野菜は好きだけどな!
「ふっふんふんふー、ふんふんふ~」
ノリノリで鼻歌を歌いながら油をたっぷり引いたフライパンで弁当用の野菜炒め作りなう。
やっぱ油はあれだよね、ケチケチしないで「ちょっと入れすぎたかな」ぐらいが美味いし失敗しないと思うのよ。
料理始めた頃は調味料、主に砂糖の使用量にドン引きしてケチケチした結果、味のぼやけた不味い飯を作ってしまったのが懐かしい。
レイの分のおかずはオールお野菜なので、俺用の肉は別のフライパンで炒めてる。
今日は豚肉さ~、ぶたみん美味しいよね!
肉もいい感じに焼き色がついて豚肉の油もでてきたので、野菜炒めを半分合流させて豚肉の油を絡めて肉野菜炒めにする。
今日は小さめのお弁当にオカズを詰め込んで肉はおむすび大作戦。
おむすびの具は叩いた梅におかかを混ぜ込んだ奴、むすんだ後は白ごまさんをぱっぱと振っておく。
次は辛子高菜を白ご飯に混ぜ込んだやつでおむすびを作る。
うーん、んまそ……食いたい……いや!駄目だ!お昼のお楽しみだからなっ。
ぶくぶくに沸かした鍋で茹でてたジャガイモに串を通して火の通り具合を確認っと……よし。
ざばーっとザルに空けてって熱ぅぅぅぅぅうう!
お湯が指に跳ねたんだが?
急いで蛇口を捻って指を冷水で冷やしつつ、空いてる片手でザルに空けたジャガイモを鍋に戻す。
コンロは弱火でジャガイモを転がしながらジリジリと水気を飛ばしていく。
いい感じに粉を吹いてきたらちょいちょいと塩ふってこふきいもの完成だ。
今日の弁当は俺とレイの2人分だけ。
シンジ達は太平洋艦隊に向かうから途中で弁当とかが出るらしい、経費で!
ミサトさん曰くお空の旅とクルージングとかいってたけど「アスカ、来日」だよねコレ。
冬月さんも一緒に行くって聞いた時はびびったわー、え?何しに?って感じだよな。
アニメとも漫画とも映画とも若干違う動き……未来が予想できなくて恐いです!
まぁ、「アスカ、来日」は俺には関係ないイベントですよっと。
ラッキースケベで殴られて痛い思いとかしたくないし。
シンジが一緒に行きたそうに俺とレイを見てきたけど華麗にスルーしたった。
俺はレイと一緒に留守番組で初号機と零号機で同乗試験、機体相互互換試験だもんな、お仕事だから仕方ないよな、決して行きたくないわけじゃないんだぜ?行きたくないが!
けど機体相互互換試験っていえばシンジが零号機に浸食されて、零号機が暴れる奴だ。
ちょっとこのイベント早くね?しかもシンジはいねーんだけどスキップすんの?
まー、零号機も相手が俺じゃ何も反応しようがないっしょ。
レイはどうなるんだろ……これで「碇君の匂いがする」だけだったら俺の存在は!?って若干ショックだけど「淡島君の匂いがする」って言われても正直困る。
頼むからどっちの匂いも醸し出さないでくれ~。
■■■
本日のスケジュールを紹介するぜ。
午前
シンジ達をお見送り
プラグスーツにお着替え。
真希波博士とご挨拶。
初号機で試験
昼
食堂で弁当を食う!
食堂ならお茶もあるしな。
午後
別のケイジに移動して零号機で試験。
プラグスーツにお着替え。
風呂掃除
夕飯の準備
夕飯!
オイ待て。
真希波博士って誰ぞ?
真希波・マリ・イラストリアス??
ちょっと唐突過ぎなんで知恵熱出して寝込んでいいですか?ダメ?
ってすでに目の前にいるんですがね、真希波博士。
タートルネックに白衣、長い髪は後ろで束ねられていて赤い眼鏡……うん、尻尾は一本だけど、シンゲキ最後に出てきた成長したバージョンがさらに大人な女になった感じ。
しかしさすが胸の大きなイイ女。
いい感じのデカさですね!率直にいって好きです!!
シンジはこの胸に顔を挟んでもらったのかよ……はいギルティ。
「初めまして淡島カイ君。君はそんなに熱心どこを見てるのかな?」
「思春期真っ只中健全な男子中学生にそんな凶器を惜しげもなく見せびらかさんでください。慎みを持って隠してください!視線誘導効果やばすぎですって」
「ほっほう。フォースチルドレンは私の胸に興味津々か。そうだね……揉んでみる?」
「ぶふっ」
思わず吹き出してしまった。
真希波博士が自分の胸に手を添えて「ほれほれ」と煽ってくる。
うーん、あれだ、茹るほどの劣情ってわけじゃないんだけど俺の目線が逸れてくれん。
中学生の性欲やばすぎん?
思わず「ごくり」と喉が鳴ってしまう。
ってか絶対今のバレた。
この人すんげーニヤニヤしてるもん。
あと潔癖マヤちゃんの塵を見るような視線が辛い。
これは不可抗力だって!
「り、リツコさんには黙っててくれるなら……」
俺えぇぇええええええ!
ちょっと理性仕事して!
絶対揶揄ってるだけってわかるでしょ!!
自分で言ってびっくりしたよ。
これが肉食中学生男子の溢れんばかりの欲望なの!?
「あら、私の事は気にしなくていいからいくらでもどうぞ」
「ひぃん」
うう、間が悪いことに丁度リツコさんがやってきた。
俺、涙目である。
「あら、赤木博士、嫉妬ですか?」
「嫉妬なんてする必要ありません。私と彼の間には何もありませんから」
ぐは……。
いや、何もないけどさぁ……ダメージでかいよね……
アピールしてきたのにコレって辛いわー。
思わず机に突っ伏してしまったよ。
「それじゃ、私が貰っちゃってもいいんですね」
「中学生に手を出すほど飢えてるのでしたらご自由にどうぞ」
う、リツコさん機嫌悪いぞ……こっちを気にしてたマヤさんも知らんぷりし始めた。
そして真希波博士はなんでこんなにご機嫌なんですかねぇ!
頼むからこれ以上挑発しないでくれ。
「ふふ、世界に数人しかいないチルドレンだもの。身体で落とせるぐらいなら幾らでも。その代わりに色々実験に協力してもらっちゃおうかしら」
「え?そんなんでいいなら幾らでもってアイタァ!!」
欲情に正直すぎる俺の身体が、また理性を無視して勝手な事を口走ったらリツコさんにスパァンと叩かれた。
「貴方たちいい加減にしなさい!自己紹介もまともに出来ないの?カイ君、こちらの真希波博士はNERVの研究者ではないけど、共同研究者として実験に参加してもらいます。真希波博士、こちらが気にされていたフォースチルドレンの淡島カイ君です。はい!挨拶!」
ひぇ。
り、リツコさんが委員長モードだぁ……
「挨拶が遅れてすみません、淡島カイです。宜しくお願いします」
「真希波マリよ。さっきの話、赤木博士がいないところでまたしましょ」
ひえ、手ぇ握られたった!
指ほっそ!
てか俺が童貞だったイチコロだったな……。
まぁ今世ではまだ童貞だけどな。
中身は立派な大人だぜ。
って、俺のお手々は何でマリの手を握り返してるの?
奥のマヤちゃんのお口がなんか動いてるけどあれ絶対「不潔です」だよ、かけてもいい。
あ、リツコさんにもまた睨まれた……
リツコさんなぁ、好きだけどやっぱ相手にされてなさそうなんだよなぁ。
はぁ……。
「あれ、そういえば真希波博士はNERV所属じゃないんですよね?国の研究機関とかの所属なんですか?」
「これから長い付き合いになるんだもの、マリでいいわ。私は国連配下の研究機関に所属してるのよ」
あー……国連?
ま、まさか某委員会とかですかね……しかも機体相互互換試験の目的ってダミープラグでしょー。
もうやだきな臭さ満載。
「もー、ぴゅあな男子中学生を揶揄わないでください。本気にしちゃいますよ」
とりあえず軽口で誤魔化しておく。
マリはあれだなー、要注意だわ。
名前に「イラストリアス」ってついてないし俺の知ってるどの作品のマリとも違う感じがしてやばそう。
「真希波博士!ファーストチルドレンの準備ができました。機体相互互換試験を始めます。カイ君も」
「へーい」
「カイ君、試験頑張って!また後でね」
謎にフレンドリーなマリさんは手を振ってくれているが、その奥ではリツコさんがジト目こちらを見ている。
俺なんも悪くないはずなんですけどねぇ!
中学生男子を誘惑してくる大人がギルティなんだと思いますぅ!