蕃神   作:名無しの海

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2ー3 喧嘩だってするさ、男の子だもん

 翌朝、俺達はミサトさんに連れられてNERV本部に来ていた。

 中学校には通わせるつもりらしいけどプラグスーツ着用時のシンクロ率や、俺が単体でエヴァを動かせるかのチェック、俺が寝込んでる間に突貫で改装された複座式インテリアのテストなど、次の使徒戦に備えて緊急で確認しないといけない事が盛りだくさんらしく、まだお預けらしい。

 

 正直、行っても意味ないだろうしそれだったら訓練に時間使ったほうがいいんじゃね?優先順位どこいった?というお気持ちである。

 まぁ本当のところを言うと、地理、歴史類などこの世界特有の科目が壊滅的なのだ。

 未来を思うとやっても無駄じゃろというお気持ちを口実に、まともに取り組んでこなかったんだよなぁ。

 

 ちなみにシンクロテストの結果だけど、プラグスーツによる補助のお陰か、シンジコントロール下の2人乗りシンクロ率は60%。

 すっげぇなオイ。

 コントロールを俺に移すとシンクロ率は下がって50%。

 シンジは一人でも50%弱叩きだしててさすがーって感じ。

 ちなみに俺単体のシンクロ率は15%前後で動いてくれはするけどがっつり戦闘は厳しい感じ。

 

 という事で死刑宣告的なフォースチルドレンを拝命しました。

 問題となったフィードバックだけど、どっちがメインでコントロールしてるかに関わらず俺ががっつり受けるっぽい。

 シンジは若干何かを受けた感触がくる感じらしい。

 

 こりゃあれだな。

 主力のシンジを守るタンクコースまっしぐら。

 もしくはシンジがやらかしモードになった時のコントロール回収係。

 

 「ユー・ハブ・コントロール」

 「っと、アイ・ハブ・コントロール。コアをセンターに入れてスイッチっと」

 

 とかぼんやり考えていたら、インテリア前席のシンジが提示された指示にしたがって俺にコントロールを渡してきた。

 慌てて俺はコントロールの宣言をして表示される目標を補足して射撃していく。

 今は各種エヴァの操縦訓練の真っ最中だ。

 

 『カイ君、この後ご希望の白兵戦訓練もあるから集中しなさい』

 「はい。すみませんでした」

 

 リツコさんの叱責に素直に謝罪を述べる。

 戦闘訓練のメインが射撃訓練だったので、白兵戦訓練を増やしてもらうように要請していたのだ。

 遠隔って基本的にATフィールドに防がれるし、ATフィールドを貫通するような大火力のポジトロンライフルとか遠隔装備はまだ開発出来ないっしょ。

 勿論ラミエルさんとか近接絶対無理マンがいるので射撃が無駄とは言わない。

 むしろ遠隔で倒せるならそれは大歓迎。

 ただ、次のはなー、現状用意できる装備だったら近接しかないっしょ。

 

 ちなみに俺は白兵戦用装備も開発のリクエストをしている。

 シンクロ率が高くパワーを出しやすいシンジには刀、脇差型ガンブレード、プログレッシブ・ナイフの大型化。

 この辺りはそんな武装を設定上とかゲームであったよな的なマゴロク・E・ソード、カウンターソード、プログレッシブ・ダガーだ。

 あとシンクロ率が低め俺用は武装固有の火力で勝負ってことでチェーンソーとパイルバンカーだな。

 パイルバンカーは折角の複座式なのでメインでコントロールしていない時も操作できると嬉しいっすとリクエストしていた。

 

 

 

 エヴァとシンクロしての戦闘訓練を終えると連れていかれたのは会議室の様な部屋。

 

 「くぁ……」

 

 椅子に座りつつ欠伸をする。

 机には俺とシンジの為に用意されたであろう冊子。

 

 「こ、これはまさかの座学の気配」

 「いきなり盛沢山だよね……」

 

 眠気シンクロ率80%の状態で座学とか寝る気しかしねぇ……。

 シンジと共に悲しみを吐露してると、リツコさんとミサトさんがやってきた。

 

 「それじゃ今日の〆はお勉強タイムよ~!」

 

 何故かノリノリで俺達と一緒に座るミサトさん。

 リツコさんは呆れた顔で備え付けのモニタの横に立つ。

 

 「今日は時間も遅いので、最低限知っておいて欲しい事の説明だけするわね。一般に公開されていない情報もあるから取り扱いは注意するように」

 

 リツコさん曰く

 

 ・俺達が戦ったのは使徒と呼ばれている人類の敵。

 知ってる知ってるぅ~!

 

 ・セカンドインパクトは南極で発見された最初の使徒、第1使徒が原因で発生した。

 ん?原因はどうなんだろうなぁ……。

 葛城調査隊がアダムを起こしちまって槍を使ったのか、ゼーレがアダムを卵に還元した影響なのか……だっけか?

 

 ・使徒が原因でサードインパクトとよばれるセカンドインパクト同等、もしくはそれ以上の爆発が起きると言われている。

 サードインパクトが起こせる手法の一つではあるがなあ。

 人類総L.C.Lエンドって奴ね。

 

 ・特務機関NERVは使徒への対処全般を目的とした国連直属の機関。日本の本部の他にアメリカとドイツに支部、他にも世界各国に支部がある。

 北極とか月とかにもなんかあるんすよね?

 まだ秘密?

 ドイツはアスカがいて、アメリカのはあれだよな、エヴァの起動実験でまるっと消滅する……考えると鬱るわ……どうすりゃいいんだ。どうしょうもねえよなぁ……。

 

 ・バチカン条約

 知ってるぅ~!エヴァを3機しか持てないってやつね。

 

 ・先日の使徒は第5使徒として記録された。

 ……まて。

 3でも4でもなく5だと?

 自分の頭の中の情報を整理する。

 第1使徒は確定でアダムだろ?

 第2使徒はおなじみリリスさん

 第3~4が謎?

 んー……ベタニアベースで実験台にされてたっぽいの入れても数が合わん。

 

 「はい!リツコ先生質問!」

 「どうぞ」

 

 元気よく手を上げる俺を左右に座ってるシンジとミサトさんが以外な目で見てくる。

 というかミサトさんさっきすやすやしてなかったか?

 

 「俺達が戦ったのが第5だと1~4がいるんですよね。第1は南極にいたってのはわかるんですけど、第2~4はどうなったんすか?」

 「第2は活動停止状態で発見され保管されています」

 

 あ、第2のことは言っていいんだ。

 というかナンバリングしてるんならそれなりの理由必要だしそりゃそうか。

 

 「第3は未確認ですが、『存在する』と言われているため空き番になっているわ。第4は休眠状態の所を捕獲、研究材料として保管されています。」

 「『存在する』と言われているから空き番って不思議ですね」

 

 シンジが当然の疑問を口にする。

 というか『存在する』っていってるのは上部組織、ゼーレだろうなぁ……じゃぁほんとにいんのか?俺、全く知らんぞ?

 

 「はぁ~……勘弁してくれ」

 「ほんと『存在する』と言われてるから空き番って『勘弁してくれ』よねぇ~」

 

 思わずこぼれた愚痴にミサトさんが同意してくる。

 

 「ちょっと、3人とも私が決めたんじゃないんだから私に言われても困るわ」

 「はぁ~……リツコさんもミサトさんも知らないんすね」

 「うぐ、私じゃ権限が足りないのよ!リツコは何か知ってても立場的に言えないから責めないであげてね」

 

 ま、そりゃそうか。

 

 「シンジィ~ゲンドウパパに聞いてみてよ~」

 「あの人あれから全く連絡寄越さないんだよね。僕も喋るつもりもないからいいけど」

 「「ぉぅ」」

 

 シンジの辛辣な言葉に思わず俺とミサトさんの声がハモる。

 

 「お父さんのこと嫌いなの?」

 

 お、リツコ選手踏み込みました!

 さー、シンジ選手どう返すか?とチラっと横目で見ると、とてもとても興味無さそうな顔をされておる。

 

 「興味ないです」

 

 一刀両断ーーー!!

 あー、けどなぁ……和解できる道もあるんだよなぁ……。

 

 「シンジ選手厳しい一撃!まぁ、折角近くにいるんだから、交流してみたら?」

 

 机の上にでーんと上半身を伸ばし、下からシンジを見上げると、意外そうな顔をしてた。

 

 「カイがそういう事言うの、珍しいね。京都にいた時は『さっさと縁切れるといいな~』とか言ってたのに」

 「あのまま京都にいるか、俺達2人で帰ってたらそれでもいいかもしれないけど、結局残ったわけじゃん。折角近くにいるだからさ、親子関係やりなおしてみる努力をするのもいいんじゃね?ゲンドウパパのあの感じじゃ、シンジから歩み寄らないともう一生このままなっちまうよ」

 「別にそれでいいよ」

 

 めんどくさそうに眉をしかめながらシンジが答える。

 俺もやめればいいのに、言わなくていいことをいってしまう。

 

 「そんなん、お母さんが生きてたら悲しいだろ。残った息子と父親がよくわかんねーまま疎遠になって縁切りなんて」

 「カイ!!」

 

 シンジが、怒鳴り、手にした資料を机に叩きつける。

 ミサトさんも、リツコさんも声を荒げたシンジに驚いた表情を浮かべていた。

 

 「今日のカイ、説教臭い……」

 

 シンジは俺を睨みつけつつも、声は震えていた。

 目は……あー……めっちゃ怒ってる。

 

 「ごめん、今のは俺が悪かった」

 「うん……」

 

 謝るがシンジが俯いてしまった。

 

 「俺が全部悪いすまんかった、仲直りのハグだ!」

 

 ていっと身体を起こすと正面からハグる。

 シンジの背中を動かせる左手でぽんぽんと叩く。

 

 「ん……」

 

 シンジも遠慮がちに手を回して答えてくれる。

 

 「何それ」

 

 茫然とミサトさんが突っ込んでくる。

 やー!そうですよね!

 こんなの見せられたら戸惑いますよね!

 

 「仲直りの儀式みたいなもんっす。やっぱね、人の体温って安心するんです。シンジと喧嘩して疎遠とかになりたくないんで、チビの時とかはもっとぎゅーってしてお互いギャン泣きしてたなぁ~」

 

 あー、懐かしいわ。

 俺がいらんこと言ってシンジがオコになって口喧嘩して~、もう絶交だとなりかけたとこでお互い抱き着いてギャン泣き。

 

 「男の子特有なことなのかしら?」

 

 リツコさんが興味深そうに質問してくる。

 

 「んー、シンジ以外とはないかなぁ。ちょっと男子的には距離が近すぎるんじゃね?って言われるかも」

 

 うーん、小学校の頃はホモかよ~って揶揄われたこともある。

 勿論そんなこと言った奴は2人でのして、その後仲良く保護者に叱られたけど。

 

 「リツコさんとミサトさんは知ってると思うんすけど、俺もちょっと特殊な家庭事情じゃないっすか。だからかなぁ、似た者同士というか、お互い無くしたくない親友って俺は思ってます。な、シンジ?」

 

 にへらと笑いながらシンジを見るとまだむすーっとした顔をしていた。

 

「はいはい、そうですよ!なんかこの流れだと僕が悪いみたいじゃないか」

 

 いや、ほんと今回のは説教臭かった俺が悪い。

 けどシンジとゲンドウパパと和解できるなら出来た方がいいな~というのも本心なんだよなぁ。

 ほんと、難しいわ。




次回は中学校パート(予定)です。
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