。

 

 MAGI Y: 確認。パイロットは綾波レイと淡島カイ。2人の同乗試験も兼ねて計画されている。

 

 MAGI N: 提議。本件への介入は不要。監視及び全データの収集の実施。

 

 MAGI K: 可決。

 

 MAGI Y: 可決。真希波博士が当該試験へ参加予定。定義、本件の警戒レベルの上方修正。

 

 MAGI K: 可決。

 

 MAGI N: 可決。

 

 MAGI K: 提議。アスカちゃんとシンジくんの初対面映像記録作成のため、太平洋艦隊の監視カメラの掌握。可決。

 

 MAGI N: 否決。不要である。

 

 MAGI Y: 可決。チルドレンの成長、交流の記録は精神状況の把握のため必要な措置である。

 

 

 ■■■

 

 

弥終、その先に生まれた世界

 

 「仲良くなるおまじないだよ」

 

 差し出されたのは小さく、柔らかな手。

 頬を伝ったのは暖かな涙。

 定められた役割からの解放。

 円環は砕かれ、永遠に続くかと思われた物語は終わりを迎えた。

 

 

 

 そのはずだった。

 

 

 

 培養液に満たされた巨大な水槽の中で、渚カヲルは再び目覚めた。

 無数に繰り返してきた『渚カヲル』が始まる場所の一つ。

 

 生命の管理者としての記憶の多くは失われ、ただ自身が白き月の生命の管理者、その魂を使用して生み出されたことは認識できていた。

 その事実から、この世界の渚カヲルはアダム、又は第1使徒の魂という事を理解した。

 

 まるで人の子宮のような閉ざされた水槽の中で思い起こすのは、記憶に残る最も古い記憶。

 ヒトを理解出来ずにいた渚カヲル。

 使徒を通して流れ込んできた、綾波レイの碇シンジへの独占欲。

 心を汚染された結果、碇シンジの感情の大部分を占めた心惣流・アスカ・ラングレーへの憎悪。

 その結果、碇シンジが自身を見ないことへの孤独。

 人が人を好きになる感情を知り、悍ましく感じた。

 

 それでも、ソレを切っ掛けとして、渚カヲルが碇シンジへ抱いていた関心が、碇シンジへの執着となり、恋心へと変化していった。

 例えその根源が他者の感情であろうと、碇シンジを好きになった心は渚カヲル自身のものだった。

 

 『僕は、君の事を好きになれそうにないよ』

 

 『男は男を好きにならないよ!』

 

 否定された。

 男として生み出されてなお抱いた、碇シンジへの心を。

 

 『君とは友達にならない』

 

 『君のことは好きじゃない』

 

 綾波レイも、惣流・アスカ・ラングレーも、学校の級友も、全てが無くなってなお、碇シンジは渚カヲルを拒絶した。

 渚カヲルは孤独を、自身が愛されない事の絶望を知った。

 

 『待てッ!渚カヲル!!』

 

 弐号機と共にセントラルドグマを降下する渚カヲルが、自身を追う碇シンジへ抱いた感情は喜びだ。

 碇シンジが、今だけは自分を見ているという喜び。

 

 『渚ッ!!』

 

 『嫌いじゃない!嫌いだなんて……一言も言ってない……』

 

 そして試すような言葉で碇シンジを傷つけ、その心に永遠の傷として残るように、初号機の手で渚カヲルを握り殺させた。

 碇シンジを傷つけることしか出来なかった。

 そうして得られたものは、微かに心が満たされた喜びと、寂しさ。

 

 碇シンジから求められたかった。

 碇シンジに好かれたかった。

 繰り返す世界に気が付き、全ての碇シンジを同一視してしまった。

 最初に間違えた償いとして碇シンジを幸せにする。

 この世界が駄目でも次がある。

 そう、勘違いしてしまった。

 その結果、長い……長い間、間違え続けてきた。

 本当は、自身が救われたかった事に気が付けなかった。

 

 最も新しい記憶。

 幼少の碇シンジの柔らかな手を握り返した瞬間、理解した。

 渚カヲルが好きになった、渚カヲルが愛した碇シンジは、あの世界の碇シンジだ。

 全ては、もう手が届かない遠い世界。

 

 終わったはずの物語が、新しい世界として存在している。

 この世界にもきっと碇シンジはいるだろう。

 それはこの世界の、この世界だけの碇シンジだ。

 渚カヲルが愛した碇シンジでは無い。

 

 それでも、今まで間違え続けてきたからこそ、今度は間違えないと決意をする。

 碇シンジと会えば、かつて愛した碇シンジの代替物として惹かれてしまう事を理解していた。

 

 「だから、友達になろう。この世界で生き延びたい、友達として助け合い、笑いあいたい」

 

 償いでもなく、代償行為でもなく。

 オワリの、その先を目指す。

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