部屋に響く乾いた破裂音。
一呼吸おいて響き渡るアスカの罵声。
「最悪!!!!!そんなにあたしと一緒に戦うのが嫌なら最初からそう言いなさいよ!もう嫌!!!」」
そう叫ぶ、アスカの瞳は心なしか潤んでるように見える。
避けることもせず頬を叩かれたシンジは、赤くなった頬を抑え茫然としていた。
そんなシンジの様に苛立ちを募らせたのか、アスカの眉が鬼のようにつり上がっていく。
「そう、何も言う事はないってこと。もういいわ、頭冷やしてくる」
絞り出すように言葉を吐きだすと、静かに部屋から去っていく。
しばらくして、玄関の開閉音が聞こえたから外に出たのだろう。
部屋に満ちる微妙な沈黙を破るように、平常運転アルカイックスマイルカヲル君が茫然とするシンジに声をかけた。
「ほら、彼女を追いかけないと。彼女は君のパートナーなんだろう」
いやいやいやいやいやいや。
この状況の元凶はカヲル君だからね!?
確かに俺がカヲル君の圧に負けて、「気分転換に渚副司令とやってみたら~」なんて言ったけど、ツイスターゲームもなんなくこなし、その後のダンスゲームもリズムゲーム問題無しのシンクロっぷりを発揮し、アスカのプライドをズタボロ雑巾にしたのは君だからね?
「パ……パートナーだなんて、そんなんじゃないよ」
シンジは、自分とカヲル君のだした結果にまだ茫然としている。
いや、シンジだけじゃなくミサトさんもか。
加持さんの方をちらっと見ると、我関せずという感じでつまみを突きながらビールをきゅーっと吞んでいる。
いや、ぷはーじゃねーんだわ。
ほら、加持さんの出番ですよ?
あ、こら、無視するんじゃありません!!
仕方ねーなぁ……
「じゃ、パートナーなっちゃえばいいじゃん。あの使徒も倒さなきゃいけねーんだしさ。追いかけてってちゅーして告白でもしちゃえばいいんじゃね。アイツの事、好きなんだろ。お前らならいけるっしょ」
俺の言葉に、顔を赤くしながら口をはくはく動かすシンジ。
「ほら、行った行った。惣流さん捕まえるまで帰ってくるの禁止な」
シンジの背中をぐいぐいと玄関まで押していく。
「ちょ、押さないでよカイ。わかった、わかったってば!」
「良し、決めてくる気になったか」
ニカっと笑う俺に対して、シンジの眉は力なく垂れ下がり、その口からは長い吐息が漏れている。
「どうなっても知らないからね」
「あんなイチャイチャしてるんだから大丈夫大丈夫。駄目でもオトナ達が何か作戦考えてくれるっしょ」
「も~……行ってくるよ、カイ」
いつもの調子に戻ったシンジが少し恥ずかしそうに笑顔を浮かべた。
俺が無言で両腕を広げると、シンジも同じように両腕を広げる。
互いの胸に体を預けるように抱き合い、背中を数度、力強く叩き合う。
「行って来い!駄目だったらちゃんと慰めてやる!」
「ちょっと!最後に不吉なこと言うの辞めてよね!?」
■■■
「シンジ、送り出してきましたよーっと」
部屋に戻ると、ミサトさんと加持さんが外出の準備をしていた。
「ありゃ、こっちはこんな時間からデートですか?」
「はぁぁぁぁ!違うわよ、誰がこんなヤツとデートなんて」
がるるると今にも噛みついてきそうなミサトさん
どうどうどう。
「酒と乾きもの買い出しだよ。すぐ戻るさ」
胡散臭そうな笑顔の加持さんは爽やかなのに相変わらず胡散臭い
さり気なくミサトさんの肩に置いた手の甲が、ガルガル言ってるミサトさんに思いっ切り抓られてるのに涼しい顔だ。
「そっすか。もいいですけど、シンジと惣流さんに見つからないようにしてくださいね」
「デバガメじゃないしそんなヘマしないわよ!……あ」
「あ……じゃないんだよなぁ、マジで頼んますよ」
「そこは俺がカバーするから大丈夫さ」
キラッと擬音でも出そうな笑顔を浮かべる加持さんの尻がとうとうミサトさんに蹴られた。
「ほら!馬鹿なこといってないでさっさといくわよ!カイく~ん、お留守番お願いね~~」
「オホホとか言いそうな感じに言わないでください。大人しく留守番してますよ」
笑顔で手を振る加持さんをゲシゲシ蹴りながら出ていくミサト。
うーん……
つまり
振り返れば、笑顔のカヲル君。
そっすか……2人っきりっすか。
ちょっと怖いなあ……。
「静かになったね」
「そ……そっすね」
邪気のない笑顔のカヲル君。
対してびびりまくる俺。
「話をしよう、淡島カイ」
ひぃん
助けてシンジぃぃぃいいいいー!