~七年後~
ガチャ…
「おや?まったく、ここは休憩所ではないといつも言っていると思うのだが?」
お昼休憩の時間になったので弁当を食べていたところ、
「すみません、いつもお邪魔してしまい」
「いいのだよ真田君。どうせ、直江君から誘われたのだろう?」
そして今お昼を一緒に食べている真田がいつも通り萎縮している。
「いいじゃないですか。僕はマルオさんのお弁当を届けてきてるついでみたいなものなんですから。届けた後に戻って食べる時間ないんですよ」
マルオさんの机の上に乗っているお弁当を指さして僕はいつもの問答をした。
「今日は零奈の手作りです。後で感想を言ってあげてください」
「そうかレイナ君の…いつもすまないね。後で伝えておくとしよう」
マルオさんの院長室で真田となぜお昼を食べているかと言うと、僕は今この総合病院で研修医として働いているからだ。色々な診療科を経験しているところである。
旭高校を卒業した僕は医学部に進学した。進学先に真田もいたことには驚いたが、お互いに切磋琢磨して無事に今年の三月に卒業。現在は研修医一年生として日々頑張っている。
僕の近くだと良い刺激になるとかで、マルオさんにお願いをして真田も同じ病院で研修医をしている。
「感想を伝えてあげるのはいいですけど、直接伝えてあげた方が喜ぶと思いますよ。最近また帰ってないから心配してますよ」
「…っ、善処しよう」
マルオさんと直接話した訳ではないが、零奈が
「そういえば真田、竹林にプロポーズしたんだって?」
「ゲホッ…ゲホッ…ど、どこで聞いたんだい!」
「え、竹林本人から電話があったよ。よっぽど嬉しかったんだね。いつも以上に滑舌だったよ」
「彼女はもう…」
よっぽど恥ずかしく思ったのか、真田は両手で顔を覆いながら上を向いてしまった。
真田と同じ大学に通うことになってから竹林とも連絡を取り合ったりご飯にもよく行くようになった。今回の報告もその延長線なのだろう。
ちなみに補足ではあるのだが、竹林と五月が同じ大学だったようで、僕を通じて二人も仲良くなったようである。
「あの勢いだと五月にも連絡してんじゃない?本人からは聞いてないけど」
「あり得るだろうね…」
「でも、結婚はしないんだね。婚約したって聞いたよ」
そうなのだ。すぐに結婚をするという訳ではなく婚約の段階だと竹林が話していたのだ。
「……彼女は一人前の教師という職に就いている。なら、僕も一人前の医師になってこそ、一緒に歩んでいけると思ったんだ」
「なるほどね。真田らしい考え方だね。けど、そういう風に考える真田は好きだよ」
「まったく…君は平気でそういう恥ずかしい事を言えるよね。それだから看護師の一部だけど好意を寄せられるんだよ」
真田が言う通り看護師の中には好意を向けてきている人がいるそうである。まだ直接言われた訳ではないのでなんとも言えないが。
「前にも言ったけどそういうのには興味ないからね。僕には既に最愛の
「フッ……」
「そうだったね。大変かもしれないが僕は応援しているから、何かあれば言ってくれ」
「サンキュー真田」
僕の言葉にマルオさんが笑みを浮かべたように見えた。
そんなマルオさんの席には二つの写真立てが立っている。一つは二年前に式を挙げた風太郎と四葉の披露宴の時のツーショットの写真だ。風太郎と四葉は幸せそうな笑顔で撮られている。そしてもう一つは……
「さて、寄るところもあるのでそろそろ行きますね」
「なるほど。あの人にはよろしく伝えておいてくれ」
「て、マルオさんの担当の患者さんでしょうに。分かりましたよ」
「直江君。僕がお弁当持って行っておくよ」
「本当?ありがとね」
院長室を出た僕と真田はしばらく歩いたところで別れた。そして僕はある病室に向かった。
コンコン…
『はい、どうぞ』
向かった病室の扉をノックすると女性の声で返事が返ってきた。
「失礼します」
「あら、和義さん。お仕事は良いのですか?」
ベッドの脇に座っている楓さんから声をかけられた。この病室は以前風太郎が林間学校の後に入院することになった個室である。
「ええ。まだお昼休憩中ですから。ご気分はいかがですか、お祖父さん」
「どうということもないわ。ただの検査入院、心配し過ぎだ」
「もう、せっかく来てくれたのにその言い方はないでしょうに」
この個室に入院しているのは五つ子達のお祖父さんだ。僕が初めて会った時から体を悪くしていたようで、そんなに長くないかもしれないと言われていたそうだ。
それが、楓さんの献身的なお世話と僕が休みの度に宿にお邪魔して作っていた薬膳料理、後は
回復したとはいえまだまだ予断も許されない状況でもあるので、こうやって定期的に検査入院をしてもらっているのだ。
ガラッ…
「あら。兄さんも来てらしたのですね」
花を添えた花瓶を持った零奈が部屋に入ってきた。どうやら水の交換に出ていたようだ。
楓さんも毎日のように病院に通っているが、零奈も今は夏休みでもあることから毎日見舞いに来ている。
零奈も今では中学三年生。すっかり大人びており、母さんと言うよりも写真で見た
『なんでー!』と母さんが泣きながら僕に聞いてきた。僕に聞かれても困るのだが…
「随分時間がかかったようだが、変な男に声をかけられたんじゃないだろうな」
顔良し、頭良し、スタイル良し、運動もそこそこということもあり、学校では随分モテているそうだ。昔に比べて人当たりも良くなってきたのでそれも要因の一つかもしれない。
そのせいか、今のようにお祖父さんを含めて父さんにマルオさんが零奈の周り、というか男性関係を気にしているのだ。父さんなんか毎日のように聞いてきたから、『これ以上聞いてくるようでしたら今後父さんと口を利きません』、といってピシャリと話題に出さないようにした。あの時の父さんめっちゃ焦ってたもんなぁ。
「そういうのではありませんよ。看護師さんとお話ししていたのです。どこかの誰かさんが気になるようでして、その妹にアプローチしようとしたかったようですね」
ギロっと花瓶を棚に置いた後に睨まれてしまった。あー…こりゃ帰ってまた詰め寄られるだろうな。
「それに前にも話したではありませんか。私、兄さん以外の男性に興味ない、と」
『自分が愛する者は和義さんだけ』。零奈が中学に入学した頃、お祖父さんと楓さんの二人に零奈は告白したそうだ。楓さんは薄々気づいていたそうだが、お祖父さんは驚きの反面、納得もしていたそうだ。
『自分の思うがままにすればいい』。その時優しい顔でお祖父さんは零奈に伝えたそうだ。
異質ではあるが、目の前の三人の親子関係は上々と言えるだろう。僕が長期休みに入る度に旅館での長期バイトでお世話にっていた頃も、零奈は僕に付いてきて三人での時間を過ごしていたのだ。今でも目の前で三人笑って話をしている。
「てか、毎日のように来てるけど、零奈は勉強問題ないの?」
「誰に言っているのですか。問題ないに決まっています。今もほら、ちゃんと勉強道具を持ってきているのですから」
零奈が指さした先にはソファーとテーブルがあり、そのテーブルの上には勉強していた形跡が残っていた。
零奈は小学校卒業後、周りからの勧めもあった黒薔薇女子には進学せず、普通の公立中学校に進学した。つまり僕と同じ進路である。
『兄さんだって言っていたではないですか。勉強はどこでもできます。友人と別れるのも寂しいですし、何より進学校に進んで兄さんとの時間を潰したくないですから』
本当に公立中学で良いのか確認した時に零奈に言われた言葉である。変なところだけは僕の真似をしてくるもんだから困ったものである。
そこでふとお祖父さんが寝ているベッドの脇に飾ってある写真立てが目に入った。
一つはこの部屋でお祖父さんと五つ子と零奈が一緒に写っている写真。後の二つはマルオさんの机に置いてあった物と一緒である。一つは、いわずもがな風太郎と四葉の披露宴での写真だが、もう一つは僕が中心にウェディングドレスを着た一花、二乃、三玖、五月、桜が写っている。
「すみません勇也さん無理言って」
「なーに、いいってことよ。このくらいなんてことないさ」
僕と桜がまだ大学生だった頃。六人の休みが重なったある日、僕達は勇也さんにお願いしてある写真を撮ってもらうことになった。僕の着替えはすぐに終わったので、今は五人の着替えを待っているところだ。ちなみに僕は白のタキシード姿である。
「しっかしお前さんも五人と付き合うなんて大変だろ」
「いえ。毎日幸せで、大変なんて考えたことありませんよ」
「言うねぇ。風太郎の奴もこれくらい言ってくれりゃあな」
そんな雑談を勇也さんとしていると、彼女達の着替えが終わったとのことで撮影場所に入ってきた。
「うわぁ…」
純白のウェディングドレスに身を包んだ彼女達を見て言葉にならず、ただただ感動をしてしまった。
「お待たせっ」
「ふふっ、あまりの綺麗さで言葉も出ないって感じね」
「ちょっと恥ずかしいかも…」
「こうやって並ぶと不思議な感じだね」
「まさか
五人ともそれぞれが言葉にしているが皆嬉しそうな顔でキラキラしている。
「うん。皆綺麗だ」
それ以外の言葉が出てこないくらいに五人のウェディングドレス姿は綺麗で美しかった。
「うっし!じゃあさっそく撮っていこうぜ」
勇也さんの合図のもと二人での写真撮影を開始した。つまり、五組の写真を今から撮っていくのだ。
そんな写真撮影も順調に進んでいき、最後の桜とのペアの写真が終わった頃に一花から一つの提案が出た。
「ねえねえ。どうせなら六人で写真に写ろうよ」
「いいわね」
「うん。いいアイディア」
「私も賛成」
「とても良いことだと思います」
「それはいいけど、どうやって撮るのさ」
「まあ、椅子を使って何人かは座って撮るのがベストだろうな」
勇也さんの考えもあり、一花、二乃、三玖の三人が椅子に座り前に並び、その後ろに僕を中心にして五月と桜が両脇に配置となった。
「いいんじゃねぇのぉ。じゃ撮るぞぉ」
バシャッ…
六人での写真を見ていると、写真撮影をした当時の事を思い出されてくる。ペアで撮った写真は、皆それぞれの部屋で飾っている。ぼくの部屋にも六枚の写真が飾られているのだ。それを羨ましそうに零奈が眺めている時があるが、まあもう少し成長したら考えてやっても良いのかもしれない。
「…と、そろそろ戻りますね。楓さんはゆっくりしていってください」
「ええ」
「あ、兄さん。今日の帰りは遅くなりそうですか?」
「んー…何もなければいつも通り帰れるよ。遅くなりそうだったら連絡する」
「分かりました」
「じゃあお祖父さんも安静にしててください」
「分かっとる」
お祖父さんの返事を聞いた僕は病室を後にするのだった。
その日の夜。少し遅くなったが何事もなく帰ることができた。今日は真田と久しぶりの同じシフトだったから、たまには帰りにご飯にでも行くのが良いのかと思ったが、あちらもあちらで竹林と約束ができたそうだ。
ということで我が家へと帰るのだが、現在住んでいるマンションに着いてそこでそのマンションを見上げた。三十階建てのそのマンションを。
「やっぱ、まだ慣れないなぁ」
今の僕は実家を出てこのマンションの二十九階に住んでいる。いわずもがな、このマンションの三十階には中野家がある訳なんだが…
「ただいま」
玄関を通ってリビングまで行くとソファーに座り書類に目を通していた桜がいたので声をかけた。
「おかえりなさいませ、和義さん。今日は早めに帰れたのですね」
お迎えのために立ち上がり近くまできた桜は、そんな声かけをしながら目を瞑って顎をくいっとあげた。僕はそんな桜の唇に軽くキスをする。
「ん……」
「桜は持ち帰った仕事中?」
「ええ。華道の方の展覧会の予定表ができたとの事なので内容の確認をしておりました」
この部屋には現在僕以外には桜と零奈が住んでいる。両親は海外での仕事も終わり、今では家にいる訳なのだが、僕が家を出ると零奈はそれに付いてきたのだ。
ちなみに桜は今は諏訪の実家のお仕事の見習いといった感じで、桜の父親について色々と学んでいる。僕の研修医と似たようなものだ。それに加えて、自身の稽古に華道の教室での講師、弓道の大会など数多くの事をやっているので、忙しい日々を送っている。たまに他県での展覧会に参加するために出張に出たりもしている。
「そっか。ご苦労様。零奈は?部屋?」
「いえ。
頭を撫でながら聞くとニッコリと笑って桜が答えてくれたので
なんとこの部屋は上の中野家の部屋と階段で行き来が出来るように工事が行われているのだ。
僕が医師の国家試験に合格して後は大学を卒業するのみとなった頃。桜もちょうど大学を卒業することになったので、そろそろ六人で一緒に暮らそうかと考えていた。しかし、そうなってくると住む場所を考えるのがとても大変だった。そんな時…
『中野さんのお宅の下のお部屋が
楓さんからそんな連絡があったのだ。
僕達としては願ったり叶ったりだったのですぐにお願いした。残念ながら僕らにはまだ資金がなかったのでそういうのには頼るしかなかったのだ。しかし、その時には中野家と諏訪家が合わさった時の資金源には驚きを隠さなかった。なにせマンションの一室を買い取り工事まで施工したのだから。
そんな訳で、確かに二十九階には僕と桜と零奈の三人で住んでいるが、この階段を上れば中野家なので四葉以外の中野家の面々と一緒に住んでいるといっても過言ではない。ちなみに四葉は風太郎と結婚しているので、東京に一緒に住んでいる。
「ただいま皆」
階段を上りきったらリビングに四人が揃っていた。一花と二乃と三玖はソファーでくつろいでいるようだが、五月はダイニングテーブルで何やら書類作業をしている。
「あら、おかえりなさい和義」
「おかえり」
「おかえり~」
「おかえり和義君」
そして先ほどの桜と同様に一人ずつにキスをしていった。
最後の五月とのキスの後、零奈がキッチンから料理を運んできた。
「五月と桜さん、それに兄さんの分ですよ。まったく…何度見ても先ほどの光景は慣れませんね」
「ふふっ、羨ましいでしょ」
二乃が零奈の配膳を手伝いながらそんなことを伝えた。
「まあ、私もたまにしているのでどうということはないですね」
「和義?」
そんな目で見られても困るんだけどね三玖さんや。
だって仕方がないのだ。隙あらば零奈はキスをしてくるようになってきたのだ。特に中学に上がってから増えている。
「まあ、お母さんだったらいいんじゃない?もうこのグループの一員みたいなもんなんだしさ」
「それもそうだね。それより和義君に桜。ご飯食べましょ」
テキパキと書類を片付けると、五月はご飯を食べる体勢になった。僕もお腹は空いているので五月の向かいに座り、桜が僕の横に座る。
「「「いただきます」」」
他の四人はすでに夕飯は終えているので三人での食事となる。
「マルオ君は今日も帰られないのですか?」
「いや。仕事が立て込んでるみたいだけど、何とか帰るって言ってたよ。夕飯は用意しといて良いんじゃないかな」
「そうですか。では、温めるだけの状態にしておきましょう」
僕の言葉を聞いた零奈はキッチンに準備のために向かった。
「皆は体調は大丈夫なの?何かあればすぐに言ってね」
「それ毎日のように言ってるじゃない。そこまで気にしなくても大丈夫よ」
二乃が零奈の手伝いのためにキッチンに向かいながら答えた。
「でも心配してくれてるのは素直に嬉しい。ありがとう和義」
「ここに子どもが宿ってるって思うと、やっぱり感慨深いよねぇ」
一花がそんな言葉をこぼしながら自分のお腹を撫でるように触っている。
そうなのだ。現在、五人それぞれのお腹には僕との子どもを宿している。つまり妊娠しているのだ。まだ三ヶ月なので、見た目的にはそこまで分かるものではないが、産婦人科で診てもらったので確かである。
時期は近くなるとは思っていたが、ここまでほぼ同時に妊娠するとは思っていなかったな。
現在五人はそれぞれの仕事に就いている。
一花は女優の仕事を今でも続けており、今では全国でも有名な女優になっている。仕事も全国各地であっているのでこの家に帰ってくることも、家の中のメンバーでは少ないほうだ。今月に入ってお腹の子の事も考慮して長期休暇に入ったところである。
二乃と三玖は二人でカフェの経営をしている。風太郎の家の下にあったお店を勇也さんから譲り受けたのだ。僕が大学四回生だった秋に開店をしたので、今年で三年目になる。そんな二人は今は開店時間を短縮して、無理なく続けている。
五月は念願の教師になって日々頑張っている。今も持ち帰って仕事をしていたのだろう。妊娠が分かってからは学校に報告をして、周りの協力もあり今も休まず仕事を続けている。
桜は先ほど説明した通り諏訪家での仕事がメインだ。周りの助けもあるので教室や展覧会への参加は続けている。ただ、弓道だったり遠出だったりは控えている。
「それはそうと、あんたたち明後日はちゃんと休み取れてるんでしょうね?」
キッチンにいる二乃からそんな質問が投げかけられた。
「私はそもそもずっとお休みだから問題ないよ」
「私もちゃんと調整してるよ。例年通りお盆休みとして連休貰ってるしね」
「
「僕も大丈夫だよ。風太郎も当日には着くって言ってたし、らいはちゃんも風太郎と一緒に来るって言ってたからこれで全員集合だね」
二乃が言う明後日と言うのは八月十四日。つまり零奈の誕生日であり、
あの七年前のお墓参り後の集合写真を撮って以来、毎年集まってお墓参りをして集合写真を撮っているのだ。
久しぶりに風太郎に会うのは楽しみである。
明後日の事を考えながら夕飯を食べるのだった。
八月十四日。
七人で家を出た僕達はお墓のある墓地に向かった。風太郎達とは現地での合流である。
「お、来たんじゃない?」
一花がこちらに向かってきている
「みんなー!久しぶりー!」
四葉が子どもを抱えてブンブン手を振って近づいてきた。
「四葉、久しぶりだね。相変わらず元気そう」
「
五月と桜が四葉と彩葉ちゃんに挨拶をしている。
上杉彩葉。風太郎と四葉の子どもで今年の春に一才になったばかりの女の子である。
「らいはちゃんも今年もありがとね」
「いえいえ。いつも呼んでいただいてありがとうございます」
一花がらいはちゃんと話しているが、早いものでらいはちゃんももう大学生である。今も家を出ておらず、実家から近くの大学に通っているそうだ。らいはちゃんにはバイトとして最近うちのハウスクリーニングをしてもらっている。今は夏休みで零奈がいるが、普段は全員が出掛けているというのもあり、後は知った仲だというのもありでお願いをしている。お陰で一花の部屋も汚部屋にならずにで助かっている。たまに泊まったりもして女子会なんかも開いているそうだ。
「ハァ…ハァ…」
「よ!風太郎は疲れてるみたいだね」
「荷物が重くてな…はぁぁ…久しぶりだな和義」
リュックを担いでいる風太郎はお疲れ気味のようだ。多分彩葉ちゃん用のオムツとか色々入っているのだろう。子育ては一人でも大変なのに、
そんな思いもあり、零奈の頭を撫でていた。
「?なんです急に」
「いや、
「?」
訳の分からないといった顔の零奈を置いてお墓に向かう。今年もお花がたくさん添えられているようだ。
「まったく…お父さんも一緒に来ればいいのに」
「うちの両親や勇也さんに下田さんも来てるみたいだから、あっちはあっちで時間を合わせてるのかもね」
「そっか。和義のご両親もお墓参り来てくれてるんだったよね」
すでに綺麗ではあるが、水をかけたりしている時に二乃と三玖の二人とマルオさん達も集まって来ているのではないかと話をした。
「よし。お花も添えれたし、じゃあみんな手を合わせまして…」
一花の号令と共に皆で手を合わせてお参りをする。
お腹のことやいろはちゃんを抱っこしている四葉の事もあり、しゃがんで手を合わせているのは僕と風太郎と零奈とらいはちゃん。後の皆は立って手を合わせている。
お墓参りも終わるといつもの場所で集合写真を撮ることになった。
「今年も大勢でお集まりになったのですね」
「すみません、いつも騒がしく」
お寺の和尚さんが毎年行事のように写真撮影をしてくれるために来てくれた。
「いえいえ。このように集まることが出来る事が普通になっているのが素晴らしいことです。さあ撮りますのでお集まりください」
和尚さんの号令もあり集合をする。
パシャ…
今年もこうやって集合写真を撮ることが出来た。きっと来年以降もこうやって集まることも出来るだろう。それに来年以降はまた人数が増えている。
いつものように女性陣で集まって写真の出来映えを見ている。
そんな光景を眺めて空を見上げた。
「どうした?」
そんな僕に風太郎が声をかけてきた。
「いや。やっぱり幸せだなぁって…またこうやって集まろうね」
「ふっ…ああ」
いつまでも皆一緒に…
そんな思いを蝉時雨に乗せて願うのだった。
今回の投稿も読んでいただきありがとうございます。
今回のお話でハーレムルート最終回とさせていただきました。
今回のルートの和義の職業は医師としました。地元にいて、六人と一緒に住んでいくのであればマルオみたいな医師かなという思いで決めました。
また、真田が医師で竹林を教員にすることで和義達と接点を取るようにさせていただきました。
そして、中野家マンションの工事をすることで一緒に暮らすということにしました。無理矢理感が半端ないですが…
最初は、桜の家に住むというのも考えたのですが、マルオがあの広いマンションの一室で独りというのも可愛そうだったので今回のようにさせていただきました。
さて、ハーレムルートも終わりましたので暫く『五等分の奇跡』の投稿はお休みして、もう一つの作品である『少女と花嫁』に集中していきたいと思ってます。
最近仕事が忙しくなってきて、二作品同時進行が厳しくなってきましたので…
ただ、機会があれば二乃、三玖、五月のルートも書ければなとは思ってます。桜や零奈も余力があれば書きたいですが、四葉ルートはどうなんですかねぇ。まあ、そこも今後考えていきます。
では、いつになるかは分かりませんが、次回投稿がありましたら読んでいただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。