そろそろ千年血戦の3期情報が来そうなので、リハビリがてら……、ほぼギャグ回です。
「何? 他の大虚や破面が来ていないかの確認をしてもらいたい? 日番谷隊長からか」
「はい。市丸隊長からの追加報告を受けて、空座町の虚の霊圧パターンが変化しているんじゃないかって。例の野良死神と梅針との戦闘で、地獄蝶の観測にも狂いが生じているんじゃないかって」
「十二番隊からは報告は上がっていないが、こっちで見れる範囲の情報が追加で欲しいって事だろうな。……わかった、ここからは俺の方で調べておく。
わざわざ済まないな。今日は確か、誕生会と聞いていたが……」
「下の妹のですよ~、本当……。知ってます? 浮竹隊長。うち、いつの間にか六人
「お、多いな。いや、確かお父さんは愛妻家だったな。昔、海燕ともそういう繋がりで瀞霊廷通信の取材を受けていたか。
……じゃあ、楽しんでいってくれ、虎徹」
「はい! 浮竹隊長も、お体きをつけてくださいっ」
「行ったか。………やれやれ、こっちは朽木からの報告もあったか。それに、この顔は………。黒崎一護、一護…………、
※ ※ ※
昼の空座町。霊的な圧は存在せず、木漏れ日が眩しい。とはいえそんな夏休みが始まった頃の季節としては異様な程に、その公園に集まった面々は濃いの一言であった。
額にサングラス、アダルティな花柄のノースリーブにホットパンツといったキレキレ衣装の松本乱菊。薄手の臙脂色のシャツのボタンを全開にした、黒いインナーとズボンな綾瀬川弓親。蛇柄の紫色バンダナに金色の竜が描かれたタンクトップとあからさまに圧が強い班目一角に、学ランの上着を脱いで半袖のワイシャツ姿な日番谷冬獅郎。
一同、全員でいるところを再度空座高校などで目撃されれば、指をさされヒソヒソ話が絶えないくらいには目立つ集団であるが、流石に昼間の公園でくつろいでいる老人たちや、ランニング中の女性などはそこまで目くじらを立てはしなかった。いや、関わると色々ヤバそうな気配が漂っているからと言ってしまえばそれまでなのだが。
目立ち過ぎだお前等、という日番谷のツッコミは、松本乱菊の「どれも可愛くって迷っちゃうんだも~ん」というお気楽な一言に流される。ため息をつき、彼は話を続けた。
「……あー、それでだ。技術開発局と、あと念のため他の隊長格にも連絡しておいたが。今の所、近隣で
「なれるって言っても~隊長。割と良い人たちじゃないです? あのおかっぱたち。
梅針と戦ってた時も、ずっと一護のことを心配してたみたいだし」
「状況的には呉越同舟で、連中が護廷十三隊を嫌っているのは事実だ。その前提で物事を見れば、また違ったものも見えて来るだろう」
「回りくどいの止めてもらって良いです~?」
「お前は少し頭を使えッ! 俺よりはるかに隊歴長いだろうがッ!
「あー! ちょっと
「その呼び方で呼ぶんじゃねぇ! 雛森でもあるまいにッ!」
ガミガミと文句を言い合っている二人をよそに「つまり何だァ?」と顔をしかめる一角。そんな彼の肩を叩いて、「コレじゃない?」と片手で顔の半分を覆い隠す弓親に「あー、あの気持ち悪ィやつか」と苦々しい顔になった。
「……つまり、黒崎一護のあの仮面についてだ。あれは奴自身が望んで手に入れた力ではないにしろ、連中がそれに目を付けている事実に変わりはない。
……阿散井は今日も、黒崎一護と?」
「ええ! 山田も一緒に、浦原商店で訓練してますよ。何だかんだ言って、あの子気に入ってるんじゃないんですか?
よくイチャイチャどつきあってるし、喧嘩する程仲が良いって感じで」
「一角もたまに訓練つけてますからね、二人とも」
「基礎についちゃ朽木と阿散井の二人で多少は付け焼刃にゃなるでしょうがねェ? それで一護の奴が、あいつらが動き出す前にコントロールできるようになるんスか? あのアホみてェな霊圧の数々」
半眼でこめかみを叩きながら言う一角の言葉に、三人ともが唸らざるを得ない。
梅針との戦闘の終盤、仮面をつけていた時も、外した時も、その全身からうねる霊圧がまるで炎のようにうねりながら彼の身体へとまとわりついた、あの姿。
たった一撃ですら街全域がきしみかねないほどの霊圧の放射は、現在の「限定霊印」による封印を施された自分たちを凌駕するほどのそれである。
故にこそ、0か100かでしか出力できない今の一護を、そのまま戦力としてとらえて良いかと彼は言っていた。
「そりゃ何でもかんでもぶん殴ってなぎ倒すだけの霊圧がありゃ、出来ることも多いっスけどね。でも、宝の持ち腐れになっちゃ話にならねぇ。『霊圧が高いだけの雑魚』なんて、一番のカモじゃねぇか。この間たまたま上手くいったからって言って、次もそう都合よくなるとは限らねェ」
「心配してるのか」
「足手まといだって言ってンですよ。それこそ今の朽木や、朽木にばっかり気を取られてる阿散井もそうなりかねねぇ」
「…………」
「ァン? どうした松本」
「いやー、つるりんってば色々考えてんのねー。てっきりまっすぐ行ってぶん殴れば済むくらいのこと言うかと思ってたのに」
「つるりん言うなやッ!?」
「えぇ? でも、『やちる』ちゃんがせっかく付けてる訳だし、広めた方がフレンドリーじゃない? 新人隊士とかに」
「んなふれんどりぃとかは要らねぇわッ! ったくあの副隊長、いつかぶん殴る……」
「落ち着きなよ一角、まだ虎徹
「痛い所ついてくるんじゃねぇよッ」
「まあ、戦力は多いに越したことはないだろう。対
彼の言葉には、一同頷く。
あれほどの力を持つ一護が万が一、連中の手に落ちるようなことがあれば――――それこそ、その時に連中が一体何を起こすのか。
未知数であり、読めないからこそ警戒するのが死神としての振る舞いであろう。
「イラつくけど、彼等……、彼女たち? の力は本物ですから。妙に『護廷隊同士で』戦ってるようなチグハグさもありますけどね」
「ヘッ! それでこそ楽しい戦いができるってモンじゃねェか! ……あとあの猿女は絶対泣かす。人の事ハゲハゲ言いやがって…………!」
「つるり~ん♪」
「ぶっ殺すぞ松本テメェ!!!」
「いや~ん、おっかされる~♪」
「あっオイ、どこ行くつもりだ松本! これからパトロールの順番決めるって話で……、は? 町内パトロール? 駅前? 今お前絶対買い物とか言ったろ、オイ!
…………人の話を聞く気がないのか、アイツは」
「…… 一角と僕で回りましょうか? 今日は」
「……頼む。少し休ませてくれ」
頭を抱える日番谷に、流石に同情した弓親であった。
さて。二人が離れてからも、日番谷にはやることがある。彼自身、死ぬほど職務に忠実と言う訳でもないのだが、それでも現世に来たからには為さねばならないことがあった。
「……
そもそも現世に来た時点で、音信不通だった自分の先達たる元隊長との遭遇もあり。なまじ慕っていた過去もあったため、そんな
とはいえそれとて多くはない。よほどに事情が込み合っているのか、それとも家族への愛ゆえか。とはいえ黒崎一護と朽木ルキアとの現時点における関係についても、朧げながら理解するだけの情報を得ていた。
「黒崎一護の母親の体に、大虚が寄生したこと。それを封じるために、隊長がわざわざ自らの霊力を失ってまで現世に留まったこと。そのあたりの細かい情報が全く手元に無ェ以上は、情報を握っている奴に聞くべきだな。
だが……、藍染隊長も言っていたか? 『時に嘘とは、それを嘘と認識せず語るが故に真実との差が失われる』」
思い出すのは、平子を相手に飄々と追及をかわし、黒崎一護に何やら確信を持った目を向けていたあの下駄帽子の男。
息を吐くように詐術を弄する相手かと問われれば、確かにあれはそういう存在だろう。
「どう迫れば良い? 状況の特殊さと異常さ、作為めいた前後の関係から、間違いなく連中の狙いは黒崎一護だろう。だがアレだけの『真血』の戦闘力を遊ばせておくのも、面白くない。だったら――――ん?」
と、思案しながら道を歩いていると、車道の方からサッカーボールが飛ばされてくる。
あっ! と向かい側から声が聞こえ、日番谷はそちらを見る。
「……どういう縁だこりゃ。まあ良い。このボール、お前のか?」
「あ、うん」
「危ないから気を付けろよ。轢かれでもしたらコトだ。ほら」
少しだけ気を抜いて微笑みながら、彼はサッカーボールを、黒髪ショートカットで、ちょっとだけどこかで見たことのあるような目つきをした少女に蹴ってわたし、その場を後にした。
※ ※ ※
『………………どういう……、状況、だ…………?』
『これも霊王の導きか……? 霊王
『あ、アド……?あの、お二方? 「御来客」が気まずそうです……』
『ぎゃう?』
『…………』
いや、まあ、どういう状況だとしか言いようが無ェんだがなァ。日常にいきなりカオスが放り込まれるあたりはBLEACHらしいっちゃらしいのかもしれねェし、なんとなく見覚えのあるイベントっちゃイベントなんだが、それをリアルに体感する側としちゃさらに胃が痛ェっつう話だ。
まあ何が何だと言うと、この一護の精神世界で言えば、まずオッサンに対して「お邪魔して良いか」っつーノックがあって、わざわざご丁寧にこんなことしてくる斬魄刀なんざ一つしか無ェ訳だ。
で、別に招待するのには問題無ェんだが、一体何でわざわざこっちに来たのかっつー話になるわけで、それを「大紅蓮氷輪丸」のイケメン相手に聞き出そうとしたら、表の方がコレと来たもんだ。
「――――きゃあああああ~~~~! 夏梨ちゃんがカレシ、連れてきちゃったっ! しかもすっごいイケメン!」
「か、彼氏? とか違ェよ!? 何でさ遊子!?」
「違ェよ」
「そうそう、冬獅郎もこう言ってるし! 第一、会ってまだ三日も経ってないし!」
「んも~、夏梨ちゃんてば手が早いんだから~! カレー準備してたけど、お赤飯に変えちゃう? 変えちゃう?」
「だから、ちっが~~~~~~~~~~~~~~~~~~うッ!!! コイツのことなんて、全然そういうんじゃないんだからなっ!」
『おう古典的ツンデレみてェなテンプレ台詞ドーモっつー感じだなァ。……いや、そうやって必死に否定すっから、ますます邪推されンだろォが』
『んぎゃんぎゃ?』
『いや、まァ別に普通に否定しても勝手に盛り上がるンだがなァあの妹』
『いみない!』
まあ、こんな感じだ。
一護の見てる情景を説明すンなら、黒崎夏梨が日番谷冬獅郎を連れて帰って来た。以上。……本当に以上だ。で、それを見て遊子の奴が勝手に盛り上がって、割と真面目に照れてるのかちょっと顔を赤くして否定する夏梨と、まあまあ呆然としてる日番谷隊長っつー組み合わせ。
なんなら「なんか夏休みでガッコー通ってないからって、家出してるみたいなんだけど、数日は保護してやれない? 可哀想だろコイツさ、ヒゲ」とか
はっきり言ってカオスの地獄だ。
日番谷隊長は日番谷隊長で、一心の乱れっぷりを前に「コイツ、本気か!?」みてェな目を向けてるしなァ。気持ちは「相手の立場」的にわからなくもねェが。
んで、そんな主の様を見て、何やらこちらも胃を痛めていそうな、「氷菓の菓子折り」持って来た氷輪丸が、なんだか居た堪れねェ……。
そしてこっちの天気も何だか怪しい。いや雨が降る感じじゃねェんだが、コイツは…………。
「あーもう、一にぃこれどうにかなんない?」
「――――冬獅郎ォ、テメェどういうつもりで、何してくれてんだ」
「――――何の話だ黒崎一護!? というか、てめえまでボケてンじゃねェ!!」
「あれ? 一にぃと本当に知り合い……?」
『キレてンなぁ一護』
『……怒るとむしろ乾くのですね。ええと、「月白」!』
『ぎゃう!』
太陽がむしろギラッギラで、肌に刺す様に輝いて、日差しが痛ェ。周囲の湿度をどんどん枯らして言って、むしろ暑苦しいくらいだ。俺は汗くらいで済むンだが、ちょっと厚着してる子雪と姐サンあたりは暑苦しいのか、速攻で能力を使って周囲に冷気と湿度をばらまき始めてる。姉サンは氷の柱を周囲に何本か、小雪は口から氷のブレスみてェなのを吐いてる。
氷輪丸も「……助力しよう」とか言って、背中に氷の羽根生やして氷の柱を周囲に立てたりしてくれてるあたり、流され体質っつーか、灰猫とかの後始末に東奔西走してそうな姿が思い描けてますます居た堪れねェ。
ちなみにオッサンは汗一つかかずに泰然自若としてる。羨ましい限りだが、まァこっちも姐サンが頑張ってくれてるし、とやかく言う話じゃねェか。
『つーか異性関係は一護に関しちゃ、テメェ自室で朽木のやつ
『その言い方はいくら貴方でも許せませんよ!? 誰がペットですか、訂正なさいっ!』
まあ言い方は悪かった確かに。でも飯も風呂も家族に見つからねェように管理してるの一護だしなァ……。また脱衣所のドア閉め忘れて一護の奴にパンツ脱ぎながらのケツから正面まで見られてンの気づかないくらいに警戒心ゼロだぞ? 完全に牙を抜かれた番犬とかそういうのだろ、ありゃ。
それにまァ、日番谷隊長も日番谷隊長で黒崎家に入った瞬間、一瞬上の方を見て「オイオイ」っつー顔してたから、ゼッテー朽木の奴が部屋で漫画読みながらゴロゴロしてンの察してンだろ。あえて何も言わず呑み込んでるあたり、苦労性が主従(刀)共々にじみ出てやがる……。
表の方では泣き腫らして戦力にならねェ
『何でわざわざ黒崎家に来たのか事情すらまだ聞けて無ェじゃねえか……、少しは落ち着けや一護ォ!』
『無理だな。妹はさぞ可愛いと見える』
『俺だって妹と見りゃ可愛いが、そこまで噛みつく程でも無ェだろ別に。
「…………」
オッサンがものすげェ微笑ましそうに俺のこと見て来ンだが、何だそりゃ。
どういうことだと姐サンに聞いてみても「そういうところですよ」とか言ってニコニコされるし。
……って、子雪!? いい加減ブレス吐くの止めろ、あっちの氷輪丸が氷の柱建ててるの見て「ぎゃおおおおん!」とか言って対抗心燃やして何やりてェんだ!? お前テンション上げると一護の霊圧暴走しやすくなんだろ、自重しやがれ! というかちゃんと話せやッ!!!