蕃神   作:名無しの海

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1ー3 初号機に同乗したらどちゃくそ痛かったので死にたい

 『冷却終了』

 

 『右腕の再固定、完了』

 

 『ケージ内、全てドッキング位置』

 

 『了解、停止信号プラグ、排出終了』

 

 『了解、エントリープラグ挿入』

 

 俺とシンジの乗るエントリープラグがエヴァに挿入される。

 そう、俺とシンジが乗る……なんでだぁぁあああああ!!!

 いや、一つのエントリープラグを美少女と2人乗り(はぁと)とか友達未満と三人乗り(青春)とかは俺の居ないところ、もしくはエントリープラグを複座式とかに改造してからでお願いしたい。

 シートは勿論シンジが座るので、俺はシートの横になんとか入り込んでいる。

 シンジの無茶な要望も、動かなかったり問題が起きたらさっさと俺が降りるということで話がついている。もう、ほんとあの場にいたNERV職員皆さまからの「余計な手間かけさせやがって」みたいな視線を向けられて辛いごめんなさいごめんなさい。さっさと降りてトイレにでも閉じこもりたい……。

 

 『脊髄連動システムを解放、接続準備』

 

 『プラグ固定、終了』

 

 『第一次接続開始』

 

 『エントリープラグ、注水』

 

 「え?ちゅう……すい?くっさ!」

 「カイ!下から水がっ」

 

 足元からあがってくる薄オレンジの液体に驚いたふりを演じようとしたら、L.C.Lから香る血液にも似た匂いに思わず声を上げてしまう。

 そんな俺達に対して、シンジの水発言を訂正するようにリツコさんがL.C.Lについて解説してくれる。

 

 『水ではなくL.C.Lです。肺がL.C.Lで満たされれば、直接血液に酸素を取り込んでくれるから先ほどのように溺れることはありません。すぐに慣れるわ』

 

 「そ、そうはいっても、くぅ……気持ち悪い……」

 「う……同感……これ、きもちわる…」

 『リツコがすぐに慣れると言ってたでしょ。2人とも男の子なんだから我慢しなさい!』

 

 無茶いわんでくれー、こちとらさっき冷却水で溺れかけたトラウマで反射的に吐き出しそうになるんだよ。

 

 『第二次コンタクトに入ります。A10神経接続、異常なし』

 

 『思考形態は日本語を基礎原則としてフィックス』

 

 『初期コンタクト全て問題なし』

 

 『双方向回線開きます。シンクロ率、25%』

 

 を、ついにシンクロ開始か。

 えーっと、初めまして、シンジくんの幼馴染の淡島カイといいます。今日はシンジくんにお招きいただいてお邪魔しています。久しぶりの母子の時間なのに邪魔しちゃってすみません。

 そう、挨拶は人間関係の基本!初号機のコアとなっているユイさんの意識とか正直どうなってるかはわからないけど、シンジと友達俺達仲良しアピールを脳内でしておく。

 

 『シンクロ率上昇を確認、33,34……。シンクロ率49%』

 

 『これは……初めての搭乗、しかもプラグスーツ無しの2人乗りでこの数値だなんて。興味深いわ』

 

 『ハーモニクス、すべて正常値。暴走、異物によるノイズありません』

 

 いぶ、っちょリツコさんに比べてマヤちゃん容赦無い言い方……

 

 「えーっと、リツコさん。つまり異物の俺が一緒に乗ってても問題ないってことでいいですか」

 『ええ、その通りよ。葛城一尉、想定外の状況ではありますが、問題ありません』

 『了解。碇指令、構いませんね』

 『構わん』

 『了解。発射準備!』

 

 ゲンドウの許可を得たミサトさんの指示により初号機の発射準備が進められる。

 

 「シンジ、大丈夫か?」

 「良くわかんないけど、なんか頬が熱いというか、変な気分」

 「熱でもあんのか?」

 

 手で自分の額の温度と比べてみたり、したが正直よくわからん。

 

 『シンクロ率上昇、50%。こちらの観測では初号機パイロットの体温は正常値です』

 

 いやなんでよ……今ので上がった?

 シンジがさらに顔を赤くして俯いてしまった

 

 「な、なんかよく分からないけど凄く恥ずかしい……」

 

 えええええ、これあれか?

 ユイさんは可愛い一人息子が初めてお友達を連れてきちゃってママ大興奮!張り切っちゃう!となってて、シンジのほうは無自覚だけど、そんな母親を友達に見られて恥ずかしがってる息子みたいな状態か?

 

 『発射準備完了』

 『シンジくん、今からエヴァを地上に射出します。指示は私が出します。落ち着いて従ってください。カイくん、射出によりGがかかります。捕まれるところで、できるだけ身体を固定しなさい』

 「はい!」

 「は、はい!」

 

 いや、固定っていっても無理があるよね、と思うけど思わずシンジにつられて返事をしてしまい、慌ててシートとエントリープラグの内壁に身体を挟み手足を突っ張って何とか身体を固定する。

 

 『発進!」

 「っくぅう」

 「いつぅぅう」

 

 シンジと俺は急激なGに呻き声をもらしながら耐える。

 これ、訓練してる人たちじゃないと無理だろおおおおおお。

 そしてお約束通り地上に出た時は目の前に使徒がぁぁぁあああああいやぁぁぁあああああ。

 

 『安全装置解除。エヴァンゲリオン初号機リフトオフ!』

 「シンジ、焦っていきなり動こうとするな。すり足、すり足からいこう」

 「よ、良し」

 

 『動いたわ!』

 

 いやリツコさんは可愛い我が子が動いたー!みたいな気持ちなんだろうけど、そういうのは実戦では辞めて欲しい。それよりミサトさん目の前の使徒への対処指示をシンジにいいいいいいい

 使徒の仮面が一瞬輝くと、轟音と共に初号機が吹き飛びシンジが左腕を抑えて苦しみだす。

 

 『左腕損傷!』

 「うあああ!腕、腕がっ」

 『シンジくん落ち着いて!光線を受けたのは貴方の腕じゃないのよ!』

 

 くっそ、確かにそうだろうけど、これはシンクロによるフィードバックだろ。

 痛みに慣れてない奴が、激痛のなかでまともな思考で動けるわけないだろ!

 せめて痛覚ぐらい俺がかわってやれた……

 

 「ががあああああああああ、いた、痛い痛い痛いタいいいいつうっぅううううぅぅぅう」

 「痛みが…消えた?カイ!!」

 

 突然、俺の左腕に激痛が走り、悶える。

 その時、視界の端に手を伸ばしてくる使徒の姿が見えた。

 

 「ぐううううっぅぅぅぅ、シンジィ!前みろぉおお!」

 『シンジくん!避けて!』

 

 初号機が使徒に頭を掴み上げられ持ち上げられると頭が締め付けられ割れるような痛みが走る。

 

 「いいいぃぃいいぃっぃぃ、痛い痛い離せ!離せよ!離してくれえええええ」

 

 まてまてまてまてこれ次は光のパイ……

 

 「がぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。や、やめ、痛い痛い痛いイタ……ひ、ぎゃああああぁあああああああ」

 

 断続的に頭部に走る激痛に溜まらず叫び声をあげてしまう。

 

 『どうしてカイくんにフィードバックが……いけない!シンクロ率30%カット!』

 『駄目です!信号受け付けません!』

 『フィールド無展開!』

 『このままでは搭乗者が危険です』

 

 痛い痛い痛い……イヤダイヤダイヤだ痛い痛いいいいいいいいいいい

 

 「カイ!くそ、離せ、離せ!離せぇぇぇぇえええ!!」

 「痛いのは嫌だ嫌だあぁぁあああああああ」

 

 俺達の叫び声と共に目の前にオレンジ色の八角の波紋が発生し、俺の頭部の痛みが和らぎ、重い何かが、崩れ落ちる音が聞こえた

 

 『ATフィールド展開を確認』

 『ATフィールドにより使徒の左腕が切断されています』

 『初号機のATフィールドにより周囲のビル群倒壊。アンビリカルケーブル断線』

 『エヴァ、内蔵電源に切り替わりました』

 「武器!何か武器はないんですか!」

 

 シンジが何か叫んでる……

 くっそ……まだ痛みの余韻が……てかなんでATフィールドでアンビリカルケーブルが切れんだよ!

 あああああ、痛みで思考が纏まらな……い……。

 

 『シンジくん。アンビリカルケーブルの断線により、エヴァが内蔵電源に切り替わりました。あと5分弱でエヴァは停止します。一度引いて態勢を立て直しましょう』

 「目の前に敵がいるんですよ!足止めもないのにどうやって引くんですか!!」

 「し……んじ……肩だ、肩に……なにかあるっ……」

 

 肩のウェポンラックに……プログレッシブナイフが格納されてる……はず……。

 

 「肩…肩……!これか!うぉぉぉおおおおお!」

 

 シンジはエヴァの腕で肩のウェポンラックを砕くとプログレッシブナイフを取り出すと肋骨のような外骨格で囲われている赤い球体……使徒のコアへプログレッシブナイフを突き立てるが、同時に、使徒の顔、眼孔と思わしき箇所が光を放ち……衝撃と痛みの中で俺の意識は途切れた。

 

 ■■■

 

 発令所にモニターには使徒のATフィールドを浸食しながら胸部のコアをプログレッシブナイフを突き立て、抉ろうとしたところで使徒の放った光線が頭部を貫き、吹き飛ぶ様が映し出されていた。

 

 「頭部破損、損害不明」

 「二人は!?」

 「モニター反応ありません。生死不明!」

 「初号機、使徒完全に沈黙……いえ、使徒活動再開!!」

 

 モニターに映し出される使徒が、コアに突き刺さったプログレッシブナイフを払い、再び初号機の頭部に手を伸ばす。

 

 「ミサトッ!!」

 「作戦中止、パイロット保護を最優先!プラグを強制射出して!」

 「駄目です!反応ありません!」

 「初号機活動限界です!予備電源切り替えできません!!」

 「そんなっ」

 

 使徒が初号機の頭部を再び掴もうとしたまさにその時、ATフィールドが再び使徒の腕を切断する。

 

 「ATフィールド?初号機の状況は」

 「初号機完全に停止状態です!動くわけが……停止状態の初号機の腕が動いています!!」

 

 主電源が切れ、予備電源への切り替えも行えなく、完全に停止状態の初号機の手だけが動いていた。

 距離があり届かない使徒の胸に向けて、手を伸ばしている。

 使徒の眼孔部分が再び輝き、光線を放とうとした時、使徒が正方形状のATフィールドに囲まれ、放たれた光線はATフィールドを貫くことなく消滅した。

 直後、正方形状のATフィールド内部に格子状に発生し、使徒を細切れにしていく。コアだけがバラバラにされた使徒の肉の台座に捧げられた贄のように輝いている。

 

 「そんな……ATフィールドが……使徒を解体しています」

 「リツコ!!」

 「計測器は正常よ、初号機は完全に停止状態です。だけど事実として、右腕が動いている。状況からは使徒を解体しているATフィールドは初号機のATフィールドと推測されます」

 

 初号機の手が、握りしめるように閉じられると、円形の何かにえぐり取られていくかのようにコアが、使徒の肉片が消えると、エヴァの右腕は力を失ったように地面へと落ちた。

 

 「使徒、完全に沈黙しました。ATフィールド消滅」

 「初号機の様子は」

 「停止状態です」

 「モニター反応ありました。パイロット及び同乗者の生存を確認。」

 「パイロット及び同乗者の保護を優先、救護班は回収急いで!」

 「パイロット回収後、初号機を回収します」

 

 初号機 使徒の光線により腕部破損、光線および光のパイルにより頭部破損

 エヴァパイロット 生存、軽傷

 同乗者 生存 フィードバックにより重症




ストック0です。
次は幕間というか裏舞台で1話ぐらいの予定なので、それは早めに投稿したいです。
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